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2022年12月1日木曜日

【おすすめ度◎】阮蔚『世界食料危機』日経プレミア, 2022年

阮蔚『世界食料危機』日経プレミア, 2022年 ロシアのウクライナ侵攻による世界の食料供給への影響をはじめとして、現在の世界の食料問題をコンパクトにまとめている。内容:食肉の消費拡大が飢餓を生む 主食穀物を圧迫する畜産飼料生産 地球温暖化がもたらす食料生産の危機 バイオ燃料が生み出した農産物争奪戦 飢餓を招く大国の論理 アフリカ農業を壊した米欧の穀物戦略 化学肥料の争奪 日本の食料安全保障


出版社ページから紹介を引用
<<ウクライナ危機が浮き彫りにする飢餓の構図>>
■肥沃な土壌「チェルノーゼム」(黒土)が広がり、世界的な穀倉地帯を抱えるウクライナ。広大な農地を抱え、農産物の増産に力を入れてきたロシア。両国は近年、安価な穀物の輸出をとおして、アフリカやアジアの途上国を中心に数億人の食料を支えてきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻により「世界のパンかご」とも呼ばれる豊穣な地域は破壊され、世界の食料事情は一変しつつある。すでにアフリカ東北部では、4季連続で雨季に降雨がわずかしかない過去最悪ともいわれる干ばつが続き、1300万人が飢餓に直面するなか、輸入食料の高騰に直面。「第2次世界大戦後、目にしたことのないような大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給にもたらそうとしている」(WFP)。
■著者はこうした危機的状況が、両国の戦争状態解消によってすぐに正常化するとは考えていない。世界の食料生産は構造的な問題を孕んでいるからだ。脱炭素の動きを受けたエネルギー価格の高騰とバイオ燃料生産の増加、大国の都合による穀物の低価格輸出、温暖化による干ばつや洪水の多発、地下水の枯渇、新興国での食肉の増加など、解決が困難な問題が山積している。
■足元では、経済制裁による化学肥料の流通減に加え、原料高にともなう化学肥料の大幅値上げが続く。肥料の使用抑制が広がり、来年以降の収穫減につながりかねない。気候変動などの中長期的問題に戦争の災禍が加わり、世界の食料生産は複合危機に陥る可能性が高まっている。日本も物価の高騰だけでは済まなくなることが懸念されている。
■本書は、ロシアによるウクライナ侵攻を端緒に、眼前に広がる世界規模の食料危機とその複雑な背景、さらには日本の食料安全保障など注目のテーマを、一般には知られていない情報を盛り込みつつ読み解く。日本にできる貢献についても触れる。著者は、ウクライナなど世界各地での現地調査も交えてリサーチしてきたベテラン研究者。



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