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2024年12月21日土曜日

【おすすめ度◎】アンドリュー・リー『RCT大全 ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか』みすず書房, 2020年

科学研究の基本的方法であるランダム化比較試験(RCT)が、医学・社会科学(特に犯罪防止と途上国の開発政策)・ビジネスの分野などでどのような意義をもち、今までどのような成果を挙げてきたのかを明らかにする。以前は「常識」と思われていたにもかかわらず、RCTによって事実ではないことが明らかになった事例が多く紹介される。本書では、何か1つの政策で社会問題を簡単に解決できるという発想が批判される。社会問題は複雑なものであり、問題啓活に有効な政策を探しながら、知恵を絞りながら少しずつ解決していくしかない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
耳寄りの話が満載。
神話を覆し、隠れた真実を明らかにすることに興味があるなら、ぜったい欠かせない必読書だ。
——スティーヴン・D・レヴィット(シカゴ大学教授 『ヤバい経済学』)

次世代の政策担当者が本書にしたがえば、世界は文字どおり変わるだろう。
——デイヴィッド・ハルパーン(イギリス政府「ナッジ・ユニット」長)

本書の主題はこのうえなく重要だ——私たちは自分が誤りうるということを認められるほど謙虚なのか? そして学ぶことに十分注意を払っているか?…万人が読むべき本だ。
——ティム・ハーフォード(『フィナンシャル・タイムズ』紙シニア・コラムニスト)

▶ 10代の少女に赤ちゃん人形を与えて育児を体験させると、早すぎる妊娠を防げる?
▶ 素行の悪い青少年を、刑務所の極悪犯と対面させると矯正できる?
▶ 貧困地域からの引っ越しを補助すれば、家族の経済状況は改善する?
▶ 不況下で職探しのヒントが詰まった冊子を配布すると就業者は増える?
▶ X線検査で背中の痛みを調べられる?
▶ 『セサミ・ストリート』の1話で教えるのは何文字がいい?
▶ マイクロクレジットは貧困世帯の所得を上げる?
▶ デパートの営業時間を短縮すると利益は増える?

被験者を2つのグループにランダムに割り当て、介入の効果を測定するランダム化比較試験(RCT)。この決定的手法は、これらの疑問にどう答えてきたのか?
壊血病の昔から、最先端のウェブビジネスまで、医療、教育、経済、産業といったあらゆる分野でエビデンス革命を起こしつつあるRCTを網羅的に紹介。巻末には「実施の10の掟」を収載する。


2024年12月18日水曜日

【おすすめ度○】ポール・A・オフィット『疫禍動乱』日経ナショナルジオグラフィック, 2024年

著者は著名なワクチン研究者。反ワクチン運動など、反科学的な運動がアメリカの新型コロナ対策を混乱させていることを分析している。世界最高の先進国であるはずのアメリカにおいて反ワクチン運動のような反科学運動がまん延しているのには驚かされる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界トップクラスのワクチン学者が語る、Covid-19の陰謀・真実・未来
 あのときに感じていた違和感、モヤモヤ。今なお残る疑念。4年間にわたる一連の出来事は、結局、何だったのか。
 世界トップクラスのワクチン学者、そしてパンデミック対策の中枢にいた著者が、混乱の裏で起きていた出来事の真相を徹底的に調べ上げ、しこりのように残っていたモヤモヤを解消し、パンデミックを総括する。
 FDAワクチン諮問委員会のメンバーとして、またCDCの予防接種実施諮問委員会の元メンバーとして、オフィットは何億人もの人々に影響を与える政策の立案に立ち会ってきた。本書では、私たちがかつて何に惑わされ、今どこにいるのか、そしてこの病気との終わらない戦いの中でどこへ向かおうとしているのかを、最前線に立つ者の視点から語る。
 本書には今後、感染症と付き合っていくために知っておくべきことがすべて含まれている。現実的な分析と賢明なアドバイスに満ちた本書は、新たな常態に対する新たな解決策を見出すことに関心のあるすべての人のための一冊である。


2024年12月15日日曜日

【おすすめ度●】松下冽・藤田憲 編著『グローバル・サウスとは何か』ミネルヴァ書房, 2016年

「グローバルサウス」をめぐる教科書と論文集の中間的な本。扱われている論題は、伝統的なマルクス経済学と世界システム論、いわゆる従属論の発展、グローバルサウスと地球環境問題 グローバル化に抗する市民運動、金融危機とグローバルサウス、アメリカの戦争と平和、アジア太平洋地域の安全保障(グアムなど「南洋諸島」の米軍基地問題)など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
新自由主義、紛争、移民、グローバリゼーション…変容する世界秩序の行方と、新たな構想を探る。
グローバル化と、それに連動した新自由主義は、21世紀の世界秩序を劇的に転換してきた。この激変が生み出してきた複合的なインパクトはいかなるものか。本書では、世界秩序をめぐるヘゲモニーの変容とそれが及ぼすグローバル・サウスの社会・経済構造の変容過程と現実、そしてグローバル・サウスの諸地域が抱える21世紀型の諸課題を踏まえ、新たなグローバル、リージョナルなガヴァナンス構築に向けた構想を展望する。
[ここがポイント]
◎ いま、「南」の世界では何が起こっているのか。
◎ 「第三世界」に代わる概念「グローバル・サウス」の全容が分かる。


【おすすめ度○】深尾幸生『EVのリアル 先進地欧州が示す日本の近未来』日本経済新聞出版, 2022年

EU・中国でのEV(電気自動車)開発・普及の現状 EV先進国ノルウェーのルポルタージュなど。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
EV先進国の欧州で見た、周回遅れの日本に突き付けられた現実。日米欧そして中国の各プレイヤーが繰り広げる熾烈な競争を活写する。
このスピードに、日本は追いつけるか?EV先進地の欧州で見た、日本に突き付けられた現実。日米欧そして中国の各プレーヤーが繰り広げる熾烈な競争を活写する。

2024年12月8日日曜日

【おすすめ度●】内海麻利・日本都市センター 編著 『水害多発時代の流域治水 自治体における組織・法制・条例・土地利用・合意形成』第一法規, 2024年

増加する水害に対して、自治体はどういう取り組みが可能なのかを総合的に検討した本。流域治水条例やまちづくり的手法(土地利用規制など)等を取り上げている。取り上げられている内容は、必ずしも狭い意味での「流域治水」に限定されていない。自治体の組織についても説明されているところは珍しいのでは。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
流域治水の考え方からその原理を踏まえた方策・検討事項がつかめる!
自治体が、治水から流域治水への水害対策の変化に対応した施策の立案、実施ができるよう、自然機能の活用や自然と人の生活との共生を目指した環境づくりに基づく政策立案の進め方、地域住民との合意形成、組織・人員体制の考え方等、先行事例を交えて解説。

本書の特徴
・気候変動時代の治水について、事象・主体・法制の変化を踏まえ、流域治水の原理を押さえた上で、政策立案に向けた考え方や方策、検討すべき内容を解説。自治体担当職員は検討内容や業務の流れをつかむことができ、地域に応じた政策立案に着手することができる。
・具体的に対応する組織・人員体制をどのようにするか、条例整備や土地利用計画、防災・減災政策に必要な検討事項(市街化区域を中心とした都市部と、市街化調整区域を中心とした農村部)がつかめる。
・政策立案の考え方から具体的な検討事項までを踏まえ、そのために必要な合意形成・協働とコミュニティについても理解できる書。
・治水について事象・主体・法制の変化を踏まえ、流域治水の原理を押さえた上で、政策立案に向けた考え方や方策、検討すべき内容を解説。