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2025年8月18日月曜日

【おすすめ度◎】ロブ・ダン『世界からバナナがなくなるまえに』青土社, 2017年

バナナ、ジャガイモ、キャッサバ、カカオなど重要な作物で、遺伝的にほぼ同一な単一品種の大量栽培がおこなわれているが、同一品種の大量栽培は病気によって大量被害を受けるリスクを増大させている。そのような同一品種の大量栽培は、少数の巨大種子企業によって作り出されてきたシステムである。また、農業は生態系のシステムの中で行われるので、人間が設計した通りに機械のように動くとは限らない。単一品種大量栽培のリスクを低減するため品種の多様性が必要であり、多様性確保のための世界的取り組み(種子を保全するジーンバンク)が紹介されている。
 なお、ブラジルの左派勢力が、大地主に打撃を与えるため意図的にカカオの病気を散布したという話が書かれているが(第6章)、それに関しては証明不十分。また"extension"を「拡張」と訳しているが(313ページ)、「普及」(改良普及)の意味である。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
わたしたちはたった12種類の作物で生きている
米、小麦、砂糖、トウモロコシ、豆、ジャガイモ、ヤシ油、大麦、キャッサバ、ピーナッツ……
人間が生きるうえで欠かすことのできない主食作物が、同時多発的な病原菌や害虫の猛威に襲われたとき、わたしたちの食卓はどうなってしまうのか。大規模なアグリビジネスがもたらした悲劇、作物壊滅の危機に立ち向かう科学者の軌跡をたどりながら、いまわたしたちにできることは何か、考える。


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