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2023年1月30日月曜日

【おすすめ度○】柴田晋吾『環境にお金を払う仕組み』大学教育出版, 2019年

生態系サービスPESの概説書 PESの事例が豊富 内容:世界の環境資源管理政策とPESスキーム PESの理論と実際 欧米諸国等における取り組み事例から 政府による支払 民間による支払 取引・オフセットのスキーム PESスキームの課題と持続可能な地域づくり

出版社による紹介の引用
環境を守りつつ、同時に持続可能な発展を実現するための革新的な取り組みとして注目されているPES(生態系サービスへの支払い)の台頭の背景と世界各地での取り組み状況を分かりやすく解説する。
本書は、PESの研究者が世界中の先行事例を分かりやすく説明。上流の森林づくりに貢献して社会的責任を果たす時代に向けた私たちの教科書です。


2023年1月28日土曜日

【おすすめ度○】井熊均『ゼロカーボノミクス』日経BP, 2021年

脱炭素政策による経済・産業への影響の考察 ただし「トヨタはEVの波にのるな」という著者らの主張には賛成できない。 内容:脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボン時代の幕開け 中国のゼロカーボン宣言の衝撃 パリ協定が広がった理由 産業革命としてのゼロカーボン 中国のゼロカーボン政策(エネルギー、EV、スマートシティ、デジタル) アメリカは覇権を保てるのか ゼロカーボン技術 日本のゼロカーボン戦略 トヨタはEVの波にのるな

出版社ページでのこの本の紹介
「なぜトヨタが、あそこまで焦るのか--。それはカーボンニュートラルがこれまでのビジネスルールを一変させ、既存産業を崩壊させるからだ。事業環境を壊す気候変動、企業を追い込むESG潮流、脱炭素市場での中国の独走…。
本書が綴る現実は、21世紀の企業の盛衰は脱炭素が握ることを示している。新たな経済競争「ゼロカーボノミクス」の勃興を直視し、今すぐ動き出さなければ日本企業に未来はない。」

【おすすめ度☆】生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる 新版』家の光協会, 2018年

高校生からの食と農の経済学入門 食糧危機 食糧貿易 自給率 土地利用型と集約型 農業保護の是非 担い手の問題 農業の多面的機能などがカバーされている良い入門書 内容:食料危機は本当にやってくるのか 「先進国=工業国、途上国=農業国」は本当か 自給率で食糧事情は本当に分かるのか 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか 食料は安価な外国産に任せて本当に良いのか

書評

「田舎の本屋さん」(農山漁村文化協会)ウェブサイトから紹介を引用
12刷を誇るロングセラーの改訂版!これ一冊で、世界の食料、日本の農業、毎日の食生活のつながりがよくわかる。
学校の授業形式で解説するので、予備知識があまりなくてもわかりやすい!




2023年1月27日金曜日

【おすすめ度☆】村上弘『日本政治ガイドブック 民主主義入門』法律文化社, 新版2018年

政治に関する基本的なポイントを簡潔明瞭に説明している教科書。物事の見方がやや単純化されすぎではないか?と感じる点もなくはないが、細かいことまで正確に説明しようとすると説明が過度に複雑になってわかりにくくなってしまうので、ある程度まで単純化されるのはやむをえない。この本は「わかりやすさ」と「正確さ・複雑さ」のバランスが取れていると思う。

内容:
・政治学入門と政治のキーワード(政治とは何か、権力・影響力・権威、国家の必要性とリスク、立憲主義、政府機構、政治参加・政党・有権者、民主主義、保守とリベラル、公共性、政治的リーダーシップ、国際関係と国際政治、戦争と平和、安全保障と軍事力)
・日本政治の基礎知識(政府と国会、政党・選挙と政治参加、内閣と行政、地方自治、政治の理念と座標軸)
・民主主義とポピュリズム 日本の選挙と政党システム 改憲の争点と政治過程

出版社ページより紹介を引用
日本政治を捉えるためのガイドブック。基礎知識を丁寧に概説したうえで、政治的争点につき賛否両論をわかりやすく整理のうえ概説する。政治の基礎を学ぶための「政治学入門」36頁を新たに追加。




2023年1月16日月曜日

『おすすめ度○』スティーヴン・ワインバーグ『科学の発見』文藝春秋, 2016年

著者の本業はノーベル賞を受賞した物理学者。著者は、過去の自然科学に関する研究を、現代的な「科学的研究方法」に従っていたかという観点から検討する。この本は、科学の歴史の本というより、近代以前の自然研究を題材にして「科学研究とはどういう行為か」を考えるための本である。著者によれば、古代ギリシアの哲学者のうち、デモクリトスの原子論やアリストテレスの自然哲学は「科学的研究方法」に全く従っていないので、彼らの主張がたまたま現代の科学と似ていても、本質的に科学とは無関係である。ただし著者は古代の研究をすべて否定しているわけではなく、(一例を挙げれば)アルキメデスは現代の科学と共通する面があることを指摘している。なお著者は数学と自然科学の違いも強調している。
 また著者は、アリストテレスに代表される非科学的な思考方式が近代初期まで強い影響力を維持し続け、科学研究の発展を妨害されてきた一つの原因として、キリスト教やイスラム教などの宗教を挙げている。科学的研究によって明らかにされた事実が宗教の教義の誤りを明らかにするものであったため、宗教は、時には陰湿な方法で科学研究を妨害し、時には公然と科学者を弾圧していた(ガリレオの場合など)。

出版社ページより紹介を引用「1979年のノーベル物理学賞を受賞した著者が、テキサス大学の教養課程の学部生にむけて行っていた講義のノートをもとに綴られた本書は、欧米で科学者、歴史学者、哲学者をも巻きこんだ大論争の書となった。「美しくあれかし」というイデアから論理を打ち立てたギリシャの時代の哲学がいかに科学ではないか。アリストテレスやプラトンは、今日の基準からすればいかに誤っていたか。容赦なく現代の科学者の目で過去を裁くことで、「観察」「実験」「実証」をもとにした「科学」が成立するまでの歴史が姿を現す。」



2023年1月9日月曜日

【おすすめ度○】デビッド・ロスコフ『超・階級』光文社, 2009年

グローバル・パワー・エリート(世界規模の超富裕層、著者はグローバル・パワー・エリートは全世界で約6000人と推定している)のネットワークと、彼らへの過度の権力集中の実態を、膨大な取材に基づいて描いている。 内容:スーパークラスに会ってみる、それぞれが百万人に一人の逸材 不平等な世界 歴史の教訓とエリートの興亡 多国籍化の時代 金融と経済がすべての中心になった時 グローバリスト対ナショナリスト グローバルなテロのネットワーク 情報と知識の力 スーパークラスのメンバーになる方法(スーパークラスの親睦組織) スーパークラスと世界はこれからどうなるか

【「TRC MARC」の商品解説】世界は6000人のスーパークラス(超権力者階級)に支配されている。彼らは誰で、かつての権力者たちと比べてどう変わったのか。一般市民とどう違うのか−。“権力共同体”の内幕を初めて明かすhttps://honto.jp/netstore/search/au_1000957894.html




2023年1月8日日曜日

【おすすめ度●】原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会編『東京湾の原子力空母』新泉社, 2008年

2008年にアメリカ軍の原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に配備されるときの反対運動の取り組み(現在は横須賀に配備されている原子力空母はロナルド・レーガンに交代している)。ジョージ・ワシントン、ロナルド・レーガンともに熱出力で110万キロワットという、小規模な原子力発電所に匹敵する出力がある。そのような規模の原子炉が、日本政府による安全審査を全く受けないまま、人口密集地である横須賀に配備されていることは、もっと周知されてよい。 内容:なぜ横須賀に原子力空母なのか 空母原子炉の特性と危険性 大地震と原子力事故 母港化をやめさせるには

出版社ページより紹介を引用「熱出力60万キロワットの原子炉を2基搭載した原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に配備される。日本政府は「原子力空母の安全性は保証されている」として合意したが、原子力艦船の事故は実際に起こっており、しかも横須賀がある三浦半島は日本列島のなかでも主要な活断層が走る地域だ。空母原子炉の危険性、原子力事故が起きた場合の被害を解説し、母港化をやめさせるための地元市民の活動を紹介する。
 2008年9月、横須賀米軍基地に原子力空母ジョージ・ワシントンが配備される。搭載されている2つの原子炉は軍事機密のなかで安全審査もなく、安全性が疑問視されている。横須賀の活断層問題、浦賀水道の過密航路問題などを含めて、この原子炉の情報と危険性をわかりやすく解説する。」


google mapより、横須賀に駐留する原子力空母「ロナルド・レーガン」



2023年1月4日水曜日

【おすすめ度○】ジェイ・ハーマン『自然をまねる、世界が変わる』化学同人, 2014年

バイオミミクリー(生物の形態や化学物質から、有用な商品・ビジネスを作り出す技術)が起こすイノベーションについて書かれている。著者は起業家で、ビジネスのノウハウについての記述が多く、それも興味深い。

出版社ページより紹介を引用「なぜマルハナバチは,ボーイング747より優れた空気力学をもつのか? チョウの羽のデザインは,どのように世界の光熱費を下げることができるか? 生物の形態・性質を技術に応用するバイオミミクリー(生物模倣)が,環境に配慮し,ビジネスにもなる新発想として注目を集めている.発明家として実業家として,バイミミクリーに基づく新製品を世に送り出してきた著者が,驚きの実例の数々と,ビジネスに成功する秘訣を明かす.」



【おすすめ度☆】河合亮平『なんでやねんを英語で言えますか』KADOKAWA, 2016年

「なんでやねん」などの関西弁を英語で表現する方法を説明している。英語の口語的表現の参考になる。同時に関東人が関西弁を知るのにも役立つ(むしろこちらが重要かも)。

出版社ページより紹介を引用「母語を通じて英語を学びたい関西人、関西弁と英語をダブルで学びたい全ての日本人、そして、関西弁を学びたいすべての外国人に捧ぐ、比類なき一冊。(*全編バイリンガル仕様)
「なんでやねん」「あかん」「アホくさ」など、呼吸と等しく使う50の「めっちゃ使うフレーズ」をイラスト&ダイアログつきで紹介! ドタマからおいどまでオール関西弁の参考書。めっちゃテストに出るで! 知らんけど。」


【おすすめ度☆】羽生田慶介『すべての企業人のためのビジネスと人権入門』日経BP, 2022年

なぜビジネスにとって人権が重要なのか、国連の「ビジネスと人権」指導原則をはじめとする世界の動向をわかりやすく説明している。 内容:なぜ今「ビジネスと人権」なのか 立ち遅れる日本 失敗事例に学ぶ「ビジネスと人権」 この10年で急整備された「ビジネスと人権」のルール ゼロから始める人権対応アクションプラン 「人権ビジネス」のフロンティア

出版社ページより紹介(一部)を引用
「世界では、企業の「人権リスク」に対して厳格に対処するためのルールづくりが着々と進んでいる。しかしつい最近まで、日本企業の「人権」対応の取り組みは、とても遅れていた。国際NGOが発表している人権対応スコアでは、名だたる日本を代表する企業が軒並み「ほぼ0点」の扱いを受けている。国連の持続可能な開発目標(SDGs =サステナブル・ディベロップメント・ゴール)の各項目に対する意識調査によると、日本は「人権」に対する意識が希薄だ。
 本書を手に取った皆さんの中には「そうは言っても、人権がどう自社のビジネスに関係するのかイメージが湧かない」という人がいるかもしれない。「人権リスク」はビジネスの特別な場面ではなく、ごく日常に潜んでいる。本書は、企業が「ビジネスと人権」に取り組むための基礎知識と、具体的な実践方法、さらには「人権リスク対策」を通じてビジネスを拡大するためのヒントをまとめた。」


【おすすめ度○】石原理『生殖医療の衝撃』講談社現代新書, 2016年

生殖医療の新しい技術が社会に及ぼす影響を分かりやすく説明している。 内容:世界を変えた3つの技術革新(顕微授精、胚凍結、胚培養) 精子バンク 卵子の需要と提供 性同一性障害 生殖医療の「革命前夜」 禁断のDNA編集 遺伝子のポリティクス 生命倫理と法制度とのギャップ

出版社ページより紹介を引用「1978年7月25日体外受精による子ども、ルイーズ・ブラウンさんが英国で誕生してから30余年。生殖医療の世界では、「生殖革命」ともいえる技術革新が相次ぎ、いまや日本で生まれるこどもの約32人に1人は、出生前に-196℃液体窒素タンクで凍結保存されている。いま生殖医療は新たなるフェーズに進み、遺伝的親が3人存在することになるミトコンドリア移植、子宮移植が現実のものとなり、iPS細胞を用いた精子や卵子の作成技術の確立も目前に迫っている。第二次生殖革命前夜ともいえる様相を呈している最新事情を紹介するともに、精子バンクや卵子バンクなど生殖医療ビジネスや生命倫理との相克などを鋭くレポートする。」


【おすすめ度○】新藤宗幸『原子力規制委員会』岩波新書, 2017年

原子力規制員会の仕組みと問題点を詳細・多角的に説明している。この本での問題点の指摘はもっともなのだが、一方で原子力規制委員会はかつての原子力安全委員会や原子力安全・保安院に比べればはるかに厳しい規制を行っているので、なぜ厳しい規制が可能になったのかの分析もしてほしかった。 内容:原子力規制委員会はいかに作られたのか 原子力規制委員会とはどのような組織なのか 行政委員会とは何か 原子力規制委員会は「使命」に応えているか 裁判所は「専門家」にどう向き合ったのか 原子力規制システムはどうあるべきか

出版社ページから紹介を引用
「福島第一原発の事故をきっかけに作られた原子力規制委員会は,「世界一厳しい」と称する新規制基準によって再稼働審査を行っている.政権や経済界からのプレッシャーを前に,独立性と中立性を維持できているだろうか.行政学の観点からその組織構造と活動内容を批判的に検証し,原子力規制システムはどうあるべきかを考える」


【おすすめ度●】市川浩『ソ連核開発全史』ちくま新書, 2022年

これまであまり知られていなかったソ連の核開発(核兵器と原子力発電の両面)をコンパクトに概観できる良書。冷戦下のソ連が何を考えていたのかを知ることができる。 内容:冷戦の勃発と核兵器開発の発端 核兵器体系の構築 ウラン資源開発・ミサイル・原子力潜水艦 ソ連の放射線防護 米ソの「サイエンス・ウォー」 ソ連版「平和のための原子」と原子力平和利用 ソ連の原子力発電開発 東側「同盟国」への原子力技術提供 ソ連解体後にビジネス化する原子力

出版社ページから紹介を引用
「第二次世界大戦後、大規模な軍拡競争を伴う東西冷戦下のソ連において推進された原子力政策は、人類史をどう変えたのか。最初期の放射線研究、史上最大の水爆実験から、世界初の原子力発電所稼働、東側同盟国への技術提供、原子力ビジネス、そして史上最悪のチェルノブイリ原発事故に至るまで。危険や困惑を深めながらも試行錯誤を重ね、科学者・技術者を総動員して推し進められた知られざる数々のプロジェクト。現代ロシアの基礎をなすその計画の全貌に迫る、はじめての通史。」




2022年12月28日水曜日

【おすすめ度◎】小島道一『リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか』中公新書, 2018年

先進国(日本)と発展途上国(中国、東南アジア)の間での中古品や廃棄物の移動の現状と問題点を踏まえたうえで、適切な国際ルールの在り方を考察する本 内容:貿易と環境保護は両立できるか 国境を越えてリユースされる中古品 国境を超えてリサイクルされる再生資源 中古品や再生資源の越境移動に伴う問題 安全性と衛生 製造業の発展を阻害する可能性 発展途上国における廃棄物の増加 リサイクルに伴う環境汚染 国際リサイクルに関する国際ルール GATT/WTO バーゼル条約その他 適切な国際リサイクルに向けた日本の取り組み 国際リサイクルの将来展望

出版社ページから紹介を引用
「古紙やペットボトルなどの分別収集のイメージが強いリサイクル。だが、回収された使用済み製品は国内で再使用・再生利用されるだけではない。中古車や鉄スクラップなどは今や日本の主力輸出品である。一方、国際的なリサイクルは急速に拡大し、各国による再生資源の獲得競争や、環境汚染を生む有害廃棄物の輸出など、多くの問題も起こっている。二十世紀末から急拡大している知られざる現状と、問題点を明らかにする。」

https://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/05/102489.html





【おすすめ度○】宮田律『石油・武器・麻薬』講談社現代新書, 2015年

題名通り、「石油・武器・麻薬」に注目しながら中東紛争の本質を説明する。著者が研究成果を踏まえて「暴力で平和はつくれない、日本にできることは軍事活動ではない」という結論に至ったことは敬意を払うべき。良書だがやや古いのでおすすめ度は○にした。 内容:紛争の陰で暗躍する軍産複合体 新シルクロード構想を掲げる中国の野望 石油争奪戦争と価格下落の影響 中東を破局に導いた米国の戦略 暴力の拡散と貧困・格差の連鎖など

出版社ページから紹介を引用
テロはなぜ「終わらない」のか。武力によって平和な社会をつくることはできない。もはや私たちも他人事ではいられない。パリ同時テロの背景にも通じる、世界でいま、起きていることとは。欧米「軍産複合体」の暗躍、中東における石油争奪戦、麻薬ネットワークの「闇経済」……。米・ロ・英・仏・中の思惑と、中東の現実から、「第三次世界大戦」とも形容される複雑な国際政治情勢をわかりやすく読み解く。

◆なぜテロは「終わらない」のか◆
武力によって平和な社会をつくることはできない。
もはや私たちも他人事ではいられない。
パリ同時テロの背景にも通じる、世界でいま、起きていることとは。
欧米「軍産複合体」の暗躍、中東における石油争奪戦、
麻薬ネットワークの「闇経済」……。
米・ロ・英・仏・中の思惑と、中東の現実から、「第三次世界大戦」とも形容される複雑な国際政治情勢を多角的かつわかりやすく読み解いた、決定版。



2022年12月27日火曜日

【おすすめ度○】全国霊感商法対策弁護士連絡会・佐高信『統一教会との闘い』旬報社, 2022年

統一教会問題(統一教会被害)の概要がわかる本。やむをえないことであるが、出版準備にあまり時間をかけていないので、やや雑に感じられるところも少なくない。途中の佐高信と山口広弁護士の対談は読み飛ばしてもよい。 内容:統一教会の歴史 霊感商法と人集め 統一教会と政治など

出版社ページから紹介を引用
中心的活動の全てが違法とされた特異な宗教法人
 著者らが所属する全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、統一協会による霊感商法の被害が多発したことを受け、1987年に、当時、300余名の有志の弁護士によって結成されました。その後、この会は、本当に長きにわたり、統一協会との戦いを続け、多くの裁判で成果を勝ち取り、被害救済に努めてきました。
 とくに注目すべきは、これらの裁判を通じて、統一協会が行ってきた信者に対する伝道活動、献金や物品購入に対する勧誘活動、そして統一協会の教義において救いの中核となる、原罪を脱ぐための祝福(合同結婚式)への勧誘のいずれについても違法であるとの判断が確立されている、ということです。すなわち統一協会は、こうした団体としての中心的活動の全てが違法であるとされた、極めて特異な宗教法人ということができます。

政治家の関与の疑い
 こうした実情から、我々はその被害根絶の一手段として、長年にわたり、所轄庁である文化庁宗務課に対し、統一協会に対する解散請求やその前提としての質問権の行使を求めてきましたし、名称変更に応じることのないように求めてもきました。それにもかかわらず名称変更が認められてしまったことについては、宗務課に対する信頼が大きく揺らいだものであるとともに、政治家の関与も強く疑われるところとなりました。また、これに先立つ2007年以降相次いだ統一協会関連会社に対する刑事摘発、とくに2009年の新世事件においては渋谷教会、豪徳寺教会に相次いで強制捜査が入ったにもかかわらず教会本体の責任までは追及されなかったことも、やはり政治家の圧力があったとしか思われませんでした。
 歴史を振り返ると、かつて統一協会が日本に渡り、日本で宗教法人として認証された1964年の直ぐ後から、世界的な情勢も相まって、共産主義をサタン的思想として敵視する統一協会と日本の政治家とが連携を図るようになり、その関係性は次第に深まっていきました。
 その後、国内では1980年代に統一協会による霊感商法が社会問題化し、1990年代には合同結婚式の問題が報じられるとともに、国外では冷戦終結とともに反共の機運も削がれた結果、政治家と統一協会との結びつきは、いったんは希薄になっていたかのように見えました。
 しかし、2000年頃からは、再び国会議員と統一協会の繋がりが見え隠れするようになり、2005年、2006年に安倍晋三元首相が連続して統一協会の関連団体であるUPF(天宙平和連合)のイベントに祝電を出すなどし、他の国会議員も統一協会関連のイベントに祝電を出したり、機関誌に登場したりということが増えていきました。2018年、2019年には全国弁連から、全ての国会議員に宛てて注意喚起を行いましたが、これによって政治家が統一協会と縁を切るということはなく、一層関与が加速しているような状態でした。その最たるものが、安倍元首相が2021年9月に統一協会関連団体であるUPFの大会にビデオレターの形で登壇し、統一協会トップである韓鶴子を賛美する言葉を述べたことでした。
 こうした政治家の統一協会への関与が、結果として安部元首相への銃撃事件を引き起こす一つの契機となってしまったことについて、統一協会問題について多くの情報を有していた我々としても、この問題への注意喚起が不足していたという反省があります。だからこそ、この機会に、多くの人に、統一協会による被害の悲惨な実態を知ってもらいたいと思うのです。


【おすすめ度○】倉橋正直『阿片帝国日本』共栄書房, 2008年

あまり知られていないが、実は重要な大日本帝国の阿片政策に関する本。日本が中国侵略していたときに、日本が実効支配していた台湾・満州で日本政府がアヘンの専売制を敷いて、アヘンを大量に売りつけて儲けていたこと。のみならず、中華民国が実効支配していた地域にもアヘンを密輸出してばらまいていたこと。当時、日本と中華民国の間には不平等条約があり、中華民国は日本人のアヘン密輸業者を逮捕しても、裁判にかけて処罰することができなかった。テーマがテーマだけに史料が少なく、推測に頼らざるを得ない部分はあるが、中国にいた日本人の大半が、何らかの形で阿片密輸・密売に関わっていたという。 内容:阿片を用いた日本の中国侵略 阿片密売関係者(「祇園坊」と名乗る正体未詳の人物)による中国阿片密売レポート 満州国における阿片政策 後藤新平と台湾における阿片政策 阿片禁止運動家・菊池酉治

版元ドットコムより紹介を引用
今日、薬物汚染が世界的に問題になっている。日本もまた例外ではなく、すでにその害は軽視できない段階に至っているが、日本国民の多くは、日本が薬物汚染問題では被害者の立場にあるとだけ考えている。たしかに、現在、あるいは戦後の時期に限定すれば、日本は被害者である。しかし、戦前まで視野に入れれば、当時、日本は恐るべき加害者であった。すなわち、日本は世界一の麻薬生産国であって、阿片・モルヒネ・ヘロインなどの毒物を大量に、かつ長期間にわたって中国や朝鮮をはじめとするアジア諸国に密輸した。その結果、アジア諸国民は、はかりしれない害毒を被った。しかも、戦後の日本は、そういった恥ずべき行為を真摯に反省するどころか、ひたすら隠蔽し続けてきたのだ。


2022年12月25日日曜日

【おすすめ度◎】中村洋子『フィリピンバナナのその後』七つ森書館, 2006年

『バナナと日本人』のグループによる、問題の掘り下げをした本。本の後半にある国際的なレベルでの消費者運動に関する説明の部分がとても有用。 内容:マルコス政権下のバナナプランテーション 包括的農地改革計画下のバナナプランテーション 多国籍企業の規制 有害製品の国際的規制による多国籍企業の規制 多国籍企業の環境破壊に対する規制 国連多国籍企業行動基準の策定 グローバリゼーションと多国籍企業の規制 国連の機構改編と多国籍企業に対する規制の後退 IOCUの方針転換

版元ドットコムより紹介を引用
鶴見良行氏が名著『バナナと日本人』を出版してから20余年。その後、フィリピンバナナはどうなったか…。本書は多国籍企業の反公共的行為が過去のものではないことを示す。


【おすすめ度◎】石井正子編著『甘いバナナの苦い現実』コモンズ, 2020年

バナナを媒介にして、先進国(日本)と発展途上国(フィリピン)の関係の在り方を問題提起する。14年前の『フィリピンバナナのその後』と比較して、状況がどう変わったのかを確認するのも興味深い。 内容:意外と知らないバナナの話 ミンダナオ島で輸出用バナナが作られるようになるまで バナナ栽培に関わる企業と人々 高地栽培バナナの発見と山間部の変化 バナナ産業で働く人々の現実 労働者の闘い バナナ栽培と農薬 農薬空中散布問題 多国籍アグリビジネスの再編と新たな「規制」枠組み バナナのサプライチェーン エシカルな食べ方

出版社ページより紹介を引用
「日本人がもっとも多く食べている果物バナナ。安さの一方で、主な輸入先のフィリピン・ミンダナオ島では、農薬の空中散布による健康被害や不公正な多国籍企業の活動が目立つ。栽培・流通の知られざる現状を調査に基づいて詳細に描き、エシカルな消費の在り方を問いかける。」


なお、PARCによるこの本の動画販もある。サンプル動画↓
http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/banana_new.html

【おすすめ度○】橋本毅彦『安全基準はどのようにできてきたか』東京大学出版会, 2017年

一見、単純に見える「安全基準」が、じつは複雑なプロセスを経て決められていることが分かる面白い本 内容:身の回りの安全基準 航空機と運行システム 船舶 保険業界・船級協会による評価 消防 治水(日本とオランダ) 原子力分野における確率論的安全評価の導入 食品の安全性と水銀中毒・生活習慣と行政基準 災害予防と心理学(労働と適性検査) 医療機器の国際規格作り 臨床試験と適性実施基準 欧州のCEマーク制度の取り組み

出版社ページより紹介を引用
「堤防の高さはどのようにして決まるのか? どのレベルであれば食品を安全に食べられるのか? 消防・原子力・医療機器など現代社会を支える9つの技術の安全基準について、その成り立ちの歴史的経緯や、背景にある技術的考察について解説する.」


【おすすめ度○】田口理穂『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』学芸出版社, 2015年

ドイツでの再生可能エネルギー普及の取り組みの紹介 内容:パッシブハウス(エコ建築) 自治体がサポートする再生可能エネルギー事業(シェーナウ電力会社) 収益と持続性を両立する企業の取り組み(GLS銀行) 課題が山積する原発廃止 など

出版社ページより紹介を引用
「国民の総意により脱原発を宣言したドイツ。再生可能エネルギーが電力消費量の約3割を占めるまでに普及しているのはなぜか。それは人々の環境意識が高いだけでなく、投資が報われる仕組みや法制度が支えている。市民、企業、行政がどんな取り組みをしているのか、ドイツ・ハノーファー在住の著者が、市民目線で最前線を紹介する。」



【おすすめ度☆】中西優美子『概説EU環境法』法律文化社, 2021年

題名通り、EUの環境法の概説書。入門書ではない。一人の著者がこれだけの広範な内容をカバーしているのは非常に驚嘆すべきことである。 内容:EU環境法の発展 EU法的枠組み 環境に関する権限 環境政策の目的 環境に関する原則(予防原則・未然防止原則・根源是正優先の原則・汚染者負担の原則) 環境法の策定及び実施 下部機関(欧州環境機関、ECHA、EFSA) EU環境法の解釈と適用の確保(EU司法裁) EU措置による環境保護強化(環境損害責任指令) 環境分野における市民・環境保護団体の参加 EU環境法と構成国 個別分野(気候変動・生息地及び動植物種保護、動物福祉、化学物質、遺伝子組み換え、水、大気、廃棄物) エネルギーと原子力など

出版社ページより紹介を引用
「EU環境法の歴史、構造、原則、手続をおさえ、エネルギー法を含む個別分野を詳細に解説。EU判例・規則等のほか、独仏等、構成国の法律・裁判の動向にも言及。一次資料、詳細な索引(事項、判例、措置別)、資料の読み方まで解説する、この分野の必読文献。」


【おすすめ度○】秦正樹『陰謀論』中公新書, 2022年

ポリティカル・サイエンスの手法でいわゆる陰謀論を分析している。この本に書かれている分析は参考になるが、残念ながらこの本では、政府自身が陰謀論を垂れ流す、あるいは少なくとも政府が陰謀論を阻止しようとしないことの危険性が全く見落とされている(著者はまだ若い研究者なので厳しいことを要求するのは酷だが)。政府の側が陰謀論を垂れ流すのと、政府を批判する側が陰謀論を垂れ流すのでは社会に対する悪影響のレベルがまるで違うのだけど、この本では「保守の陰謀論」と「リベラルの陰謀論」が「どっちもどっち」のような扱いになってしまっている。実際には、今の政府と緊密な関係がある「保守の陰謀論」の方が社会に及ぼす悪影響ははるかに深刻。 内容:「陰謀論」の定義 陰謀論とソーシャルメディア 「保守」の陰謀論 「リベラル」の陰謀論 「政治に詳しい人」と陰謀論 民主主義は「陰謀論」に耐えられるのか

出版社ページより紹介を引用
「ネット上の陰謀論「Qアノン」を妄信する人々によって引き起こされたアメリカ連邦議会襲撃は、世界を震撼させる事件であった。21世紀の今、荒唐無稽な言説が多くの人に信じられ、政治的影響力すら持つのはなぜか。本書は、実証研究の成果に基づき、陰謀論受容のメカニズムを解説。日本で蔓延する陰謀論の実態や、個人の政治観やメディア利用との関連、必要なリテラシーなどを交え、「民主主義の病」への対抗法を指南する。」


【おすすめ度○】アレックス・ニコルズ、シャートット・オパル『フェアトレード』岩波書店, 2009年

やや古い本であるが、フェアトレードの取り組みを通じて、現在の先進国と発展途上国の関係の在り方を論じている。フェアトレードを(主流派)経済学的に分析しているところが面白い。内容:フェアトレードの経済学 フェアトレードと倫理的(エシカル)消費 フェアトレード業界の構造と戦略 資金調達 フェアトレード認証 フェアトレードのマーケティングなど

出版社ページより紹介を引用
「途上国の作り手との「公正な貿易」により,貧困問題解決を推進するフェアトレード.コーヒーやバナナを中心に始まった取り組みは,いまや急激に拡大している.その先駆的研究者と実践者が,フェアトレードのビジネスとしての実際と魅力を,豊富な事例とともに紹介.消費者の選択が変えうる未来を提言する.
■訳者からのメッセージ
 本書の原書は,二〇〇四年にイギリスで出版された.(中略)サブタイトルに “Market-driven ethical consumption”とあるように,本書はフェアトレードの経済学的側面,マーケティング,資金面など,他の書籍が扱っていない分野を多く取り上げた,アカデミックな内容となっている.特に経済学的側面については,農業という産業自体が持つリスクの分析や,途上国の農村地域における資本の流れと資金アクセス,また世界の商品市場の特性とフェアトレードの整合性などが書かれている.
 編著者のアレックス・ニコルズ氏はオックスフォード大学サイード・ビジネススクールで社会的起業について教鞭をとるフェアトレード研究者である.同じく編著者のシャーロット・オパル氏は,本書執筆時はトランスフェアUSAの新製品開発担当スタッフであった.また第五章は,NEF(新経済団体)のスタッフで,ツイントレーディングの共同事業者でもある,ホイットニ・トーマス氏の執筆がした.研究者と実践者がともに書いた数少ないフェアトレード本として,本書の存在は大きい.
 フェアトレードを研究する学生や研究者,またフェアトレードに関心を持ち,深く知りたいという一般の消費者の方々に読んでいただければ幸いである.」


2022年12月23日金曜日

【おすすめ度○】デイヴィッド・ヒーリー『ファルマゲドン 背信の医薬』みすず書房, 2015年

製薬会社の宣伝活動の問題点 製薬会社主導の臨床試験とEBMの問題点 論文ゴーストライター問題などを取り上げている。基本的に参考になる本だが、精神科医療について否定的に書かれ過ぎているように感じる。

出版社ページより紹介を引用
「抗うつ薬が自殺を惹起するという深刻な副作用を暴いた『抗うつ薬の功罪』の著者ヒーリーが、薬物治療依存の時代に産官学を巻き込んで拡大する背信の構造を告発する。なかでも、臨床試験データの隠匿や改竄などの不正操作、医学論文のゴーストライティングの問題を徹底して追及している。そこからは、科学への信頼を逆手にとったマーケティングが、学者や医師のコンセンサスを乗っ取って特許薬の需要をつくりだし、医療と医薬のあらゆる側面が人間よりもその経済に奉仕させられているという、ディストピア的様相が浮かび上がる。
これに対してヒーリーは、濃霧を晴らすような抜本的な改革案を提示している。臨床試験の生データの公開、医薬品の特許制度および処方箋薬制度の見直し、ユーザーが持つ副作用情報のグローバルな集積と活用など──いわば、医薬に関する知識と権限をユーザーに解放し、ボトムアップでディストピアを解体するという構想である。」


【おすすめ度○】ジョン・ジェラルド・ラギー『正しいビジネス』岩波書店, 2014年

著者は国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を作成した「人権と超国家企業およびその他のビジネス活動の問題に関する国連事務総長特別代表」を勤めた国際政治学者。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の成立までの経緯とその内容が書かれている。良書だがやや古いのでおすすめ度○にした。

出版社ページから紹介を引用
多国籍企業が各地で繰り返す人権侵害に対して,何ができるのか.国連事務総長の特別代表となった著者は,六年にわたる調査や協議を経て,国家の義務,企業の責任,被害者の救済を柱とする「ビジネスと人権に関する指導原則」を取りまとめた.その経緯をたどりながら,ビジネスの「常識」とすべきこのアプローチの意義を説く.

■編集部からのメッセージ
 多国籍企業が進出先で人権侵害を行うケースが後を絶ちません.低賃金労働や児童労働,開発に伴う土地の強制収用,環境破壊や公害,政治腐敗や反対運動弾圧への関与などです.こうしたことが起きたとしても,国境を超える企業活動を規制したり,海外の企業に責任をとらせて被害者を救済したりすることは非常に困難です.
 こうした問題について,国連のアナン事務総長は,2005年にハーバード大学の政治学者ジョン・ジェラルド・ラギー氏を「ビジネスと人権に関する事務総長特別代表」に任命し,多国籍企業に対する取り組みと被害者救済を目指す枠組みの作成を委託しました.その難しい課題を引き受けたラギー氏は,6年にわたる様々な調査を経て,「ビジネスと人権に関する指導原則」という文書をまとめました.人権を保護する国家の義務,人権を尊重する企業の責任,被害者の救済へのアクセス,という三つの柱から成るものです.
 本書は,ラギー氏が,「指導原則」に到達するまでの紆余曲折をたどりながら,この画期的なアプローチの内容や意義,その実効性について解説するものです.
 国連という場で,各国政府や企業,人権NGOといった様々なアクターとのやり取りを重ねながら,それらをどのように巻き込んで国際的なルールを作り上げていったのか,そのダイナミズムを感じさせる叙述になっています.プラグマティズムに根差した粘り強い行動にも学ぶことが多いはずです.
 これからのビジネスの〈常識〉とは何かを知ることのできる最適の本です.ぜひご一読いただきたく思います


【おすすめ度○】坪井ひろみ『グラミン銀行を知っていますか』東洋経済新報, 2007年

バングラデシュでの農村貧困削減やジェンダー平等を目指す取り組みであるグラミン銀行の学術的研究。グラミン銀行の仕組みや実態が詳しくレポートされている良書。

出版社ページより紹介を引用
バングラデシュの貧しい女性たちに無担保で融資し、自立を促す「グラミン銀行」。その活動を8年にわたって調べてきた著者が、女性たちの奮闘する様子を活き活きと描く。




【おすすめ度○】スーザン・ドウォーキン『地球最後の日のための種子』文藝春秋, 2010年

ベント・スコウマンの生涯を軸にして、ジーンバンク(遺伝子資源を保管する施設)の現状と問題点を詳細に描いている。

出版社ページより紹介を引用
凍土の地下に科学者が作った「ノアの箱舟」がある
植物の多様性を守る「種子銀行(ジーン・バンク)」。食糧と環境の危機に備え、世界中の種子を収集、計画を実現させた科学者達を描くノンフィクション
担当編集者より
北極圏の永久凍土の島の地下150メートル。「地球最後の日のための貯蔵庫」と呼ばれるその施設に収められているのは300万点を超える作物の種子だ。もし地球の作物が滅亡しても、そこの種が農業復興の「種」となる……。本書は植物の多様性を守るために世界中をめぐり、無数の作物のサンプルを収集・貯蔵して、遺伝情報を寡占しようとする企業と対立しつつ、遺伝資源を守った科学者たちの物語。秋に名古屋で開かれるCOP10の議題でもあるホットな問題にも迫る科学ノンフィクションです。(NS)