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2023年5月3日水曜日

【おすすめ度○】橘川武郎『エネルギー・シフト』白桃書房, 2020年

やや難しいが、再生可能エネルギー主力電源化のための条件を詳しく検討している。なおこの本の本題からは外れてしまう論点だが、この本では柏崎刈羽原発の売却を提案しているが(76ページ)、いまさら原発を買おうという会社があるのだろうか? 狂信的に原発に固執するフランス国営電力(EDF)なら買うかもしれないけど、外国資本に売ることを考えているのだろうか。 内容:「差異性下のエネルギー主力電源化」と直面する課題 第5次エネルギー基本計画の検討 主力電源化への2つのアプローチ 原子力発電をどうするか カギ握る使用済み核燃料の処理 火力発電をどうするか CCSとCCU 水素がエネルギー構造全体を変える可能性 再生可能エネルギー主力電源化の担い手は誰か

出版社ページより紹介を引用
第一人者が、エネルギー問題を包括的・現実的に捉え30年先を見据えた解決策を提言!
増刷の際に、このところ目まぐるしい動きを見せる最新のエネルギー政策の解説も収録!
 新型コロナ・ウイルスは世界経済に大きな打撃をもたらしたが、その衝撃波は、エネルギーの分野にも及んでいる。注目すべきは、エネルギー需要全体が大きく減退する中で、再生可能エネルギー需要が堅調に推移してきていることである。CO2を排出するエネルギーから排出しないエネルギーへのシフト、集中型のエネルギー供給システムから分散型のエネルギー供給へのシフトという大きな流れ、つまり「エネルギーシフト」すなわちエネルギー転換といえる動きが改めて明確になったのだ。この勢いは、パンデミックを克服した後の世界では一層強まることになろう。
 加速するエネルギーシフトの動きに取り残された感が強い日本政府も、2018年に閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」で、2050年までに「再生可能エネルギーの主力電力化」をめざす新しい方針を打ち出した。さらに2021年4月の気候変動サミットで温室効果ガスの大幅な削減を打ち出した。
 本書は、このような状況の中で、「再生エネ主力電源化」を本気で実現するために何をすべきかについて、正面から論じていく。リアルな議論を展開するため、再エネ発電だけでなく、原子力発電・火力発電・水素利用などの動向も視野に入れ、エネルギー問題を包括的に検討、さらに、「再生可能エネルギー主力電源化への道」それ自体については、(1)既存の枠組みを維持したままのアプローチと、(2)「ゲームチェンジ」を起こす新たな枠組みを創出するアプローチの双方を採り入れる必要があると、この課題に果敢に、かつ冷静に取り組む。
 政府機関や自治体の担当者、電力・ガスなどエネルギー産業関係者、またエネルギー事業への参入を狙う方たちにとって必読の書であるが、議論の過程では石炭火力発電「悪者」論や原子力政策の近視眼的なありようも批判しており、エネルギー問題に関する俗論などについて第一人者の見解を知ることもできる。その根拠を示しつつ、我々は何をどう選択することができるのかを考えさせる、幅広い読者がそれを自分ごととして捉えるのに有用な一冊である。

【第6刷収録の「おわりに」PDFダウンロードはこちら】
・初刷刊行以降、目まぐるしい動きを見せてきたエネルギー事情・エネルギー政策を重版時に追記してきた「おわりに」をダウンロードできます。特に、最新の6刷では30年度の電源構成見通しにあたって必要な総発電電力量削減のため「産業縮小シナリオ」が導入されたこと、その他、刊行以降目まぐるしく大きな展開をしてきたエネルギー政策やイベント、また欧州でのエネルギー危機に関する分析がコンパクトにまとめられ収録されています。

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