注目の投稿

【まとめ】このブログ全体のまとめです。

このブログで紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 陰謀論、マスコミ、科学的認識論/科学方法論などに関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 気候変動問題に関する本 原子力と核兵器に関する本 地域づくりと地方自治に関す...

2026年4月25日土曜日

【おすすめ度☆】富田正樹『疑いながら信じてる50 新型キリスト教入門その1』ヨベル, 2023年

リベラル・クリスチャンによるキリスト教の入門者向けエッセイ集。ここで「リベラル・クリスチャン」とは、イエス・キリストを社会的弱者(貧困者、病人、障害者、女性など)を救うために活動した社会運動家として理解するキリスト教の潮流。
 本書はリベラル・クリスチャンの潮流に従って書かれているが、必ずしもキリスト教全体がリベラルなわけではなく、リベラル・クリスチャンはキリスト教のなかではむしろ少数派である。ただしキリスト教徒でない人にとっては、「進化論否定」のような狂信的な面もある伝統的なキリスト教よりも、思考方式が合理的で近代社会的な価値観を共有しているリベラル・クリスチャンの方が理解しやすいだろう。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
私は疑いながら信じています。キリスト教を信じる人たち(クリスチャン)の中には疑いなど全く抱かずに、まるっきり無邪気に信じ込んでしまっている人がいます。
それはそれで結構……どう展開する?!
 私がここで書いていることが、日本のプロテスタント教会の代表的な、あるいは公式見解であるとも思わないでください。キリスト教の世界は海のように広いのです。その広い海に浮かぶ島の数だけあるような、様々な考え方の中で、何が本当に正しいのかなどわかりません。ですから、「これも数ある考え方のひとつなのだな」と受け止めていただけるとありがたいです。……ガチガチに凝り固まった「唯一の」「正しい」教義に疑問を感じている人には、きっと興味深いものになるはずです。どうぞ、「疑いながら信じる」ひとりのクリスチャンの頭の中へとお入りください。


【おすすめ度○】巽美奈子『<栄養>の誕生』新曜社, 2026年

「栄養」という考え方は昔から存在したものではなく、近代に人工的に構築された考え方であえる。この本では、「栄養学」の歴史の研究を通じて、「栄養」という考え方が形成される過程を明らかにしている。さらに本書では、「栄養」をめぐる格差問題(「上流」階級と庶民階級での栄養に対する認識の違い)や、「栄養」に関するジェンダー問題か考察されている(家庭での「調理」を担い、家族の栄養に責任を負っているのは女性であるにもかかわらず、プロの「調理師」がほぼ男性なのはなぜかという問題や、専門職であるにもかかわらず女性が多い「栄養士」が登場したプロセスなど)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
戦前日本の栄養学の系譜を、食事実践の場から描いた一冊。
健康のために日々の食事に配慮する――今日では当然とされる食事観は、大正末期まで世間から反感を買っていた。なぜ反発されていたのか。なぜ普及に転じたのか。階層やジェンダーといった視点を踏まえ、健康と食事をめぐる意識と実践の変遷を描く。




2026年4月21日火曜日

【おすすめ度○】古川隆久『建国神話の社会史 史実と虚偽の境界』中央公論新社, 2020年

戦後の話も少しあるが、大部分は第二次世界大戦敗戦前に行われた、「建国神話」を政府がどうやって国民へ押し付けようとしたかについて述べている。学問研究に反する「建国神話」を国民に押し付けるのは容易ではなく、政府は主に小学校での教育を通じて子どもたちに影響を及ぼすことを中心にした。しかし小学校の子どもたちにも、非科学的な「建国神話」の押し付けには反発がみられた。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「先生、そんなの嘘だっぺ!」--神話が「史実」となった時、教室の中で、そして教室の外で何が起きたか。一方で、民主化や経済振興の手段ともなった巨大な「建前」に戦前の人々はどう向き合ったのか。『昭和天皇』の著者による天皇と日本社会の近代史。


【おすすめ度☆】樫原正澄 編『食と農の環境問題』すいれん舎, 2016年

「持続可能なフードシステム」について、食糧生産の環境負荷、食の安全などの多角的な観点から検討する良書。ただし2016年の本なのでやや古くなっている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
激変する食生活の中で、食の安全と国民の健康は守れるのか。日本の食生活の持続可能について、食料の生産・流通・消費の全過程を視野に入れて、全体的なフードシステムとして学ぶ。



2026年4月19日日曜日

【おすすめ度●】森岡孝二『働きすぎの時代』岩波新書, 2005年

「過労死」に代表される働き過ぎの問題が、なぜ発生し、どのように対策を立てて行けばいいのか考察する本。良書だが内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
いたるところから働きすぎの悲鳴が上がっている.労働時間が1日10時間を超えるほどに長ければ,疲労とストレスがたまり,最悪の場合は死に至ることになる.本書では,グローバリゼーション,情報技術,消費社会,規制緩和などに着目して今日の過重労働の原因に迫る.まっとうな働き方ができる社会を作っていくために,いま何が必要なのか.



【おすすめ度●】村井吉敬『エビと日本人』岩波新書, 1988年

エビの生産から消費までを追うことにより、日々の生活とアジア発展途上国とのかかわりを伝える良書。良い本だが内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.


2026年4月17日金曜日

【テーマ別】気候変動問題とエネルギー問題に関する本の一覧

気候変動問題とエネルギー問題に関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)

上野貴弘『グリーン戦争』中公新書, 2024年(気候変動問題に関する基礎的な知識がないと読みづらい)
岩瀬昇『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか』文春新書, 2014年


【おすすめ度●】野村総合研究所『排出量取引とカーボンクレジットのすべて』エネルギーフォーラム, 2023年

排出量取引に関する概説書。EU-ETSの説明も詳しい。2023年の本なのに、既に内容がやや古くなっている。世の中の変化が早すぎる!

出版社ウェブサイトから紹介を引用
脱炭素化・GXの実現を担うカーボンプライシングの要!
GXリーグ、GX-ETSの設計に携わる野村総合研究所が国内外の政策制度や市場・プレーヤーの動向などを徹底解説。


【おすすめ度○】山下真一『環境投資のジレンマ 反ESGの流れはどこに向かうのか』日本経済新聞出版, 2024年

一時大きな動きになったESG投資に対する反動の動きの紹介と、今後の展望について書かれている。著者は日本経済新聞シニアライターで、新聞記者らしいまとめ方の本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
 政府、企業が地球環境を重視する政策に突き進む中、企業年金や保険会社など機関投資家はそれに乗り遅れまいと環境投資に走り、「責任ある投資」がブームになった。化石燃料企業を投資対象からはずす行為(ダイベストメント)は、優良投資家の鏡とされた。
 ところが、2022年、大きな反動が起きた。環境株のパフォーマンスが落ち、石油株が選好される中で、環境投資の意味を問う動きが強まったのだ。米国では、フロリダ州で反ESG投資の声が大きくなり、「もうESG投資という言葉は使わない」と言い出す経営者もいた。新規の環境ファンド設定の動きも激減している。
 そもそも投資の目的とは何か、環境対策と企業の成長は連動するのか、といった根源的な問いが世界を覆う。環境対策に突き進むと同時に投資パフォーマンス向上を目指す「二刀流」は成り立つのだろうか。環境投資の現状や、厳格化するルールなど世界の潮流を概観しながら、環境マネーの行方を探る。

2026年4月12日日曜日

【おすすめ度●】兼重直樹『排出量取引制度入門』民事法研究会, 2026年

「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(いわゆるGX推進法)に基づいて2026年度に導入される排出量取引(「排出権取引」の方が一般的な用語だが、国の官庁は「排出量取引」という表現を使っている)制度の解説。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
2026年4月施行の改正GX推進法に基づく排出量取引制度の趣旨および内容についてわかりやすく解説した入門書!
 制度の目的・基本理念、改正の概要、制度の対象となる事業者、排出枠の割当てや償却義務、価格安定化措置、取引制度、性質論、制度の課題など、複雑な排出量取引制度について、1冊に体系的にまとめ、わかりやすく解説。
 難解な排出枠の流通や手続の流れを豊富な図表を用いて可視化。企業の担当者や法律実務家から学生まで、制度について視覚的・直感的に理解できる設計。



2026年4月9日木曜日

【テーマ別】水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本

水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)

【おすすめ度○】大島誠『PFI方式の功罪』日本評論社, 2026年

公共施設を整備する手法の一つである「PFI」について、特に水道と下水道での実例を踏まえた分析。PFIの失敗事例(近江八幡市民病院、タラソ福岡)やPFI評価の理論についても書かれている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
行政サービスを民営化手法で提供する方法の1つであるPFI事業を事例に、PFI方式の有効性と限界、課題と改善点を提言する。

【おすすめ度】高橋明久/長田侑子/川合裕之『基礎からわかる輸出時の食品表示の実務ガイドブック』第一法規, 2026年

輸出リスクを未然に防ぐための知識。 内容:食品の輸出に関する基本的な知識 日本の食品輸出支援策 日本の食品表示制度 各国の食品表示制度(日本との違い)など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
食品の輸出時に知っておきたい基本的な制度や各国の食品表示制度の概要と、それに基づく表示の確認実務を「基準への適合確認」「食品表示の作成・チェック」の2つのステップに分けて解説。事業者の対応事例・よくあるQ&Aとあわせて読むことで、初めて食品輸出を手掛ける事業者や経験の浅い担当者にも、実務の流れが具体的にイメージできる。


2026年4月1日水曜日

【おすすめ度○】磯田宏『農業食糧貿易構造とフードインセキュリティ』筑波書房, 2026年

「新自由主義的フードレジーム」の概念を中心にして、世界の食料需給構造の変動を分析する本。 内容:フードレジーム(FR)と食生活レジーム(Diet Regime, DR)の分析方法 食生活とその階級性 農業食糧貿易構造の21世紀動態 新自由主義グローバリゼーションとアメリカ覇権の「終焉」 新自由主義的フードレジームの変容の「予兆」 構造変容期における農業食料リスクなど

出版社ウェブサイトから紹介を引用
本書は食生活とそれをめぐる農業食料国際分業の構造動態を主対象に、ポスト新自由主義的な体制ないし編成の予兆の有無と(あるとすれば)その方向性を検討し、それがフード(イン)セキュリティの側面から日本の食料農業政策に要請する課題を摘出することを目的としている。



【おすすめ度☆】庄司克宏『EU 統治の論理と思想』岩波新書, 2025年

EUに関して、入門的な立場から概観する本。内容:EUの構造と仕組み 域内市場 自由移動と各国文化 EU市民権 単一通貨 EUのトランスナショナル・ガバナンスなど

出版社ウェブサイトから紹介を引用
イギリスの離脱、難民の増大、極右の台頭、多様化する性……。様々な困難に直面する超国家的統合の実像を説く新たな基本書。
イギリスの離脱、移民や難民の増大、極右勢力の台頭、多様化する性……。様々な問題に直面し岐路に立つEU。壮大な実験はどこへ向かうのか。激動する世界の中で、どんな意味をもつのか。超国家的統合の実態や意義を明解に説き好評を博した前著『欧州連合』を大幅に改訂。これからの国際社会を展望するための新たな基本書。