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2023年2月26日日曜日

【おすすめ度○】橋迫瑞穂『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』集英社新書, 2021年

内容:妊娠・出産のスピリチュアリティとは何か 「子宮系」とそのゆくえ 「胎内記憶」と胎教 「自然なお産」のスピリチュアリティ 女性・自然・フェミニズム など

出版社ページより紹介を引用
フェミニズムの「落とし物」がここにある――。
今世紀に入り、日本社会で大きく膨れ上がった「スピリチュアル市場」。
特に近年は「子宮系」「胎内記憶」「自然なお産」に代表されるような妊娠・出産をめぐるコンテンツによって、女性とスピリチュアリティとの関係性はより強固なものとなっていった。
しかし、こうしたスピリチュアリティは容易に保守的な家族観と結びつき、ナショナリズムとも親和性が高い。
本書は、この社会において「母」たる女性が抱く不安とスピリチュアリティとの危うい関係について、その構造を解明する。



【おすすめ度●】文京洙『文在寅時代の韓国』岩波新書, 2020年

この本を読むと、日本のマスコミの文在寅政権に関する報道がいかにデタラメだったのかが分かる。文在寅政権を生み出した韓国市民社会のパワーには学ぶべき点がある。 内容:文在寅政権の概要 朴槿恵政権とセウォル号事故 トランプ政権の朝鮮半島政策 検察改革の失敗 文在寅政権のコロナ対応など。

出版社ページより紹介を引用
盧武鉉元大統領の衝撃的な死とセウォル号の惨事という二つの悲劇から生まれた文在寅政権。公正と正義の実現を追求し「積弊の清算」を掲げた変革の道は、国内外で激しい毀誉褒貶と軋轢を生んでいる。妥協を知らない民主主義への希求は、韓国をどこへ導くのか。誤解と歪曲に満ちた韓国理解を塗り替え、リアルな姿を伝える。


【おすすめ度●】河合弘之・海渡雄一・木村結『東電役員に13兆円の支払いを命ず!』旬報社, 2022年

勝俣恒久・東京電力元会長らに13兆円余りの損害賠償を命じた東京電力株主代表訴訟の原告による解説。かなり予備知識が必要な本だが、株主代表訴訟の仕組みと実態がよくわかる。2002年の地震調査研究推進本部(推本)の「長期評価」で福島第一原発に大津波の危険性があることが指摘されていたにもかかわらず、東京電力が津波対策を怠ったことなどが明らかにされている。13兆円の賠償額の内訳は①廃炉と汚染水対策にかかった費用1兆6150億円、②被災者に対する曽なぎ賠償として支払った費用7兆0834億円、③除染・中間貯蔵対策に要した費用4兆6226億円を合計した13兆3210億円。
なお、著者の一人である河合弘之弁護士は、熱海の土石流事件を扱った『残土の闇』では、土石流の原因となった土地所有者の顧問弁護士として登場する。河合弁護士はそういう「際どい案件」を扱う弁護士でもある。

出版社ページより紹介を引用
福島第一原発事故は防ぐことが可能であった!
原発事業者としての義務を怠った東電役員を断罪した歴史的判決はどのようにして勝ち取ることができたのか。
弁護団による迫真のドキュメント。

 「被告らの判断及び対応は、当時の東京電力の内部では、いわば当たり前で合理的ともいい得るような行動であったのかもしれないが、原子力事業者及びその取締役として、本件事故の前後で変わることなく求められている安全意識や責任感が、根本的に欠如していたものといわざるを得ない。」(判決文より)

◆「はしがき」より
 東電役員に13兆円3210億円の損害倍書を命じた判決は、あらためて、福島原発事故がいかに大きな被害をもたらしたかを、明らかにしました。そして、東電の旧経営陣がきちんとした津波対策を取っていればこの事故を防ぐことができたこと、東電の役員には根本的な安全意識が欠落していたことを判決は厳しく指弾しています。
 また、判決は、原発事故はひとたび起きると「地域の社会的・経済的コミュニティの崩壊ないし喪失を生じさせ、ひいては我が国そのものの崩壊にもつながりかねないものである」とまで述べています。つまり、この判決は、福島原発事故が、とんでもない役員の不注意によって発生した人災であり、まかり間違えば国そのものの崩壊につながりかねないものだったことを明らかにしたものなのです。
 私たちは、この判決が事実の認定においても、法律的な論理においても、正当なものであると考えています。本書の出版は、このような素晴らしい判決が、どのような裁判、どのような証拠調べの結果として言い渡されたのかを明らかにし、この判決を東京高裁でも、最高裁でも維持されることを願い、多くの市民の皆さんからの理解を得たいと考え、企画されました。


【おすすめ度○】ユージェニー・C・スコット『聖書と科学のカルチャー・ウォー』東信堂, 2017年

キリスト教の聖書に書かれた天地創造の物語と、科学的な生物進化論の間には大きな差異がある。キリスト教徒が少ない(人口の1%以下とされる)日本では想像しづらいことだが、キリスト教徒が多いアメリカでは、熱心なキリスト教信者から進化論に対する攻撃が行われ、地域によっては学校で進化論を教えることが禁止されているところもある。この本は、「創造科学」や「インテリジェント・デザイン」などのキリスト教の影響を受けた非科学的な説と、科学的な進化論の間でどのような論争が行われているかを描いている。(なお、全てのキリスト教徒が進化論を否定しているわけではない。)

出版社ページより紹介を引用
「神か、科学か」それとも「神も、科学も」か―。
アメリカ社会では人類生誕の起源をめぐる「創造vs生物進化」論争が延々と続いている。創造論と生物進化論の歴史はそれぞれ過去数百年に渡り、その時間はまた対立の歴史でもある。ダーウィンが与えた衝撃、二〇世紀初頭のスコープス裁判、一九六〇年代教科書における生物進化論の復活から今日のネオ創造論までを含んだ、種の起源をめぐる創造論と生物進化論の果てなき論争に関する包括的概説書。



2023年2月24日金曜日

【おすすめ度●】渡辺丘『ルポ アメリカの核戦力』岩波新書, 2022年

アメリカ核戦略の3本柱(ICBM、戦略爆撃機、原子力潜水艦)の現場のルポルタージュと、オバマ・トランプ・バイデン政権の核戦略に関するインタビュー。ルポルタージュなので読みやすく、この本を通じてアメリカの核戦略について初歩的な知識を身に着けることができる。アメリカ核兵器開発の歴史と「アメリカのヒバクシャ」(アメリカ国内での核兵器開発による放射能被害)についても書かれている。
いままで極秘だったICBM基地内部の取材(内部の写真も掲載されている!)や重要人物へのインタビューは貴重。

出版社ページより紹介を引用
冷戦終結後も核抑止の論理にこだわり続けるのはなぜか。核兵器はどのように「運用」され、どんな課題を抱えているのかーー。長く秘密のベールに包まれてきた核戦力の最前線を訪ね、歴代政府高官や軍関係者など多数のキーマンへの単独インタビューを交えて、「核兵器の近代化」を進める世界最強の核超大国の今を報告する。


【おすすめ度○】静岡新聞社編『残土の闇 警告・伊豆山』静岡新聞社, 2022年

熱海土石流事件について、違法な残土がなぜ放置されたのか、行政の対応や法律・条例の問題点をひととおり取材している。同和の問題にも触れられているが、掘り下げられてはいない。マスコミの責任は全く触れられていない。マスコミがこの問題に気が付いて、事前に追及していたら、防ぐことができたのではないだろうか?
なお、私がこの本で一番驚いたのは、現在の土地所有者の顧問弁護士が、反原発運動で著名な河合弘之氏であること。もちろん河合弁護士がどういう人なのかは知っていたけど、こんなところに出てくるとは。

【「TRC MARC」の商品解説】2021年7月3日、静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で発生し死者27人、行方不明1人を出した大規模土石流災害は、工事の残土による「盛り土」の崩壊がもたらした「人災」だった。被災した住民は「盛り土」の存在をほとんど知らず、一夜にして日常を奪われた。背景にあったのは悪質な残土ビジネス。行政の対応にも問題があった。全国各地には同様の危険な「盛り土」が存在する。この悲劇を二度と繰り返さないために真相を究明し、浮き彫りになった課題や教訓を防災に生かさなければならない。静岡新聞社が総力を挙げて土砂災害を取材、2022年度新聞協会賞を受賞した長期新聞連載を書籍化した。

この本の元になった静岡新聞の連載記事
「静岡新聞社のキャンペーン連載「残土の闇 警告・伊豆山」は、2021年7月3日に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流災害に関し、歴史ある信仰の地だった伊豆山に土砂が盛られていった経緯や土地所有者の業者と行政の〝攻防〟、土石流を目の当たりにした発災当日の住民や行政の動き、犠牲者遺族の苦しみ、復興を目指す被災者らの取り組みなどを全36回の連載で追いました。」


2023年2月14日火曜日

【おすすめ度○】詫摩佳代『人類と病』中公新書, 2020年

国際政治の観点からから見る感染症と健康格差の問題を分析している。感染症の問題が、科学的な面だけでなく、政治・経済と密接に関係していることがわかる。 内容:感染症との戦い(ペストとコレラ) 世界大戦と感染症 第2次世界大戦における薬の活躍 国際保健協力 感染症「根絶」の取り組み(天然痘、ポリオ、マラリア) 新たな脅威と国際協力の変容(エイズ、エボラ、新型コロナ) 生活習慣病対策の難しさ 禁煙条約とたばこ規制 糖分摂取規制 医薬品アクセスを巡る問題 顧みられない熱帯病

出版社ページより紹介を引用
人類の歴史は病との闘いだ。ペストやコレラの被害を教訓として、天然痘を根絶し、ポリオを抑え込めたのは、20世紀の医療の進歩と国際協力による。しかしマラリアはなお蔓延し、エイズ、エボラ出血熱、新型コロナウイルスなど、新たな感染症が次々と襲いかかる。他方、現代社会では、喫煙や糖分のとりすぎによる生活習慣病も課題だ。医療をめぐる格差も深刻である。国際社会の苦闘をたどり、いかに病と闘うべきかを論じる。
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2020/04/102590.html



【おすすめ度○】ピーター・シュライバー『BAD DATA 統計データの落とし穴』ニュートンプレス, 2021年

不適切な統計利用がどのような問題を引き起こすか、実例をもとにして説明する良書。日本でも誤った統計利用によって不適切な結論を導いていることは頻繁に見かけるので、改めて統計利用のあるべき姿を考えてほしい。 内容:誤った統計指標による評価の弊害 アトランタ成績改竄スキャンダル ベトナム戦争におけるデータの誤用の弊害 「割れ窓理論」とニューヨーク犯罪統計偏重の弊害 誤ったデータによる評価が人間心理(モチベーション)に及ぼす悪影響

出版社ページより紹介を引用
 今日あらゆる組織に深く浸透している「測れなければ,管理できない」という理念は,真実でしょうか? 業績を数値化することに固執するあまり,非生産的で有害な慣習を生み,大切なことが見落とされていると都市計画の専門家である著者は警鐘を鳴らします。
 本書では,データや数値目標の重視によって,さまざまな分野(教育,医療,ビジネス,警察や軍などの行政など)で起きている測定値の改ざんや評価指標の誤りを指摘し,従来の統計学やデータ科学のほとんどが見落としていた「私たちが測定しているものは本当に重要なのか?」について豊富な事例を挙げて検証します。  また,章の後半では適切なデータ活用によって,よりよい結果をもたらした組織やシステムについても考察し,正しく評価指標を用いるための14 の教訓を示します。
  データ重視の社会で真に必要な力が身につく本書は,あらゆる分野の管理職をはじめ,現代の情報社会に生きるすべての人に読んでいただきたい一冊です!

【おすすめ度◎】丸山康司編著『どうすればエネルギー転換はうまくいくのか』新泉社, 2022年

再生可能エネルギー導入の際の問題点を多角的・実践的に解明する良書 内容:エネルギー転換と「厄介な問題」 太陽光発電の地域トラブルと自治体の対応 風力発電所の立地をめぐる問題 持続可能なバイオエコノミーの成長管理に向けて 「土地問題」としてのメガソーラー 風力発電に伴うリスクの哲学と倫理 再生可能エネルギーの市場化とドイツにおけるコミュニティ・パワーの課題 スコットランドにおける再生可能エネルギーがもたらすコミュニティの再生 生活クラブの再生可能エネルギーの取り組み 省エネ改修を通じた持続可能なまちづくり 雪冷房の現状と未来 薪利用の意義と課題 自治体が直面するエネルギー転換の課題 メディエーターの戦略的媒介による地域の意思決定支援 世代間公正と世代内公正の相克 ドイツ「石炭委員会」の模索 デジタル化を活用したエネルギービジネス エネルギー転換をうまく進めるために

出版社ページより紹介を引用
〈再エネ導入をめぐる問題群を解きほぐす〉
エネルギー転換は誰のためになぜ必要で、どうすればうまくいくのか。
再生可能エネルギーの導入に伴って引き起こされる、地域トラブルなどの「やっかいな問題」を社会的にどう解決していくべきなのか。
現場での成功や失敗から学び、実践的に考える。

〈持続可能な再エネ社会をどうつくるのか——〉
再生可能エネルギーは大量導入の時代を迎えつつある。その一方で、立地地域において摩擦を引き起こしたり、事業計画への賛否が地域社会の分断をもたらすといった種々のトラブルも発生している。
立地地域には固有の事情や社会的文脈がある。関わっている人も異なれば、自然環境や社会状況も多様である。固有性の尊重を心がけ、「公正さ」と「信頼」の構築に向けた試行錯誤を積み重ねることが、問題を解きほぐす可能性を生み出し、持続可能な社会の実現への一歩となる。

2023年2月11日土曜日

【おすすめ度○】ポール・シャピロ『クリーンミート』日経BP, 2020年

アメリカの培養肉ビジネスの現状の紹介 食品だけでなく、細胞工学による皮革の合成なども取り組まれていることが分かる。この本を読むと、そう遠くない将来に、少なくとも先進国では、現在の「畜産」はなくなるかもしれないと思われる。
「培養肉」という食欲を失わせる名前が普及してしまったのは大失敗だったという指摘は面白い(だからこの本の題名も「クリーンミート」)。遺伝子組み換え食品が日本や欧州で拒絶されたのに、いまのところゲノム編集食品に対する拒絶が見られないのをみても、どういう名前を付けるかを含めて、マーケティング戦略は重要。

出版社ページより紹介を引用
クリーンミートとは動物の細胞から人工培養でつくる食肉のこと。
成長ホルモン、農薬、大腸菌、食品添加物に汚染されておらず、一般の肉よりはるかに純粋な肉。培養技術で肉をつくれば、動物を飼育して殺すよりも、はるかに多くの資源を節減できるうえ、気候変動に与える影響もずっと少なくてすむ。そして、安全性も高い。2013年に世界初の培養ハンバーグがつくられ、その後もスタートアップが技術開発を進めている。
これはもはやSFではない。
シリコンバレー、ニューヨーク、オランダ、日本など世界の起業家たちがこのクレイジーな事業に大真面目に取り組み、先を見据えた投資家たちが資金を投入している。
フードテックの最前線に迫る!


【おすすめ度○】藤井良広 編著『待ったなし! エネルギー&カーボンマネジメント』日刊工業新聞社, 2012年

大転換するエネルギー・マネジメントとカーボン・マネジメントの解説書。良書だが、内容がやや古くなっている(これはパリ協定前の本)なので総合評価は◎でなく○にした。 内容:E&Cマテリアリティの把握(環境会計) 規制リスクとE&マネジメント 拡大するオフィスビルのE&Cマネジメント 物理リスクと企業立地戦略の展開 E&Cマネジメントで生かす「見えるか」の手法 カーボンマネジメントを促進するNGOの活動 E&Cを格付け E&Cマネジメントを支える保険・リスクマネジメント

出版社ページより紹介を引用
今、企業は、規制リスクへの対応、効率的な生産コストの構築、新たなカーボン配慮製品の開発、カーボンの市場での売買など新たなビジネスチャンスを先手必勝でとる経営判断が求められる。本書は、このマネジメントの論点を整理、事例を通じて、企業戦略立案に具体的に役立つモノとしている。



2023年2月7日火曜日

【おすすめ度○】山本章子・宮城裕也『日米地位協定の現場を行く』岩波新書, 2022年

「米軍基地のある街」のルポルタージュ 米軍基地(および米軍と共用されている自衛隊基地)がどのような問題を引き起こしているかを明らかにし、日米安保条約や「日米地位協定」の問題点が米軍基地問題の原因であることを指摘している 取り上げられている基地は以下の通り:三沢(青森) 首都圏(横田・厚木・横須賀) 岩国(山口) 築城(福岡) 新田原(宮崎) 馬毛島(鹿児島) 嘉手納(沖縄)

出版社ページから紹介を引用
繰り返される事故や騒音被害……「国の専管事項」である安全保障が日常を脅かす。その実態に迫る。
なぜ日本では米兵の犯罪を取り締まることができないのか。なぜ騒音被害や環境汚染を止められないのか。なぜ基地のそばで暮らしているというだけで数多くの悩みを抱えねばならないのか。――積み重なる「なぜ」の原因は日米地位協定にある。「国の専管事項」である安全保障が私たちの日常を脅かす。その実態と原因に迫る。





2023年2月4日土曜日

【おすすめ度○】リチャード・エバーシェッド『食品偽装を科学で見抜く』日経BP社, 2019年

食品偽装の手口と、それを見抜くための科学的手法を紹介していて面白い。 内容:食用油、水産物、牛肉、ミルク、スパイス、ワイン、野菜などの偽装の手口と対策 分析化学 同位体分析 タンパク質組成(プロテオミクス) DNA(ゲノミクス) メタボロミクス

出版社ページから紹介を引用
ニセ食品を見破るプロが、本物を選ぶためのスゴ技伝授!
食べ物をめぐる信じられないほど多様で複雑な状況のなかで栄養を取るために、わたしたちは製品のラベルに表示されている情報を信用せざるをえない。
もちろん、理解できるかどうかは話が別だ。しかし、実際にわたしたちにできる行動もある。この本を開き、食品偽装の世界では何が可能なのか、偽装はどう実行され、どのように発見され、どうしたらだまされずに済むのかを知ってほしい。そうして、賢い消費者になってもらいたいというのが著者たちの願いだ。

何を口に入れるのか、よい選択をしよう!
私たちが複雑きわまる食文化の中で暮らしている、という事実は否定しようもないがだからといって無力なわけでは決してない。
道路を横断する前に左右をよく見たり、日焼けから身体を守ったりするように、食品選びでもリスクを最小化するために、主体的に行動することができる。
食品中に含まれる化学物質は、食べれば身体の一部となる。
私たちは自分の身体に入れるものについて、受け身でいてはいけない。
食品生産・流通システムには私たちに決められないことがたくさんあるが、何を口に入れるかは自分たちで決めることはできる。
よい選択をしよう!


2023年2月3日金曜日

【おすすめ度☆】北村厚『20世紀のグローバル・ヒストリー』ミネルヴァ書房, 2021年

人種主義と虐殺に関する記述がやや多い気がするが、全体的にはバランスが取れた現代史の入門書。たくさんの本を読む時間のない理系の学生が、「とりあえず一冊読む」のにいい本。

出版社ページより紹介を引用
高校歴史教科書の知識をベースに、西洋史・東洋史と日本史を結びつけ、複雑に入り組む20世紀の歴史を同時的に描く。人種主義やジェノサイドなど、人類共通の問題群を主軸に据え、各国の視点からではなく、世界史上の出来事のトランスナショナルな関係性を重視するグローバル・ヒストリーの視点から、世界現代史の再構築を試みる。大人が学び直すための世界現代史入門として最適。

[ここがポイント]
◎ 高校歴史教科書をもとに、20世紀の世界史をグローバルヒストリーの視点で読み解く。
◎ 歴史教育の高大連携、新科目「歴史総合」を見据えた世界現代史を捉える。
◎ 高校生や大学生だけでなく、薄くなりがちな20世紀の知識定着を図るのに最適な1冊。