アメリカ農村部の疲弊状況と、なぜ農村部で2016年大統領選挙でトランプ支持が高かったのかのルポルタージュ。良書だが内容が古くなっているところがあるのでおすすめ度は●にした。
本のおすすめを中心にして、学生のみなさんに役立ちそうな情報を書きます。※このブログで紹介している本はいずれも良書ですが、ここで紹介していない良書もたくさんありますので、これから順次増やしていきます。 【おすすめ度】 ◎=特におすすめ ☆=初学者向けに良い本(教科書や入門書) ○=読む価値が高い本 ●=そのテーマに関心が高い人向け。専門性が高く一般向けではない本と、良書だけど内容が古くなっている本。
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【まとめ】このブログ全体のまとめです。
紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【おすすめ度◎】の本(特におすすめする本、このページの下の方に) 【おすすめ度☆】の本の一覧はこちら (教科書あるいは入門書的な本) 【おすすめ度○】の本の一覧はこちら (読むことをおすすめする本) 【おすすめ度●】の本の一覧はこちら (専...
2025年5月17日土曜日
【おすすめ度●】薄井寛『アメリカ農業と農村の苦悩』農山村文化協会, 2020年
2025年5月14日水曜日
【おすすめ度○】毎日新聞取材班『出生前検査を考えたら読む本』新潮社, 2025年
現在の出生前検査の問題点に関するルポルタージュ。現状では検査の精度に問題があるにもかかわらず、出生前検査で異常が検出されるとそのまま中絶してしまうことが少なくない。検査だけして、遺伝子異常が検出されたときに後の対応を放棄するクリニックも少なくない。
2025年5月4日日曜日
【おすすめ度☆】五十嵐享平『人体特許』PHP新書, 2013年
やや古い本だが、遺伝子検査ビジネスと遺伝子特許に関する諸問題をわかりやすく説明している。
【おすすめ度◎】明日香壽川『クライメート・ジャスティス』日本評論社, 2015年
2015年の本なので古くなっている面もあるが、気候変動対策の国際交渉において最重要の課題である先進国と発展途上国の対立について、詳しく説明した良書。 内容:温暖化対策と国際交渉の政治・経済・哲学 地球温暖化問題の今 数値目標の公平性に関する議論の経緯 合意をより難ししている問題群 公平性の物差し 各国の数値目標を評価する EUのTriptych(EUバブルの域内再配分のときの方法)
【おすすめ度☆】山形浩史『原子力安全の基本』朝倉書店, 2025年
専門家に対象を限定しない原子力安全の教科書で、類書が無い。ただし、この本を読んでも、「なぜ福島原発事故が起きたのか」という疑問に対する答えはわからない。 内容:原子力の危険性と安全対策の基本 深層防護 信頼性 保守性 想定の網羅性と定期的見直し 重要度 決定論的・確率論的安全評価 ストレステスト 事業者の責任 内部統制 安全文化
【おすすめ度○】ハリー・ブリヌル『ダークパターン』BNN, 2024年
「ダークパターン」(「ディセプティブパターン」ともいい、ネット上でユーザを騙す手口)がどれほど高度に発達しているかという現状の告発と、それに対する規制の現状を解説した上で、規制がひどく不備であることを指摘する。
【おすすめ度○】西川潤『資源ナショナリズム 先進国論理の崩壊』ダイヤモンド社, 1974年
古い本だが、OPECの結成、石油危機など世界が激動する時代に、同時代的に真剣に取り組んだ良書。東南アジアと日本の関係(第2次世界大戦時の軍事侵略と戦後の「経済侵略」)、石油をはじめとする資源国有化の動き、チリ・アジェンデ政権の銅産業国有化とピノチェトによる反革命など。
【おすすめ度☆】篠原直秀『ナノ材料のリスク評価のおはなし』日本規格協会, 2013年
リスク評価の考え方がよくわかる良書。リスク評価の実例や国際的な取り組みについても書かれている。
【おすすめ度◎】ダニエル・インホフ編『動物工場 工場式畜産CAFOの危険性』緑風出版, 2016年
工場式畜産CAFOの危険性について、環境・倫理・経済の各側面から詳しく分析する良書。
【おすすめ度☆】情報教育学研究会『インターネットの光と影 ver.7』北大路書房, 2025年
ネットと社会の関係に関する良い教科書 内容:インターネットと情報社会 個人情報 知的財産権 インターネットと生活 ビジネス 教育 コミュニケーション 犯罪 セキュリティ 健全な情報社会をめざして
【おすすめ度☆】川音琢郎ほか『21世紀のアメリカ資本主義』大月書店, 2023年
バランスの取れたアメリカ経済の教科書。 内容:景気循環とマクロ経済構造 製造業のグローバル化と国内回帰 アメリカ農産物輸出 軍事産業と経済安全保障 住宅の金融化 商業銀⾏・銀⾏持株会社の変容 経済の金融化とアメリカ大企業の財務戦略 IT/エレクトロニクス産業 アメリカの税制改革と国際課税 新薬研究開発と薬価問題 知的財産制度とITサービス産業 分断されるアメリカ社会と社会運動的労働運動 貧困問題とオバマケア WTO体制から米中新冷戦へ 現代アメリカの政治構造 新型コロナウイルスに対する財政対策 グリーン・ニューディールとシェール革命
【おすすめ度○】斎藤修『農業資材産業と企業・農協の戦略』筑波書房, 2024年
肥料・農薬・農業機械・飼料産業の産業分析。良書。
【おすすめ度◎】立川雅司『遺伝子組み換え作物をめぐる「共存」』農林統計出版, 2017年
【おすすめ度○】八木浩平・野口敬夫・林瑞穂 編著『日本の食料安全保障と国際環境』筑波書房, 2024年
本全体としてのまとまりはないが、個々の章は優れた内容 内容:日本の食料安全保障をめぐる情勢 穀物の国際市場動向 北米の穀物生産 南米南部の牛肉生産 中国の穀物需給 北米の穀物集荷とGMO 日本の油糧種子調達 日本の配合飼料産業 日本の製粉産業 日本における肥料原料調達 大豆ミートへの消費者選好 日本の食肉輸出
2025年5月3日土曜日
【おすすめ度●】全国公害弁護団連絡会議『公害と国の責任』日本評論社, 1982年
古いが良書、「公害問題」に関心がある人はぜひ読むとよい。研究者による理論分析(宮本憲一、下山瑛二、沢井裕)と弁護士による各論(空港、道路、大気汚染、水俣病、薬害、食品公害、予防接種、水害)の2部構成。
(古い本なので出版社ウェブサイトに既に掲載されていない)
【おすすめ度○】川瀬光義・井原聰ほか『国家安全保障と地方自治』自治体研究社, 2023年
必ずしも「地方自治」に限らず、近年の「安全保障」政策(露骨にいえば軍拡政策=「戦争する国」づくり)が社会・経済に及ぼす影響を分析している。 内容:国防三文書と大軍拡 インド・太平洋地域における安全保障と経済秩序 経済安全保障法とその批判的検討 防衛産業強化法と国家機密の拡大 軍事費膨張と財政民主主義の破壊など。
【おすすめ度○】アクシャット・ラティ『資本主義で解決する再生可能エネルギー 排出ゼロをめぐるグローバル競争の現在進行形』河出書房新社, 2025年
市場メカニズムを活用した再生エネルギー普及 内容:排出ゼロをめぐるグローバル競争 電気自動車、バッテリー、CCSなどをめぐる企業間の競争 ユニリーバの取り組みなど。
【おすすめ度☆】海老澤功『いまさら聞けない自治体予算・会計の超基本』学陽書房, 2024年
文字通り「超基本」の本 財政って何だろう 予算はどうやって使うの? 予算はどうやって作るの? 地方財政のしくみ
【おすすめ度○】マリーケ・ビッグ『性差別の医学史 医療はいかに女性たちを見捨ててきたか』双葉社, 2023年
医療・医学における女性差別の歴史。 内容:医療はいかに女性たちを見捨ててきたか 女性特有の病気に対する研究や治療の遅れ 女性の性欲に関する話も多い
【おすすめ度○】杉谷和哉『政策にエビデンスは必要なのか EBPMと政治のあいだ』ミネルヴァ書房, 2022年
「エビデンスに基づいた政策(EBPM, Evidence Based Policy Making)」に関する考察。 内容:米国と英国におけるEBPMの展開 日本におけるEBPMの期限と発展 政治とEBPM 行政責任論とEBPMなど。
2025年5月2日金曜日
【おすすめ度○】マーク・ダウィ『草の根環境主義』日本経済評論社, 1998年
古いが良書。資金を富裕層に依存する白人男性中心の主流アメリカ環境保護運動を批判し、その代わりに有色人種や女性による「環境正義」運動に期待する。
【おすすめ度☆】農文協 編『種子法廃止でどうなる?』農文協ブックレット, 2017年
種子と品種の歴史に関する入門的な本。 内容:種子法って何? 種子法廃止でどうなる? 稲の種子はどのようにして生産されているか(茨城、新潟) アグロバイオ企業による農業支配 種子の独占とそれに対する抵抗 TPPと種子法廃止
【おすすめ度☆】大橋洋一『都市法』有斐閣, 2024年
都市やまちづくりに関する法律の入門書(「都市法」という用語は独自性がある用語)。入門書であるが、この本を読む前に「法律とは何か」「都市とはなにか」といった基本的な知識は必要。 内容:都市法総論 行政計画としての都市計画 都市計画区域 都市計画マスタープラン 土地利用規制 地区計画と協定 景観法 コンパクトシティ まちづくり条例 都市施設 市街地開発事業 住宅法 都市計画争訟 都市整備と補償
【おすすめ度○】エリザベス・ロイト『ミネラル・ウォーター・ショック』河出書房新社, 2010年
アメリカのミネラルウォータービジネスの現状。地域との対立、環境汚染などの諸問題。
【おすすめ度☆】加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』共立出版, 2017年
リスク評価の教科書的な本。「規制科学」(レギュラトリーサイエンス)を意識して書かれている。本の題名がやや不自然だが誤記ではない。
【おすすめ度○】岩間敏『日米開戦と人造石油』朝日新書, 2016年
第2次世界大戦前の日本とドイツの人造石油研究についての本。ドイツが一定の成果を収めたのに、日本は失敗した。科学力・組織力の点からその差を生じた原因を追究する。
【おすすめ度☆】ジョセフ・M・シラキューサ『戦争学入門 核兵器』創元社, 2024年
核兵器の問題の教科書。内容:核兵器の原理 マンハッタン計画 初期の原子力国際管理の試みと挫折 水爆開発競争 核抑止と軍備管理 宇宙戦争構想 冷戦後の動向
【おすすめ度☆】矢嶋信浩『世界から読み解く食の安全』化学同人, 2024年
グローバルな観点からみる食品安全の規制制度の教科書。国際機関による規制と各国の取り組み状況。
【おすすめ度●】デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ『万物の黎明』光文社, 2023年
農耕・都市・国家などの起源に関する、人類学と考古学の最先端の研究成果を踏まえた詳細な考察。良書だが長くて読むのが大変(なのでおすすめ度●)。