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2023年3月26日日曜日

【おすすめ度●】アンドリュー・J・ロッター『原爆の世界史』ミネルヴァ書房, 2022年

原爆開発の歴史がくわしい。ただしかなり専門的な本で、学部生が読みこなすことは難しい。

出版社ページより紹介を引用
19世紀の黎明期から戦争を経て、今日の核保有へと至る道筋を膨大な先行研究を咀嚼し、明快に叙述する。
広島・長崎への原爆投下は、いかにしてなされ、その後の世界にどのような影響を及ぼしたのか。本書は、膨大な先行研究を咀嚼したうえで、原爆投下を広い時間的・空間的枠組みのもと、世界史の文脈の中に位置づける。一九世紀の黎明期以来、各国で核物理学の研究が進み、毒ガス攻撃や空爆など新たな戦争の手段が登場する中で、各国政府・軍部と科学者たちはいかに行動したか。核兵器の開発・製造・使用・保有のグローバルな歴史を俯瞰する。
《原著》Andrew J. Rotter, Hiroshima: The World’s Bomb (Oxford University Press, 2008)

[ここがポイント]
◎ 原爆の開発前夜から戦争を経て、今日の核保有へと至る歴史を膨大な先行研究を咀嚼し、明快に叙述。
◎ 米国外交史の泰斗が世界史的視野から論じた名著、待望の邦訳。


【おすすめ度○】ジョン・S・トレゴニング『ウイルスvsヒト』文響社, 2022年

感染症対策の総論的な本 内容:微生物学の歴史 免疫学 疫学 診断法 予防法 ワクチン 抗生物質 抗ウイルス薬 抗真菌薬 抗寄生虫薬 毒とデマ 感染症対策の未来など

出版社ページより紹介を引用
内容紹介
人類がコロナに打ち勝てるこれだけの理由!
人類は見えない敵(病原体)に直面するたびに、知恵を絞って対処してきた。逆境に直面するたびに、それを乗り越えてきた人間はこの未曽有の危機にもきっと対応できることだろう。読めば未来への希望が湧いてくる、科学誌Natureの人気コラムニストが語った、ヒトと病原菌との果てしない闘争の歴史。

著者について
リサーチ・サイエンティスト。ウイルスやバクテリアによる感染症、また、病原菌への免疫作用などを研究対象にしている。COVID-19パンデミックの際には雑誌『ネイチャー』に定期的にコラムを掲載。現在はロンドンインペリアルカレッジで感染症に関する研究グループを運営している。




【おすすめ度◎】内田聖子 編著『日本の水道をどうする』コモンズ, 2019年

世界の水道民営化の問題点を解明し、公共のあり方を探る良書 内容:世界の水道民営化の30年 公共サービスの再公営化が世界のトレンド 世界に逆行する日本の水道法改正&PFI法 公共の水をどう維持し発展させるか 各地の取り組み

出版社ページより紹介を引用
2018年12月に水道法が改正され、民営化が進められようとしている。
一方ヨーロッパ諸国は民営化の誤りに気づき、再公営化がトレンドだ。
PFI法改正を含めて世界と逆行する日本の政策をわかりやすく解説し、自治体行政の最新の動向を紹介。
いのちを支える水をどうしていけばよいのかを考える。


 

2023年3月21日火曜日

【おすすめ度◎】畝山智香子『食品添加物はなぜ嫌われるのか』化学同人, 2020年


グローバル化(食品の国際貿易)が拡大する中での、食品添加物をはじめとする具体的ケースを対象とした、食品安全に関する科学的考察と法制度(安全基準や食品表示制度)を考察する良書。 内容:終わらない食品添加物論争 減塩と超加工食品 オーガニックの罠 新しい北欧食に学ぶ 国際基準との軋轢 食品表示と食品偽装 プロバイオティクスの栄枯盛衰 食品安全はみんなの仕事

出版社ページより紹介を引用
すべての人に適切な情報を.印象やイメージ惑わされず判断するためのポイントを解説する.
●根強く残る食品添加物悪玉論
●まことしやかにささやかれる超加工食品の危険性
●オーガニックの安全神話で見過ごされる問題点
●注目を集める新しい北欧食の落とし穴
●日本で独自に発展した食品表示制度の功罪
ゼロリスク幻想を越えて改めて考える,ほんとうの「食の安全」

巷にあふれる食をめぐるさまざまな情報. 〇〇は身体によいらしい,ダイエットには△△を摂るとよい, ×× には発がん性がある……. 信頼に足る情報はどう見極めたらよいのか. さらに,グローバル化が進展する世界で,食の安全をめぐる問題も,自国だけの問題に留まらなくなっている.「すべての人に適切な情報を」届けるべく,世界の食品安全情報をサーベイし発信し続ける著者が, 近年話題になったさまざまな問題を取り上げ,印象やイメージに惑わされることなく,科学的知見に基づいて適切に判断するためのポイントをわかりやすく解説する.


2023年3月19日日曜日

【おすすめ度☆】畝山智香子『「健康食品」のことがよくわかる本』日本評論社, 2016年

食品や医薬品の安全規制について、基本的な仕組みがわかる本。当時新設された「機能性食品」の制度についても検討している。 内容:医薬品の安全規制 食品が安全であるとは 食品と医薬品の間 いわゆる健康食品による健康被害の例 食品の機能表示とはどういうものか

出版社ページより紹介を引用
従来の特定保健用食品(トクホ)と異なる機能性表示食品が登場した。巷に氾濫する「いわゆる健康食品」とともに、その真実を暴く。



【おすすめ度○】緒方義広『韓国という鏡』高文研, 2023年

韓国社会に関するエッセイ的な文集。著者は長期間韓国に在住して、ソウルの弘益大学で日本語や日本社会論を教えていた人だが、歴史や法律の専門家ではなく、間違えている点も見られる(一例を挙げれば、尹錫悦大統領を「尹錫烈」と繰り返し誤記している)。しかし、韓国について全く予備知識がない人にとっては、専門的になりすぎないこの本の方が読みやすいかもしれない。 内容:韓国という国の日常 韓国における歴史認識問題 苦悩する韓国社会 韓国という国のかたち

出版社ページより紹介を引用
韓国へのまなざしが日本を照射する。初めての留学から25年、韓国の市民社会を身近に観察し体験してきた一学徒による現代韓国論
日本と韓国の関係は、1965年の「国交正常化」以降、最悪と言われている。
その葛藤・摩擦の背景にあるものはなにか?
著者は約19年間、韓国で暮らし、日韓関係・異文化理解を専門とする研究者である。
著者が最も危機感を覚えているのは、「韓国は反日国家である」といったような、いまの日本社会に蔓延している偏見・先入観である。
その日本社会の偏見・先入観について、著者は次のように述べている。

《日本では、「韓国は反日国家である」といった決めつけや、韓国は「無責任」だの「感情的」だといった、それこそ無責任で感情的な「韓国論」もどきのヘイトスピーチが書籍になっている。書籍だけでなくテレビには、日本の社会通念では理解しづらい韓国社会の様子を「反日」の一言で明瞭に解説したかのような顔をする「専門家」が登場しているのをよく見かける。日本を基準にすれば、外国である韓国の文化に違和感を覚えることがあるのは当然のことだ。しかし、それらをすべて「反日」の一言で片づけてしまうのは正しい理解とは言えない。少なくとも韓国社会を一括りにして「反日」と捉えてしまうことは、単なる異文化理解の放棄ではないだろうか。いまの日本社会には、「嫌韓」ではないという体面を保ちながらも、韓国社会の問題点を「反日」と決めつけ批判し蔑むような言説が氾濫し容認されている。そもそも韓国社会が「反日」に支配されているという問題意識自体が、偏った情報に基づく間違った解釈である》

《近年では韓国でも「嫌韓」という表現が随分と知れ渡っている。日本における「嫌韓ブーム」の異様さを韓国メディアが伝えるようになったからだ。韓国には「嫌日本」も「反日本」もほぼ見当たらない。日本を侮辱するような本が売れるような社会的風潮は、少なくともいまは市民権をほぼ失ったと言える。むしろ「『反日』は間違っている」と主張する『反日種族主義』(李栄薫ほか、2019年)などという本がベストセラーになるほどだ。この本は歴史学の専門家たちから歴史認識に大きな問題があるとされ、韓国社会では「問題の書」として話題になった。……日本に寛容な態度を示すことがむしろ広く受け入れられるような土壌もあるということが分かる》

著者は自らの韓国体験をベースに、韓国の人々の政治・経済に対する考え方、若い世代の価値観などを紹介しながら、日本社会の韓国理解の限界を超えるために本書を執筆した。

2023年3月18日土曜日

【おすすめ度☆】島薗進編『政治と宗教』岩波新書, 2023年

【注意】2023年7月時点で、統一教会について知りたいのであれば、この本より櫻井義秀『統一教会』中公新書, 2023年の方がいいです。

統一教会の問題を中心にして、創価学会やフランス・アメリカの状況についても言及している。この問題の手ごろな入門書。内容:統一教会による被害とそれを生んだ要因 統一教会と政府・自民党の癒着 自公連立政権と創価学会 フランスのライシテとセクト規制 アメリカにおける政教分離国家と宗教的市民 統一教会問題と公共空間の危機

出版社ページより紹介を引用
統一教会問題と危機に直面する公共空間
「政治と宗教」の問題をめぐる緊急出版。国際的視野からの比較も含めて、公共空間の危機を捉え直す。
元首相銃殺事件と「国葬」が呼び起こした「政治と宗教」の問題をめぐっての緊急出版。統一教会と政治家の協力関係の歴史、右派的主張をもつ宗教勢力の影響力増大、創価学会の変遷と自公連立政権の誕生、フランスのライシテとカルト規制、アメリカの政治と宗教右派など、公共空間が直面している現在の危機を多角的に考察する。

※実は、統一教会に協力している大学教員はたくさんいるのだが、この本では、大学教員と統一強化の関連については全く触れられていない。CiNii(国立情報学研究所学術情報ナビゲータ[サイニィ])で、統一教会関連断端が出している雑誌を検索すれば、統一教会に協力しているかどうかを(ある程度)判断できる。

○統一教会関連団体が発行している雑誌
・勝共連合→『世界思想:平和大使運動を推進するオピニオン情報誌』 ※「世界思想」は、世界思想社が発行している統一教会とは無関係の雑誌もある
・平和政策研究所→『世界平和研究』
・世界日報社→『世界日報』(新聞)、『Viewpoint』

例えば、私の名前と「世界平和研究」をキーワードにして検索すると、(当然ですが)結果:0件になります。









2023年3月17日金曜日

【おすすめ度☆】日本エネルギー学会編『廃プラスチックの現在と未来』コロナ社, 2023年

プラスチック問題の全体像が分かる本。プラスチック問題に本格的に取り組んでみたいと思う持った人は、最初にこの本を読むといいのではないか。 内容:廃プラスチックに関わる諸問題 プラスチックのマテリアルフロー 廃プラスチックに関わる国内外の動向 廃プラスチックのリサイクル技術 次世代プラスチックの開発動向 プラスチックリサイクルとLCA

出版社ページより紹介を引用
プラスチックは透明性や耐水性が高く,軽量で様々な形に加工でき,丈夫で腐食しないといった優れた特性を持つ素材であるため,様々な分野で使用され,私たちの生活に不可欠なものとなっている。一方で,耐久性・分離困難性があるにも関わらず,種類によっては安価であるため,短期間で使い捨てられ,大量の廃棄物となり多くの環境問題を引き起こしてきた。さらに,海洋プラスチックごみ問題がグローバルな環境問題として注目されており,これを受け,プラスチック資源循環問題に拡大するとともに日本の政策重点がシフトしている。
 本書は,近年世界的に注目される廃プラスチック問題について,国内外で具体的にどのような問題が生じているのか,またそれらに対してどのような取り組みがなされているのかを,資源循環社会,法制度,技術的対応といった観点からまとめ,科学的な根拠とともに紹介する。
 本書が廃プラスチック問題の現状を正しく理解し,将来にわたり私たちがプラスチックを賢く利用していくための一助となれば幸いである。
【読者対象】
廃プラスチック問題に関わる研究者・技術者,NPO等市民団体や行政の担当者

【おすすめ度☆】中山哲夫『歴史から読み解くワクチンのはなし』朝倉書店, 2023年

ワクチンについて一通りの基礎知識が得られる。 内容:ワクチンの基礎知識 ワクチンの歴史 現在日本で使用されているワクチンの説明 ワクチンの開発

出版社ページより紹介を引用
私たちの命と健康を守るために欠かせないワクチンについて,ウイルス学の専門家がわかりやすく解説。


2023年3月16日木曜日

【おすすめ度●】三宅勝久『絶望の自衛隊』花伝社, 2022年

自衛隊内で横行するセクハラ、いじめ、自殺、パワハラ、過労などのルポルタージュ。および自衛隊艦が釣り船に衝突した「おおすみ事故」の記録

出版社ページより紹介を引用
隠蔽と捏造の陰で横行する暴力、性犯罪、いじめ。そして自殺……
理不尽に満ちた巨大組織・自衛隊から、苦しむ者たちの声が聞こえるか?
災害救助を通じて国民の期待と親近感が高まる一方で、悪しき“伝統”と不条理がはびこる旧態依然の25万人組織、自衛隊──。
ついに立ち上がった隊員たち、その渾身の告発を私たちはどう受け止めるべきか?
自衛隊の腐敗を追って20年、第一人者がとらえ続けた現場の闇に迫る


【おすすめ度●】藤川眞之・福田健一郎『いちからわかる 下水道事業の実務』ぎょうせい, 2022年

下水道事業について制度的仕組みが一通りわかる本。下水道に関心がある人だけでなく、それと密接な関係がある水道や水資源の問題に関心がある人も読んでおくとよい。 内容:下水道の概要 関連法規 下水道事業の経営手法(経費、財源、広域化、民間委託と民営化) 下水道事業の管理運営

出版社ページより紹介を引用
下水道事業の基礎から実務が1冊でわかる入門書!
●本書は、下水道事業担当者が実務に取り掛かるにあたって欠かせない知識をわかりやすく解説するものです
●法律、経営、管理運営の視点から解説しています。
●下水道のしくみ、用語や法律などの基礎知識から学ぶことができます。経営に当たって必要な財源等の知識、下水道管理にかかわる設備や制度等の実務にかかわる知識については、図表を用いながら整理・解説しています。
●はじめて下水道事業に携わる方にも理解しやすい!担当者必携の1冊です。




2023年3月12日日曜日

【おすすめ度○】ゴードン・バインダー『世界最高のバイオテク企業』日経BP, 2015年

元アムジェンCEOの回顧録。回顧録なので基本的には自慢話だが、科学者ではなく経営者の立場から先端科学ビジネスを見るとこう見えるという興味深い内容。 内容:アムジェンのスタートアップ 株式公開 最初の製品(EPO) 科学とビジネス ビジネスにおける倫理など

出版社ページより紹介を引用
圧倒的な経営力!
研究開発型企業が取り入れるべき、生きた事例
画期的新薬を生み続ける、アムジェン流イノベーション経営
世界中の難病患者を救うブロックバスター(超大型医薬品)を次々と生み出している、アムジェン(Amgen)社。
社員3名からスター卜したベンチャーは、エポジェン、ニューポジェン、エンブレルなどの市場導入とともに、今や年間売上高2兆円を超える世界最高のバイオテクノロジー企業に成長した。
アムジェンは、今でもユニークな企業だ。研究開発に会社の将来を先導させる意思決定をはじめ、多くの企業とは異なるスタイルをもつ。製品開発の方向性を決める「科学」に根ざしたアムジェン流イノベーション経営の要を、元CEOのゴードン・バインダー氏がアドバイスする。

アムジェンの価値観
◆科学に基づけ  ◆激しく競争し勝て  ◆患者、社員、株主のために価値を創造せよ
◆チームで働け  ◆協力し、理解しあい、合意を形成せよ  ◆お互いに信頼し、尊敬せよ
◆品質を確保せよ ◆倫理的であれ

この価値観から、最重要の原則が生まれた
● 社員は、間違う自由を持たなければならない
● 管理職の主な仕事は、部下を助けること。上司の手伝いは、部下の主要な仕事ではない
● 当事者がその仕事の計画を立てるべき
● すべての規則、指針、手続きには、例外がある
● 楽しめ