注目の投稿

【まとめ】このブログ全体のまとめです。

紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 気候変動問題に関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 地域づくりと地方自治に関する本 水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本 原子力と核兵器に関する本 陰謀論、...

2025年8月28日木曜日

【おすすめ度☆】日本有機資源協会『バイオマスプラスチック 基礎から最前線まで知りつくす』環境新聞社, 2022年

バイオマスプラスチックの概説書 内容:そもそもバイオマスとは プラスチックってどんなもの バイオマスプラスチックについて知ろう バイオマスプラスチックの種類と使い道 原料の生産現場(サトウキビ、トウモロコシ、ひま、バイオナフサ) バイオマスプラスチックの製造 バイオマスプラスチック製品 環境配慮 リサイクル方法と優先順位 技術開発の歴史と展望 国の戦略や取り組みなど

出版社ウェブサイトから紹介を引用
日用品から衣服まで、私たちの暮らしにマストなアイテムであるプラスチック。今、その環境問題がクローズアップされている。脱炭素に近づくためには、プラスチックの原料をできるだけバイオマス由来のものに切り替えることが有効である。
バイオマスプラスチックの基礎的な知識を専門家が分かり易く紐解き、未来を拓く技術開発・普及に挑む最前線を紹介しています。一人一人がよく学び、スマートに行動することによって、SDGsへ貢献し、私たちの地球は輝き続けることができる。


2025年8月27日水曜日

【おすすめ度○】日本弁護士連合会 公害対策・環境保全委員会『原発事故と私たちの権利 被害の法的救済とエネルギー政策転換のために』明石書店, 2012年

福島第一原発事故をはじめとする原発訴訟と被害救済を中心にしながら、日本における原発推進の背景、核燃料サイクルと放射性廃棄物の処分問題、海外の原子力政策・エネルギー政策など幅広く目配りした良書。2012年の本なので統計数値は古くなっているが、ほとんどの論点は古くなっていない(つまり2012年以降、本質的に状況が進歩していない)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
2011年3月11日の東日本大震災に伴う原発事故は、甚大な人権侵害を引き起こしている。日弁連は同年7月、原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書を発表した。本書は、脱原発に向け法的に何ができるか、弁護士の立場からまとめたものである。

【おすすめ度○】富樫貞夫『<水俣病>事件の61年 未解明の現実を見すえて 』弦書房, 2017年

水俣病研究班の歴史、熊本大学をはじめとする「水俣病」の医学研究の問題点(現地調査に基づく疫学的研究の軽視)、認定と診断の違い、水俣病「最終解決」の問題点、チッソの倒産処理と補償責任など重要な論点を深く掘り下げている。この本の内容は高度であり、水俣病についてのかなりの専門知識がないと理解できない部分が多いだろう(それどころか知識の不十分な人が読むと、まるで医学者たちがまったく的外れな研究をやっていたかのように誤解する恐れもある)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
ひとつの公害病として、水俣病が公式に確認(1956)されてから今年(2017)で61年がたつ。この間、水俣病闘争、見舞金契約、認定問題など政治的社会的にさまざまな動きがあった。それは今も続いており、胎児性水俣病などを含めて世界的に水銀汚染が問題になっている。しかし、水俣病はその大半が未解明のままなのである。本書は、初心者も含めて、「水俣病」の病名、メチル水銀汚染の海域の範囲、毛髪水銀値からみた健康影響、社会的な「認定」と医学的な「診断」の違いなど未解明の問題点を講義した、その記録集。


2025年8月25日月曜日

【おすすめ度○】藤井良広『サステナブルファイナンス攻防 理念の追求と市場の覇権』金融財政事情研究会, 2021年

TCFD、グリーンボンド、タクソノミー、ISOなどの環境金融の現状。相当に高度な議論がされている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
サステナビリティの最適解はどこにあるのか
■持続可能な社会を築くファイナンスの未来の姿とは? リーマンの「敗北」とパリ協定の「希望」をつなぎ合わせられるか。バイデン政権登場で、グローバル協調に向かうか、それとも新たな競争か――。
■これから始まる“サステナブルファイナンス第二ラウンド”を目前に、環境金融の専門家である著者が、パリ協定以降欧米で繰り広げられたサステナブルファイナンスの基準をめぐる攻防や背景、多様な取組み、そして日本の動向を追う。

【おすすめ度☆】農文協 編『どう考える? 種苗法』農文協ブックレット, 2020年

ブックレットだが種苗法に関する重要事項がうまく盛り込まれている本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
種苗法とはいったいどういう法律で、改定のねらいはどこにあるのかをわかりやすく解説する。その上で、焦点となっている品種の海外流出防止と農家の自家増殖の制限をめぐる論点を整理し、両者を分けて考えることで、農家の自家増殖の権利を守る道をさぐる。その際、社会的共通資本としての農業という視点から、品種は本質的にそれを支える共有材であり、個人や企業に属する知的財産とは異なるものであるという視点に立つ。




2025年8月24日日曜日

【おすすめ度☆】小宮山博仁『知識・技能・教養を育むリベラルアーツ』明石書店, 2024年

公立高校の社会科入試問題を解きながら、社会に関する基本的な知識を解説する本。文字通りの「リベラルアーツ」に関する本ではないが、「常識」として知っておいた方がよい内容。ただし細かく見ると不十分なのではないか?と感じるところもある(使用している材料が公立高校入試、つまり内容としては中学校レベルなので、不十分なところがあるのはやむをえないが)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
社会に出てからも役立つ能力とはどのようなものか。身近な問題から歴史や文化、グローバルなテーマまで、「教養」の基礎となる課題を、公立高校の社会科入試問題を取り上げながら丁寧に解説し、庶民のための「世の中を知るための学び」のあり方を模索する。

2025年8月20日水曜日

【おすすめ度☆】エネルギー総合工学研究所『図解でわかるカーボンニュートラル 脱炭素を実現するクリーンエネルギーシステム』技術評論社, 2021年

カーボンニュートラルについて基本的な内容を解説する本。 内容:再生可能エネルギー 原子力の未来(推進派) カーボンニュートラルで炭素資源を上手に利用する 電力システムの改善 水素エネルギーへの期待と見通し 蓄エネルギー ネガティブ・エミッション技術 運輸・民生・産業の取り組み カーボンニュートラルに取り組み事例 サステナブルファイナンスとカーボンニュートラルなど。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
2020年10月の菅総理の所信表明演説で「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素」を宣言、今年4月の気候変動サミットで温室効果ガス46%削減を表明したことにより、エネルギー事業の方向転換を迫られています。
その中でも最重要なカーボンニュートラルとは何か? 水素・再生可能エネルギーを活用するなどCO2(二酸化炭素)の排出量を極限まで抑え、カーボンリサイクルで排出されるCO2を循環させるなど、排出量を実質ゼロにするクリーンエネルギーシステムです。
世界が水素や再生可能エネルギーなどのグリーンエネルギーに舵を切る中、遅れをとっている現在の日本のエネルギー動向を踏まえ、カーボンニュートラルを実現するために必要な技術、これから具体的に何をしなければならないのかを国のエネルギー技術戦略策定や、さまざまなエネルギー分野の調査研究を受託するエネルギー総合工学研究所の博士たちがわかりやすく解説します。
既刊の「図解でわかるカーボンリサイクル」もあわせて読むことで一層、理解が深まります。

こんな方にオススメ
・脱炭素を目指すためのカーボンニュートラルについて知りたい方
・カーボンニュートラルを実現するために、どんな技術や実践方法があるのかを知りたい方



【おすすめ度○】エリノア・オストロム『コモンズのガバナンス』晃洋書房, 2022年

コモンズのガバナンスの理論分析と実証の本。カリフォルニアの水問題の例が多いが、もともとそこは先住民が住んでいた地域であり本来の「コモンズ」を破壊して作られた社会組織だという視点は欠如している。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
政府でもなく、市場でもない、コモンズの可能性
人びとが共有する資源(コモンズ)の安定的な管理には、政府の介入か私有化しかないという定説に異を唱え、人びとによる自治が着目されるさきがけとなった不朽の名著。2009年ノーベル経済学賞受賞、待望の翻訳!



2025年8月18日月曜日

【おすすめ度◎】ロブ・ダン『世界からバナナがなくなるまえに』青土社, 2017年

バナナ、ジャガイモ、キャッサバ、カカオなど重要な作物で、遺伝的にほぼ同一な単一品種の大量栽培がおこなわれているが、同一品種の大量栽培は病気によって大量被害を受けるリスクを増大させている。そのような同一品種の大量栽培は、少数の巨大種子企業によって作り出されてきたシステムである。また、農業は生態系のシステムの中で行われるので、人間が設計した通りに機械のように動くとは限らない。単一品種大量栽培のリスクを低減するため品種の多様性が必要であり、多様性確保のための世界的取り組み(種子を保全するジーンバンク)が紹介されている。
 なお、ブラジルの左派勢力が、大地主に打撃を与えるため意図的にカカオの病気を散布したという話が書かれているが(第6章)、それに関しては証明不十分。また"extension"を「拡張」と訳しているが(313ページ)、「普及」(改良普及)の意味である。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
わたしたちはたった12種類の作物で生きている
米、小麦、砂糖、トウモロコシ、豆、ジャガイモ、ヤシ油、大麦、キャッサバ、ピーナッツ……
人間が生きるうえで欠かすことのできない主食作物が、同時多発的な病原菌や害虫の猛威に襲われたとき、わたしたちの食卓はどうなってしまうのか。大規模なアグリビジネスがもたらした悲劇、作物壊滅の危機に立ち向かう科学者の軌跡をたどりながら、いまわたしたちにできることは何か、考える。


【おすすめ度☆】林宏『はじめての人でもよく解る! やさしく学べる化学物質管理の法律 改訂版』第一法規, 2020年

少し古くなっているが、化学物質管理の特に国際的枠組みがよくわかる本 内容:化学物質管理とは何か 化学物質管理の国際的枠組み 化学物質管理の業務と法律 規制物質など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
製造業の化学物質管理担当者が、はじめに知っておきたい化学物質関連法令の基本事項を網羅した入門書。化学物質関連法令の基礎を図表等を用いてわかりやすく解説。労安法関連の改正のポイントもフォローした改訂版。
〇自社の業務がどのような法令に関係しているのか、初任者にもわかるように解説するため、業務起点で必要な法令を理解することができる。
〇化学物質に関する幅広い法令を把握するため、関連法令の第1条から解説するのではなく、化学物質の管理規則(登録、安全性評価、各国共通の事項等)の仕組み・枠組みといった全体像から解説する。また、化学物質管理の仕組みを図解等を用いてわかりやすく解説するため、時間がなくても手軽に法律の基礎を把握できる入門書となる。
〇各章のページ末尾には、法令の重要事項等をチェックリスト形式で登載するため、複雑な法令でも最低限の法令知識を簡単に確認できる。
〇労安法関連の改正と対応のポイントもフォロー。


2025年8月15日金曜日

【おすすめ度●】江田健二,出馬弘昭『蓄電所ビジネス』電気書院, 2025年

重要度が増している「蓄電」をビジネスにするノウハウに関する本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
メガソーラー(大規模太陽光発電)、洋上風力発電の次はこれだ。
系統用蓄電池、長期エネルギー貯蔵システム(LDES)が花形産業――
電気を「作る」だけではなく、「貯める」ことがますます重要になる時代に入り、蓄電池をはじめとしたエネルギー貯蔵の技術やビジネスの可能性は、日々広がりを見せています。
 本書は、そのバイブルとなり得る一冊です。



【おすすめ度○】 イェルク・スヌーク,ステイファン・ファン・ロンパイ『世界の食はどうなるか』原書房, 2024年

「食の未来学者」による食品ビジネスの将来予測 培養肉や3Dプリント、ベジフードなどの技術革新 フードロス対策など環境対応 サプライチェーンの変革など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
新しい食品トレンドと課題について現状を徹底分析し、具体的事例とともに、アイディアとヒントを提示。食品ロス、ハイブリッド市場、スーパーマーケットの変革など、グローバルな食品システムの未来と変革を知るための必読書。



【おすすめ度☆】藤本峰雄,松田有希,丸田昭輝『いちばんやさしい脱炭素社会の教本』インプレス, 2022年

「脱炭素」に関する57のトピックについて簡潔に解説する本。 内容:脱炭素社会とは何か 脱炭素をめぐる国内外の動きと脱炭素経営 エネルギー使用の実態把握と削減 電力の脱炭素化の仕組み で津炭素・低酸素に向かうエネルギーシステム 植林、森林保全、CCS、カーボンクレジット取引など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
今知るべき地球の課題と未来のエネルギー
 脱炭素、カーボンニュートラル──いま世界では脱炭素に向けた取り組みが始まっており、日々、新聞報道やニュースで話題になっています。脱炭素や気候変動対応、環境問題を考えることはもはや一部の人だけのものではなくなっています。そこで本書は、「脱炭素とは何か」「脱炭素を実現しないとどうなるのか」といった概要からはじまり、脱炭素を巡る世界の潮流や注目される新エネルギーについて、業種別の脱炭素への取り組み事例などを交えて網羅的に解説しています。印刷には環境に配慮した用紙とベジタブルインクを使用しています。

【おすすめ度●】尾林芳匡『自治体民営化のゆくえ 公共サービスの変質と再生』自治体研究社, 2020年

PFIや指定管理など、「自治体民営化」の実例と問題点の分析 内容:自治体民営化を進める法制度 PFIの現状と課題 公の施設の指定管理者 地方独立行政法人 民営化の問題点と守られるべき公共サービスの質

出版社ウェブサイトから紹介を引用
住民のための公共サービスを求めて
 自治体民営化はどこに向かっていくのか。政府は公共サービスの民営化を進める法律を次々とつくり、住民をないがしろにした企業偏重の政策を展開している。PFIや指定管理者制度、地方独立行政法人等の仕組みと問題点を明らかにして、役所の窓口業務、図書館を初め公共施設の実態、そして医療、水道、保育の現状を検証する。公共サービスの変質を指摘し、主権者である市民による再生への取組みを紹介。

2025年8月11日月曜日

【おすすめ度○】菅沼栄一郎・菊池明敏『水道が危ない』朝日新書, 2019年

著者の菅沼氏は元朝日新聞記者、菊池氏は元岩手中部水道事業団の企業団長。ダム過剰と水道の経営危機の現地ルポルタージュ。胆沢ダムの「建設仮勘定」廃止問題も取り上げられている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「日本の安全と水道は問題なし」は幻想だ。地球二回り半分の老朽水道管と赤字にまみれ全国各地の水道事業は破綻寸前。現地をつぶさにルポし、怖くて誰も語らない実態を暴露し処方箋を探る。これ一冊で、地域水道の問題が丸わかりする。


【おすすめ度○】六辻彰二『日本の「水」が危ない』ベスト新書, 2019年

日本の水道事業の現状と、水道法改正によって新しく導入されたコンセッション方式について概説する本。 内容:改正水道法とコンセッション方式の概要 世界の水道民営化の現状、先進国と発展途上国の事例 日本の水道事業の問題点とコンセッション導入の可能性 世界の大規模水企業(水メジャー)など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
昨年(2018年)12月に水道事業を民営化する「水道法改正案」が成立した。
ところが、すでに、世界各国では水道事業を民営化し、水道水が安全に飲めなくなったり、水道料金の高騰が問題になり、再び公営化に戻す潮流となっているのも事実。
なのになぜ、逆流する法改正が行われるのか。
水道事業民営化後に起こった世界各国の事例から、日本が水道法改正する真意、さらにその後、待ち受ける日本の水に起こることをシミュレート。

【おすすめ度◎】ショシャナ・ズボフ『監視資本主義』東洋経済新報社, 2021年

SNSを通じて膨大な個人情報が収集されるようになっただけでなく、逆にSNSその他の「サービス」によって人間が操作されるまでになった危険性を詳しく説明する非常に重要な本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
監視資本主義という言葉を生み出したハーバード・ビジネススクール名誉教授が示す、資本主義と人類の未来のビッグピクチャー
原書は2019年に刊行され、世界的な話題書に。




【おすすめ度○】柴山哲也『なぜ日本のメディアはジャニーズ問題を報じられなかったのか 記者クラブという病理』平凡社新書, 2025年

取り上げられているのは、ジャニーズ問題(ジャニー喜多川の性加害問題)の他、松本人志問題や宝塚のいじめ自殺問題など。記者クラブ制度の問題点を考察しているが、記者クラブ以外の日本の報道の欠陥・弱点はあまり触れられていない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
巨大メディアはなぜ真実を伝えられなかったのか? ジャニーズ、松本人志事件、記者クラブなどで読み解く日本の報道がダメな理由。
ジャニー喜多川による性加害問題、宝塚歌劇団いじめ事件、松本人志問題……巨大メディアはなぜ真実を伝えられなかったのか。その裏には人権意識の不在、「記者クラブ制度」という日本独自の障壁が立ちはだかっていた。さらに近年、政権与党によるマスコミへの介入もあいまって、日本の報道の自由度ランキングは70位前後に低迷している。「外圧」でしか報じられず、権力の監視者としての存在意義すら捨てた大手メディアはもはや「底が抜けた」とすら言える。そして、記者クラブの会見では真相が伝えられないと考えた事件被害者たちは、日本外国特派員協会での記者会見へと向かいはじめた──。日本の報道がダメな理由と改善点がこの一冊でわかる!


2025年8月9日土曜日

【おすすめ度○】宮本憲一『社会資本論 〔改訂版〕』有斐閣ブックス, 1976年

「社会資本」の考え方に基づいて政府の在り方を解明する本。 内容:社会資本充実政策の登場と、社会資本の概念の吟味 社会的一般労働手段と社会的共同消費手段 独占資本段階と社会資本への転化 社会的費用と貧困化 社会資本充実政策批判 転換期の戦後日本資本主義と福祉・環境政策など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
社会的一般労働手段と社会的共同消費手段という新しい概念を導入し、わが国ではじめて社会資本の基礎理論を樹立した名著の改訂版。


【おすすめ度○】吉川祐介『限界分譲地 繰り返される野放図な商法と開発秘話』朝日新書, 2024年

荒廃する超遠隔地の分譲地、垢田県住宅公社事件、無謀なリゾートマンション開発など不動産開発の問題点。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
嘘八百・誇大広告、デタラメ営業、乱開発……
高度成長期・バブル期の仰天販売手口を紹介し、「資産価値マイナス物件」が再び分譲されている現状を明らかにする。



【おすすめ度☆】宮本憲一『日本の環境問題(増補版)』有斐閣選書, 1981年

公害問題に対する体系的考察。 内容:環境問題の政治経済学 日本公害史 現代日本資本主義と環境問題 公共事業と環境権 公害対策と費用負担 地域開発と環境保全など

出版社ウェブサイトから紹介を引用


2025年8月3日日曜日

【おすすめ度○】原子力資料情報室『原子力市民年鑑2025』緑風出版, 2025年

原発に関する広範な資料集。読者が既に原発に関する基礎知識を持っていることを前提にした本だが、この本を読で日本の原発問題の現状がほぼ把握できる。ただし、この本でも横須賀の米軍原子力空母は取り上げられていない。

著者のウェブサイトから紹介を引用
市民のための原発と原子力のデータブック『原子力市民年鑑』は原子力資料情報室スタッフによる巻頭論文に加え、原発と原子力のさまざまな最新データをテーマ別に収録しています。『原子力資料情報室通信』を読むうえでも、原発・原子力のニュースを読み解くうえでも役立つ1冊です。ぜひお手元に置いてご活用ください。

【おすすめ度☆】深田智『原子力の現在地』技術評論社, 2025年

1トピック2ページ形式で原子力の基本を説明している。中立というより推進派の立場だが、使用済み核燃料の中間貯蔵の逼迫状況(155ページ)など推進派に不都合な情報も書かれている(ただし目立たない)。 

出版社ウェブサイトから紹介を引用
本書は、放射線の発生原理や種類といった基礎知識から始まり、医療・工業・環境分野での応用、人体への影響と防護、そして原子力発電の仕組みや安全対策までを幅広く解説しています。さらに、放射性廃棄物の処理や次世代原子炉の動向までを含む構成で、科学的・中立的な立場から情報を提供しています。専門的な内容も、図解や具体例を交えて平易に説明しており、理系初心者や原子力に関心を持つ読者にとって有用な一冊です。時事的な課題にも触れながら、「原子力とどう向き合うか」を考える視点を与えてくれます。



【おすすめ度●】有馬純『トランプ・リスク 米国第一主義と地球温暖化』エネルギーフォーラム, 2017年

第1期トランプ政権の気候変動・環境・エネルギー政策の説明。内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
(このページには著者インタビューも掲載されています)
本書は、トランプ政権の内外のエネルギー・環境政策の動きとその背景、更にその影響について、わかりやすく、かつ冷静に解説された一冊です。エネルギー・環境問題は、地球レベルの課題であると同時に、各国の国益とも密接に絡んでおり、複雑な問題を多角的に捉えるヒントが散りばめられています。


【おすすめ度●】村上武士『市民にもよくわかる水道民営化 契約内容と海外の潮流』パレード, 2024年

水道コンセッションのしくみと実例

出版社ウェブサイトから紹介を引用
本書を発行した理由は、市民の方々に水道民営化(コンセッション事業)に関する深い情報を共有したいと考えたためです。この考えは、「ボリビア水紛争」を調査した経験から生まれました。
 ボリビアのコチャバンバ市は1997年に水道民営化が進められましたが、市民・NGOグループが反対し、政府と市民の間で紛争が発生しました。衝突で学生の死傷者が出たことで、反対派が優勢となり、政府は水道事業の再公営化を決定します。この結果、国際NGOは水紛争を「市民の勝利」として宣伝しました。
 しかしながら、著者が12年後にボリビアを訪問し調査したところ、水紛争は「市民の勝利」ではなく「市民の敗北」と認識するに至りました。なぜなら、政府と市民との政策争いで揺れ動いた水道事業は放置され、劣悪な給水が続く状況を目の当たりにしたためです。
 私は日本の水道民営化の議論が、ボリビア同様「市民の敗北」を招くことを懸念しています。賛成か反対かという表面的な議論に終始した場合、たとえ政治的に勝利しても、子供世代には劣化した水道施設が残される可能性があります。本書をきっかけに市民の方々が理解を深め、将来を見据えたより建設的な議論ができる様になれば大変嬉しく思います。
 国内でも水道民営化の第1号案件が宮城県で始まりました。賛成・反対だけでなく、より深い議論をするためのガイドブックです。
 この本で伝えたいことは、市民が水道民営化に興味(懸念)を持ち、それについて考えたり、話し合ったりすることは大きな意義が有るということです。市民の意向がはっきりわかれば、それに従って契約条件や企業の選定条件を決めることができ、事業が成功する確率が高まります。運営時も、市民の注目度が高ければ、企業は手抜きをせず、良いサービス提供が続くと期待できます。


2025年8月1日金曜日

【おすすめ度○】ジュリアーノ・ダ・エンポリ『ポピュリズムの仕掛人』白水社, 2025年

ポピュリスト政治家が、SNSのアルゴリズムを利用して「エリート」や外国人に対する人々の敵意を煽ることによって支持を拡大してきたという主張。アメリカとイタリアが主な事例だが(著者自身はイタリアの研究者)、イタリアでは非常に早い時期からそのようなポピュリズム(五つ星運動)が蔓延していた。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
SNSを駆使する選挙は、誰が始めた? 怒りの感情をアルゴリズムで煽り、カオスを仕掛ける人々を徹底解明。ポピュリズムの政治学。

ドナルド・トランプ大統領がぶち壊してゆく世界は、極論に満ちている。失言、論争、派手なパフォーマンスが繰り広げられ、祭りのような雰囲気が醸成されてゆく。それは、「ネットフリックスのような」政治だ。
本書には、SNSを駆使した選挙で勝利をおさめる「混沌の技師」たち(ジャンロベルト・カサレッジオ、ドミニク・カミングス、スティーブ・バノン、マイロ・ヤノプルス、アーサー・フィンケルスタイン)が次々と登場する。彼らこそが、陰謀論をつむぎ、中道を切り崩し、社会の分断を加速させ、極端な政治思想をつなぎ合わせている「ポピュリズムの仕掛人」だ。
怒りの感情をアルゴリズムで煽り、民主主義をカオスにおとしいれる人びと。その起源から戦略までが、恐いほどわかる。著者は、SNSという装置によって大衆が煽動される世界に、民主主義のカオスを見極める「量子政治学」を唱える。
あなたの投票を左右させたのは誰だ? 世界各国で選挙のたびにベストセラー! ポピュリズム政治の「舞台裏」を解明したガイドブック。