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このブログで紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 陰謀論、マスコミ、科学的認識論/科学方法論などに関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 気候変動とエネルギー・資源問題に関する本の一覧 原子力と核兵器に関する本 地...

2026年8月7日金曜日

【おすすめ度☆】阿部和穂『ゾンビドラッグが国を滅ぼす!?』武蔵野大学出版会, 2026年

薬物問題の基礎、アメリカのオピオイド問題の現状、薬物の化学など。

版元ドットコムから紹介を引用
薬物(フェンタニル)を違法に入手し、過剰摂取した人々がゾンビのように見えることから「ゾンビドラッグ」という言葉が生まれた。また、日本国内未承認の麻酔薬「エトミデート」を、電子たばこのように吸引する「ゾンビたばこ」の存在も各地で報告されている。近年、脅威となっている薬物問題について、その歴史から現状まで薬学部の教授が解説する!


2026年8月6日木曜日

【おすすめ度●】高橋晄正『薬品食品公害の二〇年』松籟社, 1993年

ミニコミ誌『薬のひろば』活動の記録。日本の薬害問題・食品汚染問題事件の百科事典のような本。改めてこの本を読むと、サリドマイドなどのような広く知られた問題のみならず、「これほどたくさんの問題が発生していたのか」と驚愕する。また、薬品メーカーからの激しい攻撃に耐え抜いた著者たちの精神力にも感服する(当時は著者たちを支える世論があったから耐えられたので、今の社会状況では難しいのではないか)。ただし、この本の性格からして当然だが、一つ一つの事件の記述は短く概要しか書かれていない。

目次
プロローグ 会の設立まで
第1部 薬品公害を追って
第2部 栄養学・その後と食品汚染を追って
第3部 食品添加物を追って
第4部 環境汚染とそれによる被害を追って
第5部 薬品・食品公害20年の回顧―私たちは何を見たか
第6部 本会の活動を支えた人びと




2026年7月27日月曜日

【おすすめ度●】樋口陽一『リベラル・デモクラシーの現在 「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで』岩波新書, 2019年

戦後民主主義とは何か、また「ネオリベラル」と「イリベラル」が拡大する中で戦後民主主義をどう守り、発展させていくのかという問題意識で書かれた本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
戦後西側諸国の共通基準であったデモクラシー像が危機に直面するなか,座標軸をどこに求めたらよいか.
戦後西側諸国の憲法の共通基準であったリベラル・デモクラシーが,「ネオリベラル」と「イリベラル」の挟撃を受けて世界的な危機に直面している.トランプ現象,イギリスのEU離脱をめぐる混迷,日本の改憲論議などを前に,戦後知識人たちの言説を手がかりにしつつ,私たちの座標軸をどこに求めるべきか考える.1979年以降21世紀まで,10年刻みで岩波新書を刊行してきた著者が新たに問う.


【おすすめ度☆】溝渕正季『アメリカの中東戦略とはなにか』慶應義塾大学出版会, 2025年

アメリカの中東戦略を、「中東からの撤退:アジア太平洋地域への集中」という大きな流れで分析する本。この本はアメリカ外交史の専門書であるが、アメリカが中東に深くかかわってきたので、むしろ中東情勢に関する教科書としても読むことができる。アメリカに焦点を当てることによって、イスラエル対パレスチナ(アラブ)の対立からある程度の距離を置くことが可能になっている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
アメリカはなぜ中東に介入するのか?
湾岸戦争、イラク戦争、そしてイスラエルやイランへの直接的な関与……。
それらの政策決定を駆動する力学とはなにか。
アメリカによる中東関与政策の変遷とダイナミズムを分析し、そこに通底する戦略的論理を読みとく注目作。


2026年7月24日金曜日

【おすすめ度○】浜本隆三『アメリカの排外主義 トランプ時代の源流を探る』平凡社新書, 2019年

クー・クラックス・クラン(KKK)や、アメリカ移民制限法の歴史などが取り上げられている。著者はまだ若い人なので仕方がないが、分析はあまり精密ではない。ただし、「読みやすさ」という点で言えば、ガチガチに精密に分析しながら書かれた本よりも、ある程度「緩い」方が読みやすいという人が多いだろう。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
アメリカ史という歴史的な座標軸をもとに現代を捉え直し、排外現象が生じる社会的背景とその盛衰のメカニズムを多角的に検討する。


2026年7月23日木曜日

【おすすめ度☆】池内恵 編著『「世界を動かす宗教」講義』PHP新書, 2026年

アメリカのキリスト教福音派、イスラエルとイスラムの対立、ロシア正教、バチカン(カトリック)の現在、フランスの政教分離政策(ライシテ)、中国(漢族)の宗教観、チベット仏教とダライ・ラマ転生、インドのヒンドゥー至上主義、日本人の宗教観など世界各地での宗教の現状について概説している。
なお、私(吉田)の意見では、この本を読むときに、「1時限目」として最初に収録されている対談は読み飛ばした方がよいと思う。下記の紹介文には「世界の「なぜ」は宗教で読み解ける。」と書かれているが、私(吉田)はそのように考えていない。それ以外にも執筆者に主張に賛同できない部分や、もっとはっきり言えば間違っているのではないかと思う部分もあるが、「宗教」を主題とする以上、全ての人が納得するような内容にすることは不可能であろうから、そのような部分があることもやむを得ないだろう。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
なぜ米国人はトランプを支持するのか、なぜロシアはウクライナにこだわるのか、なぜイスラエルはイスラーム諸国と対立するのか――。世界の「なぜ」は宗教で読み解ける。
 トランプを支える福音派・MAGAカトリック、謎が多いロシア正教、伸張する大イスラエル主義、台頭するインドのヒンドゥー至上主義。
 宗教が国際政治に与えるダイナミズムについて、各分野の第一人者が論じる。


2026年7月21日火曜日

【おすすめ度○】藤本龍児『宗教のアメリカ』岩波新書, 2026年

実は、アメリカでは、宗教(主にキリスト教プロテスタント)が大きな影響力を持っていることを多角的に明らかにする本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
現代文明のモデルとして世界に君臨したアメリカで、福音派など宗教勢力が注目を集めている。しかし、リベラルへの反発や人種問題といった分断の背景にある宗教的原動力を、私たちは正しく理解できているだろうか。建国以来の歴史やその基層にあるユダヤ-キリスト教的世界観から、私たちの知らないアメリカが見えてくる。


2026年7月20日月曜日

【おすすめ度☆】原昌登『あなたのキャリアと労働法』有斐閣ポケット法学, 2025年

他の法律の知識がなくても読めるように工夫された労働法の教科書。「働く」うえで労働法の知識は必須である。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
就職活動の時,入社1年目,昇進した時──知っておきたい労働法の知識はこれだ!企業でのキャリアや働く場面を意識し,実際にありそうなケースも用いて,労働法制全体を解説。法学や民法の基礎知識にも随所で言及しており,法学部生以外も学びやすい。



2026年7月19日日曜日

【おすすめ度○】大塚英志『マイナンバーから改憲へ 』現代書館, 2024年

マイナンバー制度に関しては、50年以上にわたって警戒され、様々な論点が議論され続けてきた。本書はマイナンバーをめぐる議論を振り返っている。ただし、エピソードの紹介が中心で体系的な書き方ではない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
マイナンバーカードを、従来の健康保険証を廃止してまで国民に持たせようとする現政府の強引なやり方に批判の声が高い。だが、問題はカードとしての利便性やシステムの不具合だけなのだろうか。
本書は、国民総背番号制度が浮上した1970年代からマイナンバーカードにいたる50年間の国会審議を概観しながら、マイナンバー制度が社会にもたらす重大な変化を予見する。

【おすすめ度●】ティアナ・ノーグレン『新版 中絶と避妊の政治学 戦後日本のリプロダクション政策』岩波書店, 2023年

「なぜ日本で中絶手術が多く、薬による避妊や中絶が行われないのか」という問いを立て、「それは中絶手術を行う医師会の政治力による」という説を検証している

出版社ウェブサイトから紹介を引用
なぜ日本では避妊よりも「まず中絶」だったのか?世界的にも特異な生殖政策を生んだ政治的な構造とは。
中絶合法化=1948年、ピル解禁=1999年。なぜ日本では避妊よりも「まず中絶」だったのか?世界的にも特異な政策が生み出された政治的な構造とは。戦後日本が直面した人口増をめぐる産科医ら医師団体と宗教団体の攻防、女性運動など利益集団と国家アクターの駆け引きから、現在に続く生殖についての制度を設計する政治過程を描きだす。

2026年7月13日月曜日

【おすすめ度☆】清水雅彦『シン・ケンポウ やさしく学ぶ日本国憲法』同時代社, 2026年

日本国憲法の平易な入門書。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
国家? 国民? 人権? 天皇制? 「改憲」? 「護憲」?
憲法論議をまえに、まさひこ先生が50のギモンに答えます!
私たちの未来のために、いまこそ憲法をマスターしよう!

〈2026年の衆議院選挙で、「改憲」を党是とする自民党が単独で3分の2以上の議席を獲得し、「改憲」を求める日本維新の会や参政党も含めると衆議院では「改憲」勢力が4分の3以上を占めました。今後の参議院の動向や参議院選挙で「改憲」勢力がさらに議席を増やせば、いよいよ日本国憲法が「改正」(改悪)されるかもしれません。本当にそれでいいのでしょうか?(中略)
本書のメインタイトルの『シン・ケンポウ』。最近流行りの「シン」を付けましたが、ここには高市首相のような間違った憲法観ではなく、「本当」の憲法観を知ってほしいので、まず「真」の意味を込めました。また、単なる条文の丸暗記ではなく、深く憲法について考えてほしいので、「深」の意味もあります。さらに、本書の4で述べた通り、私自身は将来的には憲法を改正すべきという立場なので、「新」の意味も込めています。
  本書の構成ですが、Ⅰの「憲法のキホン」では、そもそも憲法とは何か、憲法の歴史などについてまとめました。Ⅱの「私たちに保障されている人権」では、憲法が保障する権利・自由(人権規定)について、Ⅲの「憲法が定める国家機関」では、憲法が設置する国家機関とその仕事(統治規定)についてまとめました。各項目は基本的に独立していますので、順番通りに読まなくても大丈夫。まず目次を見て、興味を持ったところから読んでいただいてもかまいません〉(「はじめに」より)

【おすすめ度○】中嶋猪久生『石油と日本 苦難と挫折の資源外交史』新潮選書, 2015年

著者はもと東海銀行職員で、石油貿易の現場に近いところにいた者だからこそ書ける良書。日本の石油政策と「ワシントン・リスク」、出光佐三による「日章丸」とイラン、山下太郎(アラビア太郎)・田中角栄の活躍など生々しい話が書かれている。なお第2次世界大戦前を扱った第1章~第3章は読み飛ばして、第4章の日章丸事件から読み始めてよいと思う。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
近代より続く『石油の時代』にあって、石油を持たない国・日本は 「資源外交」に身を投じるしかなかった。そこは国同士がエゴを剥き出しに衝突し、謀略を巡らす現場。莫大な時間と金、時には人の命も費やして、いったいこの国は何を得てきたのか? 日本の行方を左右した交渉、開発、投資――その僅かな栄光と数多の蹉跌。


2026年7月12日日曜日

【おすすめ度☆】大槻奈巳/岩上真珠 編『大学生のためのキャリアデザイン入門 改訂版』有斐閣, 2026年

「働くこと」を中心にして、キャリアデザインについて多角的に考える本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
グローバル化,個人化が進み,人口構造や雇用環境,就労事情も親の時代とは大きく変わっている中で,これから大学生が何を指針にどう生きるべきか,一人ひとりに問われている。自分の生き方を考えるヒントを見つけ,就職と職業生活を考えるための入門書。



【おすすめ度●】吉村慎太郎『改訂増補 イラン現代史 従属と抵抗の100年』有志舎, 2020年

帝政時代から、イラン革命によるイスラム共和国の成立を経て、イラン核開発問題、JCPOAの成立とトランプ政権による破棄まで、イランの現代史、特にイラン核開発問題の背景が理解できる。日章丸事件(1953年、出光興産のタンカー「日章丸」が、イギリスの妨害をはねのけてイランから石油の輸入に成功した事件)についても書かれている。

版元ドットコムから紹介を引用
現代世界のなかで無視できない中東の大国イラン。その現代史は欧米諸国への従属と抵抗に彩られている。19世紀から21世紀の現在まで、欧米列強の度重なる露骨な介入と支配に対して、あるときはそれを受容し、またときにはそれに激しく反発・抵抗してきたイランの歴史を平易に解説する入門書。
「核開発」疑惑や「テロ」問題に絡めて、欧米から貼られる「イスラム原理主義国家」というレッテルとは一線を画し、イラン内部の葛藤や苦悩にも光を当て、この国の真の姿と歴史のダイナミズムを描き出す。初版に改訂を施し、さらに2001年から2019年に至るイラン政治と国際政治の激動に関する新章を加えた待望の「改訂増補」版。


2026年7月10日金曜日

【おすすめ度●】長谷部恭男/石田勇治『ナチスの「手口」と緊急事態条項』集英社新書, 2017年

ドイツにおける戦前・戦後の「緊急事態」に関する論争の歴史。特にナチス(ヒトラー)の政権獲得までのプロセスが生々しく書かれている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
自民党が狙う緊急事態条項の正体!
ここからナチ独裁は始まった!
 自民党が、ながらく憲法に加えることを狙ってきた緊急事態条項。災害・テロ発生時への対策だというのが表向きの説明だ。しかし、首相に権限を集中させ、国民の権利を制限するこの条項に別の意図はないのか。
 じつはヒトラー独裁の始まりは、ワイマール憲法に書かれた同様の条項だった。
 憲法学界の重鎮が、ナチ・ドイツ研究の最先端をいく歴史家とこの条項の危うさを徹底的に解明する。



2026年7月4日土曜日

【おすすめ度○】飯田哲也『Ei革命 エネルギー知性学への進化と日本の進路』集英社インターナショナル, 2026年

世界の再生可能エネルギー推進の動向が説明されている。日本が世界の動向から落伍しつつあることがわかる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
すでに始まっている文明史的エネルギー大転換の全体像。これは環境問題ではなく、世界の経済構造を根底から変えるパラダイムシフトである。
 世界では、再生可能エネルギーと蓄電池のコスト革命ならびに指数関数的な成長が進み、課題は「電力不足」ではなく、“ありあまる電気”の活用へと移った。日本がとるべきは、中央集権インフラの延命ではない。鍵は 「Ei=Electricity(電気) × intelligence(知性〈人間+AI〉)」。化石燃料依存から、電気を賢くつくり・ためて・使う設計へ。本書は、世界中で出現しつつある「シン・オール電化社会」という新しいOSの姿を描き出し、企業・自治体・生活者が取るべき実装ステップを提示する、政策とビジネスの実践書である。
※本書でいう「エネルギー知性学」は、「エネルギー地政学」に対置される新しい考え方の枠組み。


2026年6月27日土曜日

【おすすめ度◎】井桁大介/亀石倫子/谷口太規/丸山央里絵『はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール』集英社新書, 2026年

社会を変えるための訴訟の役割について具体的な訴訟を例にして説明している。「三権分立」(立法・行政・司法)のなかで「司法」がどういう役割を果たしているのか、具体的な事例に基づいて理解できる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
社会の中で「おかしい」と感じたとき、不条理な壁に突き当たったとき、私たちは何ができるのか。差別、労働、環境問題、ジェンダー、社会保障――さまざまな課題に対し、裁判という方法で社会のあり方を問い直し、変革を働きかけるのが「公共訴訟」である。
本書は、実際の事例や当事者の物語を手がかりに、その歴史と役割を解説。公共訴訟はどのような戦略、連帯によって社会を変えてきたのか。裁判を「社会を動かすツール」としてとらえ、個人の声が制度や社会を変えていくプロセスと、その可能性を示す入門書。

同性婚訴訟、タトゥー裁判、大川原化工機事件、立候補年齢引き下げ訴訟……
もっと公正な社会を生きたいあなたへ


【おすすめ度○】神山典士『地方が溶ける』光文社新書, 2026年

石丸伸二市長時代の安芸高田市のルポルタージュと、北海道東川町、宮崎県小林市など「地域おこし協力隊」を絡めたルポなど。興味深い内容だが率直に言って財政学や地方自治論に基づいた分析は不十分。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
石丸伸二が去った後に残された分断(広島県安芸高田市)、30年がかりで築き上げた「写真の町」(北海道東川町)、民間とのチームワークで町の未来を変えた1本の動画(宮崎県小林市)、炭鉱の町の行く末と希望(福岡県直方市)、作文教室で変わる子供たち(埼玉県越生町)、震災の記憶の継承(宮城県女川町)……。政治家、職員、地域住民らは地域を変えるために何をしてきたのか。様々な取り組みの果てに、町には何が残ったのか。「ふるさと愛」を育むために全国各地で「ふるさと作文教室」を主宰し、自らも埼玉県ときがわ町で「トカイナカ」移住生活を送るノンフィクション作家が記す、地方創生の「現場」の「現実」。文春オンラインで話題をさらった「安芸高田ルポ」の最新版を収録。


2026年6月26日金曜日

【おすすめ度☆】宮川賢司『GXで変わる地域社会』金融財政事情研究会, 2026年

新しい気候変動対策(いわゆる「GX」)に関する制度の解説と地域での実践例。著者は弁護士。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
GXに関する国際動向や国内施策、GXファイナンスの枠組み、実践的な取組みまでを全5章構成で整理し、初学者でも全体像を平易に理解できるよう解説。
●地域経済の活性化という観点でGXを捉え、具体的な事例を交えながら、金融サービスの提供や人材育成など、実務に役立つ知識を示す。
●実務家やこれからGXを学び始める方まで「実務と学び」をつなぐ一冊。


【おすすめ度◎】田野大輔『ファシズムの教室』大月書店, 2020年(新版朝日新聞社2025年)

集団になって「敵」を攻撃する、集団になって大声を上げながら行進するなどの、ファシズムの政治行動を大学の授業に取り入れ模倣することによって、ファシズムを体験的に理解させようという極めて優れた実践。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
76万PVを記録しネットで話題沸騰した「ファシズムの体験学習」を紹介しつつ、ファシズムの仕組みを解説。ナチスの大衆動員の実態、ヘイトスピーチなど身近な問題も論じる、全く新しい入門書!

★ 推 薦 ★
荻上チキさん(評論家)
それは、過去のものでも、他国の出来事でもない。
ユニークな実験の顛末が、あなたの日常に問いかける。
――ファシズムは、つくれる。
その時あなたは、加担せずにいられるか。

岸 政彦さん(社会学者)
ファシズムの快楽を通じて人間の本質に迫る、「もっともエッジの効いた授業」の記録。

ナチス・ドイツの大衆動員を追体験する授業を通じて、ファシズムの仕組みに迫る。ヘイトスピーチをはじめとする身近な問題にも焦点を当てた、現代社会と民主主義を再考するための必読書。「補論 日本の『自粛警察』とファシズム」も新たに収録。


2026年6月22日月曜日

【おすすめ度☆】松藤敏彦『市民・自治体のためのごみとリサイクルの処方箋』技報堂出版, 2026年

ごみ問題の入門書 内容:環境問題の発展 ごみ処理の仕組み リサイクルの難しさ 焼却と埋め立ては悪いのか 環境を守る仕組み 環境保全とごみ処理・リサイクルなど

出版社ウェブサイトから紹介を引用
ごみとリサイクルについて正しく考えるためには、2つの視点が必要になると考えられます。「最初から最後まで、部分ではなく全体を見る」ことと「環境によさそうかどうかではなく、定量的な指標を用いてよいかどうかを判断する」ことです。本書では、個別の知識を関連づけて組み立てて、知恵として働かせることが出来るよう講義風にしています。さらに、それぞれの章で取り上げた課題への対応やポイントを処方せんとして章末にまとめることで、より理解度を高められるよう工夫しています。


2026年6月14日日曜日

【おすすめ度☆】平岡和久/川瀬 憲子/桒田但馬/霜田博史 編著『入門地方財政』自治体研究社, 2023年

 生活支援、子育て、高齢者、地域医療、まちづくり、廃棄物問題、上下水道、観光、農山漁村、原発、再生可能エネルギー、災害対策、米軍基地、公民協力など、各論が充実している地方財政論の入門書

出版社ウェブサイトから紹介を引用
地方財政を学ぶ、市民と学生のための画期的なテキスト

宮本憲一(大阪市立大学名誉教授・滋賀大学元学長)推薦の言葉――地方財政は民主主義の基礎である地方自治の顔です。「ヨーロッパ地方自治憲章」のように、日本も分権改革をしましたが、肝心の財政改革は未完に終わっています。しかし東京一極集中を是正し、温暖化や地震による大災害を防止するためには、地方自治体の力、特に財政の自立・自治が必要です。この本は地方財政の歴史、制度の具体的な解説と評価、さらに地域経済やコミュニティの政策をわかりやすく説明した市民のための必須の教科書です。

2026年6月7日日曜日

【おすすめ度☆】中北浩爾『現代日本政治史 第二次世界大戦後の内政と外交』有斐閣, 2026年

一つの本で、「第二次世界大戦後の日本の内政と外交」の概要がわかるように書かれた本。情報量が多いので読み通すのはしんどいかもしれない。また、この本の性格上仕方がないと思うが、丁寧に書かれているところと、軽く済まされているところの格差が大きい。

国会図書館ウェブサイトから紹介を引用
占領と戦後改革から自公政権の崩壊までを辿る,戦後日本通史の決定版。補章では象徴天皇制の歴史的展開も解説。



2026年6月5日金曜日

【おすすめ度☆】米本昌平ほか『優生学と人間社会』講談社現代新書, 2000年

障害者や遺伝病患者を強制的に不妊にする、胎児に障害があることが分かったら妊娠中絶するなどの方法で、「不良な子孫の出生を防止」(これはかつての日本の「優生保護法」の文言)して「国民の質」を改善できるという考え方を「優生学」という。もちろんこの「優生学」の考え方には、昔から反対もあった。とりわけ第2次世界大戦後は、優生学はナチスドイツの「民族浄化」と結び付けられ、強く批判されるようになった。一方で、強い批判にもかかわらず、多くの国で「国民の質」を改良しようという政策が行われてきた。
 この本は、ドイツ、フランス、日本で採用された「優生」政策を比較しながら、「優生学」について明らかにしようとする本である。なお、この本ではあまり扱われていないが、ドイツ、フランス、日本以外でも「優生」政策は採用されていた。
 2000年の本なので内容が古くなっている面もあるが、「優生学」をめぐる論争の基本的な点は現在でも変わっていない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000146972
優生学はナチズムか。戦後日本の優生政策の内実とは。優生思想の歴史を再検討し、遺伝子技術時代の視座を示す。


【おすすめ度☆】江原由美子『フェミニズム』岩波新書, 2026年

新書1冊でフェミニズムの概要がわかる本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
フェミニズムとはいったい何なのか。どのように生まれ、何を主張してきたのか。第一人者がわかりやすく語りかける。
「女性である」という「普通」のことに差別や抑圧を見出すという「常識外れ」な主張は、どのように生まれ、いかなる変革を成し遂げてきたのか。共感と反感の嵐にさらされながら多様な展開を生んでいる思想・運動。そのあゆみを長期的な視点から振り返り、フェミニズムとはいったい何なのか、わかりやすく語りかける。

2026年6月4日木曜日

【おすすめ度●】加藤英一『だれも知らない下水道』北斗出版, 1999年

1999年当時の下水道の問題を分析した本。下水道の建設費増加と赤字問題、下水道建設による河川の流量減少、上流と下流の対立など。

ヨドバシ.comから紹介を引用
膨大な時間と費用を要する下水道事業はなぜ改められないのか。本書は既存の計画内容や統計資料を分析して赤字の原因や下水道行政の実態にせまり、汚水を発生源のすぐ近くで処理することの大切さを強調する。また、川や湖の汚れを減らしていくための実例として、琵琶湖をフィールドに、“琶琵湖汚染半減作戦”を提案する。今や合併処理浄化槽など下水道以外の汚水処理方式が積極的に評価される時代になった。著者は、水質・建設費・建設期間・維持管理費・住民自治などをもとに、地域の状況に合った水処理システムを住民がどのように選んだらよいか、豊富な事例を上げて検討している。

【おすすめ度○】吉野実『「廃炉」という幻想』光文社新書, 2022年

デブリ取り出しの行き詰まり、凍土壁の問題など「廃炉」の非現実性を明らかにする。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「福島第一原発の廃炉は順調だ」「30~40年で完了する」――そんな話を信用している方もいるかもしれない。事故から10年以上が過ぎ、世間の関心は次第に薄れ、何となく「うまくいっているだろう」との楽観的な空気すら感じる。しかしそれはとんでもない話だ。使用済み燃料の取り出しは滞り、メルトダウンで溶けた燃料 デブリは取り出す方法すら見つかっていない。そもそも何をもって廃炉というかの定義すらない。
それではなぜ、国と東京電力は、廃炉が「できる」という幻想を広め続けるのか。廃炉を阻む最大の要因とは何なのか?本書では、福島第一原発事故の発生当日から一貫して国と東京電力を取材し続けている記者が、幻想とその背景、そして廃炉の「本当の未来」に迫る。



2026年5月30日土曜日

【おすすめ度●】三浦まり/岡野八代 編『ジェンダーで学ぶ政治学』世界思想社, 2026年

ジェンダーと政治とのかかわりを多角的に分析する本。本のスタイルとしては教科書のような形式になっているけど、内容的に教科書の水準ではない。 

出版社ウェブサイトから紹介を引用
なぜ政治家は男性ばかりなのか? なぜ政治はケアを不可視化するのか?
政治の思想と仕組みから平和構築まで、ジェンダーの視点から政治をとらえなおす最先端の政治学講義。男性中心の権力構造を刷新し、誰もが生きやすい社会を作るための必読書

【「0 ジェンダーから問う政治/学」より】
 本書は、私たちの暮らしや生き方に政治が密接に関わっていることを、ジェンダーという視点を導入することを通じて、四つの観点から明らかにしていく。四つの観点はそれぞれ本書の各部の柱となっている。
 第一の観点とは、そもそも政治とはなにかを、これまでの政治学では扱わなかった私的領域から捉えなおす視点だ。政治の意味を権力者による意思決定に限定せず、家族を含む私的領域に拡張することで、政治と私たちの人生との深い関わりが見えてくる。第二の観点からは、人類の長い歴史のなかで男性の活動の場とされた政治領域に、いかにして現代の女性たちが参画しようとしているのかを問う。第三の観点からは、政治の基本的単位であり、最大の権力機構である国家が、ジェンダー規範とどのように関わっているかを明らかにする。そして最後に、国際社会において最も(暴)力をふるう国家という観点から、女性たちはその(暴)力にいかに影響されてきたのか、あるいは抵抗してきたのかに光を当てる。
 以上四つの観点を貫いているのが、私たちの身近な出来事の多くは個人的な選択や好みの結果であり、政治や経済は日常生活からはかけ離れた非個人的なものであるという常識を、批判的に検証する視座である。つまり、既存の政治学の多くが依拠してきた、私的な関心と公的な事象を厳格に切り分ける公私二元論を根本的に疑ってみる視座である。



2026年5月26日火曜日

【おすすめ度☆】阿部正浩/松繁寿和『キャリアのみかた 第3版』有斐閣, 2026年

「就職」して社会に出るために参考になる情報がいっぱい書かれている。1項目につき見開き2ページで記述される形式(つまり、短い説明が多数収録される形式)で、この形式が合う人と会わない人がいると思うが、もし「自分にはこの形式は合わない」と思ったら無理して読む必要はない。なお初版(2010年)や第2版(2014年)は内容が古くなっているので、現時点で読む価値があるのは2026年に出版された第3版だけである。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
不安定な時代のキャリア選択に,経済学という確かな視点を。
キャリア形成に役立つ最新データと,その確かな見方をやさしく解説。1トピック見開き2頁完結で,労働市場の今をビジュアルに学べる。テクノロジーと仕事の変化など最新動向を反映し,入門書としての学びやすさを追求。就活を控えた学生の最初の一歩に最適。


2026年5月25日月曜日

【おすすめ度●】デビッド・クアメン『パンデミックのとき科学は 未知のウイルスに挑んだ研究者たちの記録』白揚社, 2025年

 SARSと新型コロナへの対応の比較など、パンデミックの時の科学者の役割を詳しく描いている。なぜ日本で被害が比較的少なかったのかという問題は取り上げられていない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
新型コロナ・パンデミックは、人類史上まれに見るウイルスと科学技術の総力戦だった。
ウイルスの全ゲノム配列が解読・公開されると、最先端の研究成果や技術を応用したmRNAワクチンの開発や変異株のリアルタイム追跡などが前例のないスピードとスケールで実現された。
突発的な感染爆発に対して、なぜそんなことが可能だったのか?
エイズやエボラの研究で名を馳せた伝説的なウイルス学者、感染症流行を監視する疫学者、新進気鋭のバイオインフォマティシャンなど100名近い科学者への取材を基に、ウイルスと科学の攻防を克明に描く。