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紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【おすすめ度◎】の本(特におすすめする本、このページの下の方に) 【おすすめ度☆】の本の一覧はこちら (教科書あるいは入門書的な本) 【おすすめ度○】の本の一覧はこちら (読むことをおすすめする本) 【おすすめ度●】の本の一覧はこちら (専...

2025年5月17日土曜日

【おすすめ度●】薄井寛『アメリカ農業と農村の苦悩』農山村文化協会, 2020年

アメリカ農村部の疲弊状況と、なぜ農村部で2016年大統領選挙でトランプ支持が高かったのかのルポルタージュ。良書だが内容が古くなっているところがあるのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54019208/
トランプ大統領の誕生に大きく貢献したアメリカ中央部の農家と地方有権者。その背景には、輸出志向型の大規模農業の推進による家族経営農家の衰退と、それに起因する農村社会の深刻な空洞化に対する彼らの反発と憤りがあった。社会を構成する一部のセクターの利益が著しく疎外されることで生じた分断と、人種差別主義によって政治的に深められた亀裂の傷は容易に癒えることがない。地方と都市の分断と対立をあおることで自らの岩盤支持を固めてきたトランプ大統領のもとで、苦悩するルーラル・アメリカの実態を活写するとともに、我が国における農業・地域政策の抜本的な変革の方向を含め、その「トランプ劇場」から日本は何を学べるのかを考える。


2025年5月14日水曜日

【おすすめ度○】毎日新聞取材班『出生前検査を考えたら読む本』新潮社, 2025年

現在の出生前検査の問題点に関するルポルタージュ。現状では検査の精度に問題があるにもかかわらず、出生前検査で異常が検出されるとそのまま中絶してしまうことが少なくない。検査だけして、遺伝子異常が検出されたときに後の対応を放棄するクリニックも少なくない。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
年齢制限の撤廃、拡大する検査項目、難しい陽性判定の判断──迷ったときはどのように考えたらいいの? 受検者が増加する新型出生前検査(NIPT)の実情を調べ始め、陽性結果を受けたものの元気な赤ちゃんを産んだ女性に出会った取材班が専門医、カウンセラーへの丁寧な取材と各種データを踏まえ、最新情報をわかりやすく伝える。

2025年5月4日日曜日

【おすすめ度☆】五十嵐享平『人体特許』PHP新書, 2013年

やや古い本だが、遺伝子検査ビジネスと遺伝子特許に関する諸問題をわかりやすく説明している。

出版社ページより紹介を引用
わずか1万円の遺伝子レベルの検査で、将来、自分がかかる病気がわかるとしたら、あなたはどうしますか? 乳がんリスクのために、乳房を二つとも切除したことを発表した女優のアンジェリーナ・ジョリーのニュースは、遺伝子検査時代の到来を世界に知らしめた。
 ■エイズにならないための遺伝子を特許申請
 ■ぜん息の遺伝子が特許として認められた
 ■ヒトの遺伝子が次々と特許の対象に
 ■各種のがんや生活習慣病、嗜好まで「特許」の対象に
 ■山中伸弥教授のiPS細胞をめぐり特許争奪戦勃発
 子どもの知的能力や芸術、運動能力を占う企業も上海に誕生した。ますます激化する遺伝子ビジネスで、人体にかかわる物質すべてが特許戦争の波の中へ。
 NHKスペシャル「人体特許」のプロデューサーが、その後の調査を経て書き下ろす。


【おすすめ度◎】明日香壽川『クライメート・ジャスティス』日本評論社, 2015年

2015年の本なので古くなっている面もあるが、気候変動対策の国際交渉において最重要の課題である先進国と発展途上国の対立について、詳しく説明した良書。 内容:温暖化対策と国際交渉の政治・経済・哲学 地球温暖化問題の今 数値目標の公平性に関する議論の経緯 合意をより難ししている問題群 公平性の物差し 各国の数値目標を評価する EUのTriptych(EUバブルの域内再配分のときの方法)

出版社ウェブサイトより紹介を引用
温暖化対策国際枠組み交渉で、何が、あるいは誰が障害となっているか。政治哲学・思想、社会システム、経済などの側面から体系的かつ具体的に答える。


【おすすめ度☆】山形浩史『原子力安全の基本』朝倉書店, 2025年

専門家に対象を限定しない原子力安全の教科書で、類書が無い。ただし、この本を読んでも、「なぜ福島原発事故が起きたのか」という疑問に対する答えはわからない。 内容:原子力の危険性と安全対策の基本 深層防護 信頼性 保守性 想定の網羅性と定期的見直し 重要度 決定論的・確率論的安全評価 ストレステスト 事業者の責任 内部統制 安全文化

出版社ウェブサイトより紹介を引用
これから原子力を学ぶ学生や、原子力発電所にかかわる社会人を対象とした教科書。原子力発電所の安全な運用を行うため、その危険性と、安全管理の基本である深層防護の考え方、安全評価、リスク評価、ストレステスト、人と組織のありかた、事業者としてのありかたなどを概説する。

【おすすめ度○】ハリー・ブリヌル『ダークパターン』BNN, 2024年

「ダークパターン」(「ディセプティブパターン」ともいい、ネット上でユーザを騙す手口)がどれほど高度に発達しているかという現状の告発と、それに対する規制の現状を解説した上で、規制がひどく不備であることを指摘する。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
日常に潜む、人を欺くためのデザイン。
「いつまで経っても終わらない退会⼿続き」「すでにチェックされているチェックボックス」……誰しもが経験したことがある苛⽴ちは、わざとデザインされていた。
「ダークパターン(ディセプティブパターン)」の名付け親であるハリー・ブリヌル氏が、欧米のさまざまな事例を紐解きながらその全貌と、国を挙げての規制強化、今後の展望を解説するデジタル時代のクリーンなユーザー体験への手引きとなる一冊です。
日本語版解説には長谷川敦士氏(株式会社コンセント代表/武蔵野美術大学造形構想学部教授)、水野祐氏(弁護士/シティライツ法律事務所)。それぞれ「デザイン」と「法律」の視点から日本のダークパターンの現状について解説します。

冒頭部分の試し読み → https://note.com/bnn_mag/n/n6d3f3330f58d

【おすすめ度○】西川潤『資源ナショナリズム 先進国論理の崩壊』ダイヤモンド社, 1974年

古い本だが、OPECの結成、石油危機など世界が激動する時代に、同時代的に真剣に取り組んだ良書。東南アジアと日本の関係(第2次世界大戦時の軍事侵略と戦後の「経済侵略」)、石油をはじめとする資源国有化の動き、チリ・アジェンデ政権の銅産業国有化とピノチェトによる反革命など。



【おすすめ度☆】篠原直秀『ナノ材料のリスク評価のおはなし』日本規格協会, 2013年

リスク評価の考え方がよくわかる良書。リスク評価の実例や国際的な取り組みについても書かれている。

(ネット上の紹介を引用)
https://miraibook.jp/book/book-detail/00162
私たちの社会や生活を豊かにしてくれるナノ材料。ナノ材料は、たとえ同じ組成の物質であっても、大きさ、形状、帯電状態などの多様性を有しており、それらが応用される状況も様々だ。一方、ナノ材料が環境や健康に対して負の影響を及ぼすことが懸念されており、ナノ材料の潜在的なリスクを正しく評価・予測することができて初めて、その優れた機能や特性を私たちが安心して活用することができる。本書では、ナノ材料の基礎的な情報から有害性についての研究紹介、リスク管理、今後の課題などについて述べている。ナノリスクに関する国際的な取り組みも紹介されている。 (日本規格協会)



【おすすめ度◎】ダニエル・インホフ編『動物工場 工場式畜産CAFOの危険性』緑風出版, 2016年

 工場式畜産CAFOの危険性について、環境・倫理・経済の各側面から詳しく分析する良書。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
あなたは、ハンバーガーなどの肉や生乳がどのようにつくられているか、知っているだろうか?
その主流であるアメリカの工場式畜産は、家畜を狭い畜舎に押し込み、身動きがとれない糞尿まみれのなかで、成長ホルモンや抗生物質を多用した飼料で肥えさせる。そして不健康に肥満した家畜は生乳を搾られ、流れ作業で屠殺され、食肉加工される。動物虐待に加え、労働現場は危険きわまりない。その上、糞尿等はため池に放置されるため、近隣住民は悪臭だけでなく健康も脅かされる。  こうした工場式畜産によって得られる食肉は、確かに安いが、例えば抗生物質まみれの肉が人間の細菌耐性を弱め、糞尿由来のO-157などに感染するリスクを増大させるなど、危険な食品である。
本書は、むごいかたちで大規模な監禁・屠殺を行なう工場式畜産の実態と問題点を明らかにする。
(2016.3)


【おすすめ度☆】情報教育学研究会『インターネットの光と影 ver.7』北大路書房, 2025年

ネットと社会の関係に関する良い教科書 内容:インターネットと情報社会 個人情報 知的財産権 インターネットと生活 ビジネス 教育 コミュニケーション 犯罪 セキュリティ 健全な情報社会をめざして

出版社ウェブサイトより紹介を引用
ICTやAIなどが発展し多くの情報が交錯する今,SNSでの炎上やネット詐欺,さらには言論操作など,ますます情報リテラシーが必須となっている。本書は今後の社会を生きていくうえで知るべき情報倫理をトピックごとに解説。インターネットの「光」と「影」を知り主体的・自律的に判断する力を養うテキストの第7版。


【おすすめ度☆】川音琢郎ほか『21世紀のアメリカ資本主義』大月書店, 2023年

バランスの取れたアメリカ経済の教科書。 内容:景気循環とマクロ経済構造 製造業のグローバル化と国内回帰 アメリカ農産物輸出 軍事産業と経済安全保障 住宅の金融化 商業銀⾏・銀⾏持株会社の変容 経済の金融化とアメリカ大企業の財務戦略 IT/エレクトロニクス産業 アメリカの税制改革と国際課税 新薬研究開発と薬価問題 知的財産制度とITサービス産業 分断されるアメリカ社会と社会運動的労働運動 貧困問題とオバマケア WTO体制から米中新冷戦へ 現代アメリカの政治構造 新型コロナウイルスに対する財政対策 グリーン・ニューディールとシェール革命

出版社ウェブサイトより紹介を引用
アメリカ型新自由主義の成立・変容・危機
ITや知的財産に基づく新しい資本蓄積,経済の金融化とバブルの反復,米中「新冷戦」と軍事産業,政治の分断とポピュリズムの台頭…….
ダイナミックに変貌を遂げるアメリカ資本主義をトータルに把握する.

【おすすめ度○】斎藤修『農業資材産業と企業・農協の戦略』筑波書房, 2024年

肥料・農薬・農業機械・飼料産業の産業分析。良書。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
農業資材産業の特徴と新たな課題を整理して。大きな産業組織が変容した肥料産業と農薬産業の展開について企業の経営戦略やイノベーションの視点から接近して企業や農協の戦略を論じた。


【おすすめ度◎】立川雅司『遺伝子組み換え作物をめぐる「共存」』農林統計出版, 2017年

EU各国における遺伝子組み換え作物をめぐる政策と言説のまとめ。やや古いが良書。残念ながら出版社(農林統計出版)が廃業してしまったため、ネット上での情報が少ない。

目次 : 
EUにおける「共存」問題:本書のアプローチ
第1部 EUにおけるGMO政策の展開と共存政策(EUにおけるGMO政策の登場:1980年代から2001年まで/ 欧州委員会による共存ガイドラインの提起/ 共存をめぐる研究とその成果)
第2部 各国における共存政策の策定とその経過(EU加盟国における全般的状況/ デンマーク:欧州初となる共存政策の制定/ ポルトガル:民間事業者が大きな役割を果たす共存政策/ オランダ:栽培に慎重なGM飼料依存国/ ドイツ:緑の党による厳しい共存ルール/ フランス:農業大国の苦悩/ その他の諸国:スペイン、イギリス、オーストリア等/ 欧州委員会の方針転換:2010年提案とその帰結)/ 「共存」をめぐる政策形成スタイルと言説


【おすすめ度○】八木浩平・野口敬夫・林瑞穂 編著『日本の食料安全保障と国際環境』筑波書房, 2024年

本全体としてのまとまりはないが、個々の章は優れた内容 内容:日本の食料安全保障をめぐる情勢 穀物の国際市場動向 北米の穀物生産 南米南部の牛肉生産 中国の穀物需給 北米の穀物集荷とGMO 日本の油糧種子調達 日本の配合飼料産業 日本の製粉産業 日本における肥料原料調達 大豆ミートへの消費者選好 日本の食肉輸出

出版社ウェブサイトより紹介を引用
安定的に食料を確保するかは、日本が食料の自給力を高めることが食料安全保障上最も有効かつ必要な方策となるが、それらを補完する手段として、いかに安定的に食料を輸入するかという課題の検討も求められる。本書は、国・企業・消費者といった多様なステークホルダーの視点から整理した書籍である。



2025年5月3日土曜日

【おすすめ度●】全国公害弁護団連絡会議『公害と国の責任』日本評論社, 1982年

 古いが良書、「公害問題」に関心がある人はぜひ読むとよい。研究者による理論分析(宮本憲一、下山瑛二、沢井裕)と弁護士による各論(空港、道路、大気汚染、水俣病、薬害、食品公害、予防接種、水害)の2部構成。

(古い本なので出版社ウェブサイトに既に掲載されていない)


【おすすめ度○】川瀬光義・井原聰ほか『国家安全保障と地方自治』自治体研究社, 2023年

必ずしも「地方自治」に限らず、近年の「安全保障」政策(露骨にいえば軍拡政策=「戦争する国」づくり)が社会・経済に及ぼす影響を分析している。 内容:国防三文書と大軍拡 インド・太平洋地域における安全保障と経済秩序 経済安全保障法とその批判的検討 防衛産業強化法と国家機密の拡大 軍事費膨張と財政民主主義の破壊など。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
「防衛産業強化法」「経済安保法」「防衛財源確保法」など「安保(国防)三文書」を具体化する政策が次々と強行され、「戦争する国」への準備がすすむ。南西諸島をはじめとする地域や自治体への基地強化策も進行する。本書は、これら政策の内容を憲法と地方自治法の視点から検討し、国民の命と生活を根源的に脅かす「戦争する国」づくりの問題点を問う。


【おすすめ度○】アクシャット・ラティ『資本主義で解決する再生可能エネルギー 排出ゼロをめぐるグローバル競争の現在進行形』河出書房新社, 2025年

市場メカニズムを活用した再生エネルギー普及 内容:排出ゼロをめぐるグローバル競争 電気自動車、バッテリー、CCSなどをめぐる企業間の競争 ユニリーバの取り組みなど。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
世界を壊すよりも救う方が安くあがる!
気候変動と温暖化の「危機」は回避できる。気候資本主義という最も現実的な解決法によって、私たちは繁栄を続けていける。クリーンエネルギーの急速な発展を全報告。
非凡な才能とアイデア、新テクノロジーによる競争の時代が始まった。
5000兆円規模のクリーンエネルギー産業の最前線。
このまま二酸化炭素を排出し続ける経済成長を目指すよりも、資本主義のなかで、新しいテクノロジーで新しい市場を作る方がはるかに合理的だ。




【おすすめ度☆】海老澤功『いまさら聞けない自治体予算・会計の超基本』学陽書房, 2024年

文字通り「超基本」の本 財政って何だろう 予算はどうやって使うの? 予算はどうやって作るの? 地方財政のしくみ

出版社ウェブサイトより紹介を引用
知識ゼロからでもわかる、新しい自治体財政入門!
部署・役職を問わず押さえておきたい、でも今さら聞けない自治体の予算・会計の基礎知識をわかりやすく解説!予算書の読み方から予算の使い方、予算獲得のコツ、収入・支出の見積もり方、財源確保の方法までわかる!


【おすすめ度○】マリーケ・ビッグ『性差別の医学史 医療はいかに女性たちを見捨ててきたか』双葉社, 2023年

医療・医学における女性差別の歴史。 内容:医療はいかに女性たちを見捨ててきたか 女性特有の病気に対する研究や治療の遅れ 女性の性欲に関する話も多い

出版社ウェブサイトより紹介を引用
医学はいつになったら「本当の科学」になるのか?

「心臓発作は“ヒステリー”」
「HPV(ヒトパピローマウイルス感染症)は“女性だけの病気”」
「卵子は“精子をただ待つ無力な存在”」…

心疾患、骨、幹細胞、更年期、セックス、ホルモン、そして生殖。
長らく「男性の身体」だけを基準としてきた医学は、いつしかあらゆる領域に男性優位主義を浸透させ「非男性の身体」の声を聞くことなく発展した結果として、人間を測りまちがい、不平等を温存し、健康を害しつづけている。
この現状をいかに正し、医学と科学をいかに未来に導くべきか。医療をジェンダーバイアスから解放し、「すべての身体」を救うものにするための必読書。


【おすすめ度○】杉谷和哉『政策にエビデンスは必要なのか EBPMと政治のあいだ』ミネルヴァ書房, 2022年

 「エビデンスに基づいた政策(EBPM, Evidence Based Policy Making)」に関する考察。 内容:米国と英国におけるEBPMの展開 日本におけるEBPMの期限と発展 政治とEBPM 行政責任論とEBPMなど。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
各国の状況と日本の歴史・思想的背景ならびに政策立案の過程を紐解き、政策形成をめぐるエビデンスのかたちを模索する基礎的研究
ステークホルダーが数多く存在し、不確実性が伴う政策において社会全体の問題が解決されるという魔法の杖は存在しない。そのなかでいかにエビデンスをもとに政策を立案し、実現していくのか。本書は各国の状況と日本の歴史・思想的背景ならびに政策立案の過程を紐解き、政策形成をめぐるエビデンスのかたちを模索する基礎的研究である。
[ここがポイント]
◎ エビデンスに基づく政策形成(Evidence-based Policy Making :EBPM)とは、科学的根拠(エビデンス)に基づき、合理的な政策立案のことを指す。
◎ 広範な文献猟読から導かれる確かな基礎的研究。


2025年5月2日金曜日

【おすすめ度○】マーク・ダウィ『草の根環境主義』日本経済評論社, 1998年

古いが良書。資金を富裕層に依存する白人男性中心の主流アメリカ環境保護運動を批判し、その代わりに有色人種や女性による「環境正義」運動に期待する。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
強力な環境団体を軸に世界をリードしてきたアメリカ。だが一部エリートが推進する運動に批判が高まり、今大きな転機を迎えている。市民による新たな環境運動の試みを検証。



【おすすめ度☆】農文協 編『種子法廃止でどうなる?』農文協ブックレット, 2017年

種子と品種の歴史に関する入門的な本。 内容:種子法って何? 種子法廃止でどうなる? 稲の種子はどのようにして生産されているか(茨城、新潟) アグロバイオ企業による農業支配 種子の独占とそれに対する抵抗 TPPと種子法廃止

出版社ウェブサイトより紹介を引用
2017年4月、稲、麦、大豆の種子の生産・普及を都道府県に義務づける「主要農作物種子法」の廃止が国会で決まった。規制改革推進会議が主導する農業競争力強化策の一環であり、国は民間企業の種子ビジネスへの参入を促すとする。だが、今後公的種子事業が弱まり、外資系をはじめとしたアグリビジネスの戦略に巻き込まれるのではないかという不安も広がる。本書は稲の育種の歴史を学び、農業試験場や採種農家の種子生産の実情を訪ね、種子法廃止の影響を考えることで、日本の食料の基本をなす公共財としての種子の意味を改めて問い直す。


【おすすめ度☆】大橋洋一『都市法』有斐閣, 2024年

都市やまちづくりに関する法律の入門書(「都市法」という用語は独自性がある用語)。入門書であるが、この本を読む前に「法律とは何か」「都市とはなにか」といった基本的な知識は必要。 内容:都市法総論 行政計画としての都市計画 都市計画区域 都市計画マスタープラン 土地利用規制 地区計画と協定 景観法 コンパクトシティ まちづくり条例 都市施設 市街地開発事業 住宅法 都市計画争訟 都市整備と補償

出版社ウェブサイトより紹介を引用
都市法制の基礎にある理念から説き起こしたうえで,法制度と実態の乖離をふまえて現状を分析し問題を析出。人口減少・高齢社会に対応する縮減型都市構造への転換,防災法や交通法と連結した都市法制といった視点から,現代にふさわしい都市法を構想する。


【おすすめ度○】エリザベス・ロイト『ミネラル・ウォーター・ショック』河出書房新社, 2010年

アメリカのミネラルウォータービジネスの現状。地域との対立、環境汚染などの諸問題。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
あなたの飲んでいる水は誰のものか? 大企業による水資源の独占化と、巧妙なマーケティング戦略によって売り出されるペットボトルの害悪を暴く!

【おすすめ度☆】加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』共立出版, 2017年

リスク評価の教科書的な本。「規制科学」(レギュラトリーサイエンス)を意識して書かれている。本の題名がやや不自然だが誤記ではない。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
我々の生活はリスクに満ちあふれています。日々の暮らしは満ちあふれたリスクを比べて何が良いかを選び出す、意思決定の連続です。直感で考えてしまうことが多いリスクの大きさですが、ちょっと気をつけるだけでちゃんと比べられるようになります。本書はそんなリスク評価の考え方を書いた入門書です。リスク評価の考え方を化学物質の生態リスク評価にどうやって当てはめればいいのかを中心に書いています。現代では生態系保全に反対する人はほとんどいません。けれども、どこまで守ればいいのか、守るために現代生活の利便性をどこまで放棄すべきか、という話になると、意見が分かれます。本書にはその答えは書いていません。本書では、答えに近づくには何をすべきか、どう考えれば良いのかを書きました。考え方の考え方が記された一書です。
 本書の楽しみ方は2通りあります。1つは、リスク評価の方法を知る、自分で考えることの大切さを知る、ということです。そしてもう1つは、異分野世界でのサバイバル技術です。砂の穴に放り込まれたある男が、砂の世界にとどまることになった顛末をお楽しみください。

【おすすめ度○】岩間敏『日米開戦と人造石油』朝日新書, 2016年

第2次世界大戦前の日本とドイツの人造石油研究についての本。ドイツが一定の成果を収めたのに、日本は失敗した。科学力・組織力の点からその差を生じた原因を追究する。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
米国が行った「石油輸出禁止」に対して、日本は開戦か否かの判断に揺れた。それを左右したのが「人造石油」の生産予測だったことは今もあまり知られていない。昭和12年、巨大戦艦の建造費を超える破格の予算で始まった国家プロジェクトの全貌に迫る。


【おすすめ度☆】ジョセフ・M・シラキューサ『戦争学入門 核兵器』創元社, 2024年

核兵器の問題の教科書。内容:核兵器の原理 マンハッタン計画 初期の原子力国際管理の試みと挫折 水爆開発競争 核抑止と軍備管理 宇宙戦争構想 冷戦後の動向

出版社ウェブサイトより紹介を引用
核兵器をめぐる国際政治の論点を考察。
現代国際政治への深い洞察で知られ、冷戦史にも通暁する著者による核問題の入門書。核兵器の原理および開発から、冷戦期以降の米ソの戦略、核抑止と核兵器削減交渉を含む軍備管理、ミサイル防衛政策まで、核兵器とそれをめぐる国際政治の論点を初学者向けに解説する。ふたたび国際政治の中核に戻ってきた核兵器について、その背景と基本的な問題を知るうえで最適の一冊。

【おすすめ度☆】矢嶋信浩『世界から読み解く食の安全』化学同人, 2024年

グローバルな観点からみる食品安全の規制制度の教科書。国際機関による規制と各国の取り組み状況。

出版社ウェブサイトより紹介を引用
本書は,3極(欧・米・日)における医薬品の規制に関する国際調和会議のプロセスで育まれたレギュラトリーサイエンスの食品版です.農業,食糧(料),健康など地球規模の課題を取り上げ,食の安全を読み解くことを試みました.国際社会がこれらの課題と向き合う時の考え方や食の伝統を知り,文化や健康科学としての「食」について理解し,本邦の立ち位置を考察し,「食」のリスク・アセスメントへの理解の深耕に努めました.

【おすすめ度●】デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ『万物の黎明』光文社, 2023年

農耕・都市・国家などの起源に関する、人類学と考古学の最先端の研究成果を踏まえた詳細な考察。良書だが長くて読むのが大変(なのでおすすめ度●)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
考古学、人類学の画期的な研究成果に基づく新・真・世界史!
人類の歴史は、これまで語られてきたものと異なり、遊び心と希望に満ちた可能性に溢れていた。