現実におきている問題(主に法的問題)と科学の関係を検討する良書。 内容:ルンバール事件と科学 科学と防災(地震予知) 医学的診断の社会性(「メタボ」はいかにして作り出されたか) 犯罪捜査と科学 科学と裁判 家族概念の科学と民法 科学の不定性とは何か 理科教育における科学の不定性 東北大学での科学教養教育 法教育における科学リテラシー 科学の不定性と市民参加など。
本のおすすめを中心にして、学生のみなさんに役立ちそうな情報を書きます。※このブログで紹介している本はいずれも良書ですが、ここで紹介していない良書もたくさんありますので、これから順次増やしていきます。 【おすすめ度】 ◎=特におすすめ ☆=初学者向けに良い本(教科書や入門書) ○=読む価値が高い本 ●=そのテーマに関心が高い人向け。専門性が高く一般向けではない本と、良書だけど内容が古くなっている本。
注目の投稿
【まとめ】このブログ全体のまとめです。
このブログで紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 陰謀論、マスコミ、科学的認識論/科学方法論などに関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 気候変動とエネルギー・資源問題に関する本の一覧 原子力と核兵器に関する本 地...
2025年12月4日木曜日
【おすすめ度○】本堂毅, 平田光司, 尾内隆之, 中島貴子編『科学の不定性と社会』信山社, 2017年
2025年11月30日日曜日
【おすすめ度●】ジェフリー・トゥービン『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』河出書房新社, 2013年
1980年(レーガン政権)から2008年(ブッシュ政権の終焉)までの時期のアメリカ連邦最高裁の動向のルポルタージュ。この時期には、クラレンス・トーマス、アントニン・スカリアという極端に保守的で共和党寄りの裁判官が指名されて、アメリカ最高裁の保守化が始まった。しかしこの時期にはまだ左派(ジョン・ポール・スティーヴンス、スティーヴン・ブライヤー、ルース・ベイダー・ギンズバーグ)の影響力も強かった上に、サンドラ・オコナー、デイヴィット・スーター、アンソニー・ケネディが中間派となり、もともとは保守派だったレンクイスト長官も保守的傾向を弱めたので最高裁の極端な保守化は進まなかった。本書の著者は、2000年大統領選挙でのフロリダ再集計停止の最高裁の決定(最高裁の決定により、ジョージ・W・ブッシュが大統領に当選した)を、大統領選挙でブッシュを勝たせるために法をゆがめたものであり、最高裁の最大の汚点だと言っている。他にも重要な判例をめぐる裁判官の討論が書かれているが、率直に言って同じ題材を扱った『ブレザレン』ほど迫力ある内容ではない(『ブレザレン』が扱っているのは1960~70年代のまさに激動の時代を扱っているので、『ブレザレン』ほど迫力ある内容にならないのはやむを得ない)。
2025年11月27日木曜日
【おすすめ度○】シッダルタ・カラ『ブラッド・コバルト コンゴ人の血がスマートフォンに変わるまで』大和書房, 2025年
【おすすめ度☆】栗山浩一、馬奈木俊介『環境経済学をつかむ 第5版』有斐閣, 2024年
新古典派的な環境経済学の標準的な教科書。なぜか所蔵している図書館が少ない。 主な内容:生活と環境 経済発展と環境問題 ごみ問題と循環型社会 地球温暖化問題 環境問題発生のメカニズム 外部性と市場の失敗 共有資源の利用と管理 公共財とフリーライダー 環境政策の基礎と応用 環境の価値評価 企業と環境問題 地球環境問題と環境経済学など
2025年11月22日土曜日
【おすすめ度●】山岡淳一郎『日本はなぜ原発を拒めないのか』青灯社, 2017年
原子力に関するいろいろなトピックを扱っているが、本としてのまとまりがない。東芝崩壊については非常に詳しく、かつ厳しく追及している。 内容:原発の失敗と東芝崩壊 政治・官僚・経済界・学界・報道の癒着 原発テロの危険 日本の核武装の野心
【おすすめ度●】吉田文和『ドイツの挑戦 エネルギー大転換の日独比較』日本評論社, 2015年
福島原発事故以降のドイツの脱原発(原発廃止・解体)と放射性廃棄物の政策、再生可能エネルギー促進政策を詳しく説明する。原子力をめぐるリスクと倫理に関する議論もなされている。
【おすすめ度◎】鈴木真奈美『日本はなぜ原発を輸出するのか』平凡社新書, 2014年
やや古いが、原子力発電所の輸出を題材にして、原子力をめぐる国内・国際的な関係を鋭く
分析する良書。 主な内容:福島原発事故と原子力輸出 原子力輸出の歴史 スリーマイル原発事故から原子力ルネサンスまで 公的融資の役割 地球環境問題と原子力 中国・台湾・インドネシア・アメリカSTPの事例 核エネルギー利用の是非など。
2025年11月20日木曜日
【おすすめ度○】清水善仁『公害の記憶をどう伝えるか』吉川弘文館, 2025
著者は歴史学者。「公害アーカイブズ」の視点から資料保存の重要性とその方法論について述べる。
2025年10月26日日曜日
【おすすめ度●】長島・大野・恒松法律事務所カーボンニュートラル・プラクティスチーム『カーボンニュートラル法務 第2版』金融財政事情研究会, 2025年
カーボンニュートラルに関する法規制を弁護士の立場から分析した本。著者が弁護士なので、法律に関するかなり専門的な内容。 内容:再エネ電力 カーボン・クレジット 水素とアンモニア カーボンニュートラルに関する訴訟 電気事業 不動産・インフラビジネス 企業情報開示 ファイナンス取引など。
【おすすめ度○】佐原徹哉『極右インターナショナリズムの時代』有志舎, 2025年
ノルウェーで大量殺人事件を起こしたアンネシュ・ブレイヴィクの思想や、ヨーロッパ特にヨーロッパでの極右運動の分析など。「極右」ではないがイスラム教系のジハード主義の問題点も詳しく書かれている。
2025年10月18日土曜日
【おすすめ度○】加藤喜之『福音派』中公新書, 2025年
アメリカにおけるキリスト教の一派である「福音派」の歴史と、その政治的影響力の分析。正確に理解しがたいのだが、福音派とは、「イエス・キリストが間もなく再臨し、キリストの再臨の時にはキリストを信じる者は空中に『携挙』されるが、信じない者たちは地上に残されて患難に苦しめられる」というような荒唐無稽な(この本でも荒唐無稽と書かれている)終末論を信じている人たちのことらしい。驚くべきことに、アメリカにはそういう人が数多く存在し、歴代の大統領をはじめとする有力政治家たちと協力関係をもって強い政治的影響力を発揮しているらしい。
2025年10月13日月曜日
【おすすめ度○】P・ルクーター, J・バーサレン『スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質』中央公論新社, 2011年
スパイス、爆薬、医薬品などの化学物質が、人々の生活や社会をどのように変えたのかに関するエッセイ集。それらの化学物質は最初は主に自然界の植物から得られたが、ヨーロッパ人による世界の植民地化が進められる目的の一つは、それらの化学物質をつくる植物の生息地を確保することであった。有用化学物質が得られる植民地を確保した国はそれを独占しようとする一方で、それをもたない国は人工的に合成しようとしたり代替品の開発に力を入れる。そうやって化学が発展してきたことが読み取れる。また一方でヨーロッパによる世界の植民地化の意味を理解するための一つの手がかりにもなる。取り上げられている物質はスパイス類、アスコルビン酸(ビタミンC)、グルコース、セルロース、ニトロ化合物(爆薬)、シルクとナイロン、フェノール(消毒薬)、イソプレン(ゴム)、染料、医薬品、麻薬、ニコチン、カフェイン、オレイン酸(オリーブ油)、塩、有機塩素化合物、マラリアと化学物質。
2025年10月5日日曜日
【おすすめ度○】吉田敦『アフリカ経済の真実』ちくま新書, 2020年
アフリカの資源開発と紛争の分析。豊かな資源に恵まれていることが、かえって紛争の原因になり、人々を苦しめているメカニズムを明らかにする。 内容:アフリカの紛争をどのように捉えるか 混迷するサヘル トゥアレグ イスラーム急進勢力の拡大 マダガスカル アルジェリアと「資源の呪い」 紛争ダイヤモンド アフリカの農地収奪 モブツ政権とコンゴなど
2025年9月29日月曜日
【おすすめ度☆】原島良成『条例理論の基礎』有斐閣, 2025年
地方自治体が定める「条例」について、「どのようなことを条例で定めることができるのか、特に法律との関係(横出し・上乗せ)」や「条例に従わない者がいたときに、どのように対応すべきか」など理念と実務の両方にわたって多角的に検討する本。公務員向けの教科書(地方自治・実務入門シリーズ)なので学生にはやや難しい。
【おすすめ度●】ボブ・ウッドワード,スコット・アームストロング『ブレザレン アメリカ最高裁の男たち』TBSブリタニカ, 1981年
2025年9月28日日曜日
【おすすめ度●】広中一成『七三一部隊の日中戦争 敵も味方も苦しめた細菌戦』PHP新書, 2025年
日本軍で細菌戦を行っていたのは731部隊だけではない。この本は日本軍の細菌戦の全貌を解明しようとする良書。なお、PHP新書は率直に言ってあまり学生にはお勧めできない本が多いのだけど、この本は例外(あるいはPHPの方針が変わったのか?)。
2025年9月25日木曜日
2025年9月15日月曜日
【おすすめ度●】ジョセフ・E・スティグリッツ,リンダ・ビルムズ『世界を不幸にするアメリカの戦争経済』徳間書店, 2008年
2003年に開始されたイラク戦争(アメリカのイラク侵攻)のコストを推計し、それが少なくとも3兆ドルに上るとしている。死亡者一人当たりの金銭評価法など、研究方法論も参考になる。 イギリス・日本についても言及されている。
【おすすめ度●】コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会『ODAダムが沈めた村と森』緑風出版, 2019年
ダム建設は、水没する地域に住んでいた住民に様々な被害を引き起こす。本書は、日本のODA(政府開発援助)によって建設されたインドネシアのコトパンジャン・ダムに対する反対運動の記録である。
【おすすめ度☆】フィリッパ・レヴィン『14歳から考えたい優生学』すばる舎, 2021年
かつて、障碍者が生まれることを防止することによって人類を改善しようという主張がされた。そのような考え方を優生学(Eugenics、ユージェニクス)という。現代社会において、優生学の考え方は表面的には否定されているが、水面下では社会のなかから優生学的な考え方がなくなったわけでは決してない。極端な例であるが2016年に起きた「やまゆり園障害者大量殺害事件」は優生学的な動機によって引き起こされた事件である。この本は、(もちろん批判的な立場から)優生学の考え方を説明する本。
2025年9月12日金曜日
【おすすめ度●】西山勝夫 編著『戦争と医学』文理閣, 2014年
日本医学会の戦争協力の歴史。731部隊、細菌兵器、遺棄毒ガス問題など。
【おすすめ度☆】柴田富士子,岡恵,國井久美子,中山俊彦『よくわかる!農林水産分野の知的財産権入門』丸善出版, 2025年
農林水産分野の知的財産権のしくみ、実例、特に地域ブランドに関する教科書。著者は弁理士。
【おすすめ度◎】畝山智香子『サプリメントの不都合な真実』ちくま新書, 2025年
小林製薬の紅麹事件、サプリメントや食品に関する規制、食品のリスク管理、食品と医薬品の関係などをわかりやすく網羅的に説明する良書
【おすすめ度○】粟野仁雄『アスベスト禍 国家的不作為のツケ』集英社新書, 2006年
著者は元共同通信記者。いかにも記者らしいスタイルのアスベスト問題に関するルポルタージュ。ルポルタージュなので読みやすいがあまり深い分析はされていない。
【おすすめ度○】永井孝志,村上道夫,小野恭子,岸本充生『世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか』講談社ブルーバックス, 2025年
2025年9月6日土曜日
【おすすめ度☆】笹原和俊『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』化学同人, 2018年
「エコーチェンバー」、「フィルターバブル」、「アテンションエコノミー」など基本的な考え方の説明。心理学的に説明しているので、真の意味でフェイクニュースが作り出される構造的原因(フェイクニュースでPVを稼ぐことにより広告収入が得られること、フェイクを流して損害賠償を払わされても損害賠償金の方より広告収入の方がずっと多いので「フェイクの流し得」になっていること、さらにそもそも政府自身がフェイクニュースの発信源となっていることなど)は取り上げられていない限界がある。
【おすすめ度○】若尾祐司,本田宏 編著『反核から脱原発へ ドイツとヨーロッパ諸国の選択』昭和堂, 2012年
ヨーロッパの反核運動・反原発運動に関する論文集。 主な内容:反核の論理と運動 ロベルト・ユンク 米原子力委員会 ドイツの原子力政策の展開と隘路 東ドイツ原子力政策史 反原発運動から緑の党へ 1980年代初頭の反核平和運動 ユーロシマ危機 チェルノブイリ原発事故後のドイツ社会 シュレーダー赤緑連立政権からメルケル中道保守政権まで イギリスの原子力政策史 フランス原子力政策史 ヨーロッパ小国の原子力政策
【おすすめ度○】A.C.グレイリング『月は誰のもの? 南極、海洋、アフリカの前例に学ぶ』柏書房, 2025年
南極、海洋、アフリカの領有(ヨーロッパ列強による分割)や国際管理の歴史を踏まえて、宇宙を管理する国際法のあり方について考察する。
2025年9月5日金曜日
【おすすめ度○】中村昌允『技術者倫理とリスクマネジメント -事故はどうして防げなかったのか?-』オーム社, 2012年
著者は元ライオン油脂の技術者責任者で、大規模な爆発事故を経験している。著者自身の経験のみならず、多数の事例を踏まえて技術者のあるべき姿を考察している。福島原発事故や食品安全問題などの事例も取り上げられている。 内容:技術者倫理はなぜ必要か リスクマネジメントとは何か 福島原発事故と技術者 技術者と経営者 説明責任 危機管理 設備変更の管理 事故とヒューマンエラー 製品事故と製造物責任 企業不祥事と技術者の行動 内部告発など
2025年9月4日木曜日
【おすすめ度○】鈴木エイト『統一教会との格闘、22年』角川新書, 2025年
統一教会の偽装勧誘、信者からの研究収奪、政治への浸透、2世問題など、著者がこれまで現場で追及してきた内容。多くの人が(うすうす)知ってはいたけれども書けなかったことを、勇気ある著者が堂々と書いている。それには敬意を表したい。





























