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2023年8月2日水曜日

【おすすめ度○】太田昌克『日本はなぜ核を手放せないのか』岩波書店, 2015年

なぜ、福島原発事故を経ても日本が核(原子力発電を含む)を手放せないのか。その理由を、取材と資料に基づいて考察している。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
広島・長崎から福島.被爆と被ばくを経験した日本で,いまだ核武装の幻影を追う日米支配層の真相を問う。
広島・長崎の原爆投下から70年.日本は核保有とは決別し,「平和利用」に徹したはずだった.しかし,311の原発事故を受け,その虚構性が明らかになる.一方,核や原子力をめぐる日米支配層の危険な思惑が,新資料や新証言によって如実になる.「非核」を妨げているものは何か.過去5年におよぶ取材と調査が語る歴史の真相.

■編集部からのメッセージ
 311の東京電力福島第一原発の事故については,廃炉は決まったもののいまだに事故の原因がはっきりせず,溶け落ちた核燃料もどこにあるのかわかっていない.そして何より,事故から5年になろうとしている現在も,なお10万人におよぶ人々が自宅を追われ,避難を余儀なくされている.
 にもかかわらず,鹿児島にある九州電力の川内原発は再稼働に踏み切った.なぜか.なぜそこまで急ぐのか.
 電力の安定供給だとか,日本のエネルギー政策の一環としてというのは本当だろうか.それが,表向きの言葉でしかないことが本書に収録されている数々の証言から明らかになるだろう.
 そもそも使用済みの核燃料の処分が決まっていないで,事業が進むということは本来ありえない話だ.建造物から出るゴミや産業廃棄物・汚物の最終処理が何も決まらずに事業が進行するという,通常ではありえない話に加えて,その未処理の影響が何万年にもわたり,その被害の規模も,掛かる費用の規模もすべて推測の域を出ないというのが実態だ.そんなあってはならない原発事業に,そこまでの前のめりになるのは,何らかの理由があってのことにちがいない.
 じつは,原発と核兵器はどちらも原子力エネルギーの産物.その言葉を微妙に使い分け,前者は「平和利用」,後者は「戦争利用」というイメージ作りに邁進してきたのが,戦後の日米支配層の歩みだ.その真相を知ることから,「我々の一歩」が踏み出される.
 著者は福島原発の事故後,すぐにこの問題に取り組み,ほぼ5年におよぶ関係者への取材や調査から,核や原子力をめぐって日米支配層の隠された思惑を浮かび上がらせてきた.教科書には書かれていない誰もが知るべき現代史でもある.


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