山本忠通氏は元国連アフガニスタン支援ミッション代表、内藤正典氏はトルコを中心とするイスラム圏の研究者。どちらも主流とは言えない立場の人だが、興味深い対談なので、国際政治、イスラム圏、開発援助などに関心がある人は読んでみるとよい。
ただし、「挑戦される国際秩序」というこの本の副題は内容を適切に反映していない。この本のいいたいことはむしろ逆で、アフガニスタンのタリバンは「国際秩序」に「挑戦」しているのではない、と著者たちは考えている。
また、この本の問題点として、内藤氏の東アジアに関する見解はおかしいといわざるを得ない。おそらく、東アジア地域(中国、韓国、北朝鮮)では現地調査をした経験がなく、日本の新聞やテレビだけを見て思い込みで発言しているのだろう。
出版社ウェブサイトから紹介を引用
ー国連事務総長前特別代表と中東学者の対話ー
タリバンはなぜ復権したのか?
タリバンの勝利、ウクライナ戦争という冷戦後秩序のゆらぎに迫る
2021年8月、アフガニスタンの首都カブールはタリバンに制圧された。
9・11事件に端を発する2001年のアメリカを中心とする多国籍軍の侵攻でタリバンが政権を追われ20年。
国連、欧米の支援下、自由と民主主義を掲げた共和国政府はなぜ支持を得られず、イスラーム主義勢力が政権奪回できたのか?
アフガニスタン情勢のみならず、ロシアのウクライナ侵攻など、国際秩序への挑戦が相次ぐ中、国連事務総長特別代表を務め、国連アフガニスタン支援ミッションを率いて諸勢力と交渉をしてきた山本氏と中東学者が問題の深層と教訓、日本のあるべき外交姿勢を語る。
揺らぐ世界情勢を読み解くための必読書。
◆推薦◆
「山本忠通、内藤正典両氏はアフガニスタン研究の双璧。
一人は国連における権威、もう一人は国内学会の第一人者。
この二人のタリバンの本質、I.S.やアルカイダとの関係などに肉薄する追及は、読者の興味を引かないはずはない」
明石康氏(元国連事務次長)
「国際社会がおのれと立場を異にする人々の言葉に耳を傾け、そこに”一理ある”ことを受け入れない限り、イスラームをめぐる問題は絶対に解決しない」
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