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2024年11月30日土曜日

【おすすめ度●】川上泰徳『ハマスの実像』集英社新書, 2024年

題名の通り、パレスチナの武装抵抗組織ハマスの結成からの歴史、政治戦略と軍事活動についての(著者が知る範囲での)実像を概説する本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
2023年10月、ハマスがイスラエルに対し大規模な攻撃を仕掛け、世界は驚愕した。
しかし日本ではハマスについてほとんど知られておらず、単なるテロ組織と誤解している人も多い。
ガザの市民の多数が支持するこの組織は一体どんなものなのか。
何を主張し、何をしようとしているのか。
そしてパレスチナとイスラエルの今後はどうなるのか。
中東ジャーナリストの著者が豊富な取材から明らかにする。

●社会に根を張るハマスの「慈善組織」
●軍事部門を支える豊富な資金の意外な出所
●精神的指導者ヤシーンが著者に語った「自爆攻撃」
●政治部門と軍事部門が分かれている理由
●若者をハマスに向かわせる占領の絶望的状況
●ハマスが望むイスラエルとの「共存の形」 etc.


2024年11月24日日曜日

【おすすめ度◎】ダリア・リスウィック『レイディ・ジャスティス 自由と平等のために闘うアメリカの女性法律家たち』勁草書房, 2024年

アメリカの女性法律家たちの「闘い」を紹介している(著者もジャーナリストだが弁護士資格を持っている)。とりわけトランプ政権下でこれまで女性たちが勝ち取ってきた平等が交代させられており、どうやってそれをくい止めるのかという切実な問題意識で書かれている。取り上げられているのは、移民、妊娠中絶の自由、シャーロッツヴィル極右暴動(著者はシャーロッツヴィル在住)、コジンスキー裁判官の性暴力事件(著者も被害者の一人、なお現在、最高裁裁判官になっているブレット・カバノーはコジンスキーの助手(調査官)だった)など、右派(保守派)と左派(進歩派)の意見が対立しているテーマ。もちろん著者は進歩派に属する。
 アメリカでは裁判所が大きな政治的な権限を持っており、そのため弁護士の政治力は大きい。実際に弁護士から政治家になる人も多い(例えばビル&ヒラリー・クリントン夫妻、オバマ元大統領、カマラ・ハリス副大統領など)。著者のように、弁護士資格を持ちながらジャーナリズムやビジネスの世界で活躍する人も多い。そういうアメリカにおいて裁判所が果たしている機能の重要性や、今のアメリカで何が問題になっているのかを知るのにも有用な本。
 ただし環境問題には全く言及されていない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
女性+法=変革! 法を公平、平等、尊厳を得るための力に変えてきた女性法律家たちの闘いを描くエンパワリング・ノンフィクション。(※吉田注:実際にはこの本は女性法律家へのインタビューとその分析を主な内容とする「ルポルタージュ」であって、小説の1ジャンルである「ノンフィクション」ではない)
 人種差別、人工妊娠中絶の阻害、投票権の制限、性暴力……トランプ政権時代の暴政に抗して自由と平等を守るべく即座に立ち上がったのは、多くの女性法律家たちだった。女性やマイノリティができることや望めることを常に規定してきた法。その法を権利獲得のための武器に変えてきたアメリカの女性法律家たちの歴史と現在の闘いを描く。

推薦のことば

女性やマイノリティの尊厳と平等のためにたたかってきたアメリカの女性法律家たち。
彼女たちが切り拓いた道の先で、それでも時として私たちは、なにも変わっていないと打ちのめされ、たたかいを続けている。
声をあげる女性たちと、ともにたたかう法律家、そしてそれを支える市民。
法によって社会を前進させようとするすべての人に、レイディ・ジャスティスの物語が勇気を与えてくれる。
――亀石倫子(弁護士、「LEDGE」代表)

アメリカ社会の変革を求めて果敢に挑戦した女性ロイヤーたちの姿に、目を見張りました。「女性に法を足すと魔法の力が生まれる」という著者の言葉に勇気づけられる、感動の一冊です。
――髙部眞規子(元裁判官・弁護士)

これはアメリカの話だが、日本の話でもある。日本もアメリカも、女性やマイノリティの平等からはほど遠い点では同じ。本書で描かれるのはアメリカで女性法律家たちが闘っている物語だが、日本でも世に知られざる多くの女性法律家たちが古い制度に挑戦し、社会を変えてきた。そんな先人たちに憧れた私は、法と制度を変えることをミッションとする弁護士になった。『レイディ・ジャスティス』は、よりよい未来の実現を望む若い人たちや、法の力を信じて弁護士を目指している人たちへのインスピレーションになるだろう。
――土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

「法は男の領域」。そんな時代にもレイディ・ジャスティスたちは見抜いていた。法は女性に変革の力を与えること。女性たちが連帯すればいかに偉大な変革が成し遂げられるかを。「最強」と呼ばれた女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの死。揺らぐ中絶の権利。トランプ再選の可能性――バックラッシュに立ち向かうための勇気と戦略がここに詰まっている。
――三牧聖子(同志社大学大学院准教授)

『レイディ・ジャスティス』は、人が最高の状態や最悪の状態にあったときの、そしてその人たちがこの五年間でアメリカ合衆国をどのようにかたち作ってきたかについての、心をつかみ、感動させ、わくわくさせる物語である。ダリア・リスウィックほど、深い知識とすぐれた報道、それに鋭いウィットを織り交ぜながら、法についての文章を生き生きとしたものにできる人はいない。本書は、トランプ時代の嵐の中で人権や真実のために立ち上がった勇気ある女性ロイヤーたちについての作品である。そこに書かれている歴史も重要だが、本書は非常におもしろく、迫真力をもって書かれた、あの時代を駆け抜けるような一冊でもある。
――レベッカ・ソルニット(文筆家)



2024年11月21日木曜日

【おすすめ度☆】朝倉輝一 編著『なぜ生命倫理なのか 生と死をめぐる現代社会の見取図』大学教育出版, 2024年

具体的なトピックに基づいた生命倫理の教科書。 取り上げられているトピック:生殖補助医療技術 人工妊娠中絶と赤ちゃんポスト 先端医療 脳死と臓器移植 安楽死と尊厳死 人生の最終段階 医の倫理から生命倫理へ 医療と正義 自己決定権と合意形成 生命倫理と環境倫理 優生思想 反出生主義など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
生殖補助医療技術、妊娠中絶、脳死と臓器移植、安楽死・尊厳死等から環境倫理、優生思想、反出生主義まで、我々の身近にある「いのち」の問題として当事者の声をひろいながら初学者にもわかりやすく説明した生命倫理の入門書。


2024年11月10日日曜日

【おすすめ度○】赤川彰彦『地方創生×SDGs×ESG投資』学陽書房, 2020年

コンサル炭との立場から、「地方創生」関係の補助金や、ESG投資を利用した地域振興手法を多数例示する。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
これからのまちづくりに欠かせない注目のテーマが1冊でわかり、実践できる!
地方創生は第2期に入っており、最新動向がわかる。
地方創生、SDGsの推進を所管する内閣府の委員が解説。
環境や観光、健康産業などの市場規模を検討し、実践事例の中から各地域に見合った実戦可能な産業の選択と地域の活力維持のための施策の策定に活用できる解説書



【おすすめ度☆】今道琢也『落とされない小論文 増補改訂版』ダイヤモンド社, 2024年

「出題された課題に答える」「具体的な言葉で書く」「資料を正しく扱う」など、レポート・小論文を書くときに守るべきルールがまとめられている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
10万部突破「最も売れた小論文の本」を増補改訂し、圧倒的な1冊へ。
元NHKアナウンサーの人気講師が、5000本の「失敗答案」から統計的に導いた「全試験共通の減点基準」を初公開!
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2024年11月2日土曜日

【おすすめ度●】布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』講談社現代新書, 2024年

自衛隊と米軍(アメリカ軍)の一体化がどこまで進んでいるかを明らかにする本。ただしこの本に書かれているのは南西諸島(沖縄)で進んでいる対中国の日米軍事一体化に限定されており、アフリカにあるジブチ自衛隊基地などのグローバルな日米軍事一体化については書かれていない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「安全保障を専門とするジャーナリストとして20年以上活動してきた中で、今ほど戦争の危機を感じる時はありません。」

日本がいつの間にか米国のミサイル基地になっていた……政府の巧妙な「ウソ」を気鋭のジャーナリストが見破る!現代人必読の安全保障論。

「いま、人知れず大変な事態が進行している。米軍が日本全土に対中戦争を想定した、核を搭載可能なミサイルを配備しようとしているのだ! しかも今後、日米の軍事一体化が「核共有」まで進めば、米軍は密約により、その核ミサイルを自衛隊に発射させることも可能になる。この未曾有の難局に、私たち日本人はいったいどう対処すればよいのか? 第一人者布施祐仁による驚愕のレポートと提言に、ぜひ耳を傾けてほしい」
――矢部宏治氏(『知ってはいけない』)

「布施祐仁は、戦後日本の対米従属の戦慄すべき帰結を容赦なく暴き出している。世界の火薬庫と化しつつある東アジアで、我々は戦争屋のお先棒担ぎになるのか、それとも平和の架け橋となるのか、決断の時はいまである」
――白井聡氏(『永続敗戦論』)

● 「台湾有事」をシミュレーション 日本への影響は?
● 日本にミサイルが配備される可能性
● 自衛隊が「米軍の一部」に…「非対称」な軍事関係
● 広がる米中間の溝 核軍拡競争の時代に逆戻りか
● 政府による巧妙な嘘…「核持ち込み密約」の真実
● 「日本有事」を防ぐために――日本がとるべきミサイル・核政策とは?

「戦後安全保障政策の大転換」
その正体は、終わりなき軍備拡張と米国への従属だった――
現代を「新しい戦前」にしないために

【目次】
はじめに
第1章 南西の壁
第2章 中距離ミサイルがもたらす危機
第3章 米軍指揮下に組み込まれる自衛隊
第4章 日本に核が配備される可能性
第5章 日米同盟と核の歴史
第6章 米中避戦の道
おわりに
主要参考文献