先進国(日本)と発展途上国(中国、東南アジア)の間での中古品や廃棄物の移動の現状と問題点を踏まえたうえで、適切な国際ルールの在り方を考察する本 内容:貿易と環境保護は両立できるか 国境を越えてリユースされる中古品 国境を超えてリサイクルされる再生資源 中古品や再生資源の越境移動に伴う問題 安全性と衛生 製造業の発展を阻害する可能性 発展途上国における廃棄物の増加 リサイクルに伴う環境汚染 国際リサイクルに関する国際ルール GATT/WTO バーゼル条約その他 適切な国際リサイクルに向けた日本の取り組み 国際リサイクルの将来展望
本のおすすめを中心にして、学生のみなさんに役立ちそうな情報を書きます。※このブログで紹介している本はいずれも良書ですが、ここで紹介していない良書もたくさんありますので、これから順次増やしていきます。 【おすすめ度】 ◎=特におすすめ ☆=初学者向けに良い本(教科書や入門書) ○=読む価値が高い本 ●=そのテーマに関心が高い人向け。専門性が高く一般向けではない本と、良書だけど内容が古くなっている本。
注目の投稿
【まとめ】このブログ全体のまとめです。
紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【おすすめ度◎】の本(特におすすめする本、このページの下の方に) 【おすすめ度☆】の本の一覧はこちら (教科書あるいは入門書的な本) 【おすすめ度○】の本の一覧はこちら (読むことをおすすめする本) 【おすすめ度●】の本の一覧はこちら (専...
2022年12月28日水曜日
【おすすめ度◎】小島道一『リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか』中公新書, 2018年
【おすすめ度◎】宮田律『石油・武器・麻薬』講談社現代新書, 2015年
題名通り、「石油・武器・麻薬」に注目しながら中東紛争の本質を説明する。著者が研究成果を踏まえて「暴力で平和はつくれない、日本にできることは軍事活動ではない」という結論に至ったことは敬意を払うべき。 内容:紛争の陰で暗躍する軍産複合体 新シルクロード構想を掲げる中国の野望 石油争奪戦争と価格下落の影響 中東を破局に導いた米国の戦略 暴力の拡散と貧困・格差の連鎖など
2022年12月27日火曜日
【おすすめ度○】全国霊感商法対策弁護士連絡会・佐高信『統一教会との闘い』旬報社, 2022年
統一教会問題(統一教会被害)の概要がわかる本。やむをえないことであるが、出版準備にあまり時間をかけていないので、やや雑に感じられるところも少なくない。途中の佐高信と山口広弁護士の対談は読み飛ばしてもよい。 内容:統一教会の歴史 霊感商法と人集め 統一教会と政治など
【おすすめ度○】倉橋正直『阿片帝国日本』共栄書房, 2008年
あまり知られていないが、実は重要な大日本帝国の阿片政策に関する本。日本が中国侵略していたときに、日本が実効支配していた台湾・満州で日本政府がアヘンの専売制を敷いて、アヘンを大量に売りつけて儲けていたこと。のみならず、中華民国が実効支配していた地域にもアヘンを密輸出してばらまいていたこと。当時、日本と中華民国の間には不平等条約があり、中華民国は日本人のアヘン密輸業者を逮捕しても、裁判にかけて処罰することができなかった。テーマがテーマだけに史料が少なく、推測に頼らざるを得ない部分はあるが、中国にいた日本人の大半が、何らかの形で阿片密輸・密売に関わっていたという。 内容:阿片を用いた日本の中国侵略 阿片密売関係者(「祇園坊」と名乗る正体未詳の人物)による中国阿片密売レポート 満州国における阿片政策 後藤新平と台湾における阿片政策 阿片禁止運動家・菊池酉治
2022年12月25日日曜日
【おすすめ度◎】中村洋子『フィリピンバナナのその後』七つ森書館, 2006年
『バナナと日本人』のグループによる、問題の掘り下げをした本。本の後半にある国際的なレベルでの消費者運動に関する説明の部分がとても有用。 内容:マルコス政権下のバナナプランテーション 包括的農地改革計画下のバナナプランテーション 多国籍企業の規制 有害製品の国際的規制による多国籍企業の規制 多国籍企業の環境破壊に対する規制 国連多国籍企業行動基準の策定 グローバリゼーションと多国籍企業の規制 国連の機構改編と多国籍企業に対する規制の後退 IOCUの方針転換
【おすすめ度◎】石井正子編著『甘いバナナの苦い現実』コモンズ, 2020年
バナナを媒介にして、先進国(日本)と発展途上国(フィリピン)の関係の在り方を問題提起する。14年前の『フィリピンバナナのその後』と比較して、状況がどう変わったのかを確認するのも興味深い。 内容:意外と知らないバナナの話 ミンダナオ島で輸出用バナナが作られるようになるまで バナナ栽培に関わる企業と人々 高地栽培バナナの発見と山間部の変化 バナナ産業で働く人々の現実 労働者の闘い バナナ栽培と農薬 農薬空中散布問題 多国籍アグリビジネスの再編と新たな「規制」枠組み バナナのサプライチェーン エシカルな食べ方
【おすすめ度○】橋本毅彦『安全基準はどのようにできてきたか』東京大学出版会, 2017年
一見、単純に見える「安全基準」が、じつは複雑なプロセスを経て決められていることが分かる面白い本 内容:身の回りの安全基準 航空機と運行システム 船舶 保険業界・船級協会による評価 消防 治水(日本とオランダ) 原子力分野における確率論的安全評価の導入 食品の安全性と水銀中毒・生活習慣と行政基準 災害予防と心理学(労働と適性検査) 医療機器の国際規格作り 臨床試験と適性実施基準 欧州のCEマーク制度の取り組み
【おすすめ度○】田口理穂『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』学芸出版社, 2015年
ドイツでの再生可能エネルギー普及の取り組みの紹介 内容:パッシブハウス(エコ建築) 自治体がサポートする再生可能エネルギー事業(シェーナウ電力会社) 収益と持続性を両立する企業の取り組み(GLS銀行) 課題が山積する原発廃止 など
【おすすめ度☆】中西優美子『概説EU環境法』法律文化社, 2021年
題名通り、EUの環境法の概説書。入門書ではない。一人の著者がこれだけの広範な内容をカバーしているのは非常に驚嘆すべきことである。 内容:EU環境法の発展 EU法的枠組み 環境に関する権限 環境政策の目的 環境に関する原則(予防原則・未然防止原則・根源是正優先の原則・汚染者負担の原則) 環境法の策定及び実施 下部機関(欧州環境機関、ECHA、EFSA) EU環境法の解釈と適用の確保(EU司法裁) EU措置による環境保護強化(環境損害責任指令) 環境分野における市民・環境保護団体の参加 EU環境法と構成国 個別分野(気候変動・生息地及び動植物種保護、動物福祉、化学物質、遺伝子組み換え、水、大気、廃棄物) エネルギーと原子力など
【おすすめ度○】秦正樹『陰謀論』中公新書, 2022年
ポリティカル・サイエンスの手法でいわゆる陰謀論を分析している。この本に書かれている分析は参考になるが、残念ながらこの本では、政府自身が陰謀論を垂れ流す、あるいは少なくとも政府が陰謀論を阻止しようとしないことの危険性が全く見落とされている(著者はまだ若い研究者なので厳しいことを要求するのは酷だが)。政府の側が陰謀論を垂れ流すのと、政府を批判する側が陰謀論を垂れ流すのでは社会に対する悪影響のレベルがまるで違うのだけど、この本では「保守の陰謀論」と「リベラルの陰謀論」が「どっちもどっち」のような扱いになってしまっている。実際には、今の政府と緊密な関係がある「保守の陰謀論」の方が社会に及ぼす悪影響ははるかに深刻。 内容:「陰謀論」の定義 陰謀論とソーシャルメディア 「保守」の陰謀論 「リベラル」の陰謀論 「政治に詳しい人」と陰謀論 民主主義は「陰謀論」に耐えられるのか
【おすすめ度○】アレックス・ニコルズ、シャートット・オパル『フェアトレード』岩波書店, 2009年
やや古い本であるが、フェアトレードの取り組みを通じて、現在の先進国と発展途上国の関係の在り方を論じている。フェアトレードを(主流派)経済学的に分析しているところが面白い。内容:フェアトレードの経済学 フェアトレードと倫理的(エシカル)消費 フェアトレード業界の構造と戦略 資金調達 フェアトレード認証 フェアトレードのマーケティングなど
2022年12月23日金曜日
【おすすめ度○】デイヴィッド・ヒーリー『ファルマゲドン 背信の医薬』みすず書房, 2015年
製薬会社の宣伝活動の問題点 製薬会社主導の臨床試験とEBMの問題点 論文ゴーストライター問題などを取り上げている。基本的に参考になる本だが、精神科医療について否定的に書かれ過ぎているように感じる。
【おすすめ度○】ジョン・ジェラルド・ラギー『正しいビジネス』岩波書店, 2014年
著者は国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を作成した「人権と超国家企業およびその他のビジネス活動の問題に関する国連事務総長特別代表」を勤めた国際政治学者。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の成立までの経緯とその内容が書かれている。良書だがやや古いのでおすすめ度○にした。
【おすすめ度○】坪井ひろみ『グラミン銀行を知っていますか』東洋経済新報, 2007年
バングラデシュでの農村貧困削減やジェンダー平等を目指す取り組みであるグラミン銀行の学術的研究。グラミン銀行の仕組みや実態が詳しくレポートされている良書。
【おすすめ度○】スーザン・ドウォーキン『地球最後の日のための種子』文藝春秋, 2010年
ベント・スコウマンの生涯を軸にして、ジーンバンク(遺伝子資源を保管する施設)の現状と問題点を詳細に描いている。
【おすすめ度☆】米本昌平『バイオポリティクス』中公新書, 2006年
やや古い本であるが、欧米でのバイオポリティクス(生-政治)の(当時の)最新動向 人体部品産業 移植ツアーなど
【おすすめ度○】日比野由利『ルポ 生殖ビジネス』朝日新聞出版, 2015年
インド、タイ、ベトナムでの代理出産ビジネスのルポ 著者は金沢大学医学部助教だが、まるで新聞記者のようなスタイルで関係者に丁寧にインタビュー(取材)している。このスタイルのおかげで問題の社会的な側面(貧困)が掘り下げられているが、逆に個別事例に深入りしすぎで全体像が見えなくなっているように感じられる面もあるように感じる(その点も新聞記者の本のようだ)。
【おすすめ度◎】谷山博史編著『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか』合同出版, 2015年
【おすすめ度○】石井哲也『ゲノム編集を問う』岩波新書, 2017年
ゲノム編集の規制に関する基本的論点をうまくまとめている 品種改良の話もあるが、医療への応用(主に生殖医療)の話が中心。ただし2017年の本なのでやや古い。そのためおすすめ度☆ではなく○にした。
【おすすめ度○】白輪剛史『動物の値段と売買の謎』ロコモーション, 2010年
著者は希少野生動物の貿易業者 希少野生動物の国際取引の実態を生々しく伝える良書
【おすすめ度◎】石渡正佳『食品廃棄の裏側』日経BP, 2016年
食品廃棄物を題材にして、廃棄物処理業界の実態を生々しく描いている。著者は千葉県庁職員で、県庁内の不法投棄摘発チーム「産廃Gメン」を率いていた(「Gメン」はGovernment menの略、取締官を意味する英語の隠語) 内容:消費者の胃袋が不法投棄現場に 肥料化の罠 食肉偽装事件 ダイコーはどういう会社だったか 廃棄物の撤去責任 食品廃棄物流出の背景 食品リサイクルの方法とその障害 食品リサイクルの新動向 不正発見には会計検査を 転売、不法投棄の誘惑 環境省と農水省 オフィシャル情報の利用 優良リサイクル業者登録制度の問題点 リサイクル率算定の問題 フードサイクルの全体最適化 循環産業から環境制御産業へ
【おすすめ度◎】ジョン・ミッチェル『追跡・沖縄の枯れ葉剤』高文研, 2014年
米軍がベトナム戦争中に使用した化学兵器(枯葉剤)を追跡するルポルタージュ。枯葉剤は沖縄に備蓄、使用、廃棄されていた。
【おすすめ度○】村上朋子『激化する国際原子力商戦』エネルギーフォーラム, 2010年
福島原発事故以前のいわゆる「原子力ルネッサンス」のころの世界の原子力業界の動向に関する良書(この本は福島原発事故以前の本なので、現在では状況が変わっている)
【「TRC MARC」の商品解説】21世紀のエネルギー・環境潮流の中で、世界各国はどのように原子力を位置づけ、企業はどのように事業・技術選択を行っているのか。そして原子力の将来はどうなるのかを、他エネルギーとの関係という視点を入れて分析する。
【おすすめ度○】原子力資料情報室『破綻したプルトニウム利用』緑風出版, 2010年
【おすすめ度○】嶋津暉之・清澤洋子『八ツ場ダム』岩波書店, 2011年
【おすすめ度◎】藤井良広『環境金融論』青土社, 2013年
環境金融の諸形態に関する概説書 環境格付け・ファイナンスの実例(滋賀銀など) 環境リスク 資産除去債務と環境会計 環境クレジット・ファイナンス 環境保険の展開 新たな環境金融市場づくり 紛争鉱物
【おすすめ度○】可児滋『環境と金融ビジネス』銀行研修社, 2011年
【おすすめ度○】藤井良広『金融で解く地球環境』岩波書店, 2005年
環境金融の全体像を丁寧に説明している。良い本だがやや古いので◎ではなく○にした。著者は新聞記者だが、この本は学者風のスタイルで書かれている。保険 CSR 環境報告書 プロジェクトファイナンスなど
【おすすめ度○】原川洋之『市街地再生の構想と戦略』日経BP企画, 2008年
天王洲アイル開発や苫小牧駅前再開発の事例を取り上げ、事業者の立場から見た再開発プロジェクトの進め方を説明している。参考になることも多いが、とりあげられているのが成功事例なので、失敗例や問題点の掘り下げが少ないという印象はある。
【おすすめ度◎】濱田武士『日本漁業の真実』ちくま新書, 2014年
日本の漁業がどのような状況に置かれているかをわかりやすく書いた良書 過ぎた競争がもたらした矛盾 海外水域の漁業の現状 資源管理の誤解とその難しさ 養殖ビジネスの可能性と限界 漁業の在り方と漁業たたきの問題 地域と漁業
【おすすめ度○】中村啓一『食品偽装との闘い』文芸社, 2012年
【おすすめ度○】安部司『食品の裏側』東洋経済新報, 2005年
もと敏腕食品添加物セールスマンによる食品添加物業界の内幕
【おすすめ度●】名和小太郎『ゲノム情報はだれのものか』岩波書店, 2002年
シンプルで要点を押さえた優れた本だが、技術的には古くなっている。 研究とビジネス 特許とは 生物特許の歴史 ゲノムの特許 ポスト・ゲノムの特許 社会の中の特許など
【おすすめ度◎】山根裕子『知的財産権のグローバル化』岩波書店, 2008年
【おすすめ度◎】石山徳子『「犠牲区域」のアメリカ』岩波書店, 2020年
アメリカ先住民居住区での放射性廃棄物問題を中心的な題材として、アメリカの環境正義と先住民問題を扱っている。この問題が、「単純な二項対立でない」ことを強調している。
【おすすめ度☆】下川哲『食べる経済学』大和書房, 2021年
農業経済学のわかりやすい教科書 内容:「食べる」と「食糧生産」 食料市場が社会をつなぐ 食料市場の限界 飢える人と捨てる人 避けられない自然の摂理 市場が効率的でも発生する問題 市場の失敗 政治的思惑が引き起こす問題 「人間らしさ」の難しさ 未来に向けて
【おすすめ度○】稲垣憲治『地域新電力 脱炭素で稼ぐまちをつくる方法』学芸出版社, 2022年
地域での発電事業を通じた「地域おこし」の実践例 脱炭素で稼ぐまちをつくる方法、国のエネルギー政策の現状、動き出す自治体エネルギー事業 地域新電力の分析など
【おすすめ度○】ビー・ウィルソン『食品偽装の歴史』白水社. 2009年
イギリス・アメリカの食品偽装との戦いの歴史を描いた面白い本 最初に化学的に食品偽装を追求したフレデリック・アークム、顕微鏡の利用を始めたアーサー・ヒル・ハッサル、ハッサルと協力した雑誌ランセットの取り組み アメリカ(ハーヴィー・ワシントン・ワイリー) 食品偽装かイノベーションか(バターに対するマーガリン、食品添加物の使用) バスマティ米とDNA検査の有効性など
2022年12月17日土曜日
【おすすめ度◎】リチャード・ハリス『生命科学クライシス』白揚社, 2019年
生命科学分野における再現性の危機(論文に掲載された実験結果が、他の研究者によって再現できないこと)の原因を科学的側面と科学社会学(研究組織)面の両方から追及する興味深い本 生命現象自体の変動性(実験条件によって結果が変わりやすい) 動物実験と人間との差 細胞株の問題(他細胞の混入が多発) 統計手法の誤用 詳細データを公開しない慣習 いきすぎたインパクトファクター至上主義 ほか
【おすすめ度●】萩原伸次郎『金融グローバリズムの経済学』かもがわ出版, 2020年
農学部の学生にはやや難しいが、格差拡大や金融危機の原因をグローバルな視点から解説している教科書的な良い本 内容:格差社会の形成と世界金融危機の勃発 多国籍企業の誕生 国際資本取引の自由化の進展 アメリカの金融覇権 金融グローバリズムと格差社会の形成 世界金融危機はなぜ起こるのか 新自由主義時代の世界金融危機
2022年12月16日金曜日
【おすすめ度○】吉川祐介『限界ニュータウン』太郎次郎社, 2022年
開発に失敗して(というか、そもそも最初からまともに開発する気がなかったのではないかと疑われる)、荒廃する超郊外の分譲地の現状と問題点を分析している。都市問題や住宅問題に関心のある人は読んでみると面白いだろう。
2022年12月6日火曜日
【おすすめ度◎】リチャード・エバーシェッド『食品偽装を科学で見抜く』日経BP社, 2019年
興味深く読める食品偽装を見抜くための科学的技法の紹介。食用油、水産物、牛肉、ミルク、スパイス、ワイン、野菜などの偽装の手口と対策 分析化学 同位体分析 タンパク質組成(プロテオミクス) DNA(ゲノミクス) メタボロミクス
2022年12月5日月曜日
【おすすめ度☆】吉次公介『日米安保体制史』岩波新書, 2018年
2022年12月4日日曜日
【おすすめ度●】山本晴太・川上詩朗・殷勇基・張界満・金昌浩・青木有加『徴用工裁判と日韓請求権協定』現代人文社, 2019年
著者が弁護士なのでアカデミックなスタイルの書き方ではないが、いわゆる徴用工裁判について背景事情から日韓請求権協定の法解釈(の変遷)まで、全体像を知ることができる。 内容:韓国大法院判決を読み解く 背景事情 日韓請求権協定の内容と解釈 日韓両国の請求権協定解釈の変遷
2022年12月2日金曜日
【おすすめ度◎】明日香壽川『グリーン・ニューディール 世界を動かすガバニング・アジェンダ』岩波新書, 2021年
グリーンニューディール、すなわち気候変動問題への対処を通じて社会全体を変革(ニューディール)していこうとする取り組みについてまとまった知識が得られる。内容:環境も経済も正義も 科学から政治へ 政治への期待と幻滅 エネルギー革命に乗ろうとしない日本 グリーン・ニューディールの考え方と具体的内容 日本版グリーンニューディール グリーンニューディールの課題 現世代と未来世代の豊かさと幸せをめざして
2022年12月1日木曜日
【おすすめ度◎】阮蔚『世界食料危機』日経プレミア, 2022年
阮蔚『世界食料危機』日経プレミア, 2022年 ロシアのウクライナ侵攻による世界の食料供給への影響をはじめとして、現在の世界の食料問題をコンパクトにまとめている。内容:食肉の消費拡大が飢餓を生む 主食穀物を圧迫する畜産飼料生産 地球温暖化がもたらす食料生産の危機 バイオ燃料が生み出した農産物争奪戦 飢餓を招く大国の論理 アフリカ農業を壊した米欧の穀物戦略 化学肥料の争奪 日本の食料安全保障