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2025年9月12日金曜日

【おすすめ度○】永井孝志,村上道夫,小野恭子,岸本充生『世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか』講談社ブルーバックス, 2025年

レギュラトリーサイエンスの立場から基準値について論じる良書。取り上げられているテーマは、トランスジェンダー女性の女性スポーツ参加問題、新型コロナと基準値、福島原発事故の汚染水放出、原発の安全基準、治水の安全基準、がん検診のメリットとデメリット、PFASの基準値、新しい「食の」基準値、AIと個人情報など。
 全体としては良書なのだが、福島原発事故の汚染水放出を扱った章は、「希釈して放流していいのか」という問題が無視されており(希釈して放出するのが許されるのなら、そもそも排出基準を定める意味がなくなる)、また「希釈」に使われる海水が汚染されているという問題も無視されていたりするなど問題が多い。この章が無かったらおすすめ度◎にしたのだけど。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界はいま、すべての境目が混沌としている。オリンピックではトランスジェンダーの選手が活躍し、大人になる年齢は18歳か20歳か曖昧になり、AIが書いた文章は人間のそれと見分けがつかなくなった。一方、コロナ禍にできた「新ルール」は迷走し、PFASが「新たな脅威」とされ、「新規」の食品や「新手」のハラスメントも次々に現れ、新しいリスクとなっている。こんなときこそ、われわれには「基準値」が必要だ。しかし誰にも公平な基準値をつくるのは難しい。2014年刊行『基準値のからくり』が大好評を博した4人の基準値オタクが、今度は世界規模で基準値の驚きのからくりを解き明かす。ようこそ、目くるめく基準値の迷宮へ!

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