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2025年7月21日月曜日

【おすすめ度○】石川明人『キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理』中公新書, 2016年

キリスト教は、有名な「もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。」(マタイ福音書5:39)のように、「愛と平和」を説く宗教である。しかしその一方で、キリスト教が各国で事実上の国教となると、各国の戦争を正当化し、戦争のために兵士たちを鼓舞する役割を果たすようになる。それどころかキリスト教そのものが戦争の原因になった(十字軍や宗教戦争)こともある。
 この本は、「なぜ建前上は『愛と平和の宗教』であるキリスト教が、実際には戦争を正当化したり戦争を煽ったりするのか」という難問に対して、その思想展開の歴史から考察する興味深い本。この本を読む限り、やはりキリスト(ナザレのイエス)自身は非暴力、反戦争であり、後の権力と結託した時代の神学者たちが戦争を正当化するための「理論」(というかこじつけや屁理屈)を編み出しているように見える。著者自身もキリスト教の信者だと自認しているが、開き直っているように見えるところもある。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか? 殺人や暴力は禁止されているのではなかったか? 本書では、聖書の記述や、アウグスティヌス、ルターなど著名な神学者たちの言葉を紹介しながら、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な矛盾を私たちに突きつけるであろう。

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