原子力発電所で使用された核燃料(使用済み核燃料)を「再処理」して、再び原子力発電所の燃料にすることを「核燃料サイクル」という。現実には、核燃料サイクルには莫大な経費が掛かり、使用済み核燃料を「再処理」して作られた核燃料は、通常の核燃料よりはるかに効果になる。そもそも、青森県で建設中の再処理工場は、建設開始から30年以上の時間と2兆円以上の費用を投じたにもかかわらず、トラブル続きでいまだにまともに運転できていない。それ以外にも核燃料サイクルの問題点は多数あるが、本書はこのような核燃料サイクル事業とプルトニウム利用の問題点を丁寧に紹介する良書である。
この本は福島原発事故以前の本であるが、その時点で既にプルトニウム利用は破綻していたとしか言いようがないことを明らかにしている。
原子力資料情報室の本照会ページ
日本のエネルギー政策は、依然として原子力を中心としています。そして、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で燃料として使用することを模索しています。本書は多くの科学者が疑問を投げかけている「核燃料サイクルシステム」が、すでに破綻し、いかに危険で壮大なムダであるかを、詳細なデータと科学的根拠に基づいて分析しています。そのうえで、このシステムを無理に動かそうとする政府に対して、政策の転換を提言しています。ぜひお読みください。
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