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2024年1月14日日曜日

【おすすめ度◎】大西康之『電機メーカーが消える日』講談社現代新書, 2017年

日本の電機メーカーの経営危機の原因を深く探る良書。電力各社およびNTTへの過度の売上依存(「電力ファミリー」と「NTTファミリー」)が、グローバル化と電力自由化・通信自由化によって支えられなくなったことが日本の電機メーカー危機の最も重要な原因だとしている。利益が出ない原発に執着しつづけたこと(このため東芝はウェスチングハウス買収で巨額損失を出した)がその典型的な例だが、問題は原発だけではない。日本の電機メーカーのスマホ進出が遅れ、結局はスマホ市場で敗退することになったのも、NTTがiモード(いわゆるガラケー)を維持しようとしたからだと指摘している。かつて日本の電機メーカーが世界一になったのも、電力各社やNTTといった「国策」企業が高い値段で買ってくれていたからであり、そのような「ぬるま湯」環境に慣れきってしまった日本の電機メーカーは、グローバル化と自由化の時代には世界のメーカーとの競争に負けて衰退した。
 本書ではここまで書かれていないが、実はこのような「ぬるま湯につかり切った産業の衰退」は電機産業だけで起きたことではない。バブル崩壊後の日本は、自動車など少数の例外を除いてあらゆる産業で同じことが起こって世界の中での競争力を失っていった。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
 巨大な負債を抱え、会社解体の危機に喘ぐ東芝――いや、東芝だけではない。かつて日本企業を代表する存在だった総合電機が軒並み苦境に陥っている。東芝・ソニー・日立ほか大手8社の歴史や経営を詳細に分析することで日本の総合電機がはまった巨大な陥穽を描く。名著『失敗の本質』総合電機版とも言える1冊。

【担当者挨拶】
本書が生まれたきっかけは、著者となるジャーナリストの大西康之氏が語った次のセリフでした。
「東芝をはじめとする日本の大手電機メーカーは、国内に築かれた、ある二つの巨大な『ファミリー』に所属することで、これまで計り知れぬほどの恩恵を受けてきました。そしてそのファミリーというシステムそのものが、結果的に総合電機を衰退させる大きな原因にもなりました。その構造を知らずに、昨今の総合電機の凋落を真に理解することは難しいんです」
日本の電機メーカーが属していた二つの「ファミリー」とは何か。そのファミリーがなぜ、電機メーカーを育て、そして衰退させる原因になったのか――本書の序章はその「謎解き」「種明かし」。ファミリーの正体について大胆に迫っていきます。

続く第1章~第8章では、日本を代表する大手電機メーカー8社を詳細に分析し、日本の電機が負け続けた「本当の原因」「失敗の本質」に迫っています。目次を一部抜粋してみます。
東芝・・・      待ち受ける”廃炉会社”への道
NEC・・・      通信自由化時代30年を無策で過ごした
シャープ・・・    台湾・ホンハイ傘下で再浮上
ソニー・・・     脱エレクトロニクスで見えてきた光明
パナソニック・・・ 「車載電池」「住宅」の次に目指すもの
日立製作所・・・ 「技術の日立」を過信し、消費者を軽んじた
三菱電機・・・   実は構造改革の優等生?
富士通・・・    進取の気性を失い、既得権にしがみつく

表現に最新の注意を払いつつも、本書では「次に危ないのはどこ?」「生き残る会社は?」といった点にも触れています。大西氏の言葉を借りるならば、そのヒントは「適者生存」「恐竜は滅ぶ。生き残るのは哺乳類」といったあたりにありそうです。(HA)

【内容紹介】
 巨大な負債を抱え、会社解体の危機に喘ぐ東芝――かつて日本企業を代表する存在だった総合電機が軒並み苦境に陥っている。東芝・ソニー・日立ほか大手8社の歴史や経営を詳細に分析することで日本の総合電機がはまった巨大な陥穽を描く。名著『失敗の本質』総合電機版とも言える1冊。


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