全国各地の自治体によるゼロカーボンの取り組み事例集。
本のおすすめを中心にして、学生のみなさんに役立ちそうな情報を書きます。※このブログで紹介している本はいずれも良書ですが、ここで紹介していない良書もたくさんありますので、これから順次増やしていきます。 【おすすめ度】 ◎=特におすすめ ☆=初学者向けに良い本(教科書や入門書) ○=読む価値が高い本 ●=そのテーマに関心が高い人向け。専門性が高く一般向けではない本と、良書だけど内容が古くなっている本。
注目の投稿
【まとめ】このブログ全体のまとめです。
紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 気候変動問題に関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 地域づくりと地方自治に関する本 水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本 原子力と核兵器に関する本 陰謀論、...
2025年7月30日水曜日
2025年7月27日日曜日
【おすすめ度☆】大守隆『環境とエネルギーの経済学』東洋経済新報社, 2016年
著者は元経済企画庁の官僚。本筋は標準的な環境経済学の教科書だが、多数ある余談が学者と視点が違って面白い。例えば、「(核燃料サイクル推進の)理由は3つある。第1は、核燃料サイクルが原子力関係者の夢と意地のかかったものであることである。」(34ページ)などと容赦のないことが書かれている。
【おすすめ度●】坂内久,大江徹男『燃料か食料か』日本経済評論社, 2008年
アメリカ・東南アジア・中国のバイオ燃料 アメリカの環境政策との関連などを取り扱っている。良書だが内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。
【おすすめ度●】フレッド・ピアス『水の未来』日経BP, 2008年
世界各地の水紛争について詳細に紹介する力作。良書だが古くなっているのでおすすめ度は●にした。
【おすすめ度●】安達英一郎,村上芽,橋爪麻紀子『投資家と企業のためのESG読本』日経BP, 2016年
ESGの基本を説明した上で、40項目の専門トピックを解説している。良書だが内容が古くなっているところがあるのでおすすめ度は●にした。
【おすすめ度☆】瀬木比呂志『我が身を守る法律知識』講談社現代新書, 2023年
具体的な法的トラブルへの対処法の説明による、法律に関する良い入門書。なお最後の章(国家と個人の危機管理)は蛇足。 内容:法的紛争防止のために必要な知識と法的感覚 交通事故 不動産をめぐるトラブル 刑事事件 離婚など家庭の問題 相続 雇用、投資、保証 日常生活の危険 紛争が起きた時の対処など
2025年7月23日水曜日
【おすすめ度○】湯浅陽一,谷口吉光 編『持続可能な社会への転換はなぜ難しいのか』新泉社, 2025年
インドネシアにおける森林保護の自主規制ガバナンスが引き起こした問題を扱った第6章をはじめとして、個々の章は興味深い内容だけど、本全体としてのまとまりがない。 内容:環境問題の情報化と科学・技術の役割(LCAの役割) 中国におけるリサイクルシステムの制度化 環境・人権を守る企業の取り組みは何をもたらしたか 気候変動は企業の自主的取り組みで解決できるか 有機農業はなぜ広がらないのか 日本における持続可能社会論の展開(エントロピー学派) など
2025年7月22日火曜日
【おすすめ度○】吉川祐介『バブルリゾートの現在地』角川新書, 2025年
住戸ごとに区分所有権を設定するリゾートマンション、区分所有権をさらに多数の「会員」が共有する会員制リゾートクラブ、実質的には共同で利用されている土地を零細規模の土地に分筆して分譲する手法など、多数の出資者を集めて投機的なリゾート開発をするさまざまな手法のルポルタージュ。リゾート施設の運営が順調な時はこのような仕組みでも問題が表面化しないが、経営が行き詰った時や、施設が老朽化して大規模修繕・改修が必要になった時に、このような仕組みではうまく対応できず、結果として施設を廃止・解体することもできずに廃墟化している事例が多数紹介されている。不動産に関する法制度、さらに進んで民法に関する関心を高めるための入り口としても有用。なお本書の題名は「バブルリゾートの現在地」になっているが、取り上げられている事例の多くはバブル期(1986年~1991年)より前に開発された事例(つまり、現在では築後40年が経過し、老朽化が進んでいる事例)である。
2025年7月21日月曜日
【おすすめ度☆】尾崎俊介『ゼロから始める無敵のレポート・論文術』講談社現代新書, 2025年
テーマの選び方、資料の集め方、論文の構成の仕方など論文の書き方を実践的な説明する本。ただし、この本は文系の卒論(かなりの長さが必要)の書き方の本であり、いわゆる「レポート」の書き方の本ではない。
【おすすめ度○】石川明人『キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理』中公新書, 2016年
【おすすめ度☆】小笠原雅則『企業・自治体職員のための未来予測の進め方』中央経済社, 2025年
著者は元・野村総研のコンサルタント。未来予測の手法を紹介する本。学問的な意味では不確実な要素が多すぎて未来を予測することが不可能であることが多いが、企業や自治体は未来を予測して行動せざるを得ないので、そのために何をすべきかを実務家(コンサルタント)として説明している。
2025年7月18日金曜日
【おすすめ度○】川手督也,李裕敬,佐藤奨平 編著『日韓台における有機農産物のフードシステム』筑波書房, 2025年
日韓台における有機農産物の制度と取り組みの実例。
【おすすめ度☆】畝山智香子『ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想』化学同人, 2021年
基準値の決め方、食品のリスク分析、食品の有効性の評価など教科書的な内容。
【おすすめ度☆】畝山智香子『安全な食べものってなんだろう』日本評論社, 2011年
リスク論の立場からの食品安全に関する教科書的な本。福島原発事故後に関心が高まった放射能汚染についても説明されている。 内容:食品の安全性と基準値は いろいろな食品の発がん性 リスクとうまく付き合っていく 食の安全情報など
2025年7月17日木曜日
【おすすめ度☆】小田康徳 編『公害・環境問題史を学ぶ人のために』世界思想社, 2008年
日本の公害と環境問題の通史。戦前の問題、特に石炭鉱害問題についてていねいに述べられているのが特徴。また本書の後半で、「公害問題が問いかけているもの」とうい題名で公害に関する様々な論点がまとめて取り上げられているのも有用。 内容:足尾鉱毒事件 別子銅山煙害事件 大阪の煙害問題 庄川ダム建設と流木問題 石炭鉱害問題 水俣病 イタイイタイ病 四日市 大阪空港 西淀川 カネミ油症 薬害スモン 地球温暖化 原子力発電所 土壌・地下水汚染 廃棄物 自動車排ガス 公益性・公共性の思想 公害問題と差別 公害裁判 公害と住民運動 公害問題と労働者 公害問題と医学・衛生学 公害問題と科学技術
【おすすめ度☆】植原亮『科学的思考入門』講談社現代新書, 2025年
科学的な考え方の基本を紹介する本。なお、下にコピーしたこの本の紹介文では、科学的思考が「私たちに必須の「免疫」」と書かれているけど、このように科学用語(免疫)を不正確な「たとえ」に使ってしまうのは科学的思考ではないですね。 内容:科学的思考はなぜ大事なのか 科学的とはどういうことか 科学と科学でないものの違い 科学的用語や定義の重要性 因果関係 科学的思考を阻害する心理 実験の役割 対照実験の重要性とランダム化 科学的説明とはどういうことか
2025年7月16日水曜日
【おすすめ度○】庄司光,宮本憲一『恐るべき公害』岩波新書, 1964年
「公害」という言葉を現代的な意味で使ったおそらく日本で最初の本。この本によって「公害」という考え方の基本的な枠組みが作られたといってよい。古い本だが現在でも価値ある内容なのでおすすめ度は○にした。 内容:日本の公害地図 市民生活と公害 私たちはどのように守られているか 大気汚染の影響 水汚染と騒音の影響 公害の政治経済学 日本資本主義と公害 国民運動へ
【おすすめ度☆】橘川武郎『エネルギー・トランジション』白桃書房, 2023年
2050年カーボンニュートラル実現に向けて、技術と制度検討する本。 内容:エネルギー危機とカーボンニュートラルは後退するか カーボンニュートラル2050宣言と第6次エネルギー基本計画 カーボンニュートラルへの日本の施策 再生可能エネルギー主力電源化の厳しい道のり 原子力発電をどうするか(著者はリプレースによる革新炉新設を主張) 火力発電 水素・アンモニア・合成燃料の課題 需要サイドのアプローチ(省エネ) リアルなエネルギー・トランジションの道すじ
2025年7月15日火曜日
【おすすめ度☆】大野健一ほか『新・東アジアの開発経済学』有斐閣アルマ, 2024年
東アジア経済に関する教科書。 内容:直接投資と貿易構造 地域連携と貿易・資本の自由化 デジタル化・持続可能な開発・開発と住民 開発をめぐる政策論争と政治体制 日本経済 中国の経済発展 韓国・台湾・ASEANほか
【おすすめ度○】詫摩佳代『グローバル感染症の行方』明石書店, 2024年
感染症に対する世界的な取り組みを、国際政治の立場から説明している。 内容:保険分野の多国間枠組みの変遷と行方 新型コロナワクチンと国際関係(中国のワクチン戦略) 地域内保健協力の可能性と課題 グローバルヘルスガバナンスなど
【おすすめ度☆】宮下修一, 寺川永, 松田貴文, 牧佐智代, カライスコス・アントニオス『消費者法 第2版』有斐閣ストゥディア, 2024年
環境問題(もっと正確にいえば公害問題)と深くかかわる消費者法制の教科書。 主な内容: なぜ消費者法が必要か 消費者保護のしくみ 消費者契約の概観 広告・表示規制 勧誘規制 契約内容規制 消費者による権利の行使 救済 特徴的な取引 電子商取引 継続的役務提供取引 連鎖販売(マルチ商法) 割賦販売 貸金業法 金融取引・投資取引 不動産取引 製造物責任
2025年7月14日月曜日
【おすすめ度◎】ヘンリー・サンダーソン『電気自動車は本当にエコなのか サプライチェーンの資源争奪戦から環境破壊まで』原書房, 2024
電気自動車製造に必要な鉱物資源(リチウム、コバルト、ニッケル、銅)採掘に関する人権侵害、政治腐敗(賄賂と利権の横行)と環境破壊のルポルタージュ。中国企業のサプライチェーン進出といういわゆる「地政学的」問題も取り上げられている。
2025年7月13日日曜日
【おすすめ度●】内山昭一『昆虫食入門』平凡社新書, 2012年
昆虫食文化の紹介。本の初めに昆虫料理の写真が多数出てくるが、そこで読むのを挫折する人が多いと思う。
【おすすめ度●】畔蒜泰助・平沼光『原発とレアアース』日本経済新聞社(日経プレミアシリーズ), 2011年
原子力とレアアースに関する資源外交について、独自の観点から書かれている。内容が古くなっているところもあるが、10年以上たった現在でも通じる内容も多い。ただしアカデミックではない独自な観点で書かれているためおすすめ度は●にした。
【おすすめ度◎】ケヴィン・デイビス『ゲノム編集の世紀 クリスパー革命は人類をどこまで変えるのか』早川書房, 2022年
ゲノム編集技術について、技術だけでなくビジネス、法規制、倫理などの面からも論じている。テーマ自体が難しいうえに、アカデミックではなくジャーナリストの書き方なので読むのにかなり根気がいる。
【おすすめ度☆】作山巧『食と農の貿易ルール入門』昭和堂, 2019年
少し古くなっているが、このテーマに関するよい教科書。 内容:基礎から学ぶWTO・EPA・TPP 貿易はなぜ行われるのか GATTの歴史と基本原則 ウルグアイラウンド農業合意 WTO農業規制の実施状況 WTO協定下の重要品目の貿易制度 ドーハラウンド交渉 SPSと紛争処理制度 TRIPSと地理的表示 世界のFTAの動向 日本のEPA TPP メガFTA時代の日本の食と農
【おすすめ度●】小内亨『危ない健康食品&民間療法の見分け方』フットワーク出版, 2000年
健康食品や民間療法の問題点を指摘し、信頼できる情報とできない情報をどうやって見分けるかについて考察している。2000年の本なので内容が古くなっているところもあるが、信頼できない表現(「自然治癒力」「体質改善」などの科学的にあいまいな用語や、過度に健康不安をあおったり現代医療を否定する表現)や信頼できない肩書(●●研究所所長など)に気を付けるべきという指摘など、現在でも有効な内容も多い。
2025年7月11日金曜日
【おすすめ度☆】共生エネルギー社会実装研究所『脱炭素の論点 2025-2026』旬報社, 2025
気候危機の科学、対策技術から製作まで、気候変動問題について網羅的にまとめている本。個々の論点については率直に言って疑問に感じるところがないわけではないが、気候変動問題の全体像を1冊で把握できる。なお編者のうち堀尾正靭先生は農工大名誉教授、秋澤淳先生は農工大教授。
【おすすめ度◎】嶋津暉之『水問題原論 (増補版) シリーズ・川・湖・海を守るために』北斗出版, 1999年
ダム問題に関する基本的な本。 内容:虚構の水行政―生活と自然を奪うもの ダムの過大放流 河川維持用水のまやかし 非合理的な水利権 ずさんな工業用水行政 水の浪費を放任する水道行政 誰のための農業用水事業か 水源開発は必要か 治水面からの検証 水道原水の水質悪化 ほか
【おすすめ度●】加賀隆一 編著『新版 プロジェクトファイナンスの実務』金融財政事情研究会, 2020年
資源開発やインフラ整備などのプロジェクト」に関わる金融について、実務的に詳しく説明している。専門性が高いのでおすすめ度は●にした。 内容:プロジェクトファイナンスの基本 リスク 事業性審査とキャッシュフローコントロール 契約管理 イスラム金融 公的金融機関(各国・国際機関)など
【おすすめ度●】奥田英信・三重野文晴・生島靖久『開発金融論』日本評論社, 2006年
発展途上国の開発を支援する「開発金融」について詳しく説明する本。良書だが古いのでおすすめ度は●にした。 内容:途上国開発と金融の役割 途上国金融システムの発展 金融の銀行型システムと市場型システムの比較 グローバリゼーションと途上国銀行セクター 外国銀行の進出と役割 途上国企業の資金調達 開発金融とコーポレートガバナンス 途上国農村の金融問題とマイクロファイナンス 対外債務問題 開発援助資金とミレニアム開発目標 途上国のインフラファイナンス
2025年7月10日木曜日
【おすすめ度●】日本貿易会『日本の成長戦略と商社』東洋経済新報, 2014年
商社が、単なる商売だけでなく、ビジネスを通じて世界的な課題の解決にも関与している実例を紹介している。良書だがやや古いのでおすすめ度●にした。 内容:リーマンショック後の世界と日本 世界経済の潮流と課題 日本が抱える課題 総合商社の機能と役割 商社活躍の事例(農林水産業 医療・介護・健康 ICT 再生可能エネルギー インフラ輸出 クールジャパン 開学進出支援 資源 エネルギー 食料 国内インフラ 水資源)
2025年7月9日水曜日
【おすすめ度●】中野一新『アグリビジネス論』有斐閣ブックス, 1998年
「アグリビジネスによる世界食料の支配」という観点からアメリカ、EU、日本などのアグリビジネスの活動を分析する良書。良い本だがさすがに内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。
【おすすめ度○】藤井良広 編著『進化する金融機関の環境リスク戦略』金融財政事情研究会, 2011年
「環境リスク」と金融ビジネスとの関係を多角的に論じる良書。良い本だが内容が古くなっているのでおすすめ度は○にした。 内容:金融にとっての環境リスク 環境リスクの会計評価 CSRと環境リスク メガバンク・地域銀行と環境金融 環境不動産 環境保健 プロジェクトファイナンスにおける環境配慮(国際的潮流) SRI 政投銀ほかの環境格付け 生物多様性と金融 カーボンファイナンス 環境ビジネスの最前線など