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紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 気候変動問題に関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 地域づくりと地方自治に関する本 水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本 原子力と核兵器に関する本 陰謀論、...

2025年7月30日水曜日

【おすすめ度○】諸富徹,藤野純一,稲垣憲治 編著『ゼロカーボンシティ 脱炭素を地域発展につなげる』学芸出版社, 2023

全国各地の自治体によるゼロカーボンの取り組み事例集。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
経済効果をもたらし暮らしの質向上を実現!
2050年カーボンニュートラル宣言を受け、自治体によるゼロカーボン政策が加速している。本書では、脱炭素先行地域における産業、交通、家庭、建築物など多分野にわたる具体的施策、自治体の役割を先進的な事例とともに紹介。シナリオのつくり方や、脱炭素を地域発展につなげるポイントを、政策と現場の両面から解説する。



2025年7月27日日曜日

【おすすめ度☆】大守隆『環境とエネルギーの経済学』東洋経済新報社, 2016年

著者は元経済企画庁の官僚。本筋は標準的な環境経済学の教科書だが、多数ある余談が学者と視点が違って面白い。例えば、「(核燃料サイクル推進の)理由は3つある。第1は、核燃料サイクルが原子力関係者の夢と意地のかかったものであることである。」(34ページ)などと容赦のないことが書かれている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
日本は昭和の時期の公害問題を克服し、エネルギー効率も最高水準となったにもかかわらず、環境をめぐる問題はまだ多く残されている。
 福島第一原子力発電所の事故にともなう未曾有の環境汚染、地球温暖化への取り組みにおける京都議定書の第2約束期間からのコミットの停止という後退、再生エネルギーの固定価格買取制度(FIT)で起きた問題と見直し、一般ゴミ償却による有害物質(ダイオキシン)の拡散の悪化。……。
 それらの解決には科学技術の開発とともに、「仕組み」や「インセンティブ(誘因)」の問題に関連した経済学が果たすべき役割がある。
 本書は、環境とエネルギーの問題を経済学から読み解く入門テキストである。文系・理系を問わず、誰のために環境を改善するのか、利害関係が錯綜する時にはどのような基準で考えるべきなのか、問題の性格に応じてどのような解決策が望ましいのか、その成功の程度はどのように測定すればよいのか、など環境問題の様々なレベルで留意すべき問題を対象にしています。

●本書「環境とエネルギーの経済学」では以下のような問題を扱います。
①環境とエネルギーに関する行動を経済学的に説明する。
②環境とエネルギーに関する望ましい状態や政策について経済学を使って提案する。
③環境とエネルギーに関する制約の経済への影響を分析する。
④経済活動と、環境やエネルギーとの相互関係を分析する。
⑤環境の価値を経済的に評価する。

●入門レベルですが、より問題を深く学ぶために以下の3点に留意して構成されています。
第1は、実例を多く盛り込み、多くの章でコラムを設けています。
第2は、自然科学的な知識もある程度は盛り込んだことであります。環境問題やエネルギー問題の多くは自然科学的な現象と密接に関係しているからです。
第3は、意思決定のあり方についても意識的に取り上げています。環境やエネルギーの問題を解決するためには社会的な取り組みが必要なことが多く、そのためには社会的意思決定が不可欠であるからです。
 地球温暖化をめぐる京都議定書、原発事故、FIT制度の混乱など、環境とエネルギーの課題を解決するためには、科学技術のみならず、「仕組み」と「インセンティブ」の問題に関連した経済学が重要な役割を果たします。問題と解決へのアプローチを考えるための入門テキスト。

【おすすめ度●】坂内久,大江徹男『燃料か食料か』日本経済評論社, 2008年

アメリカ・東南アジア・中国のバイオ燃料 アメリカの環境政策との関連などを取り扱っている。良書だが内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
温暖化対策、原油の高騰や食料問題で、バイオエタノールが注目を集めている。米国をはじめ生産国の国内事情や国家戦略、国際間の関係を明らかにする。


【おすすめ度●】フレッド・ピアス『水の未来』日経BP, 2008年

世界各地の水紛争について詳細に紹介する力作。良書だが古くなっているのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
2008年7月、洞爺湖サミットが開かれ、地球環境問題に対する世間の意識は、非常に高まりました。ただし、残念ながら、いま環境問題とはイコール地球温暖化、とみなされがちです。実は、人類にとってもっとも深刻かつ緊急の環境問題とは、「水の危機」なのです。
 本書では、いま世界中でおきている「水の危機」の現状を詳細にレポートし、その原因を追いかけます。著者のフレッド・ピアスは、英国の著名な環境ジャーナリストで数十年にわたって、この「水の環境問題」について追いかけてきました。本書は、著者の「水の環境問題」に関する集大成であり、また、2008年7月時点で日本語で手にはいる最も良質かつ重要な環境問題の入門書です。
 なぜ、「水の危機」が人類最大の環境問題なのか。著者は具体例を引きながらこう解説します。
 人類の文明はすべて「川のほとり」で立ち上がった。それは農耕文明を成立させるために、大量の安定的な水が不可欠だったためであり、また大量の人口を養うためには、飲料水や物流インフラとしての川が絶対条件だったから。ところが、アフリカ、アジアを中心とする人口の急増の結果、もはや農業を維持する水は使い果たされようというのが現状。川は干上がり、湖は底を見せ、地下水は枯渇しようとしている。このままでは、人類の胃袋を満たす食料生産は危うい--。
 すなわち、水の環境問題は、人類の食糧問題と直結しているわけです。まさに、「いますぐに解決しなければ、人類の滅亡と直結する」のです。ちなみに、「地球温暖化」は、気候変動をもたらすため、地域によっては雨不足を招き、この危機の拍車をかける可能性がある、というわけです。一方で、地域によっては、大雨や台風が頻発するようになり、河川流域や海岸低地の都市が、深刻な水被害に合うケースも増えてきています。
 著者ピアスは以上の「水の環境問題」について、水文学(すいもんがく)の見地から、詳細なレポートをベースに冷静な分析を行い、処方箋を探ろうとしていきます。
 なお、本書の解説では、日本における「水の環境問題」の第一人者、沖大幹東京大学教授が「日本と水の環境問題の関係」について執筆しています。こちらも、水の環境問題を考えるうえで必須の参考文献です。

【おすすめ度●】安達英一郎,村上芽,橋爪麻紀子『投資家と企業のためのESG読本』日経BP, 2016年

ESGの基本を説明した上で、40項目の専門トピックを解説している。良書だが内容が古くなっているところがあるのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「ESG投資」「ESG経営」という言葉がメディアに頻繁に取り上げられるようになりました。
「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の要素を投資や経営に取り入れるとはどのようなことなのか。
なぜ、ここにきて注目されるようになったのか。これから、ESGは投資や経営に根付いていくのか--。
ESGと最前線で向き合ってきたアナリストが、ESG投資の過去、現在、そしてこれからを分析するとともに、企業のIR部門はESG投資家に対してどのような情報開示を実施するのが有効なのかを提示します。ESGを体系的に解説した初の書籍です。
さらに、「ダイベストメント」や「グリーンボンド」「インパクト投資」「持続可能な開発目標(SDGs」など、ESGを理解するために有効な40のトピックスを取り上げ、簡明に解説します。



【おすすめ度☆】瀬木比呂志『我が身を守る法律知識』講談社現代新書, 2023年

具体的な法的トラブルへの対処法の説明による、法律に関する良い入門書。なお最後の章(国家と個人の危機管理)は蛇足。 内容:法的紛争防止のために必要な知識と法的感覚 交通事故 不動産をめぐるトラブル 刑事事件 離婚など家庭の問題 相続 雇用、投資、保証 日常生活の危険 紛争が起きた時の対処など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
この一冊で、あらゆる法的トラブルを予防できる知識が身につく!
市民、ビジネスパースン、学生、実務家、訴訟当事者・関係者必携の一冊!
 法的紛争・危険を防止するためには、個別的、断片的な知識・情報も必要ですが、より重要なのは、それらの基盤になる法的なものの考え方や感覚を身につけることです。それが身についていさえすれば、個別・断片的な知識・情報を超えた範囲の事柄についても、おおむね適切に対処することができるからです。
 本書は、普通の日本人が一生の間に出あう可能性のある各分野の法的紛争を網羅し、そうした紛争に巻き込まれないための予防法、そして万一トラブルが起きたときの対処法となる法律知識・情報・基本的な法律論を、わかりやすく、正確に、かつ興味深く読めるようなかたちでまとめ上げた、コンパクトながら、実用性と密度の高い一冊です。著者は、33年にわたり膨大な民事訴訟を手がけてきた元裁判官・現大学教授で、民事訴訟法の権威でもあります。
 具体的には、まず、第2章で、遭遇することが最も多く、結果も重大なものとなりがちな交通事故関係につき、損害賠償の実際と過失相殺、危険性の高い行為、保険の内容、事故対応、保険会社との交渉、訴訟等の事柄を、基本的な前提知識をも確認しつつ論じます。
 第3章では、民事訴訟の数が非常に多い「不動産関連紛争」一般につき、使用貸借と賃貸借、土地・建物購入、建物新築と欠陥住宅紛争、競売物件、隣人間紛争等の各側面から説きます。
 第4章では、痴漢冤罪を含め、刑事事件関係全般について、若者や子どもをも含めた普通の市民が注意しておくべき事項について述べます。
 第5章では、親族法の領域につき、離婚事由や手続、これに伴う各種の給付・親権者指定、夫婦間の子の奪い合い、国際結婚、不貞慰謝料等の事柄を語ります。
 第6章では、近年非常に紛争の増えている相続法の領域につき、相続人と相続分、相続放棄、各種の遺言、遺産分割、遺留分侵害額請求、相続税対策の落とし穴等の事柄を、いずれも、できる限り詳しく、わかりやすく、また、正確に解説します。ことに第6章は本書の大きな目玉であり、具体的な例についてのかなり突っ込んだ記述をも含みます。相続法は近年大改正された分野の一つであり、また、読者にとっての必要性も高いと思われるからです。
 第7章と第8章では、それ以外の多様な紛争・危険防止策について、前者では、雇用、投資、保証といった経済取引の、後者では、医療、日常事故、いじめ、海外旅行、高齢者をねらった犯罪といった日常生活上の紛争・危険の各観点からくくった上で、重要と思われる事項をピックアップしてゆきます。



 

2025年7月23日水曜日

【おすすめ度○】湯浅陽一,谷口吉光 編『持続可能な社会への転換はなぜ難しいのか』新泉社, 2025年

インドネシアにおける森林保護の自主規制ガバナンスが引き起こした問題を扱った第6章をはじめとして、個々の章は興味深い内容だけど、本全体としてのまとまりがない。 内容:環境問題の情報化と科学・技術の役割(LCAの役割) 中国におけるリサイクルシステムの制度化 環境・人権を守る企業の取り組みは何をもたらしたか 気候変動は企業の自主的取り組みで解決できるか 有機農業はなぜ広がらないのか 日本における持続可能社会論の展開(エントロピー学派) など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
〈個別の環境問題の解決を社会の転換に結びつけるために〉
持続可能な社会への転換は多くの人に共有されている目標であり、数々の取り組みが行われてきたにもかかわらず、なぜ達成できないのか。
不正義の解消と公正の実現を追求しながら、個別の取り組みの成果を社会の変化につなげる道筋を探り、持続可能な社会への転換を達成する方途を考える。
〈なぜ、環境問題の解決は目標に向かって一直線に進まないのだろうか。何が紆余曲折を生み出すのだろうか。
本書の立場は、個別の環境問題の一部については部分的に解決しているととらえるものの、社会全体では持続可能な方向に進んではいないと考える。
持続可能な社会への転換は、既存の取り組みの延長では実現しないだろう。社会の大きな変化が伴うことを視野に入れておく必要がある。
転換の実現は、今ある社会を前提とした常識が変化することでもある。常識を見直しながら必要となる変化に柔軟に対応していくことで、持続可能な社会への転換の道筋がみえてくるのである。——編者〉


2025年7月22日火曜日

【おすすめ度○】吉川祐介『バブルリゾートの現在地』角川新書, 2025年

住戸ごとに区分所有権を設定するリゾートマンション、区分所有権をさらに多数の「会員」が共有する会員制リゾートクラブ、実質的には共同で利用されている土地を零細規模の土地に分筆して分譲する手法など、多数の出資者を集めて投機的なリゾート開発をするさまざまな手法のルポルタージュ。リゾート施設の運営が順調な時はこのような仕組みでも問題が表面化しないが、経営が行き詰った時や、施設が老朽化して大規模修繕・改修が必要になった時に、このような仕組みではうまく対応できず、結果として施設を廃止・解体することもできずに廃墟化している事例が多数紹介されている。不動産に関する法制度、さらに進んで民法に関する関心を高めるための入り口としても有用。なお本書の題名は「バブルリゾートの現在地」になっているが、取り上げられている事例の多くはバブル期(1986年~1991年)より前に開発された事例(つまり、現在では築後40年が経過し、老朽化が進んでいる事例)である。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
バブル期に大量に建設されたリゾートマンション、会員制リゾート――
・アクセス難で苗場のマンションが10万円
・40平米の1Rマンションを見ず知らずの20人で所有
・リゾートホテルの建物が1250分割、ワンフロアが200分割――権利が切り刻まれて身動きが取れない不動産
・東京都湯沢町、バブル期にマンションを建てまくったデベロッパーも多くが倒産、解散
・もはや地面の切れ端…14平米に満たない狭小地で分割され販売された別荘タウン
・権利分割して建てられていたホテルが今や有名な廃墟スポットに
・解体費用は、地方自治体…? 地元の巨大なリスクに

あまりに度を越した濫用が横行したために、今となってはその乱売された「権利」が、購入者にとってなんらの価値も生み出さないどころか、ただ義務と責任ばかり発生するだけのお荷物と化している。電気、水道といった施設の利用に必要なインフラはすべて止められ、一切の修繕が行われない建物は老朽化するばかりだ。当の所有者本人ですら利用が不可能な状況に陥っているのに、他者の権利に阻まれ、解体もできなければ売却もかなわない。なんの解決策も取られないまま、ただ毎年固定資産税が課税され続けている。こんな理不尽な話があるだろうか。(本文より)

1970年代、都心の土地価格の高騰に伴い、ターゲットにされた新潟県湯沢町。バブル期のスキーブームもあり、多くのリゾートマンションや会員制ホテルが建設された。今なおきちんと管理され、人々の生活を潤すマンションがある一方で、大幅に価格が低下したり、法律の濫用により身動きが取れなくなった施設が存在している。千葉県北東部の「限界ニュータウン」に住み、不動産問題を調査報道する著者が、リゾート物件の現状を伝える



2025年7月21日月曜日

【おすすめ度☆】尾崎俊介『ゼロから始める無敵のレポート・論文術』講談社現代新書, 2025年

テーマの選び方、資料の集め方、論文の構成の仕方など論文の書き方を実践的な説明する本。ただし、この本は文系の卒論(かなりの長さが必要)の書き方の本であり、いわゆる「レポート」の書き方の本ではない。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
誰も教えてくれなかった「超基本のはなし」
なぜつまづくのか、書けないのか……これでぜんぶわかる!
●テーマをどう選べばいいか?
●論文・レポートには型がある?
●なぜ文章が書き出せないのか?
●資料集めの達人になるには?
●良い論文と悪い論文の決定的な違いとは?
●絶対やっちゃダメなこととは?
30年以上指導してきた大学教授が「極意」を書き尽くした決定版!



【おすすめ度○】石川明人『キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理』中公新書, 2016年

キリスト教は、有名な「もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。」(マタイ福音書5:39)のように、「愛と平和」を説く宗教である。しかしその一方で、キリスト教が各国で事実上の国教となると、各国の戦争を正当化し、戦争のために兵士たちを鼓舞する役割を果たすようになる。それどころかキリスト教そのものが戦争の原因になった(十字軍や宗教戦争)こともある。
 この本は、「なぜ建前上は『愛と平和の宗教』であるキリスト教が、実際には戦争を正当化したり戦争を煽ったりするのか」という難問に対して、その思想展開の歴史から考察する興味深い本。この本を読む限り、やはりキリスト(ナザレのイエス)自身は非暴力、反戦争であり、後の権力と結託した時代の神学者たちが戦争を正当化するための「理論」(というかこじつけや屁理屈)を編み出しているように見える。著者自身もキリスト教の信者だと自認しているが、開き直っているように見えるところもある。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか? 殺人や暴力は禁止されているのではなかったか? 本書では、聖書の記述や、アウグスティヌス、ルターなど著名な神学者たちの言葉を紹介しながら、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な矛盾を私たちに突きつけるであろう。

【おすすめ度☆】小笠原雅則『企業・自治体職員のための未来予測の進め方』中央経済社, 2025年

著者は元・野村総研のコンサルタント。未来予測の手法を紹介する本。学問的な意味では不確実な要素が多すぎて未来を予測することが不可能であることが多いが、企業や自治体は未来を予測して行動せざるを得ないので、そのために何をすべきかを実務家(コンサルタント)として説明している。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
未来予測は誰でもできる! 予測困難な時代に必要なものは、未来を見通す力。企業の事業計画や自治体の地域計画作成等に使えるデータの読み解き方や未来予測手法33を紹介。



2025年7月18日金曜日

【おすすめ度○】川手督也,李裕敬,佐藤奨平 編著『日韓台における有機農産物のフードシステム』筑波書房, 2025年

日韓台における有機農産物の制度と取り組みの実例。

版元ドットコムから紹介を引用
「日本における有機農業・農産物のフードシステムの動向と課題」、「台湾における有機農業・農産物のフードシステムの動向と課題 」、「韓国における有機農業・農産物のフードシステムの動向と課題 」、「東アジアにおける有機農業・農産物のフードシステムの展望と課題」などのテーマで、日韓台における有機農産物のフードシステムに関する国際比較を試みた。



【おすすめ度☆】畝山智香子『ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想』化学同人, 2021年

基準値の決め方、食品のリスク分析、食品の有効性の評価など教科書的な内容。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
食品安全情報を「正しく」読み解くために
食品添加物は本当に危険なのか? 天然モノはすべて安全なのか? ビタミンでがんの予防ができるのか? オーガニックは優れているのか? 巷にあふれる食をめぐるさまざまな情報.どのように信頼に足るものを見分ければよいのか.メタミドホス,マラカイトグリーン,メチル水銀,トランス脂肪酸,メラミンなど,実際の事例を参照しながら,残留農薬の基準値の設定の仕方やその値の意味,発がん物質のリスク評価の方法などを紹介する.食の安全情報を複眼的にとらえて大学のテキストとしても使われたロングセラーの文庫版.目から鱗が落ちる一冊.




【おすすめ度☆】畝山智香子『安全な食べものってなんだろう』日本評論社, 2011年

リスク論の立場からの食品安全に関する教科書的な本。福島原発事故後に関心が高まった放射能汚染についても説明されている。 内容:食品の安全性と基準値は いろいろな食品の発がん性 リスクとうまく付き合っていく 食の安全情報など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
ちまたにあふれるさまざまな食の情報を、リスクの目で科学的に整理して伝える。関心の高い、放射線の影響についても正しく紹介。


2025年7月17日木曜日

【おすすめ度☆】小田康徳 編『公害・環境問題史を学ぶ人のために』世界思想社, 2008年

日本の公害と環境問題の通史。戦前の問題、特に石炭鉱害問題についてていねいに述べられているのが特徴。また本書の後半で、「公害問題が問いかけているもの」とうい題名で公害に関する様々な論点がまとめて取り上げられているのも有用。 内容:足尾鉱毒事件 別子銅山煙害事件 大阪の煙害問題 庄川ダム建設と流木問題 石炭鉱害問題 水俣病 イタイイタイ病 四日市 大阪空港 西淀川 カネミ油症 薬害スモン 地球温暖化 原子力発電所 土壌・地下水汚染 廃棄物 自動車排ガス 公益性・公共性の思想 公害問題と差別 公害裁判 公害と住民運動 公害問題と労働者 公害問題と医学・衛生学 公害問題と科学技術

出版社ウェブサイトから紹介を引用
明治以降の日本における公害問題・環境問題の通史的な把握をめざしつつ、代表的な事件を考究し、諸問題が日本の国家の制度や社会のシステム、人間の意識、学問のあり方などに与えた多様な影響を注視する。画期的な座右の史書である。


【おすすめ度☆】植原亮『科学的思考入門』講談社現代新書, 2025年

科学的な考え方の基本を紹介する本。なお、下にコピーしたこの本の紹介文では、科学的思考が「私たちに必須の「免疫」」と書かれているけど、このように科学用語(免疫)を不正確な「たとえ」に使ってしまうのは科学的思考ではないですね。 内容:科学的思考はなぜ大事なのか 科学的とはどういうことか 科学と科学でないものの違い 科学的用語や定義の重要性 因果関係 科学的思考を阻害する心理 実験の役割 対照実験の重要性とランダム化 科学的説明とはどういうことか

出版社ウェブサイトから紹介を引用
「ふだん使いの科学」で、思考の土台を強くする!
自分の頭で考え、ファクトチェックするためにーー科学という営みの本質を楽しく学べる、最良の入門書。
有害な情報から身を守り、無意識のバイアスを避けるには?
情報過剰社会を生きる私たちに必須の「免疫」
ーー日常・仕事で威力を発揮する「科学的思考」


2025年7月16日水曜日

【おすすめ度◎】宮本憲一『「公害」の同時代史』平凡社, 1984年

日本の公害問題研究の最先端に立ち続けた著者による公害問題の歴史。


【おすすめ度○】庄司光,宮本憲一『恐るべき公害』岩波新書, 1964年

「公害」という言葉を現代的な意味で使ったおそらく日本で最初の本。この本によって「公害」という考え方の基本的な枠組みが作られたといってよい。古い本だが現在でも価値ある内容なのでおすすめ度は○にした。 内容:日本の公害地図 市民生活と公害 私たちはどのように守られているか 大気汚染の影響 水汚染と騒音の影響 公害の政治経済学 日本資本主義と公害 国民運動へ

出版社ウェブサイトから紹介を引用
空をおおう煤煙,鼻をつく悪臭,魚も住めない河川の汚れ――恐るべき公害が私たちをむしばみ,生命をおびやかしている.この大問題に対して国の対策はあまりにも貧困である.自然科学者と社会科学者との緊密な共同研究によって,公害はどうして起るか,それをどのように考え,どう対処したらよいかを明らかにし,世論に訴える.



【おすすめ度☆】橘川武郎『エネルギー・トランジション』白桃書房, 2023年

2050年カーボンニュートラル実現に向けて、技術と制度検討する本。 内容:エネルギー危機とカーボンニュートラルは後退するか カーボンニュートラル2050宣言と第6次エネルギー基本計画 カーボンニュートラルへの日本の施策 再生可能エネルギー主力電源化の厳しい道のり 原子力発電をどうするか(著者はリプレースによる革新炉新設を主張) 火力発電 水素・アンモニア・合成燃料の課題 需要サイドのアプローチ(省エネ) リアルなエネルギー・トランジションの道すじ

出版社ウェブサイトから紹介を引用
7刷を数えた、同著者の『エネルギー・シフト:再生可能エネルギー主力電源化への道』の刊行後、エネルギーをめぐる世界と日本の情勢は大きく変化した。ウクライナ侵攻に伴う世界的エネルギー危機、気候変動による環境・生活への影響拡大、そして日本では菅首相(当時)の「2050年カーボンニュートラル宣言」、温室効果ガス削減目標46%への引き上げに加え、GX(グリーントランスフォーメーション)関連法案が次々と成立し、施行されている。そして我が国のエネルギー政策は大きく変化し、目指すべき大きな目標も「再生可能エネルギー主力電源化」から「カーボンニュートラル」へ深化するに至った。
 カーボンニュートラルが今、全地球的な喫緊の課題であることは論を俟たない。しかし、数字合わせの面も見え隠れする現在の政府の施策をそのまま進めることで、日本が2050年にカーボンニュートラルを本当に実現できるのかについては、大いに疑わしいと著者は言う。
 本書は、将来の絵姿を先に描いた上でそれをどのように実現していくか、シナリオ作成・明確化をしていくバックキャスト手法によって、日本のカーボンニュートラル達成の着実な道筋を描き出す。具体的には、カーボンニュートラルとエネルギー危機との関係について掘り下げたうえで、「2050年カーボンニュートラル宣言」(2020年)と「第6次エネルギー基本計画」(2021年閣議決定)の内容を検討した後、分野ごとに具体的なエネルギーのあり方を展望すると同時に、需要サイドからのアプローチとして、省エネルギーと地域の役割にも目を向ける。
 国のエネルギー基本計画を決める重要審議会に一貫して参加してきた著者の、豊かな知見に裏打ちされ、率直で現実的な本書の主張は、2050年に日本がカーボンニュートラルを真に実現するための道を示すものである。


2025年7月15日火曜日

【おすすめ度☆】大野健一ほか『新・東アジアの開発経済学』有斐閣アルマ, 2024年

東アジア経済に関する教科書。 内容:直接投資と貿易構造 地域連携と貿易・資本の自由化 デジタル化・持続可能な開発・開発と住民 開発をめぐる政策論争と政治体制 日本経済 中国の経済発展 韓国・台湾・ASEANほか

出版社ウェブサイトから紹介を引用
さまざまなネットワークのもとにある東アジア。そこで今,人々や企業,また政府が,直面している問題をリアルにとりあげ,やさしく解説。一般問題の分析と国別分析の両面からアプローチすることによって,多様性の視点を失うことなく東アジアの全体的理解ができる。


【おすすめ度○】詫摩佳代『グローバル感染症の行方』明石書店, 2024年

感染症に対する世界的な取り組みを、国際政治の立場から説明している。 内容:保険分野の多国間枠組みの変遷と行方 新型コロナワクチンと国際関係(中国のワクチン戦略) 地域内保健協力の可能性と課題 グローバルヘルスガバナンスなど

出版社ウェブサイトから紹介を引用
政治的な分断が進展した現在の国際社会で、国境を自由に越える感染症に、世界はどのように備えていくべきか。安全保障という側面において、日本はどのような役割を果たせるのか。必ずやってくる「次」に向けて行われている様々な取り組み、その意義と目指すべき方向を論じた一冊。

【おすすめ度●】中原聖乃, 三田貴, 黒崎岳大『核問題の「当事者性」』泉町書房, 2024年

太平洋諸島でのアメリカによる核実験被害を明らかにする本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
ノーベル平和賞を受賞した日本被団協が結成される発端となった、1954年のマーシャル諸島の核実験で漁船員が被ばくした「ビキニ事件」。それ以外にも、太平洋で広範に行われた核実験があった。世界的に顧みられることのなかったこれら核実験や原発事故も含めた核の問題はなぜ「忘れられ」「不可視化」されていくのか。被害者/加害者だけではなく、放射線の影響を受けたすべての人びとの「当事者性」という視点から見つめ直し、核廃絶の可能性を探る。様々な分野の研究者に加えて、医師、学芸員、主婦といった市民の立場で活躍している人で作り上げた、核問題研究に新たな視座を拓く論考集。

【おすすめ度☆】宮下修一, 寺川永, 松田貴文, 牧佐智代, カライスコス・アントニオス『消費者法 第2版』有斐閣ストゥディア, 2024年

環境問題(もっと正確にいえば公害問題)と深くかかわる消費者法制の教科書。 主な内容: なぜ消費者法が必要か 消費者保護のしくみ 消費者契約の概観 広告・表示規制 勧誘規制 契約内容規制 消費者による権利の行使 救済 特徴的な取引 電子商取引 継続的役務提供取引 連鎖販売(マルチ商法) 割賦販売 貸金業法 金融取引・投資取引 不動産取引 製造物責任

出版社ウェブサイトから紹介を引用
消費者トラブルを解決する力,未然に防ぐ力を身につけられる,好評の入門書。第2版では,消費者契約法改正や不当寄附勧誘防止法制定などに対応し内容をアップデート。消費者契約の段階別で各規制・違反行為への対処等を整理し,具体的なケースを用いて解説した一冊。


2025年7月14日月曜日

【おすすめ度◎】ヘンリー・サンダーソン『電気自動車は本当にエコなのか サプライチェーンの資源争奪戦から環境破壊まで』原書房, 2024

電気自動車製造に必要な鉱物資源(リチウム、コバルト、ニッケル、銅)採掘に関する人権侵害、政治腐敗(賄賂と利権の横行)と環境破壊のルポルタージュ。中国企業のサプライチェーン進出といういわゆる「地政学的」問題も取り上げられている。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
アフリカの子供たちが手掘りしたリチウムが、電気自動車をめぐるサプライチェーンの第一歩だった。そして中国の巨大電池工場に投資家たち……。世界中を取材したジャーナリストが一大産業の真の姿を警鐘とともに訴えるベストセラー上陸!

2025年7月13日日曜日

【おすすめ度●】内山昭一『昆虫食入門』平凡社新書, 2012年

昆虫食文化の紹介。本の初めに昆虫料理の写真が多数出てくるが、そこで読むのを挫折する人が多いと思う。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
人類にとって究極の伝統食材、それが昆虫。世界の昆虫食の現状を紹介するほか、嫌いな人の心理や食料としての可能性、さらには食育まで、昆虫食のあらゆることを深く楽しく追究する! 子供の頃には身近でも、大人になってしまうと、「うっ」と思う人が多くなってしまうのが昆虫である。しかし、よくよく考えてみれば、昆虫は人類が人類になる前から食べてきた「究極の伝統食」。日本でも、イナゴの佃煮やハチの子、ザザムシなどが地域によってはよく食べられているし、世界を見渡せば、それこそ、日本では食べられていないタガメやゴキブリなども食されている。本書では、そうした世界で食べられている昆虫の紹介のほか、「食材としての昆虫」の可能性を新たに追究していく。例えば、味覚センサーにかけてみると、ハチの子はうなぎに、セミはナッツによく似ているという結果が実際に出ている。さらには、どうやったら「おいしく食べられるか」といった、料理の研究にまで、一歩、踏み込んでいく。
「ゲテもの食い」か? はたまた「人類の未来食」か? とどまるところを知らない著者の「昆虫食の世界」へ、ようこそ!

【おすすめ度●】畔蒜泰助・平沼光『原発とレアアース』日本経済新聞社(日経プレミアシリーズ), 2011年

原子力とレアアースに関する資源外交について、独自の観点から書かれている。内容が古くなっているところもあるが、10年以上たった現在でも通じる内容も多い。ただしアカデミックではない独自な観点で書かれているためおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
レアアース危機と原発問題――。一見何の関係もなそうなこの二つの事件は実は密接に関連している! 原発事故によって封じ込められてしまった日本の資源・エネルギー戦略の実態を明らかにし、日本の選択肢を示す。
 レアアースを主軸に知られざる日本の資源・エネルギー摩擦の実態を解明するタイムリーな解説です。


【おすすめ度◎】ケヴィン・デイビス『ゲノム編集の世紀 クリスパー革命は人類をどこまで変えるのか』早川書房, 2022年

ゲノム編集技術について、技術だけでなくビジネス、法規制、倫理などの面からも論じている。テーマ自体が難しいうえに、アカデミックではなくジャーナリストの書き方なので読むのにかなり根気がいる。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
神の技術か? 悪魔の所業か?  遺伝子疾患の根治、絶滅動物の復活、遺伝子編集を施された「クリスパーベビー」、そしてノーベル賞の栄光の影に消えた研究者、熾烈な特許レース……。あらゆる生命を改変できるゲノム編集技術「クリスパー」を手にした人類の光と影を克明に描いた傑作ノンフィクション、待望の邦訳。2020年ノーベル賞受賞で世界の話題をさらった「CRISPR(クリスパー)」。簡便かつ自在にDNAを切り貼りできる新技術の登場は、ヒトがあらゆる生命を改変する新たな世紀の始まりを予感させた。オーダーメイド医療、よりよい農作物や家畜の産出、絶滅種の復活と有害生物の撲滅。そして、すべての遺伝的疾患の根絶――。一方で、その歴史は常に国際競争や倫理的課題と隣り合わせだった。研究者たちは論文や特許の先陣を競い合い、企業はクリスパー・マネーをめぐり熾烈な裁判を戦った。そしてその果てに生まれた、遺伝子編集を施された中国の「デザイナーベビー」、ルルとナナ……。人類という種の将来を決めかねない新技術の過去と未来のすべてを、常に研究の最前線で見つめ続けてきた著者が語る。

【おすすめ度☆】作山巧『食と農の貿易ルール入門』昭和堂, 2019年

少し古くなっているが、このテーマに関するよい教科書。 内容:基礎から学ぶWTO・EPA・TPP 貿易はなぜ行われるのか GATTの歴史と基本原則 ウルグアイラウンド農業合意 WTO農業規制の実施状況 WTO協定下の重要品目の貿易制度 ドーハラウンド交渉 SPSと紛争処理制度 TRIPSと地理的表示 世界のFTAの動向 日本のEPA TPP メガFTA時代の日本の食と農

出版社ウェブサイトから紹介を引用
私たちの食生活や農業のあり方に大きな影響を及ぼす、食料と農業に関係する貿易ルールを基礎からわかりやすく解説する。
WTO、EPA、TPP、FTA、メガFTA――新聞やテレビでは、貿易交渉をめぐってさまざまな言葉が飛び交っている。ニュースをどうすれば理解できるのか?
重要なキーワードのわかりやすい解説とともに、食料と農業に関する貿易ルールを基礎から学んでみよう。


【おすすめ度●】小内亨『危ない健康食品&民間療法の見分け方』フットワーク出版, 2000年

 健康食品や民間療法の問題点を指摘し、信頼できる情報とできない情報をどうやって見分けるかについて考察している。2000年の本なので内容が古くなっているところもあるが、信頼できない表現(「自然治癒力」「体質改善」などの科学的にあいまいな用語や、過度に健康不安をあおったり現代医療を否定する表現)や信頼できない肩書(●●研究所所長など)に気を付けるべきという指摘など、現在でも有効な内容も多い。

ウェブサイトから紹介を引用
今は情報化時代と呼ばれています。多くの人たちが今までとは比べものにならないほど多くの情報に日常的に接しています。健康や医療、食品などの情報も例外ではありません。しかしながら、医療に全く素人である大部分の人たちにとって、多くの情報の中から自分にとって必要な情報を取り出すことは次第に難しくなってきています。そこで本書では健康情報をどのように読みとればよいのか、医療に詳しくない方にも分かりやすく解説したつもりです。本書で扱う健康情報の内容はいろいろです。健康食品、健康器具、民間療法、代替医療、栄養や食品と病気の関係、これらの情報を皆含んでいます。それぞれの内容は全く違うようにみえますが、医療・医学という視点で見れば、その見方には共通点があります。私は、その共通する見方について、多くの資料に基づき自分なりに考え、本書にまとめました。

2025年7月11日金曜日

【おすすめ度☆】共生エネルギー社会実装研究所『脱炭素の論点 2025-2026』旬報社, 2025

気候危機の科学、対策技術から製作まで、気候変動問題について網羅的にまとめている本。個々の論点については率直に言って疑問に感じるところがないわけではないが、気候変動問題の全体像を1冊で把握できる。なお編者のうち堀尾正靭先生は農工大名誉教授、秋澤淳先生は農工大教授。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
環境・エネルギー分野の第一線で活躍する執筆陣が、地球温暖化の現状・対策から再生可能エネルギー、カーボンニュートラルによる地域活性化まで、115の主要テーマを図入りでコンパクトに解説。気候危機の現状から地域活性化まで激動する世界の「脱炭素」の今がわかる!隔年刊行。


【おすすめ度◎】嶋津暉之『水問題原論 (増補版) シリーズ・川・湖・海を守るために』北斗出版, 1999年

 ダム問題に関する基本的な本。 内容:虚構の水行政―生活と自然を奪うもの ダムの過大放流 河川維持用水のまやかし 非合理的な水利権 ずさんな工業用水行政 水の浪費を放任する水道行政 誰のための農業用水事業か 水源開発は必要か 治水面からの検証 水道原水の水質悪化 ほか

出版社ウェブサイトから紹介を引用
ダムや河口堰の建設、湖沼の水ガメ化など、何百、何千億という巨額の費用が投じられる水源開発事業は本当に必要なのだろうか。本書は、この疑問にさまざまな角度から答えている。慢性的な水不足というキャンペーンが虚構であることを明らかにする「つくられた渇水」。都市の重要な自己水源である「地下水」の利用などなど。水系を改変する土木事業が地元住民の生活や川・湖の自然に与える影響、ひいてはその事業の恩恵を受けるとされる都市住民にどんな被害をもたらすのか。豊富な資料や調査をふまえ、水の浪費を放任する水行政を検証し、将来の水利用のあり方を提案する力作。


【おすすめ度●】加賀隆一 編著『新版 プロジェクトファイナンスの実務』金融財政事情研究会, 2020年

資源開発やインフラ整備などのプロジェクト」に関わる金融について、実務的に詳しく説明している。専門性が高いのでおすすめ度は●にした。 内容:プロジェクトファイナンスの基本 リスク 事業性審査とキャッシュフローコントロール 契約管理 イスラム金融 公的金融機関(各国・国際機関)など

出版社ウェブサイトから紹介を引用
経験豊富なプロがノウハウを詳しく解説!
◆増刷を重ねた基本書、待望の全面改訂。
◆キャッシュフロー・モデルの作成方法、イスラム金融、各種契約書のドキュメンテーションなど最新の金融技術・情報を満載。
◆実際の経験に基づいた事例をセキュリティ・パッケージ(各種リスクに対応した債権保全策の一覧)とともに多数紹介。
◆国際開発金融機関・各国公的金融機関の業務や具体的な活用法を網羅。
◆社内研修、大学の授業の教材にも最適。


【おすすめ度●】奥田英信・三重野文晴・生島靖久『開発金融論』日本評論社, 2006年

発展途上国の開発を支援する「開発金融」について詳しく説明する本。良書だが古いのでおすすめ度は●にした。 内容:途上国開発と金融の役割 途上国金融システムの発展 金融の銀行型システムと市場型システムの比較 グローバリゼーションと途上国銀行セクター 外国銀行の進出と役割 途上国企業の資金調達 開発金融とコーポレートガバナンス 途上国農村の金融問題とマイクロファイナンス 対外債務問題 開発援助資金とミレニアム開発目標 途上国のインフラファイナンス

出版社ウェブサイトから紹介を引用
今日の途上国における開発金融システムのデザインに係わる構造的な諸問題を、理論と実際の政策課題の両面から検討する。

2025年7月10日木曜日

【おすすめ度●】日本貿易会『日本の成長戦略と商社』東洋経済新報, 2014年

商社が、単なる商売だけでなく、ビジネスを通じて世界的な課題の解決にも関与している実例を紹介している。良書だがやや古いのでおすすめ度●にした。 内容:リーマンショック後の世界と日本 世界経済の潮流と課題 日本が抱える課題 総合商社の機能と役割 商社活躍の事例(農林水産業 医療・介護・健康 ICT 再生可能エネルギー インフラ輸出 クールジャパン 開学進出支援 資源 エネルギー 食料 国内インフラ 水資源)

出版社ウェブサイトから紹介を引用
医療、食品、資源・エネルギー、コンテンツビジネスなど、いまや世界を席巻する商社の事業&ビジネスを紹介するとともに、強い日本を取り戻すために何をなすべきかについて商社の視点から提言する。

商社の業界団体である日本貿易会では、2013年度~2014年度の重点事業のひとつとして、わが国の成長戦略の実行において、商社はどのような役割を果たしてゆけるかについて掘り下げていくことを目的として、特別研究会を立ち上げた。研究会においては、まず、わが国を取巻く内外環境を分析し、対処すべき課題を整理したうえで、中長期的な世界経済と日本経済の潮流について考察した。さらに、時代と共に大きく変貌を遂げてきた商社機能の変遷をたどりながら、今後日本が目指してゆく成長戦略の実現に向けて、商社業界が貢献し得るビジネスモデルについて研究し、できる限り、当該ビジネスモデルの各社における具体的な事例を紹介することを主眼とした。総合商社は事業分野が多岐にわたり、ビジネスの手法も複雑化しているため、わかりにくい、といわれることがあるが、本書においては、分野ごとの、具体的な商社のビジネス事例を中心として記述しており、現在の商社活動および商社が目指す未来像について少しでも多くの方にご理解いただければ幸いである。(「はじめに」より抜粋)

2025年7月9日水曜日

【おすすめ度●】中野一新『アグリビジネス論』有斐閣ブックス, 1998年

「アグリビジネスによる世界食料の支配」という観点からアメリカ、EU、日本などのアグリビジネスの活動を分析する良書。良い本だがさすがに内容が古くなっているのでおすすめ度は●にした。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界の食糧問題として農業問題を捉え,その帰趨に影響力を及ぼすアグリビジネス(農業関連産業)に焦点を当て,南北アメリカ,ヨーロッパとアフリカ,日本とアジアの3地域に大別してグローバルに食糧を支配しつつある多国籍アグリビジネスの構造実態を解明する。


【おすすめ度○】藤井良広 編著『進化する金融機関の環境リスク戦略』金融財政事情研究会, 2011年

「環境リスク」と金融ビジネスとの関係を多角的に論じる良書。良い本だが内容が古くなっているのでおすすめ度は○にした。 内容:金融にとっての環境リスク 環境リスクの会計評価 CSRと環境リスク メガバンク・地域銀行と環境金融 環境不動産 環境保健 プロジェクトファイナンスにおける環境配慮(国際的潮流) SRI 政投銀ほかの環境格付け 生物多様性と金融  カーボンファイナンス 環境ビジネスの最前線など