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2023年1月30日月曜日

【おすすめ度○】柴田晋吾『環境にお金を払う仕組み』大学教育出版, 2019年

生態系サービスPESの概説書 PESの事例が豊富 内容:世界の環境資源管理政策とPESスキーム PESの理論と実際 欧米諸国等における取り組み事例から 政府による支払 民間による支払 取引・オフセットのスキーム PESスキームの課題と持続可能な地域づくり

出版社による紹介の引用
環境を守りつつ、同時に持続可能な発展を実現するための革新的な取り組みとして注目されているPES(生態系サービスへの支払い)の台頭の背景と世界各地での取り組み状況を分かりやすく解説する。
本書は、PESの研究者が世界中の先行事例を分かりやすく説明。上流の森林づくりに貢献して社会的責任を果たす時代に向けた私たちの教科書です。


2023年1月28日土曜日

【おすすめ度○】井熊均『ゼロカーボノミクス』日経BP, 2021年

脱炭素政策による経済・産業への影響の考察 ただし「トヨタはEVの波にのるな」という著者らの主張には賛成できない。 内容:脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボン時代の幕開け 中国のゼロカーボン宣言の衝撃 パリ協定が広がった理由 産業革命としてのゼロカーボン 中国のゼロカーボン政策(エネルギー、EV、スマートシティ、デジタル) アメリカは覇権を保てるのか ゼロカーボン技術 日本のゼロカーボン戦略 トヨタはEVの波にのるな

出版社ページでのこの本の紹介
「なぜトヨタが、あそこまで焦るのか--。それはカーボンニュートラルがこれまでのビジネスルールを一変させ、既存産業を崩壊させるからだ。事業環境を壊す気候変動、企業を追い込むESG潮流、脱炭素市場での中国の独走…。
本書が綴る現実は、21世紀の企業の盛衰は脱炭素が握ることを示している。新たな経済競争「ゼロカーボノミクス」の勃興を直視し、今すぐ動き出さなければ日本企業に未来はない。」

【おすすめ度☆】生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる 新版』家の光協会, 2018年

高校生からの食と農の経済学入門 食糧危機 食糧貿易 自給率 土地利用型と集約型 農業保護の是非 担い手の問題 農業の多面的機能などがカバーされている良い入門書 内容:食料危機は本当にやってくるのか 「先進国=工業国、途上国=農業国」は本当か 自給率で食糧事情は本当に分かるのか 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか 食料は安価な外国産に任せて本当に良いのか

書評

「田舎の本屋さん」(農山漁村文化協会)ウェブサイトから紹介を引用
12刷を誇るロングセラーの改訂版!これ一冊で、世界の食料、日本の農業、毎日の食生活のつながりがよくわかる。
学校の授業形式で解説するので、予備知識があまりなくてもわかりやすい!




2023年1月27日金曜日

【おすすめ度☆】村上弘『日本政治ガイドブック 民主主義入門』法律文化社, 新版2018年

政治に関する基本的なポイントを簡潔明瞭に説明している教科書。物事の見方がやや単純化されすぎではないか?と感じる点もなくはないが、細かいことまで正確に説明しようとすると説明が過度に複雑になってわかりにくくなってしまうので、ある程度まで単純化されるのはやむをえない。この本は「わかりやすさ」と「正確さ・複雑さ」のバランスが取れていると思う。

内容:
・政治学入門と政治のキーワード(政治とは何か、権力・影響力・権威、国家の必要性とリスク、立憲主義、政府機構、政治参加・政党・有権者、民主主義、保守とリベラル、公共性、政治的リーダーシップ、国際関係と国際政治、戦争と平和、安全保障と軍事力)
・日本政治の基礎知識(政府と国会、政党・選挙と政治参加、内閣と行政、地方自治、政治の理念と座標軸)
・民主主義とポピュリズム 日本の選挙と政党システム 改憲の争点と政治過程

出版社ページより紹介を引用
日本政治を捉えるためのガイドブック。基礎知識を丁寧に概説したうえで、政治的争点につき賛否両論をわかりやすく整理のうえ概説する。政治の基礎を学ぶための「政治学入門」36頁を新たに追加。




2023年1月16日月曜日

『おすすめ度○』スティーヴン・ワインバーグ『科学の発見』文藝春秋, 2016年

著者の本業はノーベル賞を受賞した物理学者。著者は、過去の自然科学に関する研究を、現代的な「科学的研究方法」に従っていたかという観点から検討する。この本は、科学の歴史の本というより、近代以前の自然研究を題材にして「科学研究とはどういう行為か」を考えるための本である。著者によれば、古代ギリシアの哲学者のうち、デモクリトスの原子論やアリストテレスの自然哲学は「科学的研究方法」に全く従っていないので、彼らの主張がたまたま現代の科学と似ていても、本質的に科学とは無関係である。ただし著者は古代の研究をすべて否定しているわけではなく、(一例を挙げれば)アルキメデスは現代の科学と共通する面があることを指摘している。なお著者は数学と自然科学の違いも強調している。
 また著者は、アリストテレスに代表される非科学的な思考方式が近代初期まで強い影響力を維持し続け、科学研究の発展を妨害されてきた一つの原因として、キリスト教やイスラム教などの宗教を挙げている。科学的研究によって明らかにされた事実が宗教の教義の誤りを明らかにするものであったため、宗教は、時には陰湿な方法で科学研究を妨害し、時には公然と科学者を弾圧していた(ガリレオの場合など)。

出版社ページより紹介を引用「1979年のノーベル物理学賞を受賞した著者が、テキサス大学の教養課程の学部生にむけて行っていた講義のノートをもとに綴られた本書は、欧米で科学者、歴史学者、哲学者をも巻きこんだ大論争の書となった。「美しくあれかし」というイデアから論理を打ち立てたギリシャの時代の哲学がいかに科学ではないか。アリストテレスやプラトンは、今日の基準からすればいかに誤っていたか。容赦なく現代の科学者の目で過去を裁くことで、「観察」「実験」「実証」をもとにした「科学」が成立するまでの歴史が姿を現す。」



2023年1月9日月曜日

【おすすめ度○】デビッド・ロスコフ『超・階級』光文社, 2009年

グローバル・パワー・エリート(世界規模の超富裕層、著者はグローバル・パワー・エリートは全世界で約6000人と推定している)のネットワークと、彼らへの過度の権力集中の実態を、膨大な取材に基づいて描いている。 内容:スーパークラスに会ってみる、それぞれが百万人に一人の逸材 不平等な世界 歴史の教訓とエリートの興亡 多国籍化の時代 金融と経済がすべての中心になった時 グローバリスト対ナショナリスト グローバルなテロのネットワーク 情報と知識の力 スーパークラスのメンバーになる方法(スーパークラスの親睦組織) スーパークラスと世界はこれからどうなるか

【「TRC MARC」の商品解説】世界は6000人のスーパークラス(超権力者階級)に支配されている。彼らは誰で、かつての権力者たちと比べてどう変わったのか。一般市民とどう違うのか−。“権力共同体”の内幕を初めて明かすhttps://honto.jp/netstore/search/au_1000957894.html




2023年1月8日日曜日

【おすすめ度●】原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会編『東京湾の原子力空母』新泉社, 2008年

2008年にアメリカ軍の原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に配備されるときの反対運動の取り組み(現在は横須賀に配備されている原子力空母はロナルド・レーガンに交代している)。ジョージ・ワシントン、ロナルド・レーガンともに熱出力で110万キロワットという、小規模な原子力発電所に匹敵する出力がある。そのような規模の原子炉が、日本政府による安全審査を全く受けないまま、人口密集地である横須賀に配備されていることは、もっと周知されてよい。 内容:なぜ横須賀に原子力空母なのか 空母原子炉の特性と危険性 大地震と原子力事故 母港化をやめさせるには

出版社ページより紹介を引用「熱出力60万キロワットの原子炉を2基搭載した原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に配備される。日本政府は「原子力空母の安全性は保証されている」として合意したが、原子力艦船の事故は実際に起こっており、しかも横須賀がある三浦半島は日本列島のなかでも主要な活断層が走る地域だ。空母原子炉の危険性、原子力事故が起きた場合の被害を解説し、母港化をやめさせるための地元市民の活動を紹介する。
 2008年9月、横須賀米軍基地に原子力空母ジョージ・ワシントンが配備される。搭載されている2つの原子炉は軍事機密のなかで安全審査もなく、安全性が疑問視されている。横須賀の活断層問題、浦賀水道の過密航路問題などを含めて、この原子炉の情報と危険性をわかりやすく解説する。」


google mapより、横須賀に駐留する原子力空母「ロナルド・レーガン」



2023年1月4日水曜日

【おすすめ度○】ジェイ・ハーマン『自然をまねる、世界が変わる』化学同人, 2014年

バイオミミクリー(生物の形態や化学物質から、有用な商品・ビジネスを作り出す技術)が起こすイノベーションについて書かれている。著者は起業家で、ビジネスのノウハウについての記述が多く、それも興味深い。

出版社ページより紹介を引用「なぜマルハナバチは,ボーイング747より優れた空気力学をもつのか? チョウの羽のデザインは,どのように世界の光熱費を下げることができるか? 生物の形態・性質を技術に応用するバイオミミクリー(生物模倣)が,環境に配慮し,ビジネスにもなる新発想として注目を集めている.発明家として実業家として,バイミミクリーに基づく新製品を世に送り出してきた著者が,驚きの実例の数々と,ビジネスに成功する秘訣を明かす.」



【おすすめ度☆】河合亮平『なんでやねんを英語で言えますか』KADOKAWA, 2016年

「なんでやねん」などの関西弁を英語で表現する方法を説明している。英語の口語的表現の参考になる。同時に関東人が関西弁を知るのにも役立つ(むしろこちらが重要かも)。

出版社ページより紹介を引用「母語を通じて英語を学びたい関西人、関西弁と英語をダブルで学びたい全ての日本人、そして、関西弁を学びたいすべての外国人に捧ぐ、比類なき一冊。(*全編バイリンガル仕様)
「なんでやねん」「あかん」「アホくさ」など、呼吸と等しく使う50の「めっちゃ使うフレーズ」をイラスト&ダイアログつきで紹介! ドタマからおいどまでオール関西弁の参考書。めっちゃテストに出るで! 知らんけど。」


【おすすめ度☆】羽生田慶介『すべての企業人のためのビジネスと人権入門』日経BP, 2022年

なぜビジネスにとって人権が重要なのか、国連の「ビジネスと人権」指導原則をはじめとする世界の動向をわかりやすく説明している。 内容:なぜ今「ビジネスと人権」なのか 立ち遅れる日本 失敗事例に学ぶ「ビジネスと人権」 この10年で急整備された「ビジネスと人権」のルール ゼロから始める人権対応アクションプラン 「人権ビジネス」のフロンティア

出版社ページより紹介(一部)を引用
「世界では、企業の「人権リスク」に対して厳格に対処するためのルールづくりが着々と進んでいる。しかしつい最近まで、日本企業の「人権」対応の取り組みは、とても遅れていた。国際NGOが発表している人権対応スコアでは、名だたる日本を代表する企業が軒並み「ほぼ0点」の扱いを受けている。国連の持続可能な開発目標(SDGs =サステナブル・ディベロップメント・ゴール)の各項目に対する意識調査によると、日本は「人権」に対する意識が希薄だ。
 本書を手に取った皆さんの中には「そうは言っても、人権がどう自社のビジネスに関係するのかイメージが湧かない」という人がいるかもしれない。「人権リスク」はビジネスの特別な場面ではなく、ごく日常に潜んでいる。本書は、企業が「ビジネスと人権」に取り組むための基礎知識と、具体的な実践方法、さらには「人権リスク対策」を通じてビジネスを拡大するためのヒントをまとめた。」


【おすすめ度○】石原理『生殖医療の衝撃』講談社現代新書, 2016年

生殖医療の新しい技術が社会に及ぼす影響を分かりやすく説明している。 内容:世界を変えた3つの技術革新(顕微授精、胚凍結、胚培養) 精子バンク 卵子の需要と提供 性同一性障害 生殖医療の「革命前夜」 禁断のDNA編集 遺伝子のポリティクス 生命倫理と法制度とのギャップ

出版社ページより紹介を引用「1978年7月25日体外受精による子ども、ルイーズ・ブラウンさんが英国で誕生してから30余年。生殖医療の世界では、「生殖革命」ともいえる技術革新が相次ぎ、いまや日本で生まれるこどもの約32人に1人は、出生前に-196℃液体窒素タンクで凍結保存されている。いま生殖医療は新たなるフェーズに進み、遺伝的親が3人存在することになるミトコンドリア移植、子宮移植が現実のものとなり、iPS細胞を用いた精子や卵子の作成技術の確立も目前に迫っている。第二次生殖革命前夜ともいえる様相を呈している最新事情を紹介するともに、精子バンクや卵子バンクなど生殖医療ビジネスや生命倫理との相克などを鋭くレポートする。」


【おすすめ度○】新藤宗幸『原子力規制委員会』岩波新書, 2017年

原子力規制員会の仕組みと問題点を詳細・多角的に説明している。この本での問題点の指摘はもっともなのだが、一方で原子力規制委員会はかつての原子力安全委員会や原子力安全・保安院に比べればはるかに厳しい規制を行っているので、なぜ厳しい規制が可能になったのかの分析もしてほしかった。 内容:原子力規制委員会はいかに作られたのか 原子力規制委員会とはどのような組織なのか 行政委員会とは何か 原子力規制委員会は「使命」に応えているか 裁判所は「専門家」にどう向き合ったのか 原子力規制システムはどうあるべきか

出版社ページから紹介を引用
「福島第一原発の事故をきっかけに作られた原子力規制委員会は,「世界一厳しい」と称する新規制基準によって再稼働審査を行っている.政権や経済界からのプレッシャーを前に,独立性と中立性を維持できているだろうか.行政学の観点からその組織構造と活動内容を批判的に検証し,原子力規制システムはどうあるべきかを考える」


【おすすめ度●】市川浩『ソ連核開発全史』ちくま新書, 2022年

これまであまり知られていなかったソ連の核開発(核兵器と原子力発電の両面)をコンパクトに概観できる良書。冷戦下のソ連が何を考えていたのかを知ることができる。 内容:冷戦の勃発と核兵器開発の発端 核兵器体系の構築 ウラン資源開発・ミサイル・原子力潜水艦 ソ連の放射線防護 米ソの「サイエンス・ウォー」 ソ連版「平和のための原子」と原子力平和利用 ソ連の原子力発電開発 東側「同盟国」への原子力技術提供 ソ連解体後にビジネス化する原子力

出版社ページから紹介を引用
「第二次世界大戦後、大規模な軍拡競争を伴う東西冷戦下のソ連において推進された原子力政策は、人類史をどう変えたのか。最初期の放射線研究、史上最大の水爆実験から、世界初の原子力発電所稼働、東側同盟国への技術提供、原子力ビジネス、そして史上最悪のチェルノブイリ原発事故に至るまで。危険や困惑を深めながらも試行錯誤を重ね、科学者・技術者を総動員して推し進められた知られざる数々のプロジェクト。現代ロシアの基礎をなすその計画の全貌に迫る、はじめての通史。」