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2023年11月20日月曜日

【おすすめ度○】田中修三『米軍基地と環境汚染』五月書房新社, 2022年

沖縄における米軍基地による環境問題を概説的に述べた本。良書なのになぜか都内の区市町村立図書館でほとんど所蔵されていない。 内容:ベトナム戦争と環境汚染 在日米軍基地の仕組み 在日米軍基地に係る環境汚染 普天間基地の辺野古移設に係る環境問題 在日米軍基地の環境管理 米軍基地の環境管理の国際比較など

版元ドットコムより紹介を引用
日本人の知らないもう一つの真実
基地だけではなく、環境も犠牲に。沖縄の歴史と真実を直視せよ!
◉ベトナム戦争での枯葉作戦に使用された「エージェント・オレンジ」はその原料が、わが国で製造されていた疑いがあり、また沖縄のやんばるの森や米軍基地で実際に使用されていた。その歴史的事実を殆どの日本人は知らない。いや善良なるアメリカ人達も知らない。
◉そして、この「エージェント・オレンジ」が米国からベトナムへの往路も帰路も、沖縄を経由し、沖縄の環境を汚染した。あろうことか沖縄の人々の健康をも損なうリスクがあったのだ。
◉しかし米国は公式見解としてその事実を認めておらず、日本政府もそれを受け入れている。また、米国はベトナムの人々の枯葉剤による健康被害も認めず、一方で米兵の健康被害は認めている。

版元から一言
本書は米軍基地がもたらす環境汚染の本質に迫る。著者は冒頭「ベトナム戦争と環境汚染」で、枯葉作戦に使用されたエージェント・オレンジ(枯れ葉剤)による環境汚染・健康被害から語り始める。このエージェント・オレンジが米国からベトナムへの搬送する際、往路も帰路も沖縄を経由し環境を汚染した。さらに沖縄の人々の健康を損なったことを明らかにする。しかし米国はその事実を認めようとしない。沖縄に駐留した米兵の健康被害は認めているのに。
ここにこそ、米軍基地がもたらす環境汚染の最大の問題があり、それは半世紀を経た今日も変わっていない。沖縄県民45万人が飲んでいる北谷浄水場の水が有機フッ素化合物で汚染していることが判明したのは2016年だった。汚染源は嘉手納基地以外には考えられず、沖縄県企業局が嘉手納基地への立入調査を求めてきたが、今日に至るまで調査は実現していない。さらに「諸外国における米軍基地の環境管理」と日本におけるそれとの対比は、必読の箇所だ。
桜井 国俊(沖縄大学名誉教授・元学長)の推薦文より抜粋

【おすすめ度○】岡本亮輔『創造論者 vs. 無神論者』講談社選書メチエ, 2023年

アメリカにおける宗教(創造論)と進化論の対立の歴史。デイトン裁判、トピカ公聴会、ドーキンスの反宗教活動など興味深い話題が書かれている。
 ただし、この本には問題点もある。いわゆる「筆が滑った」のだろうけど、オウム真理教を「仏教原理主義」というのは妥当ではないと思われる。その一方で、第2次世界大戦敗戦まで日本で猛威を振るい、今でも隠然・公然の影響力を持っている国家神道について何も述べられていないのは大きな問題点であろう。日本において、科学に対する悪影響という点では、キリスト教よりも国家神道の方が深刻である。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
宗教と科学の長い戦争、なかでも、それぞれの陣営の最も過激な人々である創造論者と無神論者の戦いは、21世紀に入ってますます過熱している。それは、抽象的・理論的な戦いではなく、教育・医療・福祉・行政といった現実をめぐる戦いでもある。本書は、おもに欧米で激しく展開する両者の戦いに密着し、信念をぶつけ合う人間たちのドラマを描き出す。
サッカーの神様・マラドーナを祀る「マラドーナ教会」、『スター・ウォーズ』に感化され、宇宙の平和と正義のために戦う「ジェダイ教」、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」なる異様な創造主を崇める「スパモン教」。乱立するこうした「パロディ宗教」は、近年台頭する創造論への反抗であり、「そもそも宗教とは何か」という根本的な問いかけである。
100年前のテネシー州で、進化論教育の是非をネタに企画された「町おこしのための茶番」が、文字通りの死闘となった「猿裁判」。2005年のカンザス州で開かれた公聴会では、20名以上の科学者・知識人が進化論を否定し、公教育に創造論を組み込むように訴える。そして、「穏健な信仰者」も敵とみなす「新無神論者」の登場で戦場は拡大し、戦いは激化する。
ヒトゲノム解読に成功したコリンズ博士の信仰と友情、新無神論を代表するドーキンスが到達した意外な宗教観、さらに、これから展開する戦いの見通しは――。



【おすすめ度◎】渡辺治 編『高度成長と企業社会』吉川弘文館, 2004年

「企業社会」という視点から日本の高度経済成長期を分析する良書。高度成長期とはどういう時代だったのか掘り下げて考えたいときには、この本を最初に読むのがいいと思う。 内容:企業主義的統合と労働運動(木下武男) 企業社会の成立と教育の競争構造(西本勝美) 日本型社会保障の構造(後藤道夫) 革新自治体(進藤兵) 日米安保体制と沖縄(新崎盛暉)

出版社ウェブサイトより紹介を引用
60年安保を契機に、自民党政治は大きく転換し、経済成長と利益誘導に専念する経済優先の政治が始まった。この時代、社会の側でも働き方、教育や福祉のあり方など、現代になじみの構造が形成された。企業社会に焦点をあて、労使関係の変貌、教育の競争構造、そして革新自治体の登場、沖縄の祖国復帰の明暗などを取り上げ、高度成長時代を読み解く



2023年11月10日金曜日

【おすすめ度☆】長田華子・金井郁・古沢希代子 編著『フェミニスト経済学』有斐閣, 2023年

まず、現在の経済学の主流である新古典派経済学の基本的前提である「合理的経済人」に関わる以下の3つの仮定に対して、根本的な点から批判を加えている。
(1)効用が個人的なものであって(他者とは無関係なものであって)効用の個人間比較を否定する仮定、
(2)人間の選好が経済にとって外的な要素であり不変であるという仮定、
(3)「合理的経済人」が利己的にのみ行動するという仮定。
新古典派経済学を批判した上で、それに代わるフェミニスト経済学を提示している。内容:フェミニスト経済学への招待 アンペイドワーク 世帯 生活時間 ジェンダー統計 労働市場(ペイドワークと格差) マクロ経済 ジェンダー予算 福祉国家 金融 資本・労働力移動(グローバル経済の特質としての女性化) 貿易自由化 ジェンダーと開発 環境・災害

出版社ウェブサイトから紹介を引用
フェミニズムの視点から,すべての人のウェルビーイングの実現をめざす。
日本ではじめてのフェミニスト経済学のテキスト!