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2024年3月20日水曜日

【おすすめ度●】林公則『農業を市場から取りもどす』日本経済評論社, 2024年

ドイツの有機農業の研究。ドイツの有機農業が、狭義の農業生産だけでなく、生産資材(土地・種苗)から金融まで包括したプロジェクトであることを明らかにしている。
 ただし、率直に言って農業の現実的条件よりも思想が優先されすぎているのではないかという印象は感じた。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
有機農産品を食べるには、高いお金を払うしかないのか。社会への貢献度が高いほどままならない「みんなのための農業」を地域で実現していくために。ヨーロッパを中心に先進的な取り組みを紹介。

2024年3月19日火曜日

【おすすめ度●】烏賀陽弘道『ALPS水・海洋排水の12のウソ』三和書籍, 2023年

爆発事故で損傷した福島第一原発から排出されるいわゆる「処理水」(汚染水)の海洋放出問題をめぐって、論点を体系的に述べた本。全ての論点で著者に賛同するわけではないので、おすすめ度は●にした。12の「ウソ」とは別に、最後の「まとめ」で指摘されている点も重大。「12のウソ」は以下の通り:①国内問題だった放射性物質汚染を国際問題に拡大した ②海洋排水しか方法はない ③タンクの置き場はもうない ④ALPS水排水は被災地の復興に必要だ ⑤ALPS水の海洋排水は廃炉を進めるために必要だ ⑥ALPS水を海洋排水すればタンクはなくなる ⑦風評被害をなくすことが必要だ ⑧ALPS水に放射性物質はトリチウムしか残っていない ⑨福島第一原発のような原発からの海洋排水は世界中でやっている ⑩日本政府の基準を満たしているから安全だ ⑪希釈して排水するから安全だ ⑫環境への影響は長期的に見ても無視できる

出版社ウェブサイトから紹介を引用
★日本政府の12のウソを徹底的に指摘!
★福島第一原発を震災直後から取材し続ける著者による告発
★公開直後から17万再生された動画をもとに緊急出版
 「海洋排水しか方法はない」、「タンクの置き場はもうない」、「ALPS水排水は被災地の復興に必要」、「ALPS水に放射性物質はトリチウムしか残っていない」、「福島第一原発のような原発からの海洋排水は世界中でやっている」、「日本政府の基準を満たしているから安全だ」などなど……
2 023年8月24日、日本政府は福島第一原発からでた汚染水を「ALPS」で浄化した、いわゆる「ALPS処理水」を海洋放出した。ALPSで処理した水は安全で、環境に対する影響はないと発信している。
 「真っ赤なウソです。信じないでください」
 著者は、政府が発信する情報にはウソがあるとして、海洋放出の翌々日、動画を公開した。動画は反響を呼び、1か月経つころには17万回再生された。
 本書は、動画で話した内容に大幅な加筆修正を施し、一冊にまとめあげた。


2024年3月16日土曜日

【おすすめ度○】半田滋『台湾侵攻に巻き込まれる日本』あけび書房, 2023年

防衛費」が約2倍(約5兆円→約10兆円)に増やされるなど、急激に戦争国家化が進む現在の日本の状況をわかりやすく描いている。 内容:与那国島の基地化の進行と地元の反応(ルポルタージュ) 中国の台湾侵攻の可能性 防衛費対GDP比2%の正体 安倍政権の憲法無視とそれを継承する岸田首相 自衛隊教育が抱える問題など
 現在、政府は中国との戦争に備えて宮古諸島で住民避難用のシェルターを建設しているが、今の政府は、中国と戦争になってもなぜか中国軍は先島諸島しか攻撃してこないと想定しているようだ。なぜ、他の目標、例えば原子力発電所に対する攻撃はないと考えるのだろうか。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
安倍政治の「継承者」、岸田首相による敵基地攻撃・防衛費倍増の真実
台湾有事は2027年までに起きる?
米中が軍事衝突すれば日本が攻撃対象になり、沖縄が「捨て石」にされる!
「敵基地攻撃能力の保有」で「専守防衛」を投げ捨て「新しい戦前」に向かう岸田政権の危険性を問う。


2024年3月14日木曜日

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【おすすめ度○】巽直樹『カーボンニュートラル』日本経済新聞出版, 2021年

カーボンニュートラルをはじめとする気候変動をめぐる国際金融業界の動きを紹介する本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「脱炭素社会」「グリーン成長」へと舵を切る世界経済。ビジネスからファイナンスまで、来たるべき「新しい日常」を展望する。
おすすめポイント
・気候問題への対応が“経済"の主導権を左右する!
・2050年に向け動きを加速する世界で何がどう変わるのか?
・最先端の動きを整理し、やさしく解説する。
 本書は、カーボンニュートラルという、もうひとつの「新しい日常」の全体像をザックリと把握し、現在何が起こっているのか、課題は何か、2050年に向けて今後どのようなことが起こり得るのか、ビジネスにはどのような影響があるのかを、これまでの脱炭素政策の動向も踏まえ理解できるようにすることを目指すもの。著者は、海外での再エネ発電投資・事業運営、排出権取引などに関わる政府のフィージビリティスタディに多数関与したほか、現在は国内企業向けにエネルギー・環境関連のコンサルティングを提供。各種学会・研究機関などとの共同研究にも携わっている。

日経BPウェブサイトに掲載されている書評

2024年3月13日水曜日

【おすすめ度●】川崎修・杉田敦 編著『新版補訂版 現代政治理論』有斐閣アルマ, 2023年

2006年に初版が出た本の新版補訂版。主にリベラリズムとデモクラシーに関する思想諸潮流を紹介している。この本では、おそらく意図的に、現実の政治問題と政治思想・理論との関係があまり書かれていないので、この本を読んだ人は「政治理論・思想とは、現実の政治とはあまり関係が無いものだ」という感想を持つだろう。そのためこの本は初めて学ぶ人向けとは言えず、おすすめ度も☆(教科書)ではなく●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
自由とは何か、公正な社会とは何か―われわれが直面しつつあるさまざまな政治課題は、政治的価値、理念、規範に関わる問題を含んでいる。
リベラリズムとデモクラシーに関係するテーマを軸に,現代の政治理論の重要な主題や概念をとりあげて,わかりやすく解説した好評テキスト。新版刊行後の政治理論研究の進展をふまえ全体を見直すとともに,文献情報もアップデート。より深く政治を考えたい人に最適。

【おすすめ度☆】橳島(ぬでしま)次郎『科学技術の軍事利用』平凡社新書, 2023年

科学と軍事の関係について、現代的なトピックを取り上げて問題提起する良書。著者は、科学者の軍事への協力には、「越えてはならない線」があるという考え方。 内容:科学・技術と戦争の結びつき 軍民両用(デュアルユース)技術 人工知能兵器 兵士の強化改造 軍による人体実験の現状と課題

出版社ウェブサイトから紹介を引用
人工知能兵器、兵士の強化改造、人体実験の是非を問う
科学技術の発展と軍事研究の表裏一体の歴史を振り返り、AI兵器やゲノム編集、人体実験など喫緊の倫理的課題を第一人者と考える。

2024年3月5日火曜日

【おすすめ度●】川名晋史『在日米軍基地』中公新書, 2024年

在日米軍基地が、米軍基地だけでなく、国連軍基地を兼ねていることを重視した本。在日国連軍に関する本はこの本が事実上初めてといってよいのではないか。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界で最も多くの米軍基地を抱え、米兵が駐留する日本。米軍のみならず、終戦後一貫して友軍の「国連軍」も駐留する。なぜ、いつから基地大国になったのか。米軍の裏の顔である国連軍とは。本書は新発見の史料をふまえ、占領期から朝鮮戦争、安保改定、沖縄返還、冷戦終結、現代の普天間移設問題まで、基地と日米関係の軌跡を追う。「日本は基地を提供し、米国は防衛する」という通説を覆し、特異な実態を解明。戦後史を描き直す。