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2023年6月26日月曜日

【おすすめ度○】村上信一郎『ベルルスコーニの時代』岩波新書, 2018年

最近(2023年6月12日)に亡くなったシルヴィオ・ベルルスコーニ イタリア元首相を通じて、腐敗して混迷するイタリア政治を描いている。犯罪組織マフィア(およびカモッラなど類似の組織)が巨大な影響力を持つ一方で、冷戦終結後に左派勢力が混迷し、「オリーブの木」のロマーノ・プロディ氏や、「ひょうたんから駒」的に共産党員だったマッシモ・ダレーマ氏が首相になってもその機会を全く生かせなかった。そもそもベルルスコーニが政界に進出したのも、社会党のベッティーノ・クラクシ首相と「親密」な関係があったからだが、後にクラクシは汚職を追及されてイタリア国外に逃亡し、そのまま国外で死去する。クラクシ以外にも多くの政治家が汚職やマフィアとのつながりを追及されて「権力の空白」が生じたところにベルルスコーニが機会を得た(ベルルスコーニ自身も腐敗政治家であり、マフィアとの関係もあったにもかかわらず)。犯罪組織マフィアとの関係を絶たなければ政治がまともになるわけがないが、いったん社会にマフィアが深く入り込んでしまうと、マフィアとの関係を断つことが極めて難しくなる。
 またこの本で驚いたのは、イタリアでも1993年の選挙制度改革で小選挙区・比例代表並立制が導入されていること。日本・ロシアでもほぼ同じ時期に小選挙区・比例代表並立制が導入されているが、イタリア・日本・ロシアという(率直にいえば)民主主義の劣等生たちがほぼ同時にこの選挙制度を導入したのは偶然なのだろうか。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
大衆的な人気に支えられ,マフィアと癒着し,メディアを買収する……民主主義の復興を模索するイタリアに,新たな腐敗の構図を生み出したシルヴィオ・ベルルスコーニ.彼はトランプにも先駆けたポピュリスト政治家だったのか.現在にも至る政治的迷走をもたらしたスキャンダラスな政治家の実像に迫る.




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