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【まとめ】このブログ全体のまとめです。

紹介する本が増えてきたのでまとめます。 【テーマ別一覧】 気候変動問題に関する本 公害問題と食の安全に関する本 医療や生命、バイオテクノロジーなどに関する本 地域づくりと地方自治に関する本 水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本 原子力と核兵器に関する本 陰謀論、...

2025年9月15日月曜日

【おすすめ度●】ジョセフ・E・スティグリッツ,リンダ・ビルムズ『世界を不幸にするアメリカの戦争経済』徳間書店, 2008年

2003年に開始されたイラク戦争(アメリカのイラク侵攻)のコストを推計し、それが少なくとも3兆ドルに上るとしている。死亡者一人当たりの金銭評価法など、研究方法論も参考になる。 イギリス・日本についても言及されている。

紀伊國屋書店ウェブサイトから紹介を引用
イラク戦争におけるアメリカの出費は、12年にわたったベトナム戦争をすでに上回り、負傷兵の治療費や退役軍人の手当てなどを考慮すると、少なくとも3兆ドルにのぼる。しかし、戦況は混沌としたままで、復興の道は見えない―。この実りなき戦争に費やされた膨大な経費は、アメリカ経済、そして世界経済にいかなる衝撃をあたえているのか?ブッシュ政権によるコスト隠蔽操作をあばき、戦争という巨大ビジネスが引き起こす負の連鎖を看破する。ノーベル賞経済学者スティグリッツの衝撃作。



【おすすめ度●】コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会『ODAダムが沈めた村と森』緑風出版, 2019年

ダム建設は、水没する地域に住んでいた住民に様々な被害を引き起こす。本書は、日本のODA(政府開発援助)によって建設されたインドネシアのコトパンジャン・ダムに対する反対運動の記録である。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
政府開発援助(ODA)は、途上国を助けてあげる良いことだと宣伝されてきた。まさか援助国の日本が裁判で訴えられる事態となることは、多くの人々には意外であった。ODAは、無駄遣いや役立たない援助とか、汚職・わいろの温床、途上国の借金漬けなどの問題が指摘されることはあっても、深刻な被害がおきていることは日本国内に知らされていなかった。
インドネシアのコトパンジャン・ダム裁判は、強制立ち退きを強いられた2 万人以上の被害者と自然環境破壊が大量に生み出され、多くの人々が苦しんでいることを白日の下にさらけ出すことになった。
本書は、8396 人という日本の裁判史上最大の原告団と日本での裁判を支援する支援者・弁護団によって闘われたコトパンジャン・ダム裁判の全記録である。(2019.2)


【まとめ】このブログ全体のまとめです。

紹介する本が増えてきたのでまとめます。


【おすすめ度◎】の本(特におすすめする本、このページの下の方に)
【おすすめ度☆】の本の一覧はこちら(教科書あるいは入門書的な本)
【おすすめ度○】の本の一覧はこちら(読むことをおすすめする本)
【おすすめ度●】の本の一覧はこちら(専門性が高く一般向けではない本と、良書だが内容が古くなっている本)
【おすすめ度◎】特におすすめの本
上野貴弘『グリーン戦争』中公新書, 2024年(気候変動問題に関する基礎的な知識がないと読みづらい)
手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』藤原書店, 2010年(本の題名とは異なりワクチン問題を扱った本、やや難しい)

【ウェブ上の論文】

【おすすめ度☆】フィリッパ・レヴィン『14歳から考えたい優生学』すばる舎, 2021年

かつて、障碍者が生まれることを防止することによって人類を改善しようという主張がされた。そのような考え方を優生学(Eugenics、ユージェニクス)という。現代社会において、優生学の考え方は表面的には否定されているが、水面下では社会のなかから優生学的な考え方がなくなったわけでは決してない。極端な例であるが2016年に起きた「やまゆり園障害者大量殺害事件」は優生学的な動機によって引き起こされた事件である。この本は、(もちろん批判的な立場から)優生学の考え方を説明する本。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
優生学とは、ひとことでいえば、優れた血統をのこし、劣った血統をなくすことで、人類全体の質を向上させようとする思想です。それは、ナチスドイツだけのものではないし、過去のものでもありません。かつては世界の多くの国でおこなわれ、いまも根強くその考えはのこっているのです。(本書「訳者によるまえがき」より)
前世紀、世界各地で政治をまきこむ運動となった優生学。その短くも変化にとむ歴史をひもとき、優生思想の呪縛がいまだに私たちをとらえてはなさない実態を明らかにする。
自分をとりまく「世界」がどんな難題をかかえているか。それはなぜ起こり、どうしたら解決できるのか。
知るだけで自分も世界も変わる。オックスフォード大学出版局「ベリー・ショート・イントロダクション」シリーズ第2弾。


2025年9月12日金曜日

【おすすめ度●】西山勝夫 編著『戦争と医学』文理閣, 2014年

日本医学会の戦争協力の歴史。731部隊、細菌兵器、遺棄毒ガス問題など。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
15年戦争期「満州」や中国各地で行われたおぞましい「悪魔の飽食」。人体実験・生体解剖、ベスト・炭疽菌などから細菌兵器の開発・使用…、今も起こる遺棄化学兵器被害。日本の過去を真正面から問いなおす。


【テーマ別】水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本

水問題(水資源、上下水道、水汚染、治水など)に関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)

【おすすめ度☆】柴田富士子,岡恵,國井久美子,中山俊彦『よくわかる!農林水産分野の知的財産権入門』丸善出版, 2025年

農林水産分野の知的財産権のしくみ、実例、特に地域ブランドに関する教科書。著者は弁理士。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
知的財産に関わる数々の相談を受けてきた著者達による、農林水産分野向けの知的財産権の入門書。
 第1章では知的財産権制度の概要を説明した後、第2章・第3章でさまざまな実例から、農林水産物を保護・活用するために効果的な知的財産権とその考え方を解説。
また第4章では、農業現場の課題解決策の1つとして、近年注目を集めるスマート農業について、知的財産権との関係性を解説しました。
 農林水産業における知的財産を上手に保護するために、どのような手段を取ることができるのかを知り、将来を考えるうえでの一助となる一冊です。
農業高校の生徒や農林水産系の学部に所属する大学生だけではなく、農林水産業の現場の方もご活用いただけます。

【テーマ別】公害問題と食の安全に関する本

公害問題と食の安全に関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)


直接公害問題を扱った本ではないが、密接な関係がある本

【おすすめ度◎】畝山智香子『サプリメントの不都合な真実』ちくま新書, 2025年

小林製薬の紅麹事件、サプリメントや食品に関する規制、食品のリスク管理、食品と医薬品の関係などをわかりやすく網羅的に説明する良書

出版社ウェブサイトから紹介を引用
あなたが飲んでいるそのサプリメントは大丈夫? 知ったら怖くて飲めなくなる!
紅麹の危険性は予知されていた! 「ビタミンやミネラルだから安全」は大間違い? 知ったら怖くて飲めなくなる。食品安全の第一人者が隠された真実を徹底解説。

【おすすめ度○】粟野仁雄『アスベスト禍 国家的不作為のツケ』集英社新書, 2006年

著者は元共同通信記者。いかにも記者らしいスタイルのアスベスト問題に関するルポルタージュ。ルポルタージュなので読みやすいがあまり深い分析はされていない。

紀伊國屋書店ウェブサイトから紹介を引用
炸裂していた静かな爆弾。アスベスト(石綿)が人体と環境に残した負の遺産は、今や労災、公害の枠にはおさまらない国民的災害といえる。潜状期間が長い中皮腫、喫煙習慣の陰で見逃されていた可能性の高い肺がん。被害者救済新法の制定はされても、これまで流された涙、失われた命は戻らない。だが実はアスベストの危険性は七〇年代から指摘されていた。八〇年代には徹底除去するチャンスもあったはず。この数十年間企業と行政はいったい何をして、何をしてこなかったのか。本書はその経緯を辿り、大いなる看過と怠慢の問題点を浮き彫りにする。

【おすすめ度○】永井孝志,村上道夫,小野恭子,岸本充生『世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか』講談社ブルーバックス, 2025年

レギュラトリーサイエンスの立場から基準値について論じる良書。取り上げられているテーマは、トランスジェンダー女性の女性スポーツ参加問題、新型コロナと基準値、福島原発事故の汚染水放出、原発の安全基準、治水の安全基準、がん検診のメリットとデメリット、PFASの基準値、新しい「食の」基準値、AIと個人情報など。
 全体としては良書なのだが、福島原発事故の汚染水放出を扱った章は、「希釈して放流していいのか」という問題が無視されており(希釈して放出するのが許されるのなら、そもそも排出基準を定める意味がなくなる)、また「希釈」に使われる海水が汚染されているという問題も無視されていたりするなど問題が多い。この章が無かったらおすすめ度◎にしたのだけど。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
世界はいま、すべての境目が混沌としている。オリンピックではトランスジェンダーの選手が活躍し、大人になる年齢は18歳か20歳か曖昧になり、AIが書いた文章は人間のそれと見分けがつかなくなった。一方、コロナ禍にできた「新ルール」は迷走し、PFASが「新たな脅威」とされ、「新規」の食品や「新手」のハラスメントも次々に現れ、新しいリスクとなっている。こんなときこそ、われわれには「基準値」が必要だ。しかし誰にも公平な基準値をつくるのは難しい。2014年刊行『基準値のからくり』が大好評を博した4人の基準値オタクが、今度は世界規模で基準値の驚きのからくりを解き明かす。ようこそ、目くるめく基準値の迷宮へ!

2025年9月7日日曜日

【テーマ別】戦争と平和に関する本

戦争と平和、およびそれに密接にかかわるエネルギー資源問題や宗教対立に関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)



【テーマ別】地域づくりと地方自治に関する本

地域づくりと地方自治に関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)

2025年9月6日土曜日

【まとめ】おすすめ度●の本(専門性が高く一般向けではない本と、良書だが内容が古くなっている本)

 【まとめ】おすすめ度●の本(専門性が高く一般向けではない本と、良書だが内容が古くなっている本)

ティム・マーシャル『宇宙地政学と覇権戦争』原書房, 2024年
林公則『農業を市場から取りもどす』日本経済評論社, 2024年

【テーマ別】陰謀論、マスコミ、科学的認識論・科学方法論などに関する本

陰謀論やマスコミ、科学的認識論・科学方法論などに関する本の一覧です。※以下で紹介している本はいずれも良書ですが、これ以外にも良書がありますので、これから増やしていきます。新しい本→古い本の順 ◎=特におすすめ、○=おすすめ、☆=入門書、教科書的な本、●=専門性の高い本(一般向けではない本)

フィリッパ・レヴィン『14歳から考えたい優生学』すばる舎, 2021年(優生学は人種差別や陰謀論との関係が深い)

【まとめ】おすすめ度☆の本(教科書あるいは入門書的な本)

 【おすすめ度☆】教科書あるいは入門書的な本(新しい本→古い本)

太田洋『コーポレートガバナンス入門』岩波新書, 2025年(この本は、『入門』という題名であるにもかかわらず専門性はきわめて高い)

【おすすめ度☆】笹原和俊『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』化学同人, 2018年

「エコーチェンバー」、「フィルターバブル」、「アテンションエコノミー」など基本的な考え方の説明。心理学的に説明しているので、真の意味でフェイクニュースが作り出される構造的原因(フェイクニュースでPVを稼ぐことにより広告収入が得られること、フェイクを流して損害賠償を払わされても損害賠償金の方より広告収入の方がずっと多いので「フェイクの流し得」になっていること、さらにそもそも政府自身がフェイクニュースの発信源となっていることなど)は取り上げられていない限界がある。

出版社ウェブサイトから紹介を引用
フェイクニュースはなぜ拡散するのか.人の認知特性,SNSなどの情報環境から読み解く.

(amazonから補足)
虚偽情報お断り!

2016年、米国大統領選挙を契機に注目を集めるようになったフェイクニュースは、
いかにして拡散するのか。
本書ではこの複雑怪奇な現象を「計算社会科学」という新しい分野から読み解く。
偽情報を信じてしまう人間の認知特性、その情報を拡散させる情報環境の特徴、
情報過多と注意力の限界などの側面からフェイクニュース現象の全体像を描き出し、
メディアリテラシーやファクトチェックによる対抗手段の有効性を検討。
大量の情報が飛び交う現代、偽ニュースに惑わされないために必読の1冊!

【まとめ】おすすめ度○の本(読むと有意義な本)

おすすめ度○(読むと有意義)の本のまとめです。(新しい本→古い本の順)

阿部潔『東京オリンピックの社会学 危機と祝祭の2020JAPAN』コモンズ, 2020年
マーク・ダウィ『草の根環境主義』日本経済評論社, 1998年