注目の投稿

【まとめ】このブログ全体のまとめです。

紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 気候変動問題に関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 地域づくりと地方自治に関する本 水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本 原子力と核兵器に関する本 陰謀論、...

2025年11月30日日曜日

【おすすめ度●】ジェフリー・トゥービン『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』河出書房新社, 2013年

1980年(レーガン政権)から2008年(ブッシュ政権の終焉)までの時期のアメリカ連邦最高裁の動向のルポルタージュ。この時期には、クラレンス・トーマス、アントニン・スカリアという極端に保守的で共和党寄りの裁判官が指名されて、アメリカ最高裁の保守化が始まった。しかしこの時期にはまだ左派(ジョン・ポール・スティーヴンス、スティーヴン・ブライヤー、ルース・ベイダー・ギンズバーグ)の影響力も強かった上に、サンドラ・オコナー、デイヴィット・スーター、アンソニー・ケネディが中間派となり、もともとは保守派だったレンクイスト長官も保守的傾向を弱めたので最高裁の極端な保守化は進まなかった。本書の著者は、2000年大統領選挙でのフロリダ再集計停止の最高裁の決定(最高裁の決定により、ジョージ・W・ブッシュが大統領に当選した)を、大統領選挙でブッシュを勝たせるために法をゆがめたものであり、最高裁の最大の汚点だと言っている。他にも重要な判例をめぐる裁判官の討論が書かれているが、率直に言って同じ題材を扱った『ブレザレン』ほど迫力ある内容ではない(『ブレザレン』が扱っているのは1960~70年代のまさに激動の時代を扱っているので、『ブレザレン』ほど迫力ある内容にならないのはやむを得ない)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
妊娠中絶、同性愛者の権利、死刑制度、銃規制などをめぐり、アメリカ社会の縮図である連邦最高裁の内側を鋭く詳細に綴ったノンフィクション。ニューヨークタイムズ年間最優秀図書。



2025年11月27日木曜日

【おすすめ度○】シッダルタ・カラ『ブラッド・コバルト コンゴ人の血がスマートフォンに変わるまで』大和書房, 2025年

主にアフリカのコンゴ民主共和国のコバルト鉱山でのきわめて悪質な奴隷労働や児童労働のルポルタージュ(当事者の言葉では、「われわれは墓場で働いている」)。コンゴの独立までは宗主国ベルギーによって搾取が行われていたが、本書によれば現在は中国企業がとってかわった。しかし中国企業だけが問題なのではなく、悪質な奴隷労働や児童労働によってコバルトが採掘されていることを知りつつ、コンゴからコバルトを購入しているグローバルなサプライチェーン全体の問題だという。それ以外にコンゴのウラン鉱山と北朝鮮の関係や、レバノンのヒズボラなどの組織の暗躍も触れられている。
 この本では婉曲に書かれているが、このような深刻な事態をもたらした最大の原因はコンゴの政治が極度に腐敗し、コンゴの特権階級は自分たちの利益のために国民がどれだけ犠牲になっても何ら対策を取ろうとしないからである。なぜ、そのような腐敗した特権階級が権力を握り続けることができるのか。それはコバルトをはじめとするコンゴの資源を利用するグローバル企業たちが、コンゴの特権階級とひそかに結託し、それを利用・保護しているからであろう。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
児童労働、人身売買、1日12時間掘っても1ドル…コンゴ人の証言を通して初めて描かれた苛烈な搾取!

【おすすめ度☆】栗山浩一、馬奈木俊介『環境経済学をつかむ 第5版』有斐閣, 2024年

新古典派的な環境経済学の標準的な教科書。なぜか所蔵している図書館が少ない。 主な内容:生活と環境 経済発展と環境問題 ごみ問題と循環型社会 地球温暖化問題 環境問題発生のメカニズム 外部性と市場の失敗 共有資源の利用と管理 公共財とフリーライダー 環境政策の基礎と応用 環境の価値評価 企業と環境問題 地球環境問題と環境経済学など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
専門知識を持たなくともエッセンスを確実に理解できるように,具体的な環境問題を取り上げて丁寧に解説した好評入門書の最新版。新たに「ナッジと環境政策」のunitを追加し,図表やトピックスを更新。オンライン講義にも最適なウェブサポートページを掲載。


2025年11月22日土曜日

【おすすめ度●】山岡淳一郎『日本はなぜ原発を拒めないのか』青灯社, 2017年

原子力に関するいろいろなトピックを扱っているが、本としてのまとまりがない。東芝崩壊については非常に詳しく、かつ厳しく追及している。 内容:原発の失敗と東芝崩壊 政治・官僚・経済界・学界・報道の癒着 原発テロの危険 日本の核武装の野心

版元ドットコムから紹介を引用
日本を震撼させた、名門企業・東芝の転落劇。
その元凶、原発を拒めない国家の闇に迫る。

・原子力産業と核戦略の「日米一体化」という名目の対米従属
・推進派が固める「原子力ペンタゴン(五角形)」体制の盤石さ
・原発は核物質の宝庫。それを狙うテロリストに、無防備な日本
・戦後の政治家たちに潜在的に受け継がれてきた核武装の誘惑
・フクシマ発の脱原発、自然エネルギーによる自立の道が見えてきた!

気鋭のジャーナリストが、経済人・官僚・政治家・福島を取材して明かす、
原発の闇と地元の脱原発への光!
渾身のノンフィクション


【おすすめ度●】吉田文和『ドイツの挑戦 エネルギー大転換の日独比較』日本評論社, 2015年

福島原発事故以降のドイツの脱原発(原発廃止・解体)と放射性廃棄物の政策、再生可能エネルギー促進政策を詳しく説明する。原子力をめぐるリスクと倫理に関する議論もなされている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
環境先進国ドイツにおける脱原発と再生可能エネルギーの実態を徹底調査し、日本の現状と比較。日独が互いに学ぶべき教訓とは?

【おすすめ度◎】鈴木真奈美『日本はなぜ原発を輸出するのか』平凡社新書, 2014年

やや古いが、原子力発電所の輸出を題材にして、原子力をめぐる国内・国際的な関係を鋭く
分析する良書。 主な内容:福島原発事故と原子力輸出 原子力輸出の歴史 スリーマイル原発事故から原子力ルネサンスまで 公的融資の役割 地球環境問題と原子力 中国・台湾・インドネシア・アメリカSTPの事例 核エネルギー利用の是非など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
安倍政権は福島原発事故にもかかわらず、トルコ等に原発を売り込んでいる。その理由と問題点をわかりやすく解き明かした初めての本。
福島原発事故の収束は見えず、原因解明も不十分。その一方、安倍政権はトルコ、UAEなどで積極的にセールスを行っている。もしも契約が成立すると、完成・運転までの長期間の責任を(企業を超えて)日本が負うことになる。将来世代にも大きな影響を及ぼすこのことを、なぜ安倍政権は進めるのか? 本書は、原発輸出(原子力輸出)の理由、背景と構造、問題点を解き明かした初めての本であり、この問題が私たち一人一人に関わっていることを示している。


2025年11月20日木曜日

【おすすめ度○】清水善仁『公害の記憶をどう伝えるか』吉川弘文館, 2025

著者は歴史学者。「公害アーカイブズ」の視点から資料保存の重要性とその方法論について述べる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
公害の記録や資料を整理し保管・展示する意義と可能性を追究。大学の公害資料館にも言及し、アーカイブズ活動の重要性を説く。
四日市ぜんそくや水俣病など、1960年代の社会問題であった公害をめぐる裁判から長い年月が過ぎ、当時の記憶を未来へどう継承していくかは大きな課題となっている。公害の記録や資料を整理・保管・展示する「公害アーカイブズ」を提唱し、意義と可能性を追究。大学の公害資料館の取り組みにも言及し、アーカイブズ活動の重要性を説く注目の書。