科学研究の基本的方法であるランダム化比較試験(RCT)が、医学・社会科学(特に犯罪防止と途上国の開発政策)・ビジネスの分野などでどのような意義をもち、今までどのような成果を挙げてきたのかを明らかにする。以前は「常識」と思われていたにもかかわらず、RCTによって事実ではないことが明らかになった事例が多く紹介される。本書では、何か1つの政策で社会問題を簡単に解決できるという発想が批判される。社会問題は複雑なものであり、問題啓活に有効な政策を探しながら、知恵を絞りながら少しずつ解決していくしかない。
本のおすすめを中心にして、学生のみなさんに役立ちそうな情報を書きます。※このブログで紹介している本はいずれも良書ですが、ここで紹介していない良書もたくさんありますので、これから順次増やしていきます。 【おすすめ度】 ◎=特におすすめ ☆=初学者向けに良い本(教科書や入門書) ○=読む価値が高い本 ●=そのテーマに関心が高い人向け。専門性が高く一般向けではない本と、良書だけど内容が古くなっている本。
注目の投稿
【まとめ】このブログ全体のまとめです。
紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【おすすめ度◎】の本(特におすすめする本、このページの下の方に) 【おすすめ度☆】の本の一覧はこちら (教科書あるいは入門書的な本) 【おすすめ度○】の本の一覧はこちら (読むことをおすすめする本) 【おすすめ度●】の本の一覧はこちら (専...
2024年12月21日土曜日
【おすすめ度◎】アンドリュー・リー『RCT大全 ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか』みすず書房, 2020年
2024年12月18日水曜日
【おすすめ度○】ポール・A・オフィット『疫禍動乱』日経ナショナルジオグラフィック, 2024年
著者は著名なワクチン研究者。反ワクチン運動など、反科学的な運動がアメリカの新型コロナ対策を混乱させていることを分析している。世界最高の先進国であるはずのアメリカにおいて反ワクチン運動のような反科学運動がまん延しているのには驚かされる。
2024年12月15日日曜日
【おすすめ度●】松下冽・藤田憲 編著『グローバル・サウスとは何か』ミネルヴァ書房, 2016年
「グローバルサウス」をめぐる教科書と論文集の中間的な本。扱われている論題は、伝統的なマルクス経済学と世界システム論、いわゆる従属論の発展、グローバルサウスと地球環境問題 グローバル化に抗する市民運動、金融危機とグローバルサウス、アメリカの戦争と平和、アジア太平洋地域の安全保障(グアムなど「南洋諸島」の米軍基地問題)など。
【おすすめ度○】深尾幸生『EVのリアル 先進地欧州が示す日本の近未来』日本経済新聞出版, 2022年
EU・中国でのEV(電気自動車)開発・普及の現状 EV先進国ノルウェーのルポルタージュなど。
2024年12月8日日曜日
【おすすめ度●】内海麻利・日本都市センター 編著 『水害多発時代の流域治水 自治体における組織・法制・条例・土地利用・合意形成』第一法規, 2024年
増加する水害に対して、自治体はどういう取り組みが可能なのかを総合的に検討した本。流域治水条例やまちづくり的手法(土地利用規制など)等を取り上げている。取り上げられている内容は、必ずしも狭い意味での「流域治水」に限定されていない。自治体の組織についても説明されているところは珍しいのでは。