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このブログで紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 陰謀論、マスコミ、科学的認識論/科学方法論などに関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 気候変動とエネルギー・資源問題に関する本の一覧 原子力と核兵器に関する本 地...

2025年12月4日木曜日

【おすすめ度○】本堂毅, 平田光司, 尾内隆之, 中島貴子編『科学の不定性と社会』信山社, 2017年

現実におきている問題(主に法的問題)と科学の関係を検討する良書。 内容:ルンバール事件と科学 科学と防災(地震予知) 医学的診断の社会性(「メタボ」はいかにして作り出されたか) 犯罪捜査と科学 科学と裁判 家族概念の科学と民法 科学の不定性とは何か 理科教育における科学の不定性 東北大学での科学教養教育 法教育における科学リテラシー 科学の不定性と市民参加など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
私たちは科学的な専門知とどのように向き合っていけばいいのでしょうか?幅広い分野から、信頼の著者が集った科学リテラシー入門。

科学は頼りになりますが、なんでも解決してくれるわけではありません。ときどき暴走もしてそうです。

現代社会の安定と繁栄の根底に,「科学に関する専門知」が重要な役割を果たしてきたこと,いることに疑う余地はありません.しかしながら,「3.11」後の現在,そのあり方や用いられ方に対し様々な批判や疑問の目が向けられていることも,また確かです.では,これから先,私たちは科学的な専門知とどのように向き合ってゆけばよいのでしょうか.これは現代社会が直面する大きな課題です.本書は,この課題に「科学の多様な不定性と意思決定」という観点からアプローチします.


2025年11月30日日曜日

【おすすめ度●】ジェフリー・トゥービン『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』河出書房新社, 2013年

1980年(レーガン政権)から2008年(ブッシュ政権の終焉)までの時期のアメリカ連邦最高裁の動向のルポルタージュ。この時期には、クラレンス・トーマス、アントニン・スカリアという極端に保守的で共和党寄りの裁判官が指名されて、アメリカ最高裁の保守化が始まった。しかしこの時期にはまだ左派(ジョン・ポール・スティーヴンス、スティーヴン・ブライヤー、ルース・ベイダー・ギンズバーグ)の影響力も強かった上に、サンドラ・オコナー、デイヴィット・スーター、アンソニー・ケネディが中間派となり、もともとは保守派だったレンクイスト長官も保守的傾向を弱めたので最高裁の極端な保守化は進まなかった。本書の著者は、2000年大統領選挙でのフロリダ再集計停止の最高裁の決定(最高裁の決定により、ジョージ・W・ブッシュが大統領に当選した)を、大統領選挙でブッシュを勝たせるために法をゆがめたものであり、最高裁の最大の汚点だと言っている。他にも重要な判例をめぐる裁判官の討論が書かれているが、率直に言って同じ題材を扱った『ブレザレン』ほど迫力ある内容ではない(『ブレザレン』が扱っているのは1960~70年代のまさに激動の時代を扱っているので、『ブレザレン』ほど迫力ある内容にならないのはやむを得ない)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
妊娠中絶、同性愛者の権利、死刑制度、銃規制などをめぐり、アメリカ社会の縮図である連邦最高裁の内側を鋭く詳細に綴ったノンフィクション。ニューヨークタイムズ年間最優秀図書。



2025年11月27日木曜日

【おすすめ度○】シッダルタ・カラ『ブラッド・コバルト コンゴ人の血がスマートフォンに変わるまで』大和書房, 2025年

主にアフリカのコンゴ民主共和国のコバルト鉱山でのきわめて悪質な奴隷労働や児童労働のルポルタージュ(当事者の言葉では、「われわれは墓場で働いている」)。コンゴの独立までは宗主国ベルギーによって搾取が行われていたが、本書によれば現在は中国企業がとってかわった。しかし中国企業だけが問題なのではなく、悪質な奴隷労働や児童労働によってコバルトが採掘されていることを知りつつ、コンゴからコバルトを購入しているグローバルなサプライチェーン全体の問題だという。それ以外にコンゴのウラン鉱山と北朝鮮の関係や、レバノンのヒズボラなどの組織の暗躍も触れられている。
 この本では婉曲に書かれているが、このような深刻な事態をもたらした最大の原因はコンゴの政治が極度に腐敗し、コンゴの特権階級は自分たちの利益のために国民がどれだけ犠牲になっても何ら対策を取ろうとしないからである。なぜ、そのような腐敗した特権階級が権力を握り続けることができるのか。それはコバルトをはじめとするコンゴの資源を利用するグローバル企業たちが、コンゴの特権階級とひそかに結託し、それを利用・保護しているからであろう。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
児童労働、人身売買、1日12時間掘っても1ドル…コンゴ人の証言を通して初めて描かれた苛烈な搾取!

【おすすめ度☆】栗山浩一、馬奈木俊介『環境経済学をつかむ 第5版』有斐閣, 2024年

新古典派的な環境経済学の標準的な教科書。なぜか所蔵している図書館が少ない。 主な内容:生活と環境 経済発展と環境問題 ごみ問題と循環型社会 地球温暖化問題 環境問題発生のメカニズム 外部性と市場の失敗 共有資源の利用と管理 公共財とフリーライダー 環境政策の基礎と応用 環境の価値評価 企業と環境問題 地球環境問題と環境経済学など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
専門知識を持たなくともエッセンスを確実に理解できるように,具体的な環境問題を取り上げて丁寧に解説した好評入門書の最新版。新たに「ナッジと環境政策」のunitを追加し,図表やトピックスを更新。オンライン講義にも最適なウェブサポートページを掲載。


2025年11月22日土曜日

【おすすめ度●】山岡淳一郎『日本はなぜ原発を拒めないのか』青灯社, 2017年

原子力に関するいろいろなトピックを扱っているが、本としてのまとまりがない。東芝崩壊については非常に詳しく、かつ厳しく追及している。 内容:原発の失敗と東芝崩壊 政治・官僚・経済界・学界・報道の癒着 原発テロの危険 日本の核武装の野心

版元ドットコムから紹介を引用
日本を震撼させた、名門企業・東芝の転落劇。
その元凶、原発を拒めない国家の闇に迫る。

・原子力産業と核戦略の「日米一体化」という名目の対米従属
・推進派が固める「原子力ペンタゴン(五角形)」体制の盤石さ
・原発は核物質の宝庫。それを狙うテロリストに、無防備な日本
・戦後の政治家たちに潜在的に受け継がれてきた核武装の誘惑
・フクシマ発の脱原発、自然エネルギーによる自立の道が見えてきた!

気鋭のジャーナリストが、経済人・官僚・政治家・福島を取材して明かす、
原発の闇と地元の脱原発への光!
渾身のノンフィクション


【おすすめ度●】吉田文和『ドイツの挑戦 エネルギー大転換の日独比較』日本評論社, 2015年

福島原発事故以降のドイツの脱原発(原発廃止・解体)と放射性廃棄物の政策、再生可能エネルギー促進政策を詳しく説明する。原子力をめぐるリスクと倫理に関する議論もなされている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
環境先進国ドイツにおける脱原発と再生可能エネルギーの実態を徹底調査し、日本の現状と比較。日独が互いに学ぶべき教訓とは?

【おすすめ度◎】鈴木真奈美『日本はなぜ原発を輸出するのか』平凡社新書, 2014年

やや古いが、原子力発電所の輸出を題材にして、原子力をめぐる国内・国際的な関係を鋭く
分析する良書。 主な内容:福島原発事故と原子力輸出 原子力輸出の歴史 スリーマイル原発事故から原子力ルネサンスまで 公的融資の役割 地球環境問題と原子力 中国・台湾・インドネシア・アメリカSTPの事例 核エネルギー利用の是非など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
安倍政権は福島原発事故にもかかわらず、トルコ等に原発を売り込んでいる。その理由と問題点をわかりやすく解き明かした初めての本。
福島原発事故の収束は見えず、原因解明も不十分。その一方、安倍政権はトルコ、UAEなどで積極的にセールスを行っている。もしも契約が成立すると、完成・運転までの長期間の責任を(企業を超えて)日本が負うことになる。将来世代にも大きな影響を及ぼすこのことを、なぜ安倍政権は進めるのか? 本書は、原発輸出(原子力輸出)の理由、背景と構造、問題点を解き明かした初めての本であり、この問題が私たち一人一人に関わっていることを示している。


2025年11月20日木曜日

【おすすめ度○】清水善仁『公害の記憶をどう伝えるか』吉川弘文館, 2025

著者は歴史学者。「公害アーカイブズ」の視点から資料保存の重要性とその方法論について述べる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
公害の記録や資料を整理し保管・展示する意義と可能性を追究。大学の公害資料館にも言及し、アーカイブズ活動の重要性を説く。
四日市ぜんそくや水俣病など、1960年代の社会問題であった公害をめぐる裁判から長い年月が過ぎ、当時の記憶を未来へどう継承していくかは大きな課題となっている。公害の記録や資料を整理・保管・展示する「公害アーカイブズ」を提唱し、意義と可能性を追究。大学の公害資料館の取り組みにも言及し、アーカイブズ活動の重要性を説く注目の書。


2025年10月26日日曜日

【おすすめ度●】長島・大野・恒松法律事務所カーボンニュートラル・プラクティスチーム『カーボンニュートラル法務 第2版』金融財政事情研究会, 2025年

カーボンニュートラルに関する法規制を弁護士の立場から分析した本。著者が弁護士なので、法律に関するかなり専門的な内容。 内容:再エネ電力 カーボン・クレジット 水素とアンモニア カーボンニュートラルに関する訴訟 電気事業 不動産・インフラビジネス 企業情報開示 ファイナンス取引など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
新時代に求められるカーボンニュートラル(脱炭素)法務とは
企業開示、ファイナンス取引、電力や不動産など脱炭素に向けた規制・政策と法務分野の留意点を解説した最新版
 地球温暖化が問題視されてから久しくなりますが、ここ数年は局地的な熱波、大規模な洪水など、地球温暖化に伴う気候変動が世界中に大きく影響を与える事象が増え、地球温暖化への対応がいよいよ待ったなしの状況となり、世界各地でカーボンニュートラル(脱炭素化)に向けての動きが急速に活発化しています。
 日本においても様々な法規制の整備が日々進んでいるとともに、国際的な枠組みによるソフトローも大きく進展し、そのような速い動きのために、カーボンニュートラルに伴うソフトローも含めた法的枠組みを体系立てて理解することが容易でない状況になっています。初版刊行以降も、令和4年省エネ法等改正、周辺地域の住民説明会等を導入した令和5年再エネ特措法改正、水素社会推進法およびCCS事業法の成立などカーボンニュートラルに関連する法令に大きな動きがありました。
 第2版ではこの間の大きな動きを含め、実務の進展等をできるだけ反映するよう努めました。
 初版同様に、執筆者一同、カーボンニュートラルに伴う法的枠組みを少しでも読者の皆様に理解し易く伝えることができればと思い、執筆しております。こうした執筆者らの思いが成功し、本書が幾ばくかでも読者の皆様のご理解に役に立つことを願っております。

【おすすめ度○】佐原徹哉『極右インターナショナリズムの時代』有志舎, 2025年

ノルウェーで大量殺人事件を起こしたアンネシュ・ブレイヴィクの思想や、ヨーロッパ特にヨーロッパでの極右運動の分析など。「極右」ではないがイスラム教系のジハード主義の問題点も詳しく書かれている。

版元ドットコムから紹介を引用
なぜこの時代に「右傾化」が世界中で進行しているのか。欧米で広がる 極右政党の台頭と反イスラムの風潮、中東を中心としたムスリム諸国で の宗教右派の台頭、西側リベラル政治勢力の後退にもかかわらず加速し 続ける新自由主義経済政策――。一見するとバラバラに映る現象の背景 には、実は共通する力が作用している。本書は極右思想のネットワーク 化とその思想の広がりを、特定の国家・民族に限ることなく、地域横断 的に分析することを通して、世界的な「右傾化」メカニズムの解明に挑む。

2025年10月18日土曜日

【おすすめ度○】加藤喜之『福音派』中公新書, 2025年

アメリカにおけるキリスト教の一派である「福音派」の歴史と、その政治的影響力の分析。正確に理解しがたいのだが、福音派とは、「イエス・キリストが間もなく再臨し、キリストの再臨の時にはキリストを信じる者は空中に『携挙』されるが、信じない者たちは地上に残されて患難に苦しめられる」というような荒唐無稽な(この本でも荒唐無稽と書かれている)終末論を信じている人たちのことらしい。驚くべきことに、アメリカにはそういう人が数多く存在し、歴代の大統領をはじめとする有力政治家たちと協力関係をもって強い政治的影響力を発揮しているらしい。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
近年、巨大な影響力を誇るアメリカの福音派。独特の終末論的な世界観を持つ宗教集団・運動は、いつから勢力を拡大し、政治的・文化的闘争に関与していったのか。本書は、アメリカの人種差別や中絶・同性婚問題、イスラエルとの関係などに福音派がいかに関わったのかを描く。カーター、レーガン、クリントン、オバマら歴代大統領、そしてトランプたちとの交差も示し、超大国に深い亀裂が入った経緯と現在地を照らし出す。


2025年10月13日月曜日

【おすすめ度○】P・ルクーター, J・バーサレン『スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質』中央公論新社, 2011年

スパイス、爆薬、医薬品などの化学物質が、人々の生活や社会をどのように変えたのかに関するエッセイ集。それらの化学物質は最初は主に自然界の植物から得られたが、ヨーロッパ人による世界の植民地化が進められる目的の一つは、それらの化学物質をつくる植物の生息地を確保することであった。有用化学物質が得られる植民地を確保した国はそれを独占しようとする一方で、それをもたない国は人工的に合成しようとしたり代替品の開発に力を入れる。そうやって化学が発展してきたことが読み取れる。また一方でヨーロッパによる世界の植民地化の意味を理解するための一つの手がかりにもなる。取り上げられている物質はスパイス類、アスコルビン酸(ビタミンC)、グルコース、セルロース、ニトロ化合物(爆薬)、シルクとナイロン、フェノール(消毒薬)、イソプレン(ゴム)、染料、医薬品、麻薬、ニコチン、カフェイン、オレイン酸(オリーブ油)、塩、有機塩素化合物、マラリアと化学物質。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
小さな分子が社会を変えた! 化学構造式の読み方も身につくユニークな世界史 砂糖、綿、抗菌剤、ゴム、ニコチン、PCB…身近な物質の化学的な働きが、東西交易や植民地支配、産業革命、公衆衛生、戦争と平和、法律など人類の発展に与えた影響を、エピソード豊富に分りやすく解説。 文明の発達を理解するための独創的なアプローチ。




2025年10月5日日曜日

【おすすめ度○】吉田敦『アフリカ経済の真実』ちくま新書, 2020年

アフリカの資源開発と紛争の分析。豊かな資源に恵まれていることが、かえって紛争の原因になり、人々を苦しめているメカニズムを明らかにする。 内容:アフリカの紛争をどのように捉えるか 混迷するサヘル トゥアレグ イスラーム急進勢力の拡大 マダガスカル アルジェリアと「資源の呪い」 紛争ダイヤモンド アフリカの農地収奪 モブツ政権とコンゴなど

出版社ウェブサイトから紹介を引用
豊富な資源があっても、大規模開発があっても、国民は貧しいまま。それはなぜなのか? 日本では知られていないアフリカ諸国の現状を解説し、背景を分析する。



2025年9月29日月曜日

【おすすめ度☆】原島良成『条例理論の基礎』有斐閣, 2025年

地方自治体が定める「条例」について、「どのようなことを条例で定めることができるのか、特に法律との関係(横出し・上乗せ)」や「条例に従わない者がいたときに、どのように対応すべきか」など理念と実務の両方にわたって多角的に検討する本。公務員向けの教科書(地方自治・実務入門シリーズ)なので学生にはやや難しい。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
地方自治の要となる「条例」。そもそも条例とは何か,自治体は何をどこまで規律できるのか,条例を実効性あるものとするにはどうすればよいか──。条例を使いこなし,魅力ある自治体をつくるためのヒントが詰まった一冊。解説を付した。学部生から実務家まで幅広いニーズに応える必携の書。

【おすすめ度●】ボブ・ウッドワード,スコット・アームストロング『ブレザレン アメリカ最高裁の男たち』TBSブリタニカ, 1981年

ボブ・ウッド―ワードとスコット・アームストロングの二人は、新聞(ワシントン・ポスト)の記者。本来、裁判所でどのような議論が行われて判決が書かれたのか、その過程が外部の新聞記者に明らかになることはない。しかし本書は、膨大な内部資料に基づいて(もちろん本来はそのような内部情報は極秘情報のはずであり、そのような内部資料が新聞記者に渡されることが異常事態)、アメリカ最高裁の判決がどのように作られたのかを詳しく明らかにする本である。
 アメリカには膨大な人数の弁護士が存在し、さまざまな問題を裁判によって解決する傾向が強い国である。したがって、アメリカの裁判所のなかで「最高」の位置を占める最高裁判所は、アメリカの政治・経済・社会に重大な影響を及ぼす強い権力を持っている(裁判所と大統領が強大な力を持っている代わりに、アメリカでは議会の力は他国に比べて小さい)。しかも、アメリカの最高裁判所の裁判官は、死去するか自ら辞任する以外に辞めさせられることはない。一応、裁判官を強制的にやめさせる裁判官弾劾の制度はあるものの、それが適用された実例はない。アメリカ最高裁判所の裁判官は、強大な権力を持っているのみならず、その身分が安定的に保障されており、政治家の意向に配慮する必要もないのである。
 特に、本書が扱っている1969年から1976年にかけては、人種差別撤廃、人工中絶の合法化、ヴェトナム戦争、ウォーターゲート・スキャンダル(この事件は最終的に当時のニクソン大統領を辞任に追い込んだ)、死刑廃止など重大な判決が相次いで出された時期である。意外に感じる人もいるかもしれないが、アメリカでは最高裁の判決によって、1967年から1976年まで死刑の執行が停止されていた。法律では死刑が定められているにもかかわらず、アメリカの最高裁判所には死刑を「違憲である」として停止する権力があるのである(1975年に改めて死刑を認める判決が出され、死刑が再開された。なぜ最高裁判所が判決を変更したかというと、死刑に反対する裁判官が高齢で退職し、かわりに死刑賛成の裁判官が就任したから)。このように裁判所が大きな権力を持つ社会のしくみのため、アメリカではあらゆる問題が裁判所に持ち込まれることになる。アメリカの最高裁判所は、とりわけアール・ウォーレン最高裁判所長官の時代に、人種差別撤廃やヴェトナム戦争、妊娠中絶の合法化(かつてキリスト教国では妊娠中絶が禁止されていることが多かった。トランプ政権下で、再び一部の州で妊娠中絶を制限する動きが現れている)、死刑廃止など社会を進歩させる方向に「強引」と言ってもいいほどの強力な指導力を発揮した。その一方で、社会のあらゆる問題が最高裁判所に持ち込まれるため、わいせつ事案に関しては、いちいち一つ一つの作品について「この作品はわいせつなポルノか?」ということが最高裁判所で審議されるような不合理なことも起きている。
 本書は、このようにアメリカ社会の中で極めて重要な役割を果たしている最高裁判所の内部情報を明らかにする本である。なお「ブレザレン(brethren)」はbrotherの古めかしい形の複数形。この言葉が示す通り、当時の最高裁判所の裁判官は全員が男性で、ある意味では兄弟のような関係であった。
 なぜ本来極秘であるはずの最高裁判所の内部情報が大量に新聞記者に渡されたのか。本書を読むと、当時のウォーレン・E・バーガー最高裁判所所長が徹底的に酷評(罵倒といってもよい程)されている。アメリカの最高裁判所には9人の裁判官がいるが、この本ではバーガー長官以外の裁判官はたまに批判されることもあるが基本的に称賛されている。収賄容疑で辞任したエーブ・フォータス裁判官(この本ではなぜか「エーヴ・フォータス」と書かれているが「エーブ・フォータス(Abe Fortas)が正しい)でさえ酷評はされていない。ところが、バーガー長官だけは称賛されることがなく酷評される一方である。ここから推測されることは、最高裁判所の関係者で、バーガー長官に反感を持つ者が新聞記者に情報を提供したのではないかと思われる。
 この本ではバーガー長官が酷評される一方で、ポッター・スチュワート裁判官が最高裁の実質的なリーダーシップをとっているように描かれている。実は、この本の冒頭で、本来スチュワート裁判官が最高裁判所長官になるはずだったが、家庭の事情(配偶者の飲酒癖)のために辞退せざるを得なかったというエピソードが書かれている。もちろん、だからと言ってスチュワート裁判官が情報を新聞記者に渡したと推測できるわけではないが(なぜなら、バーガー長官と子供のころからの友人だったハリー・ブラックマン裁判官を除いて、それ以外の裁判官は全員がバーガー長官に反感を持っていたと思われるので)。なおこの本の最初には各裁判官が写真付きで紹介されているのだが、スチュワート裁判官以外はいかにも裁判官らしい善良そうだが風采の上がらない初老の男性だが、スチュワート裁判官だけは若々しい颯爽とした写真が使われている。
 このように、この本は「誰がこんな極秘情報を新部記者に渡したんだ?」という、一種の推理小説としても楽しめる(不謹慎な言い方だが)本である。これは訳者の中村保男氏が推理小説など文芸作品の翻訳が専門の人であることも影響しているかもしれない(その代わり、法律用語の翻訳はやや不正確である)。

【追記】『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』を読むと、『ブレザレン』の情報提供者はやはりスチュワート判事であると書かれている(40ページ)。英語版Wikipediaでもスチュワートが情報提供者だと書かれている。




2025年9月28日日曜日

【おすすめ度●】広中一成『七三一部隊の日中戦争 敵も味方も苦しめた細菌戦』PHP新書, 2025年

日本軍で細菌戦を行っていたのは731部隊だけではない。この本は日本軍の細菌戦の全貌を解明しようとする良書。なお、PHP新書は率直に言ってあまり学生にはお勧めできない本が多いのだけど、この本は例外(あるいはPHPの方針が変わったのか?)。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
七三一部隊にとどまらない細菌戦の実態
 日中戦争のさなか、人体実験や細菌兵器の開発と製造に携わったとされる関東軍防疫給水部、通称七三一部隊。組織の中心にいたのは、部隊長・石井四郎を筆頭とした、日本を代表するエリートたちだった。
 また細菌戦は満洲の七三一部隊だけではなく、他の四つの部隊でも実行された。
 日中戦争史の専門家が、陸軍参謀本部の視点や作戦史も踏まえながら、細菌戦の知られざる実態に迫る。
 なぜエリートたちが細菌戦にのめり込んだのか?

 【本書の要点】
●細菌兵器はもともと対ソ戦で使うはずだった
●七三一部隊は石井四郎を中心とした京都帝大医学部閥
●葛藤しながらも細菌兵器の製造に加担した軍医たち
●新発見! 「藤原ノート」が示す重要な事実
●ペスト菌に感染させたノミを投下するPX攻撃
●中国軍も細菌戦を実行していた?
●日本本土で細菌兵器が使用されたかもしれない


2025年9月25日木曜日

【おすすめ度☆】藤原敬『国際的な環境ガバナンスと日本の木材利用』築地書館, 2025年

国際的な環境ガバナンスと日本の森林政策・木材利用政策の関係を説明する本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
地球環境と市民の視点から、日本の森林と木材利用のこれからを考える
 林野庁等で長きにわたり日本の森林政策にかかわってきた著者が考える、
国際的な環境ガバナンスを踏まえたこれからの日本の森林や木材利用とは――。
 自己研鑽と問題提起のために自ら立ち上げたWEBサイト「持続可能な森林経営のための勉強部屋」による25年の活動を通し、
産官学民の垣根を越えてさまざまな議論を重ねてきた著者だからこその視点、
未来への提言をわかりやすくまとめた1冊。



2025年9月15日月曜日

【おすすめ度●】ジョセフ・E・スティグリッツ,リンダ・ビルムズ『世界を不幸にするアメリカの戦争経済』徳間書店, 2008年

2003年に開始されたイラク戦争(アメリカのイラク侵攻)のコストを推計し、それが少なくとも3兆ドルに上るとしている。死亡者一人当たりの金銭評価法など、研究方法論も参考になる。 イギリス・日本についても言及されている。

紀伊國屋書店ウェブサイトから紹介を引用
イラク戦争におけるアメリカの出費は、12年にわたったベトナム戦争をすでに上回り、負傷兵の治療費や退役軍人の手当てなどを考慮すると、少なくとも3兆ドルにのぼる。しかし、戦況は混沌としたままで、復興の道は見えない―。この実りなき戦争に費やされた膨大な経費は、アメリカ経済、そして世界経済にいかなる衝撃をあたえているのか?ブッシュ政権によるコスト隠蔽操作をあばき、戦争という巨大ビジネスが引き起こす負の連鎖を看破する。ノーベル賞経済学者スティグリッツの衝撃作。



【おすすめ度●】コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会『ODAダムが沈めた村と森』緑風出版, 2019年

ダム建設は、水没する地域に住んでいた住民に様々な被害を引き起こす。本書は、日本のODA(政府開発援助)によって建設されたインドネシアのコトパンジャン・ダムに対する反対運動の記録である。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
政府開発援助(ODA)は、途上国を助けてあげる良いことだと宣伝されてきた。まさか援助国の日本が裁判で訴えられる事態となることは、多くの人々には意外であった。ODAは、無駄遣いや役立たない援助とか、汚職・わいろの温床、途上国の借金漬けなどの問題が指摘されることはあっても、深刻な被害がおきていることは日本国内に知らされていなかった。
インドネシアのコトパンジャン・ダム裁判は、強制立ち退きを強いられた2 万人以上の被害者と自然環境破壊が大量に生み出され、多くの人々が苦しんでいることを白日の下にさらけ出すことになった。
本書は、8396 人という日本の裁判史上最大の原告団と日本での裁判を支援する支援者・弁護団によって闘われたコトパンジャン・ダム裁判の全記録である。(2019.2)


【おすすめ度☆】フィリッパ・レヴィン『14歳から考えたい優生学』すばる舎, 2021年

かつて、障碍者が生まれることを防止することによって人類を改善しようという主張がされた。そのような考え方を優生学(Eugenics、ユージェニクス)という。現代社会において、優生学の考え方は表面的には否定されているが、水面下では社会のなかから優生学的な考え方がなくなったわけでは決してない。極端な例であるが2016年に起きた「やまゆり園障害者大量殺害事件」は優生学的な動機によって引き起こされた事件である。この本は、(もちろん批判的な立場から)優生学の考え方を説明する本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
優生学とは、ひとことでいえば、優れた血統をのこし、劣った血統をなくすことで、人類全体の質を向上させようとする思想です。それは、ナチスドイツだけのものではないし、過去のものでもありません。かつては世界の多くの国でおこなわれ、いまも根強くその考えはのこっているのです。(本書「訳者によるまえがき」より)
前世紀、世界各地で政治をまきこむ運動となった優生学。その短くも変化にとむ歴史をひもとき、優生思想の呪縛がいまだに私たちをとらえてはなさない実態を明らかにする。
自分をとりまく「世界」がどんな難題をかかえているか。それはなぜ起こり、どうしたら解決できるのか。
知るだけで自分も世界も変わる。オックスフォード大学出版局「ベリー・ショート・イントロダクション」シリーズ第2弾。


2025年9月12日金曜日

【おすすめ度●】西山勝夫 編著『戦争と医学』文理閣, 2014年

日本医学会の戦争協力の歴史。731部隊、細菌兵器、遺棄毒ガス問題など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
15年戦争期「満州」や中国各地で行われたおぞましい「悪魔の飽食」。人体実験・生体解剖、ベスト・炭疽菌などから細菌兵器の開発・使用…、今も起こる遺棄化学兵器被害。日本の過去を真正面から問いなおす。


【おすすめ度☆】柴田富士子,岡恵,國井久美子,中山俊彦『よくわかる!農林水産分野の知的財産権入門』丸善出版, 2025年

農林水産分野の知的財産権のしくみ、実例、特に地域ブランドに関する教科書。著者は弁理士。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
知的財産に関わる数々の相談を受けてきた著者達による、農林水産分野向けの知的財産権の入門書。
 第1章では知的財産権制度の概要を説明した後、第2章・第3章でさまざまな実例から、農林水産物を保護・活用するために効果的な知的財産権とその考え方を解説。
また第4章では、農業現場の課題解決策の1つとして、近年注目を集めるスマート農業について、知的財産権との関係性を解説しました。
 農林水産業における知的財産を上手に保護するために、どのような手段を取ることができるのかを知り、将来を考えるうえでの一助となる一冊です。
農業高校の生徒や農林水産系の学部に所属する大学生だけではなく、農林水産業の現場の方もご活用いただけます。

【おすすめ度◎】畝山智香子『サプリメントの不都合な真実』ちくま新書, 2025年

小林製薬の紅麹事件、サプリメントや食品に関する規制、食品のリスク管理、食品と医薬品の関係などをわかりやすく網羅的に説明する良書

出版社ウェブサイトから紹介を引用
あなたが飲んでいるそのサプリメントは大丈夫? 知ったら怖くて飲めなくなる!
紅麹の危険性は予知されていた! 「ビタミンやミネラルだから安全」は大間違い? 知ったら怖くて飲めなくなる。食品安全の第一人者が隠された真実を徹底解説。

【おすすめ度○】粟野仁雄『アスベスト禍 国家的不作為のツケ』集英社新書, 2006年

著者は元共同通信記者。いかにも記者らしいスタイルのアスベスト問題に関するルポルタージュ。ルポルタージュなので読みやすいがあまり深い分析はされていない。

紀伊國屋書店ウェブサイトから紹介を引用
炸裂していた静かな爆弾。アスベスト(石綿)が人体と環境に残した負の遺産は、今や労災、公害の枠にはおさまらない国民的災害といえる。潜状期間が長い中皮腫、喫煙習慣の陰で見逃されていた可能性の高い肺がん。被害者救済新法の制定はされても、これまで流された涙、失われた命は戻らない。だが実はアスベストの危険性は七〇年代から指摘されていた。八〇年代には徹底除去するチャンスもあったはず。この数十年間企業と行政はいったい何をして、何をしてこなかったのか。本書はその経緯を辿り、大いなる看過と怠慢の問題点を浮き彫りにする。

【おすすめ度○】永井孝志,村上道夫,小野恭子,岸本充生『世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか』講談社ブルーバックス, 2025年

レギュラトリーサイエンスの立場から基準値について論じる良書。取り上げられているテーマは、トランスジェンダー女性の女性スポーツ参加問題、新型コロナと基準値、福島原発事故の汚染水放出、原発の安全基準、治水の安全基準、がん検診のメリットとデメリット、PFASの基準値、新しい「食の」基準値、AIと個人情報など。
 全体としては良書なのだが、福島原発事故の汚染水放出を扱った章は、「希釈して放流していいのか」という問題が無視されており(希釈して放出するのが許されるのなら、そもそも排出基準を定める意味がなくなる)、また「希釈」に使われる海水が汚染されているという問題も無視されていたりするなど問題が多い。この章が無かったらおすすめ度◎にしたのだけど。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界はいま、すべての境目が混沌としている。オリンピックではトランスジェンダーの選手が活躍し、大人になる年齢は18歳か20歳か曖昧になり、AIが書いた文章は人間のそれと見分けがつかなくなった。一方、コロナ禍にできた「新ルール」は迷走し、PFASが「新たな脅威」とされ、「新規」の食品や「新手」のハラスメントも次々に現れ、新しいリスクとなっている。こんなときこそ、われわれには「基準値」が必要だ。しかし誰にも公平な基準値をつくるのは難しい。2014年刊行『基準値のからくり』が大好評を博した4人の基準値オタクが、今度は世界規模で基準値の驚きのからくりを解き明かす。ようこそ、目くるめく基準値の迷宮へ!

2025年9月6日土曜日

【おすすめ度☆】笹原和俊『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』化学同人, 2018年

「エコーチェンバー」、「フィルターバブル」、「アテンションエコノミー」など基本的な考え方の説明。心理学的に説明しているので、真の意味でフェイクニュースが作り出される構造的原因(フェイクニュースでPVを稼ぐことにより広告収入が得られること、フェイクを流して損害賠償を払わされても損害賠償金の方より広告収入の方がずっと多いので「フェイクの流し得」になっていること、さらにそもそも政府自身がフェイクニュースの発信源となっていることなど)は取り上げられていない限界がある。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
フェイクニュースはなぜ拡散するのか.人の認知特性,SNSなどの情報環境から読み解く.

(amazonから補足)
虚偽情報お断り!

2016年、米国大統領選挙を契機に注目を集めるようになったフェイクニュースは、
いかにして拡散するのか。
本書ではこの複雑怪奇な現象を「計算社会科学」という新しい分野から読み解く。
偽情報を信じてしまう人間の認知特性、その情報を拡散させる情報環境の特徴、
情報過多と注意力の限界などの側面からフェイクニュース現象の全体像を描き出し、
メディアリテラシーやファクトチェックによる対抗手段の有効性を検討。
大量の情報が飛び交う現代、偽ニュースに惑わされないために必読の1冊!

【おすすめ度○】若尾祐司,本田宏 編著『反核から脱原発へ ドイツとヨーロッパ諸国の選択』昭和堂, 2012年

ヨーロッパの反核運動・反原発運動に関する論文集。 主な内容:反核の論理と運動 ロベルト・ユンク 米原子力委員会 ドイツの原子力政策の展開と隘路 東ドイツ原子力政策史 反原発運動から緑の党へ 1980年代初頭の反核平和運動 ユーロシマ危機 チェルノブイリ原発事故後のドイツ社会 シュレーダー赤緑連立政権からメルケル中道保守政権まで イギリスの原子力政策史 フランス原子力政策史 ヨーロッパ小国の原子力政策

出版社ウェブサイトから紹介を引用
(※この紹介文は、本の内容とほぼ無関係な不可解な紹介文)
脱原発政策に向かって舵を切り、エネルギー消費の抑制へと向かう、エコ意識の覚醒のみが未来への希望を与える。原発の本格的研究書。


【おすすめ度○】A.C.グレイリング『月は誰のもの? 南極、海洋、アフリカの前例に学ぶ』柏書房, 2025年

南極、海洋、アフリカの領有(ヨーロッパ列強による分割)や国際管理の歴史を踏まえて、宇宙を管理する国際法のあり方について考察する。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
軍事的・経済的に注目の的である宇宙を、平和的に管理することは可能か?「共有地の悲劇」を回避するために、3つの前例をひもとく!


2025年9月5日金曜日

【おすすめ度○】中村昌允『技術者倫理とリスクマネジメント -事故はどうして防げなかったのか?-』オーム社, 2012年

著者は元ライオン油脂の技術者責任者で、大規模な爆発事故を経験している。著者自身の経験のみならず、多数の事例を踏まえて技術者のあるべき姿を考察している。福島原発事故や食品安全問題などの事例も取り上げられている。 内容:技術者倫理はなぜ必要か リスクマネジメントとは何か 福島原発事故と技術者 技術者と経営者 説明責任 危機管理 設備変更の管理 事故とヒューマンエラー 製品事故と製造物責任 企業不祥事と技術者の行動 内部告発など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
 本書は、技術者倫理、リスクマネジメントの教科書であるとともに、事故の発生について深い洞察を加えた啓蒙書です。技術者倫理・リスクマネジメントを学ぶ書籍の中でも、事故・事例などを取り上げ、その対処について具体的に展開するかたちをとっているユニークなものとなっています。
 原発事故、スペースシャトル爆発、化学プラントの火災などを事例として取り上げ、事故を未然に防ぐこと、起きた事故を最小の被害に防ぐことなど、リスクマネジメント全体への興味が高まっている中、それらに応える魅力的な本となります。






2025年9月4日木曜日

【おすすめ度○】鈴木エイト『統一教会との格闘、22年』角川新書, 2025年

統一教会の偽装勧誘、信者からの研究収奪、政治への浸透、2世問題など、著者がこれまで現場で追及してきた内容。多くの人が(うすうす)知ってはいたけれども書けなかったことを、勇気ある著者が堂々と書いている。それには敬意を表したい。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
なぜ22年間、一人で追い続けられたのか
2002年、街頭で偽装勧誘活動を偶然、目撃したのをきっかけに、統一教会とかかわるようになった著者。
いくつかの仕事を掛け持ちしながら、週の半分ほどを偽装勧誘阻止や取材活動に充ててきた。
さまざまな嫌がらせ、脅迫、圧力を受け、世間では「オワコン」となっていた問題をなぜ追求し続けられたのか。
世間に衝撃を与えた組織との格闘と、鈴木エイトであり続けられた背景をたどる。