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紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【おすすめ度◎】の本(特におすすめする本、このページの下の方に) 【おすすめ度☆】の本の一覧はこちら (教科書あるいは入門書的な本) 【おすすめ度○】の本の一覧はこちら (読むことをおすすめする本) 【おすすめ度●】の本の一覧はこちら (専...

2024年7月31日水曜日

【おすすめ度○】セバスティアン・アビス『小麦の地政学』原書房, 2023年

戦略物資としての小麦の分析 主要内容:小麦の生産、消費、貿易 小麦の主要な生産地(北米、ヨーロッパ、ウクライナ) 小麦需要の増加(南米、アジア、アフリカ) 気候変動の影響 小麦外交 フランスの小麦戦略

出版社ウェブサイトから紹介を引用
新型コロナやウクライナ戦争で明らかなように、小麦は世界の食料安全保障の要ともいえる。世界中で消費量が増え続けているうえに、輸出国は限られている。世界の主要生産国間の力関係、大量輸入に頼る国々の脆弱さを明らかにする。


【おすすめ度☆】津田敏秀『医学的根拠とは何か』岩波新書, 2013年

医学的「エビデンス」の考え方の入門書。医学における「エビデンス」を直感・メカニズム・データに分類して説明する。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
日本では医学的根拠の混乱が続いている.そのため多くの公害事件や薬害事件などで被害が拡大した.混乱の元は,自分の臨床経験を重視する直観派医師と,実験医学を重視するメカニズム派医師である.臨床経験の数量的分析(疫学)という世界的に確立した方法が,なぜ日本では広まらないのか.医学専門家のあり方を問う.


【おすすめ度●】ティム・マーシャル『宇宙地政学と覇権戦争』原書房, 2024年

宇宙での軍拡競争の現状に関するルポルタージュ風の本。ただし政治的立場はアメリカ中心に偏っている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界的ベストセラー『恐怖の地政学』ティム・マーシャル最新刊。米中ロを中心とした宇宙規模の対立構造とその行く末について、地政学と「宇宙地理学」をキーワードに、ロシア・ウクライナ戦争や中台問題などを踏まえ、わかりやすく紹介。

【おすすめ度○】ピーター・ロフタス『モデルナ 万年赤字企業が、世界を変えるまで』, 草思社, 2023年

モデルナの歴史、mRNAワクチンの開発のプロセス、ベンチャーキャピタルの投資、特許をはじめとする関連法制度、反ワクチン運動への対処など多角的に書かれている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
 破壊的イノベーションの全内幕!「窮地での臨機応変な意思決定」により、一介のベンチャーから世界的製薬企業へ成長したモデルナのビジネスマインドを徹底解明。


【おすすめ度◎】デイビッド・シュピーゲルハルター『統計学の極意』草思社, 2024年

統計学の基礎をできるだけ数式を使わないで説明した上で、統計学とAI、検定への批判と再現性の危機(研究不正と統計学)、ベイズ統計学など新しい話題も紹介する良書。ただし残念ながら統計学について教科書的な基礎知識がないと読むことは難しい(入門書ではない)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
数式は最小限、面白い実例は満載。機械学習やベイズ統計モデリング、ブートストラップ法など現代的論点を網羅。元英国統計学会会長による統計学入門書最新決定版。

2024年7月26日金曜日

【おすすめ度●】矢部武『世界大麻経済戦争 』集英社新書, 2021年

主にアメリカを中心にした大麻合法化と、大麻関連ビジネスの現状。面白い本だけど、題材が題材なのでおすすめ度は○でなく●にした。大麻の使用はおすすめしません!!

出版社ウェブサイトから紹介を引用
日本ではいまだに非合法薬物として厳しく禁止されている大麻。
しかし、世界は今、「合法大麻」をビジネスにつなげようという「グリーンラッシュ」に沸いている。
合法大麻とは、病気の治療に使用される「医療用」、ヘンプと呼ばれ、繊維・燃料・建築資材・食品など広範囲に使われる「産業用」、そして「嗜好用」の3つである。
アメリカでは各州でこの3つが解禁され、新たな産業が始まっているし、カナダはG7で最初に大麻を全面解禁し、ビジネス界をけん引している。
また、中国は産業用ヘンプでトップシェアを誇り、イスラエルは医療用の最先端を走っている。
さらに南米、欧州、アフリカ、アジア各国も、大麻を次々と解禁・合法化し、新ビジネスを開始しているのだ。
本書では、大麻の歴史と基礎知識を解説するとともに、各国別の具体的産業を紹介。
この流れに完全に乗り遅れた日本は、今後どうすべきなのか、その点も検証していく。


【おすすめ度○】読売新聞社会部取材班『ルポ 海外「臓器売買」の闇』新潮新書, 2024年

NPO法人「難病患者支援の会」による臓器売買事件のルポルタージュ。新聞記者の取材手法もよくわかる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
杜撰な移植手術。偽造パスポート。ドナーへのカネと臓器ブローカー。動き出した捜査機関。2023年度「新聞協会賞」を受賞した調査報道の全貌!
 「絶対に許せない。どんな団体なのか調べてほしい」。二千万円以上を支払った被害者の一人は、憤りをあらわにした。キルギスやベラルーシなど海外を舞台にした「臓器売買」疑惑。約十人の記者たちは地を這うような取材を重ね、事件の構図をあぶりだし、ついに疑惑のカギを握る人物を直撃――一面を飾ったスクープは、社会に大きな衝撃をもたらした。優れた報道に与えられる「新聞協会賞」を受賞した調査報道の全貌。

【おすすめ度●】塩浜克也・遠藤雅之『自治体の法規担当になったら読む本 改訂版』学陽書房, 2024年

自治体の主要な規定別に審査のポイントなどを解説している。自治体の立法技術や議会対策なども述べられており実務的。公務員志望者にはもちろん有益だけど、それ以外の人にとっても自治体の仕組みや働きを理解するのに有用な本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
例規審査を中心に、原課からの法律相談、訴訟対応など、必須の基礎知識と実務ノウハウを解説した、好評ロングセラーの改訂版。「改正方法の選択」「法律を理解するコツ」「法務の効果的な執行」等のトピックを追加し、内容をアップデート!

【おすすめ度●(公務員志望者向け)】黒沢重徳『自治体の企画政策担当になったら読む本』学陽書房, 2024年

自治体の中枢部である企画政策担当の実務をかなり踏み込んで解説している本。公務員への就職を希望している人はぜひ読んでおくとよい。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
政策形成や総合調整の中心を担う、自治体の枢要部門である「企画政策担当」の実務を解説する唯一の本! 心構え・仕事術から、総合調整、庁議の運営、横断的課題・特命事項への対応、行政評価、総合計画、住民参加までを詳解。



2024年7月22日月曜日

【おすすめ度☆】打越綾子『新版 日本の動物政策』ナカニシヤ出版, 2024年

愛玩動物(ペット)・野生動物・動物園動物・実験動物・畜産動物の諸観点から、動物に関する法制度を体系的に説明する良い教科書。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
人と動物の関係をめぐる様々な政策、法律、制度とその運用についてトータルに解説する決定版。動物を愛する全ての人々へ。



2024年7月6日土曜日

【おすすめ度○】内藤正典・三牧聖子『自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード』集英社新書, 2024年

イスラエルのガザ攻撃に対して、いつもは「人権尊重」を主張しつつ、イスラエルの人権侵害に対しては擁護する姿勢を見せる欧米諸国や「リベラル派」の「ダブルスタンダード」を追及する対談。対談本にありがちなことだが、同じような内容の繰り返しになっているところがあるけど、人によってはむしろ繰り返しがある方が読みやすいかも。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
中東、欧州移民社会研究の第一人者と新進気鋭のアメリカ政治学者が警告!
ガザのジェノサイドを黙殺するリベラルの欺瞞が世界のモラルを破壊する。

もう、殺すな!

◆内容◆
2023年10月7日、パレスチナ・ガザのイスラム主義勢力ハマスが、占領を強いるイスラエルに対して大規模な攻撃を行った。
イスラエルは直ちに反撃を開始。
しかし、その「自衛」の攻撃は一般市民を巻き込むジェノサイド(大量虐殺)となり、女性、子供を問わない数万の犠牲を生み出している。
「自由・平等・博愛」そして人権を謳(うた)いながら、イスラエルへの支援をやめず、民族浄化を黙認し、イスラエル批判を封じる欧米のダブルスタンダードを、中東、欧州移民社会の研究者とアメリカ政治、外交の専門家が告発。
世界秩序の行方とあるべき日本の立ち位置について議論する。



2024年7月3日水曜日

【おすすめ度●】本田宏『参加と交渉の政治学』法政大学出版局, 2017年

ドイツが脱原発を決めるまでの反対運動の詳細な分析。ドイツの反原発運動が、どうやって脱原発という大きな成果を挙げたのかがよくわかる。ただ、残念ながら推進の側(政府側)はあまり分析されていないので、そもそもドイツがなぜ原子力発電を推進したのかがよくわからない。
 日本政府が原子力発電を推進している政治的理由として、日本独自の核兵器開発(ウラン濃縮技術や再処理によるプルトニウム抽出技術の確保)や、米軍の原子力空母が横須賀を母港としていることなどがあるが、ドイツにはそのような政治的背景はあったのか。ドイツには米軍の原子力空母はいないし、おそらくドイツ自身が核兵器開発をする意志もないので、そもそもドイツには原子力発電を推進する政治的背景がなかったのではないか。経済的理由だけでは、ひとたび大事故を起こすと数十兆円の被害を引き起こす原子力発電は正当化できないだろう。

出版ウェブサイトから紹介を引用
福島第一原発事故からまもなく、ドイツは原発の段階的廃止を決めた。いったん確立した原子力産業から撤退を決意するまでの政治過程をたどりながら、ドイツの民主政治の特徴を明らかにする。労働組合、環境団体、緑の党、メディアなどの組織や市民の活動は、連邦や州の政治にいかなる影響を与え、その結論を導いたのだろうか。



【おすすめ度●】斎藤幸平・松本卓也 編著『コモンの自治論』集英社, 2023年

大学の自治(白井聡)、地域の自治(岸本聡子(現杉並区長)、水道を例にして)、科学の自治(市民科学、木村あや)、農民の自治(藤原辰史)など面白い論文を集めた本だが、必ずしも「コモンの自治」という本の題名とあってないようにみえる章もある。
 なお、今「自治」を論じるときに最も重要と思われる職場(労働)における労働者の自治がテーマに入っていない。労働を変えて人々を長時間労働から解放して、人々が「自由な時間」を持てるようにしないと、社会を変えることは難しいのではないか。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
【『人新世の「資本論」』、次なる実践へ! 斎藤幸平、渾身のプロジェクト】
戦争、インフレ、気候変動。資本主義がもたらした環境危機や経済格差で「人新世」の複合危機が始まった。
国々も人々も、生存をかけて過剰に競争をし、そのせいでさらに分断が拡がっている。
崖っぷちの資本主義と民主主義。
この危機を乗り越えるには、破壊された「コモン」(共有財・公共財)を再生し、その管理に市民が参画していくなかで、「自治」の力を育てていくしかない。  
『人新世の「資本論」』の斎藤幸平をはじめ、時代を背負う気鋭の論客や実務家が集結。
危機のさなかに、未来を拓く実践の書。