戦争を平和をめぐる歴史的考察を踏まえて、ロシア・ウクライナ戦争に関する多角的な考え方を提供してくれる良書。日露戦争について、ロシアと直接戦争をしたくないイギリスが、ロシア脅威論を煽って日本とロシアの間で日露戦争を引き起こし、戦争から最大の利益を得たという指摘(山田朗、197~198ページ)は重要な指摘だと思った(このことは歴史学者の間では常識なのかもしれないが、一般にはあまり知られていないのではないか)。ただし、著者の中にロシアやウクライナを専門とする人はいないので、その点では限界があるように感じられた。 主な内容:ウクライナ戦争はどのようにして起こったのか NATOの東方拡大は戦争を抑止したのか 近現代世界史の中の戦争と平和 軍事同盟と戦争の歴史 戦争の違法化 平和運動の歴史 日本をめぐる戦争と平和 東アジアの戦争をどう防ぐか 台湾有事・朝鮮半島有事の可能性の検討 など
出版社ウェブサイトから紹介を引用
防衛力の強化は、本当に戦争の抑止につながるのか。戦争と平和をめぐる百余年の歴史から教訓を探る。
世界中で高まる防衛力強化への潮流は、本当に戦争の抑止につながるのだろうか。戦争・軍事、そして平和をめぐる人類の百余年の営みはどのようなものだったのか。近現代世界・日本の戦争から軍事力がもった意味を問い直し、平和への教訓を探る。これからの日本と東アジアについて、自分たちが考えていくための土台を提示する。