イランとアメリカの関係を、多数のエピソードを踏まえて明らかにする。この本では、イランが古代からの歴史を持つ大国であると同時に、繰り返し周辺諸国からの侵略を受けてきた国であることが書かれている。この本には、イランに対する「西側」諸外国の干渉のエピソードとして、かつてイランはナチスドイツと友好的であったため(「イラン」という国名も、イランとナチスドイツが友好的だった時期に「アーリア人の発祥の地」という意味で名付けられたもの)、第2次世界大戦の時にナチスドイツと戦ったイギリスとソ連によって占領され、当時の国王(イランでは「シャー」と呼ぶ)が追放されたことや、第2次世界大戦後、石油産業の国有化を進めたモサデク政権が、アメリカが中心になって引き起こされたクーデターによって倒されたことなどが出てくる(この2件だけでなく、多数の干渉の例が書かれている)。諸外国によてt繰り返される多数の干渉の結果、イランの人々は外国に対する深い不信感を持つようになった。
著者はイランが繰り返し侵略・介入の被害者となったことを述べる一方で、決してイランにべったりと同情しているわけではなく、イラン・イスラム体制の問題点についても淡々と書かれている。
この本が執筆日は、2026年2月11日となっている。著者は、アメリカとイランの核交渉は、要ではないもののいつかはまとまって、戦争は回避されるだろうと予測している。なぜなら、これまでアメリカはイランと激しく対立しても、イランと戦争になることはなんとか避けてきたから。著者はバイデン前大統領の対イラン・対イスラエル政策にはかなり批判的であり、トランプ政権での政策転換を期待していたようである。残念ながらこの著者の予想は外れて、アメリカのトランプ政権はイランとの戦争を始めてしまった。アメリカの軍事力はイランをはるかに上回るにもかかわらず、イランとの戦争でアメリカが勝利できる可能性はほとんどない。だからこそ、これまでアメリカはイランとの戦争を避けてきたのだが。
出版社ウェブサイトから紹介を引用
ガザ戦争は3回目の停戦合意後もイスラエルの空爆による死者を出し続けている。ハマスと戦うイスラエル、その後ろ盾となるアメリカ、ハマスを支援するイラン。イランとアメリカの複雑な関係にイスラエルが加わりますます混迷を深めている。核開発問題でトランプ大統領は再びイランを攻撃するのか。いくつかの流れが合流して中東を激動させる。国際政治の構造変化を軸に歴史、宗教、民族から最新動向まで中東研究の第一人者が解説。イラン、アメリカ、イスラエルをめぐる壮大な変遷史!

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