題名は『コロナと製薬』だが、コロナ関係(ワクチン、治療薬)は一部で、主に日本製薬メーカーの抗体医薬開発のルポルタージュ。製薬メーカーの雰囲気が分かって面白い。文章のスタイルはいかにも雑誌記者が書いた文体であり(著者は日経メディカル等の記者)、研究者の文体とは雰囲気が違う。(詳細内容)厚生労働省ワクチン政策の問題点、幻の国産mRNAワクチンプロジェクト、ワクチン開発の新潮流、新型コロナ治療薬へのチャレンジ、創薬新時代と業界の変動、日本の創薬イノベーション(中外製薬「ヘムライブラ」、第一三共「エンハーツ」、協和キリン「クリースビータ」、塩野義「フェトロージャ」)
出版社ページより紹介を引用
なぜ日本の製薬企業は出遅れたのか。
2022年4月、遂に感染者数が世界で5億人を突破した新型コロナウイルス(COVIV-19)のパンデミックは依然として終息する気配が見えない。切り札となっているワクチンの4回目の接種も検討され始めている。ワクチンでは、メッセンジャー(m)RNAという新しい仕組みのワクチンを短期間で開発したファイザー・ビオンテック連合とモデルナに依存し、日本の製薬企業の存在感は薄い。治療薬でもメルクなどが先行している。
かつての創薬大国日本はなぜ凋落したのか。バイオテクノロジーと医薬品産業を長年取材してきた専門誌記者の著者は、「モダリティ」のイノベーションに日本の製薬企業が乗り遅れたことが原因と見る。
「低分子化合物」「ペプチド」「抗体」「核酸」など治療に用いる物質の種類の違いを「モダリティ」という。低分子化合物の時代には有数のい創薬国だった日本が、バイオ医薬品へのモダリティの変化というイノベーションの大波についていけなかったのだ。
第1部では厚生労働省にも大きな責任がある「ワクチン敗戦」を分析し、日本企業の創薬力については、第2部で検証する。
ワクチン「1日100万回接種」を指示した菅義偉前首相のインタビュー「非常時は国内だけの視点では克服できない」を収録した。
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